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貞観津波無視!地盤改良さぼり!
これは共に「人災!」、怠慢の結果?

 福島原発事故は「想定外」などではなく、「想定間違いだ!」と書いてきましたが、それを裏付ける報道が東京新聞3/7朝刊に。福島第一原発とほぼ同等の津波に襲われながら辛くも耐え切れた女川原発の設計想定に、福島原発では無視した3つの想定があって明暗を分けたことが判りました。
 都心直近、千葉県浦安の液状化被害も、地盤改良した場所には起きなかったことが明確になり、売価のわずか1%の改良費用を惜しんだ三井不動産が損害賠償集団訴訟の標的に。


津波の恐怖知り尽くす

 まもなく一年を迎える東日本大震災。東京電力福島第一原発とは対照的に、東北電力女川原発(宮城県女川町)は大事故には至らなかった。海面から一四・八bの高台に原発を立地、引き波時にも冷却水を確保できる構造は、津波の恐ろしさを知り尽くした元副社長らが、最大限慎重な設計をした産物だった。               (池田宏之)

伝承

 女川原発は、何度も津波の被害を受けた三陸のリアス式海岸の南部に立地する。周辺には内陸部まで津波が迫った伝承が多い。
 八六九(貞観十一)年の貞観津波、一六一一(慶長十六)年の慶長津波では、ともに当時の海岸線から四`以上離れた場所で津波の痕跡が確認されている。
 そんな地域に生まれ育った東北電力の元副社長が、1号機の建設時、強硬に「高さ十五b」を主張した。故平井弥之助氏(一九〇二〜八六)。副社長を退任後、電力中央研究所に移り、女川原発建設に向けた社内の「海岸施設研究委員会」のメンバーとなった。

女川原発救った眼力

 平井氏の実家(宮城県岩沼市)近くには、千貫神社がある。今の海岸線から七`以上内陸にあるが、仙台藩に伝わる記録では慶長津波が到達した。
 東京帝国大(現東京大)の後輩で、東北電力で土木を担当した大島達治さん(八二)によると、平井氏はしばしば千貫神社に津波が到達したことに触れ、「貞観津波クラスの大津波に備える必要がある」と力説していた、という。

高さ15bの建設主張
  直感

 女川原発の敷地をめぐっては、社内で十二b程度で十分とする意見もあった。だが平井氏は譲らず、社内の検討委員会も十五bを妥当と結論づけた。
 大島さんは「平井さんは、海岸を知っていた。十五bに確たる根拠があったわけではないが、経験と直感で導き出された安全な数字だったはず」と振り返る。
 七〇年に国に提出された1号機の原子炉設置申請書では、周辺の津波の高さは想定約三bにすぎない。だが原子炉建屋の敷地は一四・八bとされた。
 津波対策は敷地の高さだけでなく、「引き波対策」にも表れている。取水口の内部に段差を設け、波が引いて取水できなくなっても冷却用の水が確保できる。「四十分間は冷却が続けられる」(東北電力)という設計は、七四年の変更申請で実現した。
 東芝のプロジェクトマネージャーとして計画に携わった小川博巳さん(73)は、「東北で津波を考えなかったら何をやっているんだということ。そういう雰囲気が東北電力内にあった」と話す。

東北電元副社長「技術は法律より結果責任」

軽微

 福島第一は非常用ディーゼル発電機を夕ービン建屋地下に置き、津波で水没した。女川は1号機こそ制御建屋地下に置いていたが、2〜3号は地上に各三台を設置していた。
 今回の震災で、女川原発を襲った津波の高さは一二・五b。福島第一とぼ同じだ。女川は地震で地盤が一b沈み、震災直後はタービン建屋の火災などはあったが、被害は軽微だった。
 大島さんによると、平井は、常々こう語ってたという。
  「法律は尊重する。だが、技術者には法令に定める基準や指針を超えて、結果責任が問われるんだ」
 設計すべて米国企業に委ね、「想定外」の津波対策を怠った福島第1と女川の違いは、東北の津波を甘く見なかった先人の眼力の差だった。

東京新聞 総合11版S 2012年(平成24年)3月7日(水曜日)

女川原発と福島第一原発の津波の影響(図)

震災
いまだに終わらない「液状化」の後始末
どこまで拡がる浦安「三井不動産物件」訴訟

「東日本犬震災は1000年に一度と言われるが浦安は震度5強。この程度の揺れで家が傾くなんて地震対策がなされていなかったとしか考えられません」
 京葉線舞浜駅前に広がる浦安市舞浜3丁目団地の住民は、怒っている。

 1億円超で買った50坪の自宅が傾いた。泥が吹き出し、玄関側か沈下した。家の中に居るとめまいがするという。沈下修正だけで300万円。地盤対策が必要だが建屋を残したままの工事には限度がある。工法にもよるが400万円から1000万円。いずれにしても二重ローンだ。

「浦安は専門家の間では要注意の住宅地でした。今回の震災で埋め立て地全域が液状化する恐れあり、というデータがあった。今回の震災で液状化が起きた地域と軽微だった地域を分けたのは地盤対策。っまり人災です」
 浦安に住む旧建設省OBはそう語る。
 「宅地造成した時に、きちんとした地盤対策をしておけば、安く済んだし被害も少なかったのです」
 対策は固めた棒状の砂を地盤に打ち込むサンドコンパクションエ法が有効とされ、住宅公団は採用した。これをやっていた団地では液状化はほとんど起きていない。

 舞浜の住民は売り主の三井不動産と京成不動産に「どんな地盤対策をしたのか」など問う質問状を昨年12月に出したが、2月になっても返事はないという。

 新浦安駅から徒歩5分の入船3丁目。縦横300メートルほどの街区で、三井不動産への訴訟が2件起きている。最初に提訴したのは、かってディズニーランドの踊り子たちが住み「アメリカ村」と呼ばれ、数年前「ファインコート」という名で売り出された街の住民だ。この段階では新聞の地方版に載る程度のニュースだった。
 2月に隣のタウンハウスの原告32人が住宅補修費や慰謝料など計7億円の損害賠償を求める集団訴訟に踏み切るとNHKなどテレビまで取り上げる全国ニュースになり「三井不動産」の活字が紙面に踊った。

 三井不動産と言えば昭和40年代から浦安の埋め立てに関与してきた大企業だ。三井のブランドを信じ、住宅を買った人は少なくない。
タウンハウスの住民は「公団と比べこちらの団地の価格は高かったのに結果は逆。裏切られた思いだ」と怒りを隠さない。

 三井不動産は「公団の低層住宅はコンクリート製で杭が打ってある。木造家屋と団地は比較できない。想定できないほどの震災によるものだ」と回答し、住民を怒らせた。

 今後、三井不動産の責任は法廷で争われるが、三井グループで都市設計に携わっている関係者はこう指摘する。
 「技術重視の公団と比べ三井不動産は営業が主力の会社。地盤対策への感度が鈍かった。深く反省しているが非を認めると、液状化被害を受けたすべての住民への補償が発生する。膨大な損害を恐れ、住民に冷たくならざるをえない」
 舞浜3丁目でも住民訴訟に発展しそうな動きが出ている。「1億円を超える住宅を売っておきながら、一軒100万円ほどの地盤対策を怠り、私たちがこんな被害にあった」と住民は怒り、訴訟は広がりそうだ。
成り行き次第では、埋め立てで儲けたカネを、液状化で吐き出す、ということにもなりかねない。

2月2日、浦安市に住む原告団記者会見
<宝島2012/04 p016>Monthly TAKARAJIMA
【注】サンド・コンパクション工法=土木のサンド・ドレーン工法類似(引用者)
 第1は、1,100年前の貞観地震と400年前の慶長地震の津波被害の記録を元に、発電所敷地の標高を15mを目指し14.8mにしていたこと、
 第2は、津波による引き波を想定して、冷却水取入口内に大きな容量を持たせて約40分間冷却が続けられる構造にしていたこと、
 第3は、非常用電源装置を2号機以降地下ではなく、標高の高い地上に設置していたこと、
 女川原発は3.11東日本大震災で約1mも地盤沈下しながら、以上の配慮により紙一重で辛くも安定停止しました。

 この設置条件を主張して通した東北電力元副社長、故平井弥之助氏が常々語っていたというのは「法律は尊重する。だが、技術者には法令に定める基準や指針を超えて、結果責任が問われるんだ」という大変常識的で妥当な基準です。法規制や行政指導が無いから過速度ATSを付ける必要はなかったというJR西日本に額に入れて送りつけ掲示させたい言葉です。

引き波対策構造
引き波対策構造図
(プールに冷却水を確保。東京新聞12/3/7朝刊)

 東京電力と原子力村メンバーの言い分ですと、「寿命がたかだか40年余の原発に、あったかどうかもハッキリしない1,100年前の津波の配慮は出来ない」「安全限度をどこかで割り切らないと設計できない」「津波には十分配慮している」「建設認可を前提に、規制値を決めてきた」と、全く妥当性、説得性が無いわけで、原子力委員会や裁判所がなんでこんな酷いものを認めてきたのでしょうか?
 1100年前の出来事でも、現実に起こっている限りは、明日が次の1100年かも知れないので、それによって引き起こされる障害が耐え得るものかどうかの検討が必要で、最悪で半径270kmの範囲で避難が必要としたら、絶対に起こしてはならない事態であることは容易に判りますが、原子力不安全委員会斑目委員長等は逆に確率が低いからと万一の著しい被害を許容としたわけです。大人口を抱える京都、大阪、兵庫、滋賀に100km未満:直近の福井原発群など、作ってはいけない場所を原発銀座にしてしまいました。東京(皇居)からは直近100kmの東海村は廃炉方向で230km以上の福島と新潟に改めたけれどまだ近すぎた様です。(京都、大阪はあれで良いノダ!と)
 全世界でトップクラスの猛烈な地震国で、活断層だらけの地盤である日本で、安全が保てる保証など何処にもありません。万一の場合に半径200km余が住めなくなる蓋然性のある装置を設置して良いはずがありません。原発を日本に持ち込んだアメリカの原発立地では、あれだけ広い国土があっても、地震の多い西海岸は避けて、中部や東海岸に寄っているではないですか。

費用1%手抜きで窮地に!三井不動産    <2>

八郎潟埋立工事
泥水で埋め立てるのが普通だった

 埋め立て地など軟弱地盤地帯でもちゃんと地盤改良すれば住めるようになると、日記#284で書きましたが、震度5強程度のさほど珍しくない揺れなのに被害の激しかったディズニーランド北、浦安の埋め立て地も、調べてみると家屋被害が無かった場所は住宅公団などが施工して地盤改良して建てたもので、被害の激しかった三井不動産分譲の1億円住宅は、どうも地盤改良工事を手抜きしたらしいことが判り、多数の損害賠償請求訴訟が準備中であることが報じられています。

 地面に砂の筒を作るだけなら分譲価格の1%前後の100万円あれば足りたものを、建物が建ってからの復旧・補強では、傾いた建物を戻して地盤改良するのに1000万円近い費用が掛かるとか。その分がまるきり2重ローン化します。

 分譲地売り主の三井不動産主導の一括工事にして大幅なコストダウンを図り現物賠償するのが一番無理が無いと思いますが、「三井」の名を大事にするのかどうか?この頃の大資本は酷いですからねぇ。なお、土木系の工事は個々にバラしてしまうと非常に高価になり、専門業者に頼むとボーリングの穴1本空けるのに20万円〜30万円とかが相場だそうで、実現可能な賠償スキームとしては賠償責任会社の一括工事が実現の可能性の大きい方法になるでしょう。

 私には判断しかねるのが造成地の盛土と地山の境界で多数の崩落が発生して住宅が壊れている問題。仙台近郊の造成地で全壊家屋の立地の特徴でした。盛土の崩落も震度5強の千葉市でも見掛けますが、庭に留まって家は助かったりですが、表面は平に均した継ぎ目の崩落で家が全半壊というのはどうなのでしょう?ハザードマップを見ると、我が家の並び数軒は急斜面では無かったものの、古い盛土上らしく倒壊可能性が1ランク高くなっています。ダンプやバスなど重量車両が通ると揺れやすいのはそのセイかもしれません。直近の県営住宅や学校は更に1ランク高いので、盛土量が多いのでしょう。台地の外れで庭が崩落したお宅は、急斜面に迫り出して宅地を造成した場所。急斜面も含めての所有らしく、そこに盛土で平らな土地を増やした結末ではありますが、強度計算を間違えたのでしょうか?

2012/03/07 23:55

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