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8/23JR西日本は被害者説明会後の記者会見で社長起訴を承けての社内処分内容を説明した。#日記219、#221で、尼崎事故発生の強力な誘引となったいわゆる「3悪人」を無罪放免して、曲がりなりにも安全追求のリーダーとなっている技術系出身社長のみの起訴と、残る役員の処分では目指すべき方向とは逆方向の有害メッセージになりかねないことを指摘したが、その続報として処分説明記事を拾うと、新聞によっては、顧問打ち切りが処分に代わる責任追及と取れる報道を行っている。会社幹部丸ごとの処分が世間へのメッセージという意識はあったようだが、7月の最初の発表の時に言わないと、後付の言い訳という印象が強まり、メッセージ力が大変弱くなってしまう。まして3氏への責任追及の主旨に触れてない新聞が多いとなると、「本気ではない」と理解される方が強いだろう。
その前に、退任した歴代社長・会長を無期限に顧問に戴く公的企業ということに違和感を感じてしまう。一般社員が定年前に関連会社に出向に出されて低賃金で働き、更に定年で賃金低下、解雇という状況で、エリート幹部だけそんなに厚遇して良いのかという問題も別にあるのだ。しかしこれは役所とそこから分離した組織の一般的問題で鐵道院・鐵道省時代からの悪しき慣行を引きずるものだから別の問題で一旦置くとして、その辺の各紙報道はどうなっていたかを並べてみよう。(下記)
流れとして見ると、起訴を承けた社内処分発表の7/23記者会見では、井手正敬氏に付き「顧問を退任するため、処分の対象には含まなかった」が主たる流れだったが、批判を受けて被害者説明会後の8/22記者会見では軌道修正し、処分の意味に付き「歴代経営陣に責任」「顧問契約を打ち切った」として顧問契約打ち切りが処分の一環であることをアピールしたようだ。
しかし各紙記事を見る限り、顧問契約打ち切りを責任追及処分の一環と捉えた記事は明記が赤旗新聞と、文脈が東京新聞だけで、他紙は「歴代経営陣に責任」という会社として初の表明のみの報道になっていて、利潤最優先経営の元凶たる井手氏に対する処分が無いことの批判には噛み合っていない。「歴代経営陣に責任」の表明は画期的ではあるが、それは幹部大量処分発表時に井手処分も含めて言うべきことだった。
その意味ではメッセージの発信に成功していない。後追いとなった8/22記者会見では報道される程度には強調しなければならなかった。こんなメリハリのない発表では「本心じゃない」「後付言い訳」との疑念を生んでしまう。最初の発表で「処分はしない」と伝わっていたのだから。
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