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長距離送電端の超高圧昇圧変電所は無視か?
「1次変電所」は送電端の昇圧変電所だったはずだが

 変電所の区分法で1次2次3次変電所には業界どころか会社毎に定義の違いが有るらしい。1次〜3次の区分は送電vs配電と共に理論的学問的区分ではなく、電力供給現場の実務的整理だから若干の揺らぎは想像していたが、まさか電力会社に拠って違うとは思わなかった。

 3次変電所が基本的には需要家への配電変電所であることはどれにも共通しており、2次変電所は電力融通網の整備と共に「中間変電所」という呼び方に変わりつつあるが、1次変電所の定義については当ページが採用している「送電端側である発電所側の超高圧昇圧変電所」のほか、北海道電力の公式サイト解説図が「需要地近くで超高圧から降圧して分配する変電所」を一次変電所としており、これは「鉄道のしくみと走らせ方」(昭和鉄道高校編07/9/21かんき出版刊)p89図や「TGV vs 新幹線」(佐藤芳彦著08/10/20講談社ブルーバックスB-1615)p138図7-7と同じであり、当ページでは2次変電所(中間変電所)としているものだ。さらに電圧区分説のサイトもあって、そこでは154kV以上の超高圧を受電して降圧する変電所が1次変電所となっていて、どちらも長距離送電のために設置される発電所に近い昇圧変電所(当ページでいう一次変電所)は無視されていることが共通である。

 現状は電力会社同士の電力融通やバックアップ回線を設けて送配電網を構成しているし、大電力の新幹線などは275kV超高圧受電に切り替えられていて、中間変電所をいくつも介する給電とか、中間から直需要家に給電ということも有り得て明確な定義が難しくなっているが、かっての「水主火従」の時代、発電所からの長距離を低損失で送電するためのキーである送電端の超高圧昇圧変電所を外しての送電網解説は有り得ないのではないか?
 水力発電所の場合、ダムで取り入れられた水はその川と水路の勾配差で流れ下って落差を作って発電し、その水を更に水路で導いて落差のできる限り発電を繰り返すが、この電力を集めて送電技術の粋である超高圧に昇圧して遠くの消費地に送る変電所が当ページでいう1次変電所である。JR東日本で云えば信濃川発電所群からの昇圧送電変電所がこれに当たるだろう。
 その後、火力発電所は都市周辺に作られて「火主水従」となったから1次変電所なのか中間変電所なのか分類困難なものを生じたが、原子力発電所はその重大なリスクから大都市からは遠隔地に建設され長距離送電が必須だから送電端の超高圧昇圧変電所、すなわち1次変電所を抜きには話にならないのだ。運転状況で言えば早い出力調整が困難な原子力発電を主にする「原主火従水瞬時」となっている。
 ところが昇圧変電所を1次変電所としているサイトの方が少数派で、需要地側の降圧変電所のトップを1次変電所とするサイトの方が多い。実務上はスペックが一義的で呼称違いによる障害は起こりがたいが、総論的整理では呼称の中味を統一する必要があるし、何より長距離送電用の超高圧昇圧変電所を無視する論議には無理がある。中間変電所が2段になることで名称割付の変更がされて定着してしまったのであれば、送電端変電所は「0次変電所」とでもして重要な存在であることをアピール必要があるだろう。「0次」は扱いを楽にして※1解析屋好みだが一般受けはしないから、発電所直近の超高圧送電昇圧変電所を「1次変電所」、一般需要家への配電変電所を「3次変電所」、1次と3次の中間に配置される変電所を「中間変電所」、「2次変電所」に整理するのが一番スッキリするとは思うが、このまま放置だろうか?

 実は最初にこの解説をされたのは大昔の「水主火従」時代の東電の啓蒙教育用スライドで、福島県の猪苗代発電所から東京へ向けた長距離送電を例にして1次変電所を解説していた。そこには「電気事故」として桜木町事件で緑色の炎を上げて炎上する電車のカラースライドも混じっていて印象深かった。文書的裏付けを求めて送配電工学の教科書を見直したが、残念ながら1次〜3次変電所については全く記述が無く「送電と配電は理論上の違いではなく、取り扱い側の区分」というだけだった。現場慣行呼称なのは間違いなさそうだが役に立たなかった。
 結局、送電端での超高圧昇圧技術を送電体系の中にきちんと認めるのかどうかに尽きる様だが、現場呼称とはいえ、バラバラの内容でそれぞれに定着してしまう前に電気学会とか電事連あたりが音頭を取ってちゃんと整理してもらいたいものだ。

【※1】余談
 フロッピーディスクのセクターやトラックの番号付けは、NEC系が1トラック1セクターから名付けられていたが、ヒューレットパッカード(HP)系は0トラック0セクターから名付けられていて、記録位置演算では一々オフセット計算が必要なNEC系よりシンプルで大変楽だった。しかし両面を区別する面番号についてはNEC系も1面、2面ではなく0面、1面、で0から始まっていて一貫していない。N88/NBASICで文字座標と円グラフは右横X下Yの右回り座標なのに、角度は左回り指定と混在してソフト屋泣かせだったりと、一般向け常用系と、整合性を重視する基本系・解析系とでは趣を異にする。HPやモトローラ系は理論的に一貫していて流石コンピュータ屋!と思ったのだが、汎用CPUとしては多勢に無勢で先に大量普及したインテル・ザイログ系に席巻されてしまった。だが家電など機器制御用4bitCPUにはモトローラ系6809系のフレキシブルな(合理的な?)命令体系が取り入れられている。

2009/04/10 23:55

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