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懲罰的日勤教育を擁護とは何を考えて?!
  尼崎事故の直接のきっかけ

東京新聞08/08/06夕刊C版11面

JR西尼崎脱線「社長ら刑事処分相当」
県警、書類送検時に意見へ

 百七人が死亡した尼崎JR脱線事故で、兵庫県警尼崎東署捜査本部が業務上過失致死傷容疑でJR西日本の山崎正夫社長(65)を書類送検する際、刑事処分相当との意見を付ける方針を固めたことが六日分かった。

 捜査本部は、被害者から告訴された山崎社長ら同社幹部七人や、死亡した高見隆二郎運転士=当時(23)=を含む計十人を九月にも書類送検する見通し。このうち一九九六年六月から二年間、鉄道本部長を務めた山崎社長ら、安全対策を担当していた数人に「相当処分」との意見を付ける。

 相当処分は、書類送検時に警察が付ける四段階の意見の中で、刑事罰を強く求める「厳重処分」に次いで二番目に重い。書類送検後、神戸地検が立件の可否を慎重に判断するとみられる。

 捜査本部は、現場カーブ手前に新型の自動列車停止装置(ATS)があれば事故を防げたと判断。九六年十二月に現場が急カーブに付け替えられた時点で新型ATSの設置の見送りに関与したり、その後の整備の遅れにかかわったりした山崎社長ら幹部については相当処分とする。

 捜査本部は七月下旬から山崎社長の本格的な事情聴取をしているが、山崎社長は「運転士の暴走を予測できなかった」と予見可能性を否定しているとみられる。

 一方、事故当時、高見運転士が気にしていたとされる「日勤教育」を担当していた幹部らについては、相当処分より軽い「寛大処分」「しかるべき処分」との意見にとどめ、実質的に刑事処分を求めない方針だ。

毎日新聞 2008年8月5日 15時00分

尼崎JR脱線事故:
JR西社長ら10人書類送検へ

 兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故(05年4月)で、県警尼崎東署捜査本部が業務上過失致死傷容疑で書類送検するのを、JR西日本の山崎正夫・現社長ら鉄道本部幹部経験者9人と、事故列車の高見隆二郎運転士(死亡)の計10人に絞り込んだことが分かった。捜査本部は今年に入って同容疑で告訴を受けたが、対象者が肩書などで記載されていたため、特定作業を進めていた。

 県警は9月にも10人を神戸地検に書類送検して事実上、捜査を終結。地検が立件の可否を判断する。

 9人は、元鉄道本部長の山崎社長と梅原利之氏、徳岡研三氏▽元安全対策室長の池上邦信氏、村上恒美氏▽元運輸部長の仲井徹氏、長谷川進氏、橋本光人氏、三浦英夫氏。

 事故現場が急カーブに設計変更された96年12月前後から事故発生時にかけ、カーブの問題やATS整備などを担当。鉄道本部長は運行を統括する最高幹部。運輸部長は日勤教育などを管理する。

2008.8.6 01:51 MSNサンケイ
JR西日本社長「相当処分」へ
 福知山線脱線事故

 JR西日本の尼崎事故について、鉄道事故では極めて珍しく会社幹部デスク側の責任を問うて送検された。従前は処分権のない現場労働者を人身御供に幕引きするのが鉄道事故捜査の常道だったから、本当に責任のある処に迫った点では警察として画期的措置である。
 従前の処分例では、日比谷線中目黒事故00/03/09では2回の鷺宮車庫脱線事故対策として出された輪重計設置要求を繰り返し拒否した会社を放置し、時間的許容範囲である管理限界超過のみをもって保線労働者5名を送検(不起訴)、
 北陸トンネル急行きたぐに列車火災惨事72/11/では、その前の北陸トンネル寝台特急日本海火災事故でトンネル外に出て消火活動を行い物損事故に留めた殊勲甲の乗務員たちを運転規則違反として処分しトンネル内停車を強要して急行きたぐに惨事の引き金を引いた責任者らを放置してたまたまその乗務に巡り合わせた乗務員たちを長期の刑事裁判に晒したり(無罪)と、真実もクソもない不公平な刑事処分が繰り返されてきた。 See→[事故原因要見直し一覧表]
 それが、重要な処分権・決定権を持つ処に着目するというのは、欠陥製品隠しでの会社幹部責任追及の流れからすれば当然の方向ではあるが、今回が画期的処理である。

[送検者]

▽鉄道本部長
  山崎正夫・社長(96年当時)
  梅原利之・JR四国元会長(山崎前任)
  徳岡研三・鉄道本部長(事故時)
▽安全対策室長
  池上邦信氏(96年当時)
  村上恒美・安全推進部長
▽運輸部長
  長谷川進氏(96年当時)
  仲井徹氏
  橋本光人・大阪支社長
  三浦英夫・運輸部長
高見隆二郎運転士
 しかしながら事故の直接の引き金である「懲罰的日勤教育」については事実上の不起訴意見が付されていることを東京新聞のみが報じている。なんだこれは!速照不設置は怠慢だが、故意というよりポカ=過失だろう。だが「懲罰的日勤教育」は組織的なパワハラで悪意そのもの。これを批判するのでなく擁護する送検など許されない。たとえJR東海や某私鉄が似たような酷い「懲罰的教育」をしていようと、それは教育の正当性を示すものではなく、業界にはびこる悪弊で糾弾されるべき違法行為だろう。それを他社でも行われているからと起訴猶予の理由にしてはいけない。
 曲線速照の必要性については物理的に見れば当然で明かな怠慢ではあるが、JR各社が危険性をほとんど意識していなかったことで刑事事件としての判決がどう転ぶか分からない。懲罰的日勤教育擁護の「他社でもそうだ」という理屈からいけばこれも不起訴か無罪になる。本気で発生責任を追うのなら両方とも起訴相当だ。
 訴訟技術的に刑事罰に値する因果関係を詰め切れなかったとか、容疑は重大で糾弾されるべきだが詰められないと言うのならまだしも、逆に「寛大処分」「しかるべき処分」との意見にとどめ、実質的に刑事処分を求めない方針、と懲罰的日勤教育を擁護するとは何事だ。このまま不起訴にしたらきっと検察審査会の勧告:付審判請求の対象になるだろう。警察は日常の自白強要捜査に慣れて、懲罰的日勤教育の酷さを理解できなくなっているのではないか?(注:不審判請求は公務員の公務犯罪に対するもの)

2008/08/07 23:00
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