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Geo日記
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[115] JRはエラー前提の安全対策へ切換を

  尼崎惨事1周年のTV番組は被災者と家族を情緒的に追ったものが多く、補償さえ手つかずの大惨事を忘れさせない効果はあっても事故解明と発生防止の点ではかなり食い足りなかった。
  その中でNHKクローズアップ現代が本質を若干追い掛けていたのが目立った。すなわち従前のJR西日本の認識は、事故発生は個人の不注意にのみ起因という認識だったのが、この事故の処理でようやく、注意を重ねても擦り抜けて事故発生に到るので、致命的事故に至らないための安全装置が必要だという方向に変わりつつあるという指摘だ。

  その安全確保の思想闘争は製造業界の労災対策指導では40年ほど前からかなり厳しく追求されていて、極めて常識的な観点だが、「誇り高い鉄道業界」には何故か未だに浸透せず断固拒否されている安全思想になっている。この点はもっと労働省を噛ませた方が良い課題だと思う。JR東日本のATS-P設置推進方針が懸け離れて見えるほどJR西日本やJR東海の体制はヒドイのだ。
  考えがたいチョンボ事故多発と、機関士時代に自分自身で現実に居眠り運転や込め不足過走をやらかし、88年12月の東中野事故では副社長として矢面に立った前JR東会長山之内秀一郎氏(著書「なぜ起こる鉄道事故」)の指導が大きいのだろうが、この辺は他JR各社も観念論の文系支配をひっくり返さなければならない。

  番組の大筋の流れとしては是としながらも、あの突っ込みの浅さは何だ!冒頭のエラーエピソードは、ATS未投入事故の連発!それは国鉄ATS技術陣が恥ずかしさで縮こまる「ATS電源未投入防止装置」で警告されて加速できず重大事には至らないし、形の上では廃止された重要安全通達:私鉄ATS通達の常時自動投入原則に則りJR東日本が90年代末期に改造を進めた運転装置・ハンドル連動投入化改造を97年10月大月スーパーあずさ衝突転覆事故以降もJR西日本はサボり続けている証で、尼崎惨事後の「安全への取り組み」が口先だけであることを端的に示しかねないものなのに、ATS投入忘れ注意カードを置いたのに数日後にまたやった!という範囲の指摘で留めてしまった。ちゃんと掘り下げて欲しかった。

2006/04/28 22:00
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