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VVVFインバータ制御

交流電動機の1相誘起電圧
See→VVVF車加速特性/動作状況


トルクT=
  K*(
電圧V/周波数f)2*スベリ周波数S
    ・・・・ K
は比例定数。
スベリの小さい領域で成立
 「VVVFインバータ制御」とは、交流電動機を任意の速度で運転するために、任意周波数でそれに比例する任意電圧の交流電源を構成することで、交流モータの運転状態に合わせた電圧を生成する(=インバータ)システムで、電機子の逆起電力+インピーダンス降下分を供給する制御である。起動法は誘導電動機であれば定スベリ周波数制御、同期電動機であればスベリゼロの定角度制御で起動する。それは交流モータの動作特性に合わせた制御と言って良い。
 従前は、供給交流電圧の周波数を自由に変えられる電源装置が簡単には構成できなかったため、商用周波数50Hz/60Hzは固定で使い、交流モータの使用範囲は限られて、直接投入とか、巻線の結線を変えるY-Δ起動とか、電圧を何段階かに切換え、あるいは回転子のコイルにスベリ周波数に見合った起動抵抗を挿入して最大トルクを得るなど様々にイレギュラーな起動方法を採用して、定常運転状態では軽負荷だった。交流モータは起動の困難さから使用されず、あるいは実負荷に対して大型の電動機が必要となっていた。

 インバータで任意の周波数が得られるようになると、起動時も含めて常に最大トルク付近での運転が可能になり、小出力で小型のモータを採用できるようになった。これはパワー用半導体の進歩に拠り大出力のインバータが作れる様になったからである。
 また冷蔵庫やエアコン、洗濯機など家電機器の動力も3相〜2相(≡4相)インバータ制御の標準的基板やLSIが作られて、高性能で小型化できコストは下がり、先進技術採用を付加価値として売価をあげることができ、今や主流商品となった。かって家電業界では「マイコン制御」で開発製造コストを下げながら「先進技術」の触れ込みで売価を1万円前後上乗せしたのと同様のことが「インバータ○○」でも行われている。

VVVFとは   <1>

 VVVFとは「可変電圧可変周波数」を直訳した和製英語Variable Voltage Variable Frequencyの頭文字を取った命名で、鉄道車両の3相交流モータ駆動システムに名付けられたものだが、電圧Vを周波数F(回転数N)に比例した電機子誘起電圧+インピーダンス降下分に制御することが基本原則である。従って印加電圧は回転数にほぼ比例する。家電製品では単に「インバータ(方式)」と呼んでいる。
 大電力半導体の実現で鉄道車両や家電製品、電気自動車に用いられる様になった。
 「ブラシレス直流モータ」の一種でもある。
2レベルインバータ
2レベルインバータ基本回路
3レベルインバータ
3レベルインバータ基本回路
正弦波のパルス幅変換
正弦波のパルス幅変換法

インバータ、コンバータ   <2>

 インバータというのは直流−交流変換機で、それとは逆動作の交流−直流変換機をコンバータと呼び、当初は回転子鉄芯など磁気回路を入出力で共有する一種の電動発電機だったが、ゲート電極付き水銀整流器やサイリスターを用いた静止型が作られるようになり、更に逆方向電流を許容し電力回生制動を用いる構造になって、コンバータと同じ電力エネルギー変換装置の主たる使い方の相違になった。双方向性であるから回生制動中のインバータはコンバータとして働いて電源側に電力を供給している。

起動抵抗損のないインバータ方式、チョッパー方式   <3>

 高速のオン−オフ制御=チョッパー動作で交流波形を生成できるのは、コンデンサーとモータ巻線の漂遊インダクタンスに電気エネルギーが蓄えられてフリーホイルダイオードと共に電圧−電流変換を行っていると考えられる。純抵抗では即時消費でエネルギーを蓄えて変換することはできない。
 抵抗制御であれば直並列制御を行っても起動電流は定格電流の1/2必要で、抵抗降下分の電力が捨てられるが、インバータ、チョッパーでは電圧−電流変換されるのでモータとしては定格電流でも、電力供給端では電圧比分の1に減少していて起動抵抗での電圧降下損失がない。

 但し、鉄道では抵抗損より最高速度のエネルギーの方が10数倍も大きいので、私鉄車両ではこの速度エネルギーの回収で埋め合わせて、高価な主回路のチョッパー制御を避けて抵抗制御のままとして、(直巻き、分巻き両巻線を持つ)複巻電動機と電力回生制動の採用で高効率化を図る方式が多かった。「界磁チョッパー」は弱界磁制御だけでなく回生制動時の界磁制御に用いられた。
 しかし分巻界磁は高インダクタンスで応答が遅く電源電圧急変には弱く複巻構造の分高価だったので、後年、直巻きモータの界磁巻線を外部電源から駆動して実質分巻き特性で制御する「界磁添加制御方式」が生まれている。See→<10>項に後述

 インバータ、コンバータとパワーアンプとの違いは結果的にエネルギーの遣り取りの双方向性の有無となる。

パルス幅変調   <4>

 直流電源から交流モータ駆動用に任意の周波数の交流電圧をつくる方法は、基本的にはPWM/PFM方式といって、高速のパルス幅の増減でその平均値として交流波形の瞬時値を得るパルス幅変調:Pulse Width Moduration方式と、パルス周波数そのものを増減して瞬時値を得るPuluse Frequency Moduration方式を組み合わせて使う。

 鉄道車両では、架線の直流電圧とレール電圧0の間をオン−オフするため(後述「3レベル・インバータ」に対応して特に)「2レベル・インバータ」と呼ぶが、信号ATS・ATCなどへの誘導障害回避に有効な高速スイッチング可能の素子であるIGBT(絶縁ゲート両極性トランシスタ→See)に当初は高耐電圧の素子が得られなかったため、架線電圧の1/2を中点電圧として直列のフィルターコンデンサの中点を宛て、正弦波交流電圧の上側半分と下側半分を別々に生成する「3レベル・インバータ」を使った。これは高耐電圧IGBT素子の開発で「2レベルインバータ」も再び使われるようになった。VVVFインバータ方式鉄道車両が1982年に熊本市電から実運用されたのも路面電車にはATS・ATCが無いため誘導障害の心配が無いからだった。東芝が家庭用エアコンにインバータ方式を初めて採用したのもほぼ同時期だった。(但し、エアコンの動作として最高効率付近の回転数でオンーオフ動作させる方式と、ヒートポンプ方式の速度−効率特性に関わりなく一定熱出力を得るために一定速度での連続運転を行うインバータ方式と、どちらが優れているかは論議のある所であり、インバータ方式が起動トルクを大きく採れて小型モータで足り、変動のない一定温度に保てて、窓置きエアコンとしては気になる運転途中の起動音が無いなどの利点はあるが、それがエアコンとしての実用上の利点かどうかも論議対象であり、日本以外ではインバータ・エアコンはあまり普及していない。)

PWM波の生成   <5>

 PWM波は、生成する正弦波と搬送波となる同一最大振幅3角波を大小比較して、オン−オフレベルを決めることで発生させている。(右上図参照↑)

3レベル・インバータ/2レベル・インバータ   <5.2>

 最大動作電圧の高い大電力用IGBT(半導体スイッチング素子:See→<#17>)が得らずネックになっていた時代に、交流電圧波形の正負を別の半導体素子に分担させて、2倍の電圧で動作できるようにした回路方式を「3レベル・インバータ」と呼び、DC1500V電化の電動車に採用された。(2個直列のコンデンサーの中点が生成交流波形の「0電位」となっている。)
 それに対して従前の方式を「2レベル・インバータ」と名付けて区別した。近年、高電圧で動作できる素子の開発成功で、再び回路の単純な2レベルインバータに戻りつつある。→略図<2>右

パルスモード(同期モード)、非同期モード   <6>

 生成する正弦波の周波数が搬送波に近付くと干渉するため、スイッチング周波数との周波数比を整数倍に調整して干渉を避けているが、整数倍調整範囲を「同期モード」、「パルスモード」、残る周波数無調整の低速域を「非同期モード」と呼んでいる。GTOサイリスタなどスイッチング速度の遅い素子では最高速度時に交流1サイクルに1パルスにもなる。
 元々のインバータ駆動で言えば、1〜2パルスの方形波駆動から始まっており、PWM非同期モードは低速でも動作できる大型機起動用として現れた。動作範囲としては非同期モードは低速の起動時で、起動以降はキャリア周波数が出力周波数の整数倍のパルスモードである。
 なお、PWM方式で正弦波を生成する非同期モードでの最大尖頭電圧(pp)は電源電圧上限だが、パルスモードでは方形波=歪み波交流と考えられ、1パルスモードになると基本周波数成分は電源電圧より若干大きくなる。フーリエ級数展開すると V=(4/π)sin(θ/2)E となり、流通角120度で(4/π)(√3/2)E=(2√3/π)E≒1.10266E となる。(See→インバータ制御電車概論p150左中段:(式には誤植あり))
直巻モータ加速特性
直流直巻モータ加速特性詳解↑

VVVFインバータの運転制御 (直流機特性と酷似)   <7>
[VVVF領域]、[CVVF領域]、[定電力領域]

 交流電動機を任意の速度で運転するに当たり、その回転数、(周波数、負荷)に適した、ほぼ回転数比例の交流電圧を電動機に与えることが基本だが、インバータで発生できる電圧は、供給電圧が交流ピーク−ピークの限界になるので、鉄道車両ではその限界までをVVVF領域(可変電圧可変周波数領域)、それ以上の高速領域については、電圧が一定であることからCVVF領域(一定電圧、可変周波数領域)、と呼んで、電圧一定で周波数だけを上げる制御を行う。

 鉄道の場合、起動時に電流値一定の「限流値制御」を行い「定トルク領域」あるいは「電圧−周波数・速度比例領域=VVVF領域」となるが、これをCVVF領域(電圧一定領域)もそのまま拡げると、入力電力は一定電圧×一定電流だから一定値となり、機械的出力としてはトルク×回転数が一定値の反比例関係になり、それは誘導電動機ではスベリ増として現れて「停動トルク」手前まで「定出力領域」として加速できる。同期電動機では固定電機子の作る回転磁界に対する回転子の遅れ角として現れ、「脱出トルク」手前まで「定出力領域」として加速できる。
 それ以上の高速度領域は出力が速度に反比例する=トルクが速度の2乗に反比例する「特性領域」となる。
 定トルク領域は電圧−速度比例領域(VVVF領域)でスベリ周波数一定制御領域である。
 この制御動作特性は直流機の特性に酷似している。(右上図参照)。モード転換速度(図のV1、V2)を合わせれば抵抗制御車とVVVFインバータ車を併結できることを示している。

システムが速度を把握   <8>
滑走検知、トルクの速度函数化が可能

 JR東日本では横須賀−総武快速線E217系以来の電車は滑走・空転防止再粘着制御機能を備えていて、前後台車の2軸の速度を検出してスリップの大きい側のトルクを弱めて再粘着を図っている。このときモータの無い付随車では前後の台車に速度センサーケーブルが1本ずつ見られるが、電動車にはこの速度センサーケーブルがない。それは制御システム自体がモータ内蔵のセンサーなどで回転速度を把握していて、外部センサーが無用のためである。
 一方、粘着力には速度依存性があり、低速度ほど大きいから、VVVF領域上限の小さめの粘着力に合わせた一定トルクではなく、低速ほど高トルクの函数型に設定すればその分加速度を大きく取ることができる。新幹線では標準規約として粘着係数μ
  μ=13.6/(85+V), μ;粘着係数,V;列車速度
として用いて減速度などを決めていた。この規約式を適用すれば、停止からの起動粘着係数は85km/h時のそれの2倍も採れることになる。日常的には一定トルクモードで運行したとしても、故障ユニットカット時などでの高加速度モードでは低速度で2倍近い牽引力を発揮させることができる。抵抗制御車ではこれを運転士の感と経験で実現しなければならないから、特別に大きな起動トルクは設定できない。
     See→「新幹線の粘着力問題−空転特性とその対策」

全電気ブレーキ   <9>

 列車が停止直前の低速度になって、発電制動が総て無効になった場合(電制失効した場合)には、自動的に機械式ブレーキに切り換えて停止するのが一般的ブレーキ制御だが「全電気式ブレーキ」とは電制失効後のモータに逆回転の励磁を行って制動トルクを生じさせて停止させる方式を言う。それは機械的摩耗動作が無くなって保守作業を省力化できるが、VVVFインバータ制御のソフトウェアー変更だけで実現できるため、各社車両に急速に拡がった。

発電制動(=電制)と(電力)回生制動   <10>

 電動機と発電機は基本的に可逆動作であり、制動時に電動機を発電機として働かせて制動トルクを得るものを「(広義の)発電制動」、略して「電制」と呼んでいる。このうち発電した電力を電源側に送り返すものを「電力回生制動」、「回生制動」と呼んでいる。送り返さずに抵抗器などで自己消費する方式を「(狭義の)発電制動」と呼ぶ。鉄道車両で「発電制動」というときには「回生制動」を含まないことが多い。
 制動などにより速度が低下して電制が効かなくなることを「電制失効」「回生失効」といい、即座に空気制動に切り換えるが、若干の切換時間遅れを生じて前後方向の衝撃を発生し、停止位置が狂うきっかけになる。
 電制で発生した電力を抵抗器で消費させる狭義の発電制動では、その最高電圧まで(≒架線電圧の2倍余まで)定トルクの制動が可能である。
 ところが回生制動の場合で、複巻電動機方式など界磁の強さを調整して一定電流に制御する方式だと、電動機の電圧と電流が一定だから一定出力となる、すなわち制動トルクが速度に反比例する関係になって、高速領域の制動力が小さくなるし、それより高速の領域では速度の2乗に反比例するか、電制不可能領域となる、運転上は使いにくい特性となる。
 VVVFインバータや電機子チョッパー車での回生制動では、フルノッチ速度以上のCVVF領域で電圧変換が行われて定トルクの制動となる領域を作れるので、(狭義の)発電制動に近い広い定トルク領域が得られる。VVVFインバータ方式では制動時に電圧変換を行わないものでも加速時のスベリ周波数増領域で最大スベリ周波数を維持することで定トルク領域を拡げている。高速域の限界スベリ周波数での制動力は速度2乗に反比例する「特性領域」となるが、それ以下の速度で定トルクにできるため運転上は使い易い。(電機子チョッパー車である201系にみられるように、高速域に直列抵抗を挿入して定トルク範囲を拡げているものもある。国鉄は定トルク制動を特に重視しているのかもしれない)。参照→「インバータ制御電車概論」p180図5.3.2-1、&2.1.2減速特性@AB
IM SM 効率比較

誘導電動機と同期電動機   <11>

 日本でのVVVFインバータ制御は多くが三相交流誘導電動機を使って実現してきたが、フランス新幹線TGVでは同期電動機で構成しているし、省エネ性能を競うエアコンではロータ位置を無接触で検出して駆動巻線に通電する「ブラシレス直流電動機」を採用して誘導電動機のスベリ損失を避ける様になった。
 誘導電動機と同期電動機の相違は、電機子コイルの作る回転磁界内に置く回転子が磁石で、回転磁界と同じ速度で廻るものが同期電動機、短絡した巻線を置いて回転磁界に誘導される電流と回転磁界の相互作用で回転力を得るのが誘導電動機という違いで、回転磁界で駆動することは共通である。誘導電動機の回転子では表面の導体を両端で短絡すればよいからその絶縁の必要が無く、鋳造で作られるものもあって、堅牢で耐熱性にも優れている。「かご型誘導電動機」というのは両端を短絡した回転子コイルの形状から名付けられたものである。

かご型回転子
かご型誘導電動機の回転子略図(Wikipediaより)

3相誘導電動機
三相誘導電動機の基本構造(Wikipediaより) http://ja.wikipedia.org/wiki/ファイル:Induction-motor-3a-partial-180px.gif

(「電気機械2」蓮見孝雄著 実教出版56/1/25初版p32図3-26より作成)
E331
E331 in 京葉区:PMSMのDDMを採用
 同期電動機にインバータ制御を行う場合、インバータの上限電圧に達して以降一定電圧のCVVF領域になるが、同期電動機自体の誘起電圧はそのままでは回転速度に比例して大きくなり差電圧でインバータに流れ込むが、それが+π/2(=90度)位相の進んだ進相電流なので、磁界を弱めてインバータの一定電圧に自動収束する。この現象は「同期調相機」(=同期電動機=同期発電機の構造)で進相電流を得るのに励磁電流を増やすのと全く同じであるが、力率が悪くなり次第に出力が制限される。直流励磁の場合は回転子の磁束を速度反比例で減少させれば補償電流は生じず、力率100%付近での運転ができる。(参照→東芝洗濯機直接駆動可変磁力モータ
 ハイブリッド自動車に使う永久磁石式同期電動機(PMSM)ではこのCVVF領域で補償電流が流れて発電電圧がインバータ出力電圧に同じになる現象を斯界では「弱界磁制御」と呼び習わしている模様だが、何ら手を加えない自動平衡現象であり、それを「制御」と呼ぶことには電気屋として、かなり抵抗を感じる。
 自動車メーカに拠ってはモータ電機子巻線に何段かのタップを出してそれを電子スイッチで切り換えて補償電流を抑制している例がある。
   [参考]See→(PMSMでの)弱め界磁:この内容なら「弱め電機子コイル」が適切

誘導vs同期電動機効率比較   <11.2>

 東京地下鉄1000系にPMSM(永久磁石式同期電動機)が採用されて、その効率は公称97%、平均的な誘導電動機の効率が93%とすると、損失率が4%違い、これを鉄道技術展の展示では損失43%化(=3%/7%)としていた。通常は磁石が熱に弱いため高温では使えず最大出力を押さえていたが、1000系モータの場合には耐熱性の特に優れたマグネットを使用して使用温度を上げ、また完全密閉構造を採用したことで低損失は熱交換放熱構造の大きさが小さくて済むことから全体として誘導電動機より小型化できたとのこと。また減磁のための補償電流から駆動波形を工夫してもCVVF領域にはあまり深く入り込めずVVVF領域上限を高速に設定することになる(by東芝派遣説明員'13/11/06)。直接放熱では回転子が高温に耐える誘導電動機が小型化で逆転する可能性はあるが、メンテナンスフリー化との選択。最高速度が低く揃っている地下鉄で採用しやすい特性だ。

ダイレクト・ドライブ・モータ:DDM   <12>

 ギヤやプーリなどの伝導系を介さずにモータから直接駆動する方式を「ダイレクト・ドライブ方式」と言う。家電製品では40数年も昔から部品点数の減少・高信頼化や速度ムラ抑制、絶対速度の維持などのためにPLL速度制御のレコードプレーヤに始まり、テープレコーダ、フロッピーディスクドライブなどに広く採り入れられた。(PLL=Phase Locked Loop:周波数の安定な水晶発振器などを基準に、その整数倍の周波数を可変周波数発振器(VCO=電圧制御発振器)により発振させる周波数帰還制御方式)。  一方、日本国鉄の車両では当初「新性能国電」として軽量化が追求されて軽量の高速回転モータを高ギヤ比(6.xx〜3.5)で使うことが主流だった。100kW出力のMT-46モータを用いた101系、151系、153系、155系、157系、111/401/421系や、120kW出力のMT-54型モータを用いた113/181/481系などは高速軽量路線である。これは私鉄各社でも同様だった。

 ところが、高度成長の波で爆発的増加を示した通勤輸送用として追って開発された103系では、低速大トルクモータの方が実運行での慣性エネルギーが小さいとして駆動車輪径を大きくして大型の低速大トルクモータ(MT-55:110kW出力)を採用した。
 その低速大トルク路線の究極が車軸直結のダイレクト・ドライブ・モータ:DDMの採用だが、回転数が低いため誘導電動機を用いたのではスベリ回転による損失率が大きくなってしまうので、スベリ損失のない前出の同期電動機やブラシレス直流電動機を採用する必要を生ずる。
 誘導電動機での同期回転数と実回転数の差をスベリ回転数と言うが、このスベリ率は電気−機械変換での損失率になるからスベリ損失率が減速比倍されてしまって低速回転ほど効率上不利になり、減速比1:1のDDMは是非とも同期電動機を選びたい。

 同期電動機では、直流励磁方式では回転子に励磁巻線が必要でスリップリングとブラシなどで給電するのでその保守作業が必要になり、永久磁石同期電動機(PMSM)としたときはCVVF領域での磁束打ち消し補償電流(=進相電流)に対応する必要があり、線路損耗に4乗比例で効く(See→#246)とされる軸重増加などの悩ましい問題もあってDDM採用は現在E331などの量産先行・試作車両に留まっている。
 加えて高速域まで含む電力回生制動が一般化して制動時に回転部分の運動エネルギー回収が効率よく行われるようになり、相対的に大重量の弱点が強調される事態となって、在来線用としては実用的魅力に欠けるものとなった。高速の新幹線用として使えるかどうかがフリーゲージトレインなどで今後も検証されていくだろうが、軸重が大きいことは特に痛く、フリーゲージトレイン自身を含んで本格採用の障害となるだろう。

スベリ一定制御vsベクトル制御   <13>

 VVVF領域(電圧-回転数比例領域)での制御は基本的に限流値を定めた定電流制御だが、定常的な運転状態では誘導電動機でのスベリ回転数(=同期回転数−回転子実回転数)がほぼ一定の加速・減速制御でもある。それが空転、滑走など何等かの外乱により電機子回転磁界と回転子の電流の位置関係が狂うと適切な相対位置に戻って定常状態に落ち着くまでに一定の整定時間が必要で加速度、減速度を落としてしまう。これを、回転子電流からトルクを得るのに適切な位置に直接電機子磁界を生成して応答を早くする過渡現象抑制処理の試みを「ベクトル制御」と呼んでいる。定常状態であればスベリ一定制御であることに変わりはない。電動機の電流のうち電圧と同相成分はトルクに関わるが、位相が±π/2異なる成分は回転磁界を増減させて逆起電力を減らしたり増やしたりする作用があり、このベクトルがスベリ周波数制御よりも細かな制御をするパラメターに使われる。

ゲート、ゲート素子、ゲート電極   <14>

 ゲートを直訳すれば門である。ゲートを開いている間だけ電流を流せる素子をゲート素子と呼び、その制御電極が独立して存在していればそれを「ゲート電極」「ゲート極」と呼ぶ。(ゲート極がなく、電圧変化率で点弧するゲート素子もある)
 ゲート素子を導通させることを「点弧」、導通しているゲート素子を遮断することを「消弧」という。その動作名の基になる素子は水銀整流器であり、それはサイリスタなど半導体ゲート素子にも援用されている。
 素子自体で消弧出来ない場合は、外部回路により消弧させる。水銀整流器や、一般のサイリスタは点弧はできるが自己消弧機能が無く、外部回路構成により消弧させる。
 ゲート素子というとき、消弧が外部か自己かは問わず、点弧、消弧動作できるものをいう。
 インバータ、コンバータでは双方向ゲートを用いたり、接続方向を逆にして電力回生制動を許容する。「双方向」というのは電流方向(電力伝送方向)であり、消費と発生が逆になる。
[参照]→水銀整流器、イグナイトロン、エキサイトロン

サイリスタ:SCR   <15>

 ゲート極のあるシリコン整流器は当初SCR(Silicon Controled Rectifire)として商品化され後日サイリスタと呼ぶようになった。ゲートにトリガ信号が加えられるまでは遮断、一旦点弧導通すると自己保持され、アノードに逆電圧を加えて消弧する。PNPNの4層構造の半導体で、N型半導体の陰極(カソード)の次がP型のゲート極、N型領域を挟んでP型の陽極(アノード)という構造である。
 当初は商用電源周波数を整流するに当たっての流通角位相制御用だったのでスイッチング速度は問題にならなかったが、チョッパーやインバータ、コンバータに使う様になり、スイッチング時間の短縮が求められた。
 但し、ゲート・オン時の電圧降下が1V以下と小さく、高耐圧・大電流の素子を作りやすいので、地上設置の大電力装置(静止型調相機など)には、波形タイミングを分割・分担する構造で用いられている。後述IGBTの電圧降下の半分近く、耐電圧は2倍以上で、商用周波数の超大電力機器には適する。かって鉄道で用いられた水銀整流器の電圧降下は20V前後だったから、半導体化すると耐圧増のための直列使用でも大きく効率改善が図られている。

GTOサイリスタ   <16>

 自己消弧が可能なサイリスタを特にGate Turn-Off thyristor:GTOサイリスタと呼び、ゲート極−陰極間に負電圧を加えると主極消弧の数分の1以下の制御電流で消弧できる。インバータ動作を前提にフリーホイルダイオードを内蔵するものもある。

IGBT   <17>

 絶縁ゲートバイポーラトランシスタ。バイポーラ・トランシスタとはPN型両半導体で構成されるトランシスタで接合型トランシスタである。それに対しFET(電界効果トランシスタ)はMOS型のみか接合型FETを含めて電流通路がPN型どちらか一方で、動作路に少数キャリアを使わない[ユニポーラ]・トランシスタなので、その構造区分として接合型トランシスタが「バイポーラ」と呼ばれるようになった。IGBTは同一チップ内にスイッチング素子としてのバイポーラトランシスターと、それを駆動する絶縁皮膜FETがあり、その構造のままに絶縁ゲート・バイポーラ・トランシスタ:IGBTと呼ぶ。サイリスタより高速スイッチングが可能で、電車制御用としては主流になったが、当初、最大動作電圧が低く、そのため回路が複雑な3レベルインバータとして直列使用したが、近年は高耐圧の素子も現れて簡単構造の2レベル・インバータに戻りつつある。

インバータ、コンバータ(補足)   <INV>

 元々のインバータ、コンバータというのは、電動発電機や回転変流機のような回転式の直流−交流変換機、交流−直流変換機を指していた。対日米占領軍が自動車バッテリーから商用周波数の交流電圧を得るインバータを携行していて秋葉原のジャンク屋にも米軍放出品として出ていたが、構造はブラシ付きの回転機だった。それがパワー半導体の発達と共に静止化されていった。
 鉄道車両では当初電動発電機=MGで架線電圧から制御用の直流低圧を得ていたが、先ずはこれを回転機のまま交流化、ブラシレス化し、更に現在では静止インバータ=SIVとなり、車両によってはSIV故障時に走行用のインバータをCVCF(=一定電圧一定周波数)動作させて故障SIVに代替する様になった。鉄道車両駆動用インバータは速度ゼロからモータの上限速度の特性領域まで広範に周波数と電圧を制御できる必要がある。

 家電製品では1982年に東芝がセパレート式エアコンをインバータ制御で製品化し、現在では日本製セパレート式エアコンのほぼ100%がインバータ式となっており、鉄道では熊本市電が1982年にインバータ制御の路面電車8200型を採用したのが最初で、現在では新製車両のほとんど総てがインバータ式になっている。路面電車から実用化した理由は、一般鉄道では閉塞信号ATS系通信系に対する誘導障害や脈流波障害を発生する虞があったが、路面電車に閉塞信号やATSが無く、負荷の軽い低速1両編成だったからである。また初期のインバータエアコンでは速度の下限が全速の30%余とかなり高く、さらに97年発売のPAM方式の解説では従前のインバータ方式の150%の速度とあるから、それまでのエアコンは交流モータ特性に従った電圧と周波数を比例させる制御(VVVF制御)はまだしておらず、大きめの余裕のあるモータを使って電圧一定のままの周波数制御だけだった可能性もある。圧延機など大型機では周波数−電圧比例制御が必須だが家電クラスでは定格の余裕で電圧制御を省略したのだろうか?もしそうなら鉄道が特に「VVVF」を強調した理由も理解できる。その辺の実情は調査が必要である。
1982年:初のインバータエアコン:東芝pdf

[参考文献]

「制御方式入門2」重野誉敬,長谷芳隆,竹井勝嘉共著 99/12/26 QDAT・東京のりもの学会刊\840.?同人誌.正確簡潔
「インバータ制御電車概論」飯田秀樹・加我敦共著 03/08/01 電機車研究会刊\3,300.新京成8800インバータ車開発者
See→書籍リスト


VVVFインバータ制御についての論議:変電・饋電スレッド3   <20>

【VVVFインバータ制御】
変電・き電スレッド3
http://hideyoshi.2ch.net/test/read.cgi/train/1244698607/425n-489
[話の発端は→>425]
  • 475 名前:age代わり[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 10:54:42 ID:EymcSC6I0
    [VVVFインバータ制御の解説]に必要な要件
    として>425〜>459 のQ&Aは誘導電動機型としては概ね満たしてる。
    VVVF制御解説の絶対条件が、回転数に比例してモータに誘起する電圧に、インピーダンス降下分を加えた電圧を加えること。
    直流機に対応させれば、モータの逆起電力に、巻線やブラシや起動抵抗の電圧降下を加えたものが供給電圧=架線電圧。
    交流機ではそれに位相差が考慮されるヴェクトル和になるだけ。

    これまでの解説で不足しているのは同期電動機型でのVVVFインバータ制御と、誘導機との相互比較だけど、日本の量産型車両に同期電動機方式は見あたらないから概ね可。(E331など試作のみ)
     ヴェクトル制御は過渡現象制御なんで必須じゃないと。「トロイカのそりを引くトナカイを、最適位置に置き換える制御」
    というのが「インバータ制御電車概論」(※p147閑話休題11)中のコラムの例え。

     同期機にはスベリ回転が無いのでその分は高効率、低速回転でも効率が落ちないで済む→在来線でのDDM:ダイレクト・ドライブ・モータ
    電圧一定速度以降の加速は、補償電流が流れて励磁を減らしてバランスするが、
    過電流は困るので界磁励磁を減らすか、電機子の巻き数を落とす(タップ切換)など特有の調整が必要。
     強力永久磁石式同期電動機(PMSM)というのは自動車のように1基なら扱えるが、
    鉄道のような大出力の多数並列運転となると日本ではまだまだ開発途上。

     誘導電動機の特性については、従前の周波数一定・電圧一定解析ではなく、周波数と電圧を比例的に変化させた特性:例えばスベリ周波数一定の特性を論じることが必要で、関係式のパラメターを入れ替える再整理だとはいえ、教科書にない独自解析。

  • 476 名前:age代わり[sage] 投稿日:2010/06/22(火) 10:56:13 ID:EymcSC6I0
     若干説明不足かもしれないと思ったのが>>437 への解答>>439 で質問者はまだ成仏してないかもしれない。
    >437の言うとおり、電圧が下がればデューティが増して電流が増えるが、それは抵抗制御の値までが限界。
    同一出力での比較だから、VVVFやチョッパー車では起動抵抗損の無い分だけ電流が小さくて動作。
    それが電源電圧が下がることによって抵抗損相当分が無くなり、定電流にまで増える。ここを誤解している。

     同種の誤解としては、>>442の定電流領域:交流電圧と速度が比例する領域が一定:48km/h固定とする誤解。
    架線電圧1500Vで48km/h以上から定電圧というのなら、架線電圧が1000Vの場合は電圧比例で32km/h以上から ほぼ比例した一定電圧。>>451 の計算結果を援用すれば、1500Vで3相919Vが最大なら、1000Vでは3相613Vが最大。(※p127図4.1.2-3力行特性曲線)

    また、可逆的エネルギー変換器であるインバータ、コンバータと、電力アンプの違いは指摘した方が良い。
    極論すればインバータとコンバータの違いは、エネルギーの伝送方向であり、現に回生制動をすると両方向使用ではないか。アンプは信号増幅で、入力がエネルギーではなく可逆動作ではない。
     以上

  • 477 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2010/06/22(火) 10:57:06 ID:EymcSC6I0
    (>>425〜>>459 Q&Aの要旨を挙げておきます)
    >>425 VVVF車だと架線電圧が下がると出力を維持するべく電流値を大きくする
    >>426   伝説!
    >>427 スイッチング電源(レギュレータ)の例
    >>428   出力を定電圧にする負帰還制御で起きる。VVVFには無い
    >>429 VVVFでも架線電圧が下がれば出力が下がり電流を食わないのか?
    >>430   供給電圧比例で交流電圧最大値
    >>431 頭が潰れた台形波になるんじゃ?
    >>433   それアナログアンプ。PWM/PFMデジタルアンプじゃ直流電源電圧で出力調整
    >>437 電圧降下→電流減少→デューティ比増加制御で電流増ではないか?
    >>439   その値は抵抗制御と変わらぬ。→(要追加説明。
        抵抗損のない分VVVFが小電流だったが電圧が下がりそれが無くなり同じになるだけ →補足>476
    >>440 チョッパーの入ったインバータ車が存在
    >>441   昇圧動作をしてるかどうか。
        昇圧してれば増えるが、主流の2〜3レベルインバータは昇圧せず
    >>442 チョッパを持たない321系で、モータ電圧が一定になるのは48km/h〜だ。
       それまでは速度増加につれて電圧が高くなる
    >>443   電圧と速度の比例限界は直流供給電圧比例。1500Vで48km/h〜頭打ちなら1000Vでは32km/h〜頭打ち
        (そこ32km/hが定トルク域終端になる>446上)
  • 478 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2010/06/22(火) 10:58:22 ID:EymcSC6I0
    >>446 架線電圧低下の話との繋がりがよくわからないのですが…
    >>447   VVVFインバータ制御の定トルク制御領域の上端は供給電圧で決まり、
        定出力領域=速度反比例トルク=スベリ増領域48km/h〜は1500V供給の場合
        最大出力は直流供給電圧比例
    >>448 列車が詰まった低速運転時のことは?
    >>450   低速域では、モータ電流は大きくても、インバーターで変換されパンタ点電流は小さい
        抵抗制御だと直並列制御のため1/2の電流を必要とする
  • 479 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2010/06/22(火) 10:59:22 ID:EymcSC6I0
    >>451 (発生電圧の数式表現)
      U相電圧を基準位相として、U、V、W相電圧を現すと
      Vu=E/2{K・sinωt+1}
      Vv=E/2{K・sin(ωt−2π/3)+1}
      Vw=E/2{K・sin(ωt−4π/3)+1} ・・・・Kは走行状態で0停止〜1上限 となって

    [モータ端子電圧]  (UVWそれぞれの電位差) ・・・・K=0停止〜1上限
    Vu_v=KE(√3/2)sin(ωt+π/6)
    Vv_w=KE(√3/2)sin(ωt−3π/6)
    Vw_u=KE(√3/2)sin(ωt+5π/6)
    ピーク値で最大 E(√3/2、実効値で E(√3/2√2)が定トルク領域の上限交流電圧で、実際はそれから回路素子での電圧降下分が減る。
    1500Vdcでは、ピーク値1500×√3/2=1299V、実効値919Vがモーターの最大供給電圧。

    それより高速部は誘導電動機ならスベリを増やして加速する定電力領域。
    ∵電圧一定、電流一定だから「一定値×一定値」の定電力で、トルクと速度が反比例関係。
    角周波数ω=2πN×P極対数で、これをKと比例させ、さらに巻線抵抗などの電圧降下分を加算する制御がVVVF制御。
    最大供給電圧以上の領域はそれ以上電圧を上げられず周波数だけを上げていくCVVF領域。
     CVVF領域のうちスベリを増やして定電力に制御できる領域が定電力領域。

  • 480 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2010/06/22(火) 12:07:47 ID:EymcSC6I0
    >>455 VVVF車も直流モーター車と同様に架線電圧が下がると高速域の加速が鈍る?

    >>456 ,>>457,>>460  当然!電鉄によっては抵抗制御車とVVVFインバータ制御車と併結してるくらい特性を良く揃えてる。
         当初、VVVF車が高速域の加速が良いと思われたのは、どうも出力が大きかったからみたい(w

    >>459 「インバータ制御電車概論」\3300.飯田秀樹・加我敦共著電気車研究会2003/8/1刊。
       ヴェクトル制御とか深い話をマトモに説明しているんでお勧め。

  • 481 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2010/06/22(火) 13:10:22 ID:EymcSC6I0
    >>475
    実用上の細かな工夫の問題としては、
    「PWM/PFM方式」で正弦波交流電圧を作るというのは「非同期動作領域」の話で、基本の話としてはOK。
    高速回転ではスイッチング素子がPWM動作に追従できず、
    方形波を幾つか重ねる「同期動作」「パルス動作」になる。
    (結構知られてるから解説は必要だが、VVVFの主たる側面じゃない。)

    さらに細かいが「IGBTトランシスター」はおかしいよ。→「京王電鉄」広岡友紀女史ほか
    Insulated Gate Bipolar Transistor、IGBT だから、 「絶縁ゲートバイポーラ・トランシスタ」か「IGBT」ならOKだが、「IGBTトランシスタ」は不可。Tでトランシスタを重ねてしまう。
    参考→http://www.jeea.or.jp/course/contents/02107/index_small.html

    GTOサイリスターとか、ゲート素子も解説が有った方がいいかな?グレート・ティーチャー・オニヅカじゃあないとか。

    尚、JIS表記では単語末尾は伸ばさない決まり。モータ、トランシスタ、アッテネータ等。
    トランシスタをトランジスターというのは日本なまりで定着したから圧倒的多数が勝ち(w
    爆撃機「ボーマー」をローマ字式に「ボンバー」というのも日本なまり。
    ボーマー(ボマー)やトランシスタじゃ極少数で勝てそうにないが。

  • 482 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2010/06/22(火) 21:29:09 ID:EymcSC6I0
    TGV系は同期電動機だが、磁石式じゃなく直流励磁式の模様で、CVVF領域に入った直後はどうしているのか?

    放置して電機子補償電流で減磁させて同期電動機の発生電圧を合わせているのか、それとも励磁電流を減らして発生電圧を合わせているのか?・・・・・ご存じの方はお教え請う。

    某ハイブリッド車のように電機子タップ切換は鉄道では無いんじゃないかなぁ・・・・・と資料無く推測。

  • 485 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2010/06/23(水) 16:21:14 ID:Trt8Up3u0
    WikipediaのVVVFインバータ項を読んできたけど、鉄ヲタ汚染で無茶苦茶(w
    総論部をちゃんと書き直した方がイイねぇ。あれじゃ一般人にゃかなりワカランです。ヲタ項は後の方に放置で。

  • 487 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2010/06/24(木) 20:40:55 ID:Sx9m3ECS0
    閑古鳥が鳴いてる↓のスレを使ってやったらどうだろう。
    パワーエレクトロニクス
    http://science6.2ch.net/test/read.cgi/denki/1072450742/

    と言いつつ続けると、
    中高速域は直流入力を反転させるだけの可変周波数(VF)制御、
    低速域は一周期の間に細かくON/Offして電圧も変える真のVVVF制御、
    って理解でいいのかな?
    饋電電圧が下がってもVVVF領域の出力は変わらないが、早めにVFに入ると。

  • 489 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2010/06/24(木) 22:41:12 ID:SPB9hGyl0
    >>487
    お客さんの絶対量がまるきり違いますよう(w(すぐ前のRes.が1年間も空いていて!超閑散スレ)
    プロは各自が自分なりに勝手に理解しますって。

    逆に、パワーエレクトロニクスの解析、設計屋を鉄道関係スレに誘導した方が面白い論議になると思います。
    強い興味を持つROMは大勢居るんだから、それまでかなり好い加減でもお互い理解していた内容が一般向けに分かりやすく整理される可能性が出てきます。
    やっぱ、一般人が正確に理解できる解説を磨かなきゃアカン。
    その点、鉄板はこだわりの強い住人が多いから有用。
    揚げ足取りだけの唯我独尊人も居るんでなお面白く、鍛えられますって(w

  • 493 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2010/06/25(金) 17:34:15 ID:8MzYOTX00
    >>487
    > 中高速域は直流入力を反転させるだけの可変周波数(VF)制御、
    > 低速域は一周期の間に細かくON/Offして電圧も変える真のVVVF制御、 って理解でいいのかな?
    OKだが、鉄道の場合はCVVF領域(そちらでいうVF領域)の下端で、スベリを増やしてVVVF時の駆動電流を維持する「定電力領域」の制御がある。直流機の速度−トルク特性で言えば「弱界磁制御」に相当する部分で、トルクと速度が反比例関係になる。

    > 饋電電圧が下がってもVVVF領域の出力は変わらないが、早めにVFに入ると。
    出力は供給電圧=架線電圧比例。モータ電流は一定か、最大粘着力の速度特性に合わせて低速時に大きくする制御をしてるか、。
    回転速度が検出できるんで、滑走しない最大トルクを加えることが可能。(直流機では回転速度検出がないから滑走しない最低限の一定トルク)
    低電圧では早めにCVVF領域になる≡最大出力が架線電圧比例。
-----------------------------------------------------------

【話の発端】   <start>
  • 425 名前:名無しでGO![] 投稿日:2010/05/24(月) 23:52:24 ID:HcyrXS6i0
    VVVF車だと架線電圧が下がると出力を維持するべく電流値を大きくするために更に電圧が下がるという悪循環に・・・

  • 426 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2010/05/25(火) 01:51:44 ID:4/dtHSUL0
    >>425
    それ、どうも伝説らしい。

    VVVFインバータだから電流が増えると言うことはなく、元々大電力のためその分電圧降下し易いのが真相の模様

  • 427 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2010/05/25(火) 02:22:55 ID:lCnxVkhr0
    でも、例えばスイッチング電源だと電圧低下=電流増だよね。

  • 428 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2010/05/25(火) 13:58:26 ID:4/dtHSUL0
    >>427
    それは出力定電圧のための負帰還が掛かっているから生ずる現象。
    それを単純に類推的にVVVFインバータ制御に適用して生まれた伝説の模様。

  • 429 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2010/05/25(火) 14:09:59 ID:rjeGG2m90
    >>428
    特別な細工をしていないVVVFでも、架線電圧が下がれば自然と出力が下がって電気を食わなくなるという事?

  • 430 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2010/05/25(火) 21:08:15 ID:4/dtHSUL0
    >>429
    まず「限流値」で制御し、交流のPP最大振幅は直流供給電圧(=昇圧動作はしていない)、ってことだから、最大入力電力が直流電源電圧比例になるんじゃないの?

    昇圧動作があれば、モーター電流は限流値一定でも、電源電圧が下がった分電源電流が増えるというのはあって、伝説通りになるけど、VVVFインバータには昇圧機能は無いみたい。

  • 431 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2010/05/27(木) 01:40:59 ID:3VOfPw6i0

    以前、猛暑の際に過去にない大規模停電が起きて、被害が広がった原因が インバータエアコンの普及と言われていたな。 電鉄でも同じこと起きない?

    昇圧はしなくても、通常の正弦波の頭が潰れてきたら、それでも出力電力を 確保しようと矩形に近い台形波になっていくんぢゃなかろか。
    でも某所で2本同時に発車して変電所のブレーカを落とした事故以来、 電流リミットは利かせてるのが普通ぢゃないかと思うけど。

  • 433 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2010/05/27(木) 10:41:43 ID:UzlB3hEU0
    >>431
    PWM/PFM-アンプ特有の出力調整法をご存じ?
    ふつうのアンプはボリュームを廻すんだけど、
    PWM/PFMアンプは直流電源電圧を変えると出力調整になり、高速オンーオフの波形は振幅以外は変わらない。
    「矩形に近い台形波」というのはアナログアンプの感覚で、それを直にVVVFインバータに適用しては拙いんじゃないかしら。

  • 437 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2010/05/30(日) 22:01:41 ID:Pdu+A9fI0
    機械系の人間が知ったか知識を披露してみるテスト。

    >>430
    電流を見て制御してるんだとすると
    電圧降下→電流減少→デューティ比増加制御
    みたいな流れになりそうだけど。
    鉄道車両のインバータってPWMで正弦波っぽくしてるんだべ?

  • 439 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2010/05/30(日) 22:23:06 ID:S922VgGF0
    >>437
    交流モーターには直流電源電圧PPまでしか加えられないから、そこが最大入力になって電圧比例制限になる。
    これは抵抗制御でも同様。途中経過は問題じゃなく、最大値の問題。

  • 440 名前:元元西社社員[sage] 投稿日:2010/05/30(日) 23:12:31 ID:K7ce2Qo+0 >>430
    世の中には間にチョッパの入ったインバータ車が存在する件について。

  • 441 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2010/05/30(日) 23:23:49 ID:S922VgGF0
    >>440
    昇圧動作をしていればその通り大電流を流すけど、
    多くのVVVFインバータの構造は2レベル〜3レベルPWMだから、昇圧はなく供給電圧が限度でしょう、
    ∴低圧で電流をますます食うは伝説ではないか、という話を繰り返してる。
    加速時に昇圧チョッパーが動作してるVVVFインバータ式車両がどれだけあるか?

  • 442 名前:元元西社社員[sage] 投稿日:2010/06/03(木) 21:26:12 ID:UjNDj+B20
    チョッパを持たない321系で、モータ電圧が一定になるのは48km/hである
    (それまでは速度増加につれて電圧が高くなる)件について。

  • 443 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2010/06/03(木) 21:51:09 ID:8byscMpX0
    >>442
    モータ電圧が一定になるのは供給される交流ピーク値が直流電源電圧に達したとき。
    48km/hというのはおそらく供給電圧1500Vが前提であり、今論議している饋電電圧が下がった場合、 饋電電圧にほぼ比例して交流供給電圧が一定になる速度が変わるのだろうと。
    ピーク値が電源電圧に達するまでは速度比例で交流モータを駆動するのはどこも一緒。

    比例的に変わるのなら、供給電圧1000Vでは32km/h以上で供給電圧一定になっている可能性が大きい。
    ∵48km/h×(1000/1500)=32km/h。

    昇圧していれば別だけど、そんなVVVFインバータ車両はどこにあるんですか?

  • 446 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2010/06/05(土) 01:56:17 ID:uh6kffkOO
    >>442
    定トルク域終端速度が48km/hなんですね。
    でもそれとチョッパ云々は無関係ではありませんか?
    あと、架線電圧低下の話との繋がりがよくわからないのですが…

  • 447 449 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2010/06/05(土) 22:38:37 ID:TFhCQoZE0
    >>446
    VVVFインバータ制御の定トルク制御領域の上端は供給電圧で決まり、
    48km/hというのは定格条件(おそらく1500V供給)の場合でしょう。
    ほぼ供給電圧比例ですから、供給電圧1000Vが動作可能範囲であれば32km/hまでが定トルク領域、
    それ以上は定電力領域となってトルクが速度反比例、スベリ周波数を増やして脱出限界手前まで加速、
    更に高速側はトルクが速度2乗反比例という、直流モータに酷似した特性になるはず。

    そもそもで云えば、回転子の磁界による電機子コイル逆起電力は回転数比例=走行速度比例なので、
    回転数・速度に比例した3相交流電圧(+電圧降下分)をモーターに加えるというのがVVVFインバータ方式のキモ。
    これが供給電圧を上げられなくなる限界が電源供給電圧ですから、饋電電圧が下がればそれに比例した低い速度で上限になり、それ以上は電流一定・スベリ増加の定電力領域で加速、 脱出(停動)トルク以下を上限として電流が速度反比例、トルクが速度2乗反比例の領域に加速される。

    ∴最大入力は電源電圧に規定されてしまい、インバーター車が低電圧だと特別に大電流を飲み込むことはないと言う話です。

    ところが仮に昇圧機能があって、架線電圧は1000Vなのに、1500V時と同様の交流電圧を発生できるインバータ装置を搭載していれば、 それは1000Vでは1500V時の1.5倍の電流を食って益々饋電降下させるはずですが、 そのようなインバータを搭載した車両は無いのでは、、、、?

    すなわち、インバーター車は「饋電電圧異常降下」で余計に電流を食って饋電を落とすというのは、電子系の鉄ヲタがスイッチングレギュレータの動作と混同して広まった伝説だろうと。

  • 448 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2010/06/06(日) 01:33:35 ID:cliQk4dE0
    列車が詰まった低速運転時のことは考えなくていいの?

  • 450 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2010/06/06(日) 09:29:16 ID:wHF/C1Gw0
    >>448
    列車が詰まった低速域では、大トルクでモータ電流は大きくても、インバーターで変換されてくるからパンタ点電流は小さいから問題にならない。
    抵抗制御だと直並列制御のため1/2の電流を必要とするので、起動抵抗損のない分インバーターの方が電流が少ない。

    インバータ・コンバータは起動抵抗のような過剰電圧を吸収消費するものではなく、電気エネルギー変換器だから高効率。電機子チョッパーと同様。
    (省エネ数値的には軽量化が一番効いてるってのは有り、高速域の回生制動採用=界磁チョッパー類がそれに次ぐけど)

  • 451 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2010/06/06(日) 15:24:46 ID:wHF/C1Gw0
    三角関数の加法定理は高1の数1だったはずだから、高1まで学んでれば判るものとして VVVFインバータの出力電圧波形を数式で現してみましょう。(若い頭だときっと解ります)
    電源供給電圧E(標準は1500Vだけど何でもOK)、
    ノッチ進段比例定数K(0〜最大値1)で
    2〜3レベルインバータの場合(E/2が交流のゼロ点)、概ねで
    U相電圧を基準位相として、U、V、W相電圧を現すと
    Vu=E/2{K・sinωt+1}、
    Vv=E/2{K・sin(ωt−2π/3)+1}、
    Vw=E/2{K・sin(ωt−4π/3)+1}、となって
    モータからみた電圧では直流分E/2が総て相殺されて、位相がそれぞれ2π/3ずつ均等にずれた3相交流になっていて その電圧はピーク値(K=1でのピーク値)でE/2になってることがわかります。
    (実効値=2乗平均根でみればその1/√2)

    モータ端子電圧で考えるとUVWそれぞれの電位差ですから、
    Vu_v=Vu−Vv=E/2{K・sinωt+1}−E/2{K・sin(ωt−2π/3)+1}
       =KE/2{sinωt−sin(ωt−2π/3)}
       =KE(√3/2)sin(ωt+π/6)、同様に
    Vv_w=Vv−Vw=E/2{K・sin(ωt−2π/3)+1}−E/2{K・sin(ωt−4π/3)+1}
        =KE/2{sin(ωt−2π/3)−sin(ωt−4π/3)}
        =KE(√3/2)sin(ωt−3π/6)、
    Vw_u=Vw−Vu=E/2{K・sin(ωt−4π/3)+1}−E/2{K・sin(ωt)+1}
        =KE/2{sin(ωt−4π/3)−sinωt}
        =KE(√3/2)sin(ωt+5π/6)
    すなわち、ピーク値で最大KE(√3/2、実効値でKE(√3/2√2)が定トルク領域の上限交流電圧で、実際はそれから回路素子での電圧降下分が減る。
    1500Vdcでは、ピーク値1500×√3/2=1299V、実効値919Vがモーターの最大供給電圧で、それより高速部は誘導電動機ならスベリを増やして加速する定電力領域になります。
    ∵電圧一定、電流一定だから一定値×一定値の定電力で、トルクと速度が反比例関係。供給電圧1000Vでは→→(略

  • 452 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2010/06/06(日) 15:35:46 ID:wHF/C1Gw0
    >>451
    でもって、角周波数ω=2πN×P極対数で、これをKと比例させ、さらに巻線抵抗などの電圧降下分を加算する制御がVVVF制御。
    最大供給電圧以上の領域はそれ以上電圧を上げられず周波数だけを上げていくCVVF領域で、
     そのうちスベリを増やして定電力に制御できる領域が定電力領域。

  • 455 名前:名無しでGO![] 投稿日:2010/06/06(日) 18:43:10 ID:yBM/Bity0
    VVVF車も直流モーター車と同様に架線電圧が下がると高速域の加速が鈍る?

  • 456 457 460 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2010/06/06(日) 20:57:02 ID:wHF/C1Gw0
    >>455
    当然!
    当初、VVVF車が高速域の加速が良いと思われたのは、どうも出力が大きかったからみたい(w
    今は、電鉄によっては抵抗制御車とVVVFインバータ制御車と併結してるくらい特性を良く揃えてる。

  • 459 名前:名無しでGO![sage] 投稿日:2010/06/06(日) 22:01:48 ID:mK7RnLAZ0
    >>453 >>454
    求む!模範解答(w

    テキストをひっくり返すと解説・解析は商用周波数固定でのあれやこれやばかりで、 VVVFインバータの特徴である回転数とモータ端子が比例する制御について整理して触れているものはなく、 それを自分で整理して、技術的には強くない一般人が理解する形に焼き直すのは様々な工夫が必要で、 定式化されたものはまだない。

    式表現からのアプローチが>451>452、日本語文章表現からの解説がその前の幾つか。

    その辺で専門書ながら、一般にも解る工夫が随所にみられる本が「インバータ制御電車概論」\3300. 飯田秀樹・加我敦共著電気車研究会2003/8/1刊。
    ヴェクトル制御とか深い話を変なたとえ話ではなくマトモに説明しているんでお勧め。
     (続き)475〜→→↑


2010/06/27 22:55

[Page Top↑] 加速
VVVF加速
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