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「信号」もない記憶頼りの空港管制は問題
日航機&海上保安庁機衝突事故

 先ずは1月2日夕の羽田空港衝突事故で殉職された方々に哀悼。負傷者の速やかな快復を祈ります。
 報道に依れば、管轄の国土交通省発表として「管制塔から日航着陸機に「着陸許可」は出ていて、海上保安庁出発機には「滑走路手前(C5)まで進んで待機」の指示の後の「滑走路進入許可」は記録に残されていない(≒出されてなかった)」とされ、重傷を負った海保機機長談としては逆に「滑走路進入許可を得て滑走路に入った」と内容が対立している。海保機機長は管制塔の滑走路前待機指示に「1番目を有り難う」と優先出発扱いに感謝しているから、それを滑走路進入許可と勘違いした可能性はある。
 旅客機の滑走路は「1機独占」で他機の進入を禁止して事故を避けているが、管制官やパイロットが勘違い・思い違いをして2機が接近してしまうインシデント(事故寸前事象)は時折見られて、着陸機が緊急復航して無着陸で飛び上がることも繰り返しあった。国外では数百名死亡の大惨事もある。管制官の記憶や、パイロットの記憶だけに頼る瞬間が生じているから、希には思い違い運行を起こす、リスクの大きいシステムで運行している。
 羽田、成田、札幌新千歳、福岡の様な飛行機が錯綜する空港でも無線電話1本、記憶頼りの混じる空港管制は変わらない。(誘導路からの進入許可信号付き滑走路は既に存在するらしいが、主要空港に未採用) 滑走路進入状態表示@東京新聞

 鉄道運行との対比でみれば、鉄道では通知だけの列車運行はかなりの大昔に廃されて、タブレットなどの通行票所持方式を経て、連続表示である鉄道信号による制御となり、さらに信号見落とし・誤認への対応として、車内警報装置、同確認装置(=ATS-S/-A/-B/-Sx:自動列車停止装置を自称)、ATC、過速度ATS&過走防止ATS導入、ATS-P/Ps、と、繰り返す大事故毎に改良を重ねて、安全範囲に強制停止を図っていて、現在は運転士の記憶だけに頼る運行を概ね撲滅している。

 鉄道の信号ATS/ATC/ATP制御に較べて、航空管制は電話通信1本となる瞬間が残っていて原始的である。鉄道と違い航空機では飛行中の「停止できない安全制御」があるが、地上走行では停止できる。地上走行(タキシング)の最高速度は概ね30kt(54km/h)前後に達するのであまり軽視できない。
 羽田など便数の多い空港での対応策として、「空港内誘導の常時表示信号化」は必要ではないか?せめて大事故発生のリスクが大きい滑走路手前・誘導路端の待機場所には停止ライン信号を設置、赤緑線光源を設けて、思い違いを排除する設備が居ると思う。(1日数便のローカル空港には無用)。 管制官は進入許可と同時に滑走路進入信号を緑色など進行表示に切り替える。進入したらすぐに停止表示に戻す。適切な時素で自動的に戻す必要もある。 制御範囲を拡げると、鉄道制御と同じく排他制御になるから、その永年のノーハウは蓄積されており、国交省の鉄道局と航空局の協働作業として早急に技術基準を定めるなどして、滑走路・誘導路など地上管制担当デスクに信号制御盤を設けて重複回避を図る必要があるだろう。

 事故発生の1月2日夕は、日課の散歩に17:40頃出掛けたが、暫く歩くと千葉市西部の暗くなった空を多数の大型飛行機が縦横に乱れ飛んでいて、1周旋回したり、旋回機のすぐ後をトンボの様に追従飛行する飛行機や、方向転換を繰り返す機も有って、日常は見える5〜6本ほどのアプローチ空路とは全く違うコースを飛んでおり、前日発生の能登半島・新潟震災対応の運行にしては乱れすぎだし、大型機ばかりだから自衛隊機では無さそうで、大変不思議に思った。19:20頃帰宅して初めて羽田空港の衝突炎上事故発生(17:47)を知った。着陸空港変更交渉中の上空待機など、事故対処のための異様な飛行を目撃した訳だ。

補足報道:便利だが見落とす!やはり操縦者用信号必要

 滑走路の使用状態が管制塔機器からは見えていたが、誤進入を見落とした。今後専任監視員を付ける。国交省発表。と2024/1/6続報。運が良ければ管制官が表示画面を注視していて避けられたかも知れない、と言う主旨だ。
 事象に1対1対応で必ずパイロットが注視している滑走路進入許可「信号灯」なら有効だが、運良く見ていれば助かる、見落としたら即時に地獄領域≡滑走路で、飛行機はバック不可能という、見落としが起こりやすく、回復に難のあるシステムでは安全を担保できない。 管制塔内の監視員には堪らない作業になるだろう。新たに飛行機との確認交信作業を割り当てるのだろうか? 希な異常事態発見・対処を末端作業員の注意力に総てを押し付ける方式は採ってはならない。
 滑走路状況表示画面の報道から推測するに、着陸許可時の滑走路に飛行機有無のステータスは得られて居るようだから、誘導路待機位置に滑走路進入可進行信号表示を、他の進入位置と排他制御として唯一許可方式として誤許可を防ぎ、滑走路進入許可連絡と同時に一定時間有効の進行信号を出せばいい。モタモタしたら再遮断だ。 (2024/01/06追記)


受入検査まで全外注化は安全運行に支障
運行維持体制の確立にも注視必要  <2>

 台湾国鉄プユマ号脱線転覆事故の顛末を見ていると、単に完成品を売るだけではなく、現地運行側への技術指導・教育訓練込みで仕事を受ける必要を感じた。 さらに鉄道建設でも現地で運行継続できる整備能力・運行能力を備えさせる必要がある。 この点で、末端作業者まで一揃い本国から連れてきて、完成したら引き上げる中国方式は現地に技術を残さずトラブル発生の元で、賃金・工事費として投資額の多くを現地経済に還流させている日本方式よりも経済負荷を大きくしてしまう。 現地に整備・組み立て工場を作って長期の保守契約を結ぶ日立のイギリス進出方式も信頼性・性能維持には優れた方式だが若干の技術漏洩は生ずる。 図面だけでは真似られないノーハウが多いが、それを中国国営企業に手取り足取り教えて丸取りされて、値段で到底太刀打ちできない競合相手に成らせた川崎重工のお人好しさは際立つ(w。
 インドネシア新幹線の場合は更に「中国製資材のみ利用」という独占条件や、起工後に、用地取得完了を融資払い込み条件として経済的に絞め上げる仕掛けを発動して撤退できなくされて居り、落札予算を大きく超えて、いくらでも搾り取れる罠となっていた。工事落札の目玉だった「政府予算は使わない」、「政府保証は無用」、共に反故にされてしまった。 日本作成の基本計画を中国に不当に横流しして、日本と中国を手玉に取った積もりのジョコ大統領は中国に見事に填められている!逆転ウルトラC策としては「ない袖は振れない」客観事実を逆に武器化して、鉄道運営権は断固渡さず、中国の不良債権になって債務整理を求め、不当に膨張した債務を「債権60%カット!」とか宣して大幅に値切って頑張る! いかに悪辣習近平でも、なぜか国民の支持は大きいインドネシアに強制執行の戦争は仕掛けられないから(w。
 また、設計側の意図が運航現場にキチンと伝わらないと、実運航で性能を適切に作り込むことが出来なくなってしまう。これは時々は日本国内でも起こしていた現象だ。

 プユマ号転覆事故2018/10/28発生の原因は一重に過速度転覆で、制限速度が60km/h(本則)〜精々85km/h(振り子車)である300R急カーブに140km/hで突入したミスにあり、地上の運転支援施設ATPの速度制限装置を設置しなかった手抜きで事故発生を防げなかったことに尽きる。 これは福知山線尼崎事故2005/04/25をそのままなぞっている。福知山線尼崎事故では70km/h制限304R曲線に114km/h以上で突入して転覆脱線している。僅かな金額の過速度ATS/ATP地上子不設置で事故を防げなかった。(ATS-Swにも備えられている機能で、「ATS-P未換装原因説」はマスコミ報道で執拗に繰り返された誤報で、一旦は訂正した新聞社でも、後の引用では第1報誤報記事に引きずられて重ね重ね誤報している)

 プユマ号報道には、それ以前の運転で何度もブレーキが掛かって停まってしまい、ATP故障と誤認してATPを断にして運転していてATPが動作しなかった。ATP誤動作は頻繁に有って、ATP断運転はしばしば行われていた。ATP断運転は運転指令も知らされていた。仕様にはあったATP断運転を自動的に通報する信号線が全列車で接続されていなかった。・・・・・・と、幾つもの問題を放置、あるいは対応済みだったのを合理的な理由無く復活させて発生した大惨事だったことが判る。

 ATP不良・断運転は、一旦は全面禁止として、動作不安定な欧州製ATPを、安定動作の日本製ATSに換装したことが、台鉄から相談を受けていた鉄道コンサル斉藤雅男氏が「鉄道ジャーナル」誌上の台湾鉄道連載記事で述べている。斉藤氏は東海道新幹線運行起ち上げを担った元国鉄の技術幹部である。
 ところがプユマ号は欧州製ATPの動作不安定に遭って、ATP断で運行して事故に至った。ATP不調時のATP断運転を再び許可したのは何処か?いつ、どんな理由で欧州製ATPに戻したのか?報道には見当たらない。
 事故直後に「日本製ATP装置に、欧州製ソフトをロードした」というとんでもない作文が流布されたが、有り得ない。ATPのコマンド仕様を元にATP地上装置も車上装置も設計製作されており、車上装置の制御ソフトはそのハードと一体の論理演算回路を構成するもので、そこに誤って欧州製のファーム・ウエアーをロードしたら機器破壊そのもので、まずは全く動作しない。一部機能が動作して、誤動作を生ずるとは極々考えがたい。
 仮に、欧州製ATP車上装置を積んだ列車にATP誤動作は生じず、日本製車上装置のみで発生した相性トラブルなら、欧州製ATPに積み替えて試してみたのか?全く情報がない。受け入れ検査を全部外注化して自社現場では行えなくしたら、それらの点検が出来ない。
 一般ユーザー向けのDOS/VパソコンがIBM設計のOS(基本ソフト)DOS/V上にWindows、表計算、ワープロを始めとする様々の応用ソフトを働かせるイメージからの想像作文ではなかろうか。多階層で共通層のある高級言語ソフトと、MPUのファームウエアー込みの単純なマシン語ソフトとは違うのだ。

 走行中に度々ブレーキが掛かることを「ATP故障」と限定的に思い込んでしまったが、日本製の車両では1960年代から高圧空気の圧力低下でも安全確保に非常制動で停まる仕様だ。圧力計は運転時に必ず確認する建前で、主空気溜圧力、ブレーキ管圧力の状態は常時表示されている。
 プユマ号車両は空気バネ式の車体傾斜装置を採用していて、急カーブが連続すると高圧空気を大量に消費する。 空気圧縮機で高圧空気を自動的に補充するが、補充が間に合わず、元空気溜の圧力が限界値以下になるとブレーキの効きが悪くなって事故の基になるから、日本製ではATP/ATSを介さずに自動的に非常ブレーキを掛けて停止させている。 問題のプユマ号が事故前に何度か非常停止したときの元空気溜圧力はどうだったのか、報道がない。「圧縮機故障を表示していた」という報道は、高圧の元空気溜圧力異常表示を指すのか? もしエアーの過剰消費なら、空気圧の回復を待って再発車すれば良いし、運転席で車体傾斜機能を停めて運転すれば当面は問題なく運行を続けられる。後日の改造課題である。ATP故障判断、ATP遮断操作は教育不足による間違いだった!? 日本製車両で日本製ATPを積んでいたのなら、運行記録データがATP内に残っている可能性がある。尼崎事故でもATS-P車上装置内や運行管理部などの記録データで事故の様子はかなり分かった。 それよりもずっと新しい製品であるプユマ号のATPなら、様々の走行データが残っていて事故調査報告書には書かれている可能性はある。
 空気圧縮機の能力不足はフツーは試運転時に発見されて、圧縮機の増設が行われるもの。商用運行開始に向けての性能の作り込みである。受け入れ検査を国外の外注業者に押し付けて、台鉄自身による馴らし試運転工程を省いて唯々使うだけでは不十分な性能を改善できない。
 日本のJR四国でも、空気バネ式車体傾斜装置を採用した特急ディーゼルカー2600型を開発したが、カーブの多い土讃線用ではエアー消費が多すぎて使えないことがわかり、従前2000型で使っていたエアー消費の少ない振り子式台車を使った特急車両2700型を開発し直した。2600型(空気バネ車体傾斜式)は曲線の少ない高徳線特急用に振り替えて使っている。

 台湾国鉄上層部は営業運転開始前のこうした微調整の必要を知らなかった可能性がある。受け入れ検査全体を国外の会社に丸投げしては、運行路線に合わせた性能調整など出来るはずが無いだろう。 プユマ号事故の責任を製造者に求めるような筋違いな言いがかりの損害賠償訴訟に遭わないためには、営業運転開始までの訓練運転・作業指導まで含めて別枠で受注するしか無さそうだ。 安定動作の日本製ATPを再び不安定な欧州製ATPに換装させるとか、台湾新幹線も技術現場の結論を覆して一旦は欧州製に決定するなど、不合理な決定が繰り返されたが、最終的決定権を持つ根拠のない中華思想まみれの大陸外省人たち(≒敗残国民党勢力)は受け容れないのかも知れない。 実務技術を下賤なものと見て卑しみ軽蔑する中国・韓国型感覚に支配されると、不良製品、不良工事だらけになってしまう。大韓航空世襲幹部ナッツ姫の横暴が現場蔑視勘違いの典型である。 残念ながら日本の「教育ママゴン」達にも実務蔑視・軽視が浸透し始めているのは、リーマン・ショックなど不況時に真っ先に整理解雇の対象にされてネットカフェ難民化するなど、割の合わない仕事になったことも影響しているが、物造り技術立国を崩壊させる実に困った傾向だ。 世界的には定評のある日本の土木建築現場が殊に酷く、学業成績では東大を越えると云われる東京工大の大学院卒大手ゼネコン土木技術者が、道路のマンホールから首を出すと、幼時連れの教育ママゴンがそれを見て「いい、○○ちゃん!一生懸命勉強しないとこういう風になっちゃうのよ!」と面前で指さされたと憤懣やる方なくボヤき続け、当方孫請け就労土木計測技術者に当たり散らすのであった。 同僚たちは「お前は、あまりお利口そうな顔してないからしょうがない」などとカラかっていたが、当方にわか孫請け入場「土木労働者」としては笑いを堪えるのが大変だった。電気屋というのはあらゆる分野に引き釣り込まれて適応が大変だ。

2024/01/04 03:35

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