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充電器トランス、層間短絡故障に遭遇   <0>

 充電器のトランスが層間短絡でお釈迦になり、交換修理。2年半前には整流ダイオードが断線し交換、さらにその前には別の自作充電器のトランスが焼損して充電器を丸ごと廃棄しています。これら経過をまとめます。

EIコア
See→§トランス容量推定


単相ブリッジ3相ブリッジ
ダイオード・ブリッジ
センタータップ
センタータップ式整流例
(交流式電気機関車)
 故障した充電器はカート状拡声器「大五郎」(w.に添付されてきた電源バッテリー充電器で「ターボ××」とかの商品名で売られていたものですが、中を開けてみると、単純な変圧・整流回路だけで、どこにも「ターボ」と呼べる機構はありません!強いて特徴を言えば、整流回路には付きものの「平滑回路」が無いことだけで、どうもこの平滑回路が無いことが却って鉛蓄電池の充電に適するとして「ターボ」と称している模様です。「カスコード・チューナー」とか、「ヌービスタ・チューナー」、「ダイヤモンド回路」を売りにしてシロート幻惑の拡販を図った電子業界らしい、かなり胡散臭いネーミングではあります(w。もう1台あった簡易品はその1/3の大きさしかありませんが、これはバイク充電用らしく、40アンペア時の乗用車バッテリー用には充電時間が長くなって使えません。
 あとは入出力それぞれに管球フューズが入り、プリント基板にパイロットランプと電圧切換スイッチと電流計+計器用分流器が付いて入出力配線がケース外に出ています。トランスも整流用ダイオード・ブリッジもかなり小振りで、一見、容量2Aは越えない、1A余に見え、5A電流計の緑目盛範囲の3.5Aは到底無理そうでした。
 それを全放電の自動車用バッテリーの充電に使ったところダイオードのプラスティック・モールドが溶け出して断線してしまい、2年ほど前に5A定格の整流器(シリコン・ダイオード・ブリッジ)に交換修理して使っていました。

 自作充電器は12V2A×2のトランスをセンタータップ整流で使うとか、12V3Aをダイオード・ブリッジに繋ぎ、出力には直流用のサーキット・ブレーカーを入れてましたから、市販製品の方が、かなり雑な作りです。そのシッカリした自作充電器はいつの間にか我が娘がそのBF執事君に貸したまま行方不明で、仕方なく倉庫の奥深く眠っていた市販製品を掘り出して来たのですが、個人ドライバー向けの乗用車用充電器はどうも充電残量ゼロからの充電は想定してないように思います。

 40アンペア・時の自動車用バッテリーを数日がかりで充電していたはずが、何故か全放電状態になっています。パイロットランプも消えていて、テスターで当たると、出力電圧がゼロ!充電器の蓋を開けてみると、電源側の1A管球フューズが飛んでいます。フューズのストックが無くなっていて、動作確認にコード撚り線の1本をフューズ管球に通して代用し、電源を入れるとその細い銅線が閃光を発して熔断!何処にも外観上の異常は見られず、地絡もありませんのでトランス自体が短絡している模様。スライダックで徐々に電圧を掛けますと無負荷なのに100Vで4A流れます。明らかにトランスの層間短絡故障!です。

 スペアのトランスを捜しに秋葉原駅ガード下へ行きますと、南半分のラジオ・ストアーが全店閉店になっており、さらに火曜日というのに定休や無期限休業の店もあり、電機部品街凋落著しいなか、持参した故障トランスと同じ大きさのトランスをみますと、定格3Aの充電器に使われていたトランスなのに、12V1A型の大きさです!(See→トランス容量計算)。絶縁の耐熱性で出力は大きく違いますが、幾ら何でも3倍も違いません。融解破損したダイオード・ブリッジの驚くべき小ささといい、動作周囲温度をかなり低く見積もっているのと、大電流は最初の短時間だけで、後はすぐに減少する、電池残量ゼロからの充電はない!継ぎ足し充電専用という前提で作った製品としか考えられませんでした。また店により\3000弱と駅から遠くの店の\1500弱があり、無論安い店で購入。この辺は電流計・電圧計の\3000/遠くで\1000と同じです。
 同じ大きさでは危険すぎると感じて、ケースに収まる最大として12V2Aを選んで来ましたが、ケース目一杯で挟み込む形となり、過熱発火は恐いので、庭の砂利上で連続動作試験を兼ねて使い続けていますが、異常ありません。

 その前の、使い潰した充電器は、24V2Aトランスの12V中間タップを使って、ベルト・メンテ係の補修用在庫から電源ダイオードを貰ってきて12Vセンタータップ式整流器を構成しましたから4A近い出力が取れたでしょう。トランスにはエポキシ系接着剤を入念に加熱しながら充填してカートに積んだ拡声器添付として野晒しのままで使いましたが、20年余を経て戸外で充電中に焼損!小型変圧器の規制要件として「発火しないこと」は幸い満たして、巻線がグズグズに崩れていましたので、丸ごと廃棄しました。おそらく層間短絡など絶縁不良が原因でしょうが、やはり雨晒しはダメ!と言いますか、長期間、良く保ったと言いますか・・・・、。
 その間に拡声器アンプの方は、主コンデンサー容量抜け、バイアス抵抗断線、結合コンデンサー・リーク故障、G3携帯電話混信といったトラブルを乗り越えて、まだ現役で生きています。松下通信工業製ですが単純構造のものの方が強くしぶといっ!ガリ・オームはCRCのひと吹きで解消します。

 60cmφ折返しホーン・スピーカは最大入力25Wで、低能率の室内用のコーン・スピーカなら入力250W以上相当品ですが、25cmφハンドマイク40W出力より音が柔らかくて良く通るので、ハンドマイクより小出力でも捨てがたく、また、その異形は断固実行の姿勢を伝えて世論に訴えるには有効なアイテムでして、3畳敷き大型立て看板と併せて聴衆に断固たる決意を伝えて主張を良く聞いて貰える状態にすることができて、絶対お勧めなのです。
 3畳敷き立て看板は軽量化のコツがあり、1寸角樽木で3畳大の目型の枠を作り、ここに白のカラートタン3枚を接着剤とともに打ち付けて下に車輪を付けますと、一人で楽に取り扱えて、ワゴン車屋根上のキャリーに載せて運べるのですが、・・・・・・・・・・ダメでしょうかねぇ?この丈夫な軽量看板構造は2級建築士の大工の棟梁たる九州支部組合員から直接指導され、現地の組合事務所に取付け、東京でも同構造の車輪付き3畳敷き立て看板を作りました。一般的な「角材トラス+ベニヤ張り構造」に比べて驚くほど軽くて丈夫です。See→日記#0247#6
 春闘開始の早朝宣伝にビラ配布全組合員動員と、この大立て看板と大拡声器とで「決意」を示し雰囲気を作るには大変有効だったのですが、最近は軟弱な弁士が多くて、カート型拡声器も大立て看板も敬遠されてしまいます(ww。あまりに極端すぎると引かれてしまい逆効果ですが、カート型拡声器程度でたじろがないで貰いたい。その辺は国労の「革命同志会」とか「革命指向」の大先輩達が頑張っていた時代の方がスッキリしてましたねぇ(w。

【トランス容量推定 】  <calc>

 トランスは、コアの寸法から、おおよそのパワーが推定可能です。 (工高電気科「電気機械1」§「トランス」に詳解、第2年次履修)
EIコア
コア・サイズ:
 磁路断面S   =18×積厚19
 巻線配置断面Sc=30×10.5
変圧器出力≒16.8〜19 [VA]@50Hz出力
      20〜23 [VA] @60Hz出力
      101〜114 [VA] @300Hz出力か?
  (抵抗負荷で16V1A程度が限界)
 総磁束Φmを求めて、1次2次に巻線可能な巻数、周波数、最大電流密度から扱えるパワーを求めれば、最大電流がおおよそ分かります。
 既知の定数・変数としては、
 とするとき、
=N・dΦ/dt ・・・・・・(瞬時値)
Φm =Bm×S
Φ =Φm・sinωt=Bm・S sinωt とするとき、
dΦ/dt =ω・Bm・S cosωt=2πfBm・S cosωt
正弦波の実効値は「最大値/√2」 ですから
出力E =(1/√2)N・dΦ/dt=(√2)πfN・Bm・S

 一方、巻線断面積Scは、1次コイルと2次コイルで等分に分け合い、絶縁体部と、巻線断面が方形ではなく円断面であることから非導電部となる比率を考慮すればいい。
 巻線は直径Dφの円断面でも、巻数計算ではD×Dの角断面で考える必要があります。
 コイルの断面積を1A耐量の銅線何本分か=コイル巻数Nに換算できれば、出力=N・I[VA]となり、この値を出力電圧Vで割れば、推定最大電流Imとなります。
すなわち、
N・I =(巻線スペース断面積/2×占積率)/1A導体断面:(0.8mm)^2
=(√2)πf・Bm・S
E・I =4.443f(巻線スペース断面積/2×(0.85〜0.75))/(0.8mm)^2・Bm・S[VA]

 以上を実際の数値に当てはめて試算すると、
=Sc/D^2
=(10.5×30/2×(0.85〜0.75))/0.8^2
≒209〜184 [回・A]
E・I =4.443・50・(209〜184)・(1.2) ・(18×10−3)・(19×10−3)
=19.054〜16.775[VA]
 従って、12V出力での正弦波最大電流は、Im=(19.054〜16.775)/12≒1.6〜1.4[A]
・・・・・整流電流のパルス波形では約2割減の1.3A〜1.1A程度となります。電源電圧誤差±10%許容ですと、その分を減じた1.2A〜1.0A程度が許容電流でしょう。以上、外形寸法からの容量推定と、秋葉原で販売の同一サイズのトランスが12V1A型だったことがほぼ一致します。

 工数増加を厭わず巻線スペース一杯に太い銅線を巻けば出力をかなり増やせますが、不良率、故障率が増大して量産には適さなくなります。
 かって模型レーシングカーのマニアたちがモータ改造で太い巻線を手巻きでスロット一杯に巻き、エポキシで固めて大きく出力を上げていましたが、元の製品が量産性を追って巻線機でガラ巻していて未利用空間が多かったので、若干巻解すだけでも効果あり(?ダウト!ギヤ比不適合では?)とされ、本格的には太い線をスロット目一杯に巻くと大きな改造効果がありました。失敗すると全部巻き直しですから、趣味だからできる作業で、量産には到底乗りません。今回入手したトランスではその比率:巻線占積率がπ/4×75%≒59%前後ということでしょう。

 許容電流値は、想定周囲温度や絶縁物の耐熱性に大きく影響されますが、巻線損失は電流2乗比例ですから、到底3A出力に耐えられるとは思えませんから、充電器としては、常温下の100V動作で、長時間大電流負荷のない継ぎ足し充電専用という想定でしょう。

P.S.【故障の発端 】  <ps>

 充電器トランス層間短絡故障発生の引き金となる故障が実はありました。過充電から鉛バッテリーの単位素子が2個次々と短絡して充電電流が増えて、元々のトランスの容量不足からダウンしたものと思われます。
 「ターボ充電方式」というのは、両波整流を出力を平滑回路無しで直接充電するものですから、フル充電になっても交流実効値の√2倍の最高電圧で充電を続けるため、充電状態のママ長期に放置するとバッテリーを過充電にして壊してしまいます。 普通乗用車用の容量40AH12Vで激安の\1900.弱で、店員からは「すぐ壊れる製品!で勧めない」とは言われても「拡声器用にはそれで十分」と割り切って買ってきたのですが、ホントに壊れてしまい、2素子で電解液が無くなり8Vに落ちて、蒸留水を足して充電するとさらに1素子短絡して過電流で充電を続けられなくなり打ち切りました。 やはりバッテリーにとって過充電は大敵で、時折は放電しきるまで使って時間管理でフル充電する必要があるようです。 それまで使っていた性能劣化で自動車から降ろした売価4000円近い製品では、どれも内部抵抗は大きくなっていましたが、素子短絡の経験はありませんでしたから、店員の言うように値段により耐性が大きく違う様です。

2014/01/19 22:55

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