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安全装置にデータベース方式は適切か?

 デジタルATCに路線データを記録したデータベースを車載する方式が採用されて、新幹線と在来線ATCを席巻したことで、鉄道ファンの間にデータベース方式が安全装置に優れた方式であるかの認識が広がっていますが、実は、データの誤搭載、異線データ混入、現場チェック困難のリスクを抱えながら、高価な専用ケーブルを省略できることで経済性を追求したもので、安全性追求から採用された方式ではありません。

 エラーの少ないプログラムの作り方などでよく言われる原則が、「システムのことはシステムに聞け!」「1対1対応を心掛けよ」「一目瞭然」等々が強調されたのですが、その時代のプログラムはプログラムラインに処理上の固有の定数が埋め込まれているのが普通の水準で、定数変更などメンテナンスでは全文を辿って四苦八苦というのが珍しくありませんでした。
 その改善方針の原則から、プログラムの構造化が叫ばれ、パラメター一覧表を置いてここを参照することで一元化を図るとか、パラメターファイル化する(BASICではDATA文による表など)、多数項の演算時の単位系の統一、諸センサーのリモート制御化でPCコマンドでの初期設定など誤認や論理エラーを避け、発見しやすくする様々な工夫がされました。1対1原則は大規模なシステム中の対象を取り違えないための重要な考え方です。

 ATS-Pは、位置基準車上演算方式(いわゆるパターン方式)の採用で、基本的に冒進と過速度を無くして安全性を飛躍的に高め、安全のための無駄も削減して、線路容量まで増やした優れた方式ですから、アナログATCの更新に際しても、位置基準車上演算方式を採り入れて輸送容量を増やした上、一段制動方式の採用で進行方向のG変化を抑えたデジタルATC(D-ATC/DS-ATC等)となりました。

 ATS-Pの制御方式としては各地上子から停止信号までの距離と平均勾配を得て車上演算するため、地上子設置位置がそのまま送信情報になっていて、設置状況の点検もやりやすいものです。路線毎に異なる最高速度設定も、当初は車上装置設定だったものがJR東海設置のATS-PTでは地上子から設定するようになりJR他社の規定も追随しましたので、車上装置としては各路線共通の方向を維持し、路線固有の情報をその路線から得る1対1方式で設定されました。

 しかしながら地上子の制御ケーブルが信号傍のATS地上装置から各地上子まで必要で、在来線ならまだ約600m余で済みますが、新幹線に採用するにはその速度2乗比例の長い制動距離や閉塞区間長に応じたケーブル長が必要で、コストを大きく上げることになります。
 この高コストの長距離専用ケーブルを無くしてコストダウンを図る目的で、デジタルATCには車上データ・ベース方式が採用されたので、個々のデータを間違えたり、路線の違うデータベースを載せてしまったり、日常的な線路状況変化の反映が狂ってしまうリスクを新たに抱えてしまい、安全性追求の観点から導入したものではありません。コストの掛からない適切なハード方式が得られれば、データベース方式より、信号や地上子などの制御点に対して1対1対応が望ましいのは言うまでもありません。

 さらに線区毎の設定は、折り返し毎、車上装置の起動毎に送信する必要があって、JR7社共通ATS-Pでは1地上子1コマンドしか送れないため複数設定の場合には複数の地上子が必要ですが、進行現示では最低3基の地上子から同趣旨コマンドが送られていて、地上から受信確認ができるので、正常終了なら残りの地上子から線区情報を送ることにすれば、地上子を増やさずに済むでしょう。ATS-PTが当初独自のロングワードモードを持っていたというのは、この路線別設定を送るつもりだったのかもしれません。

 発想の転換として、高コストの専用ケーブルは回避したいとしたら、ATS-PNでは無電源地上子をリレー制御で切り替えてケーブルのコストダウンを図っていますが、車上情報の受信ができませんので、現在、大容量の汎用通信ケーブルが線路脇を通っていて、これに各素子を番号付けして接続し相互通信できるのなら、すなわち信号要素をLAN上に載せてしまえれば、設置箇所との1対1対応は復活して、専用ケーブル設置のコストは免れることができます。このLAN方式はE331やE233で車両制御としては既に実用化され、機器毎にアドレスが振られて汎用通信線を介して統一的に制御されています。これをATS/ATCに適用すればメンテのしやすい1対1対応を復活できるのではないかと。これは次期更新の検討事項になるかもしれません。現在仙石線で運用中の無線閉塞方式が幹線でも採用されると採用の芽は無くなりますが、どんな経過を辿るでしょうか?
 次節は、プラント運転制御の超重要データである制御プログラムの納入先間違いが発生していて、それを知らないユーザー側から数ヶ月に渉るソフト改善交渉をアルコール燃料でのリモコンで成功させた事例です。鉄道のデータベースでもきっと起こりうる事態です。

プログラム納入ミスで混乱    <2>

 「プラント更新で、生産能力を高めたはずが、従前の半分以下の生産量を超えると製品規格を外れてしまい安定した特性の製品が取れないのにソフト納入会社が全く取り合ってくれない」というので、そのプラント運転責任者氏が溜まり場のスナックで飲んだくれてる各社の技術屋たちに相談を持ちかけて強力アルコール付きの作戦会議となりました。

 皆で寄って集ってあの手この手を次々授けて納入した代理店に数ヶ月間働きかけて、最終的に開発を担当したソフト屋を中国地方から東京の現場まで呼び出して確認させた結果、納入先誤りで他プラント用の運転プログラムを組み込んでいたことが判り、本来のその現場プラント用のソフトに載せ替えて一件落着!

 プラント運転ソフト誤納入長期放置という重大ミスを、専門知識のないプラント運転責任者が究明したことで所属会社からは結構な額の金一封が出され、弁明の余地のない重大エラーを大ごとにしないで丸く収めてくれたというので納入代理店からも厚く御礼申し上げられたということで、作戦会議に加わったスナック常連技術屋一同大変感謝され、何度も飲み物を振る舞われたのでした。

 (デジタル)コンピュータではプログラムもデータであり、デジタルATCの動作基準であるデータベースの設定に同様の間違いが発生する可能性があることを示す事例です。この事例からも安全装置用には多数の位置データを車上側が持つデータベース方式よりも、そうしたエラーを発見しやすい個々の現場1対1方式の方が判りやすく安心ですが、。

[ 鉄道でのデータベース方式 ]

 鉄道運行での車上データベース方式採用経過としては、まず鉄道総研製のATS-SPがATS-Sxの地上子位置をデータベースとして持って、位置基準車上演算方式(パターン方式)ATSを構成する方式を提起しましたが「現示アップを(信号電流の)転極で検知する」方式だったことで、従前閉塞をこえると混触対策で信号電流を逆極性にしていたことから、短小閉塞のある線区では制限を生ずるなどで採用した鉄道事業者が無いまま立ち消えとなりました。
 このSx地上子位置データベース方式は「制御式振り子」の絶対位置取得方式として実用化されましたが、振り子制御に誤動作・誤設定があっても乗り心地が悪化するだけで、危険領域には至らないので適切な方法でした。
 車上データベース方式による制御振り子の成功後、今度は老朽化した山手・京浜東北ATC・新幹線ATC換装と、輸送力増強のためデジタルATC(D-ATC、DS-ATC、ATC-NS等)にこのデータベース方式を採用して、デジタルケーブル省略によるコストダウンが図られたのですが、1対1対応ではなくなり、安全装置の根幹に誤設定を発見しにくいリスクをも抱え込んだのでした。

[ 付帯雑談 ]

 最初、某メディアドライブ開発設計氏に聞いたものの、話が難しくてほとんど理解できなかったと、私のところに回ってきたのですが、ユーザーの立場で納入業者に性能改善を求めるには、プラント更新前との性能比較が気持ちの上では背景基準になるけれど、相手が逃げられないのは工事契約時の仕様書があるはずだから、その公称能力に比較して、現状がどの程度かに絞って見解と対応を求めること。代理店セールスは技術的にはよくわからないことが多いから、口先での誤魔化しに走り勝ちで、そこだけを相手にしてもほとんど意味がないので、具体的な運転実績データをもとに、技術的内容の判るところを引っ張り出す交渉をすること。仕様を決めるシステムエンジニアと直接プログラムを書いた人を明らかにさせて話をすること。生産データと、運転中の自動調整不具合を手直しした手動設定内容を詳細に記して、設計側に直接渡してもらう。こちらからは、根拠なく原因の推定を口にしない。それでは解決できないことが多い上、相手に「対応を取った」と口実にされやすく却って解決困難になる。なにしろ作ったとこを呼び出して直接話をすることに努力を集中すべき。としてねばり強く頑張ってもらうことにしました。公称仕様の半分以下しか生産能力がないので注文に追われてあきらめようがないのです。その結果が中国地方から上京させての前記の改良です。

 参考書の紹介を求められましたが、プラント制御には原材料の運搬時間、ストックがあって、釜など距離を通過する分布処理であり、各学校の理工学部で中心的に教えられる帰還制御だけでは到底歯が立たず、一部変な学究が「ニセの自動制御」とか蔑んでいたシーケンス制御や、動作特性を知り抜いた上でのフィード・フォワード制御/予測制御を含めて、総合的理解が必要なのと、発注側は総論・概論だけ知ればよいので、かって電気学会が編纂した「自動制御理論」s41.1.12初版が適切なのですが、各大学に講座をもつ教授たちの著作である帰還制御理論しか触れていないテキストに席巻されていて実用にはまだ不足で、電気学会刊は大変良い本なのに現在は絶版状態で入手できず、自分で買った古本を段ボール箱から掘り出して、その総論部をコピーして渡しました。話した内容でもあり、電験3種保有者には適切な内容でしょう。


特別高圧送電線のメンテ作業
 某プラント運転責任者氏は、中卒から全国を彷徨い、かなり怪しげな仕事や、特別高圧送電線の建設電工とかを歴任、山中の地上高100m以上の特高電線によじ登るのに30分〜1時間掛かる作業に従事、その上空100m余から盛大に放尿したもんだ!wとかの中で電験3種(第三種電気主任技術者)の資格を取ったという苦労人。
 自称、地元だけでなく、フィリピンにまで多数の扶養家族が居るというややこしい人物でありまして、プラントの製品配分で若干の付け届けを受け取っているのが税務署にバレて税務申告を求められ、追加で400万円も支払ったとかボヤくのでありますが、所得制限のある都営住宅からは追い出されないで住んで居られるというのは、おそらく半分以上はアルコール燃料の法螺で、均せばそこそこの収入だということでしょう。電験2種を持っているというので、「おお凄い!電力系の短大卒相当の試験で、電気鉄道まで扱えるんだ!」と驚いてみせると、「いや、その下のやつで3種かな」と、法螺もそこそこ。法螺の真偽を詮索しても意味ありませんから。でも中卒で工事現場をさすらって電験3種資格取得というのは工業高校電気科卒相当の試験に合格する必要があり、通産省資格認定校しか試験免除されませんから、なかなかの努力家ではあります。

 「現場の労働組合と渡り合って叩き潰した」としつこく自慢するもので、周囲を見回すとたまたま地域の左派系労働組合の会議が撥ねて流れてきた役員たちの常連がぞろっと揃っていまして、「この人、三多摩地域の大幹部」「・・・・次ぐ組合役員」「東部地域幹部」「○○社組合委員長」「××社の組合役員」「あたしも、もとは執行委員」と紹介したのであります。途中「怖いだろう〜!ゲラゲラ」とかヤジも飛びまして、同席したドライブ開発設計者氏も「あたしは身は養殖御用組合員だけど、心の中は左派第一組合なんだ。店のママもそうだぞ!」とカミングアウト。くだんのプラント親分氏は仇敵労組大幹部たちにすっかり取り囲まれていて、プラントの不具合解決でも助けられていたことに気付き、驚いたの何の!しばし暫し、しばし絶句、おもむろに「組合にも、良い組合と、悪い組合があるんだねぇ」というので、店の皆どっと笑い転げたのでした。

 鼻の下を伸ばして通う「店のママも、10年間近くは左派組合の執行委員だったんだぜ」と言いかけて、時折近所の自民党都議らが支持者と一緒に来店するのを思い出して飲み込みましたが、以降、プラント運転責任者氏は店内では組合つぶし自慢はしなくなった様です。それまで組合つぶし自慢をママにもしていた様ですが「ママも左派組合の執行委員だった」とまで聞いたらどんな顔をしたでしょうか(w

 左も右も組合といえば飲みニケーションが多いのですが、飲み代が自前か公費かが左右で決定的に違います。プラント不具合の相談に乗っていたドライブ開発設計者氏所属の養殖御用組合の執行委員に製造課からまともな人が当選して飲み代食料費を含む役員活動報告を始めたら労働組合の飲み代支出が1/10以下になりました。御用幹部たちも自分たちの飲み代は後ろめたい公金の使い方であることはよくわかっているようであります。
 しかしながら人生を掛けても暮らしやすい世の中にするという決意をして活動する人でないと、会社の不利益扱いや威圧に押されて養殖御用幹部化せざるを得ないのかもしれません。労働者の立場からリストラ解雇反対など正当な主張をしても技術者にとっては報復・見せしめで仕事を外されるのは死刑宣告ですからね。


場の「湧出量」が問題・期待値は?
  相場の儲けは他人の損の集積    <3>

 驚異の運用益を誇っていた投資顧問会社AIJが、ホントは最初から運用損で、粉飾と新規申込者の資産をそのまま配当してしまうタコ配で凌いでいたことが暴露されて刑事事件に成りつつありますが、「年金運用のプロ」たちが、なぜこんなイカサマに引っかかってしまったのでしょうか?

 リーマンショックの直前、飲み友達が「退職金で株式投資を始める」と言いますので、「相場ってのは、金が有り余ってる連中が、底値でたっぷり仕込んでおいて、相場上向きの兆しをとらえてブルジョア・メディアや証券CMで『儲かった!儲かった!』と煽って一般庶民に株を買わせて、売り抜けて、高値で買った小金持ちのフトコロから金を掠め取るものだから、相場が上がり始めてから手を出したらカモにされるよ」と止めたのであります。相場が下がる局面では手仕舞いしてずっと亀の子で居られて、底で仕込んで長期に持って値上がりを待っていられる金持ちしか大きな成果は上がらないのであります。

 が、しかし「経験深い良い先生が付いててくれるから大丈夫。○○課の××氏だ」と聞きません。どう見たって飲み友達の定年氏の方が××氏より様々値打ちある人物なのに、口先に乗せられてしまってはいけません。こりゃもうダメかも知れないと思いながらも、「一般論で言って、場の湧き出し量が儲けの期待値。株式なら配当が湧き出し量で、それより上下するのは、ハシこいやつが、カモのフトコロから掠める分で損得の差が出る。長期的な相場の上下も一見湧き出し量に見えるけど、本質は評価バブルで、暴落から逃れるのは事前予測での手仕舞いだけ。無配株で儲けようというのは鉄火場に金を張るようなもので、麻雀の初心者も当初はカモられながら腕を上げるもんで、最初から全財産なんか突っ込んだらすってんてんだよ〜〜っ」と引き留めました。

 案の定、勧告は効かなかった様で半年ほどして「おっしゃるとおりで、増やそうと思った退職金を300万ちょっと損しました。慣れないことはするもんじゃないですね〜」と結果報告。「この店で毎回3万円づつ飲んだくれても100回以上来られたのに、勿体ないことしました」って、あの激しいリーマンショックを経て、レバリッジとか云って損失を何倍にもする取引に手を出したら、退職金をスッて借金を背負い込んで無理のないケースだったのに、損失10数%余で済んだというのは、むしろ見事な逃げ足で、投資の専門家顔負けです。
 レバリッジ取引の「梃子のように何倍も儲けられる」という宣伝文句は「梃子のように何倍も失う」と同義で条件だけが裏腹の関係ですから、逆振れすると生活の基盤まで喪ってしまいます。止めたのが少しは効いたのでしょうか?それとも真相は巨額の借金を背負ったのでしょうか?今度お会いしたら確かめてみたい気もしますが、毎週1度は店で夜明けまでフィーバーしていた常連だったのに、以降月1回以下のお出ましに激減した背景をおもんばかって「300万円損失に留まった」ことを信じ続けるのが武士の情けなのかもしれません。バブルが弾けるというのは、場全体が一斉吸収の場に変わり、その中で運用益の確保を目指するのですから、規模が大きいほど例外的な運用は困難で、損失を抑えるのが精一杯で、数学的期待値に近い結果に沈みます。特に実需の何十倍もの取引が行われる場では相場と経営実態はかけ離れ、無関係になってしまいます。

 同様に、店に暫く通っていた常連が、仮想のPCトレードをしてみて数ヶ月間利益が出続けたことから、自分の店の開店資金として奥さんと二人で一生懸命貯めたお金を注ぎ込んで、廻り中から止められていたのに、案の定すってしまい、店には来なくなりました。デイトレーダーの9割が損を被っているとかの見解もあり、損得が直接絡むと判断が狂いパンクしやすくなる気がします。
[現場実験式と理論化:回帰分析]
最小2乗法による回帰曲線

(偏差面積最小の直線を求める)

 かって傾向線分析とか、回帰直線分析で時系列データ中に函数関係を見つけ出して、この回帰直線函数を軸に将来予測を行って相場を張り、この回帰分析プログラムの付いたプログラム電卓が投資家に馬鹿売れしたのですが、何度かの暴落で多くが破綻。最小2乗法による回帰分析で得た1次函数に経済の法則性など全くないのに、投資家たちが裏付けのある科学的分析と勘違いしたことから起こった悲劇でした。米国テキサスインスツルメント社の工学用プログラム電卓には、例題(SR-52)やROMソフトとして回帰分析ソフト(TI-59)が添付されていまして、当時\23万〜\13万と大変高価な電卓だったのに投機用の回帰分析目当てに売れたの何のって!その科学的論理的根拠のない傾向線分析(Trend Line Analysis)を信じて相場を張った人は手痛い打撃を被って撤退したのでした。証券投資ではいまだに「Trend Line Analysis」で話をしているのですから、魑魅魍魎、詐欺師の世界に知識のない素人が不用意に近寄ったら魑魅魍魎達にたちまち喰われてしまいます。

 例外的な成功例1:株主総会に労働組合として出席して意見を言うとして1単位1000株を40万円弱で購入、しかし多数の株主の中に一人参加してもほとんど影響はなく、組合員自体の運動にはならないとの批判も受けて、もっぱらビラで出るぞ出るぞと匂わせて10余年、組合の決算報告書の管理資産一覧、保有有価証券欄に購入価格がずっと表示されていたのですが、急に組合運営資金が必要になり換金処分したら10倍の400万円余で売れて役立ち、その半年後には130万円台に暴落。組合名で売ったのがイカンとか暫くからかわれましたが、数少ない売り抜け例で、利殖目的の取引ではありませんでした。

 例外的な成功例2:上場直前の未公開株割当を賄賂に使ったリクルート事件以降はインサイダー情報として厳しく監視されていて大変難しくなりましたが、上得意にそれとなくほのめかすとか、裏情報網とかの存在が疑われて大変な不公平感が残っている訳です。大量売買で売り抜けに成功すると調査が入るし、それを嫌って長く保っていると損失に転換してしまうことも少なくないので抑制はされています。リクルート事件でも値上がり益以上を高利と値下がりに食われて損失になったお役人がいました。
 かっては顧客サービスで公開直前未公開株割当や、「政治銘柄」などと称して株価操作を通じて実質政治献金が行われたり、インサイダー取引での濡れ手に粟のボロ儲けがされていました。しかしいまや非合法なので対象外。大昔、山一証券の第1次破綻でその顧客に証券各社のセールスマンが群がったときに「あんたら、首吊りの足を引っ張るような真似をして恥ずかしいとは思わないのか!政府と日銀が山一は潰さないと言ってるのに、何を浅ましいことをする!」と一喝。感激した山一セールスマンは以降、折々に公開直近の未公開株を紹介。ピンチに恩義ある顧客をかなり儲けさせたのだとか。当時はインサイダー取引の規制は無かったので問題ありませんが、通常は「優良顧客」に割り当てていたものを回したのでしょう。そういう世界へ何も知らない素人がネギを背負って参加していく状態なのは理解して参入すべきです。

 恐慌破綻に対するゆとりをもって投機に参加する人は「リスクヘッジ」といって、相場が予測とは逆の動きをしても実損失にはならず、機会損失に留まるような張り方をします。株式などの「空売り」というのは、証券会社などに株式を借りてそれを売り、半年など一定期間内に買い戻して返還しなければいけない取引ですが、その間に価格が下がった分が売買益になりますが、逆に価格が上がると差額分の損を被ることになる博打取引です。
 かってはそれを「信用取引」、対象株を「信用銘柄」と呼んでましたが、実際は「賭博取引」の方が似合う危うい取引で今は確か「貸借取引」「貸借銘柄」と呼ぶことになっているはず。これに手を出しても絶対に破綻しない方法があれば都合が良いわけで、カネにゆとりのある人達は欲に飽かせず所有している「現株」の範囲で空売りを仕掛けて、予想に反して値が上がってしまった場合には現株を差し出して精算します。こうすれば失敗しても値上がり益を失うだけで済み、値下がり予測が当たれば現株の評価損と同額が売買益になり差し引きで損は出ず、回復すると思えば利益分で押し目買いをして値上がりを待つというのですから、長期的に財産は増え破綻の可能性がほとんど無くなる訳です。現株の範囲での信用取引というのは最も初歩的なリスクヘッジ法ですが、長期に寝かせておける資金でないと、相場が下がった時期に現金化する必要を生じて実損失が発生してしまいます。

 整理解雇反対で労働組合結成に係わり組合3役になった方(See→日記#247#2)に元証券マンがいまして、その元の仕事は売買手数料で稼ぐもので、暴落危惧の危険な局面でも株取引を手仕舞いさせることができず、大暴落毎に夜逃げを繰り返して「小金持ちの富の再配分だ〜〜」などと居直っては、ほとぼりの冷めた頃証券業界に舞い戻って何度も再破綻への階段を登ってきたけれど、一生続けるべき仕事ではないと製造業に転身、そこで大量の整理解雇通告を受けて組合活動に参加し、幸い皆の首を繋いで、口先一筋の証券マンでは得られなかった充実感一杯。証券市場の暴落は必ずあるんだから、そこを顧みずに賭場に全財産を張って破綻していく客の相手をして暮らすより、頑張って暮らす人に喜ばれる仕事ができて良かったと述懐。儲けが何倍にもなることだけ強調して客を乗せて、損失も何倍にもなって身の破滅になることには触れずに商売商売!というのが株屋の姿だったのです。

 「湧出量」というのは、ポテンシャルなどと共に学部に入学直後の新入生に、講座が想定する水準の授業を詰め込める基礎的能力を付けようと、電磁気学演習や物理学演習などとして定積分計算を仕込まれた材料で、「球殻内のポテンシャルは一定である」とか、中実球内のポテンシャル計算とか、湧出量を前提に電位ポテンシャル計算するなど、シゴかれまして、数学に苦手意識のあった私にはなかなかしんどい時間でしたが、各種原理式の成り立ちが良く理解できる様になり電気理論:電磁気学の基礎ではあります。計算技術的には微分前の函数形をどうやって見つけるかに尽きますが、重要なのはその基本の考え方:場の湧出量=ダイバージェンスです。電子技術者にぶつけるには丁度好都合な概念だったのですが、傷を深めないうちに撤退を決める材料にはなったでしょうか?

 投資顧問会社がリーマンショック時を含めて常に「実績10%」だったって、運用を委託した「年金運用のプロ」たちは、疑問を持たなかったのでしょうか?少なくとも裏付けとなる運用実績の開示を求めていたら、提示できないことで逃げることはできたのに、と思います。JR西日本の転覆限界速度といい、東電など原子力村、原発関係者の被害許容範囲検討といい、現代は「プロ」のレベルが暴落しているのでしょうか?

2012/03/24 18:30

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