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[154]. 落下時安全側ではない原子炉設計

 鉄道信号系は、断線や短絡、停電で必ず停止信号となる構造が工夫されており、列車が閉塞区間に進入して線路(軌道回路)の信号電流を短絡すると信号リレーの可動部(アーマチュア)は文字通り「落下」して停止信号を示す構造になっている。

<北陸電力>制御棒抜け「臨界」
 志賀原発事故報告せず

  北陸電力は15日、同社の志賀原発1号機(石川県志賀町)で99年、停止中の原子炉が突然、臨界状態になる事故が起きた上、緊急停止装置が15分間作動しなかったにもかかわらず、国に報告せず隠ぺいしていたと発表した。原子炉は手動で停止され、外部への放射能漏れはなかった。経済産業省原子力安全・保安院は臨界事故と位置づけ、同日午後に同社の永原功社長を呼び、1号機の停止と安全の総点検を指示する。(毎日新聞)
http://backnumber.dailynews.yahoo.co.jp/?m=m20070315-023&e=nuclear_fuel

 ところが今回明らかになった北陸電力志賀原発1号機での臨界事故では、運転停止のため炉心に挿入された制御棒が更に落下してしまい、その部分で中性子を吸収しなくなったため部分的に臨界に達して核分裂反応が継続し、制御棒を炉心に自動挿入するなど一連の原子炉停止操作を行う緊急停止装置も当然働かず、手動操作で制御棒を戻して核分裂反応を止めるまでの15分間、制御不能に陥ったことを8年間意図的に隠していたことが報じられた。

 すなわち「落下して停止」ではなく「落下して臨界を超える」設計が根本的に間違っているのが第1の問題!落下しても制御棒材料(Cd、B等)が炉心に残る設計というのはたとえBWR型(沸騰水型:炉心循環水が熱交換機を介さず直接タービンを回す軍事用:原潜・原子力空母で開発された構造)であっても(以上下線部誤りにつき削除)安全設計の基本だろうに!そうなって居らず、制御棒を押し上げて停止させる構造だから、動力を失って止められなくなる危険を持つ構造だ。

 原子力発電関係には常に人を欺くウソがあることを重ねて具体的に示したのが第2の問題。

 最悪制御棒が可能なだけ全部落下して、臨界をどの程度超えたのか?スリーマイル島やチェルノブイリの事故規模に達するのか、超えるのか、手動でも制御できる範囲に留まるのかが第3の問題だ。

 核燃料の濃縮度や減速材の存在で応答速度を抑えており、いきなり大規模核爆発(=原爆爆発)に到る可能性は少ないが、その不安定さから炉心溶融やチェルノブイリのように原子炉そのものや建屋破損に到っており、その運転特性はかなりクリティカルなもので、連続の核分裂反応に自然の安定点がある訳ではないことを示していて、発生中性子量をモニターしながら制御棒位置や減速材位置を自動操作して目標出力の安定運転をしているはずである。いわば走っている自転車を立たせ続ける制御のようなもんだ。

 原子力といえば、理屈もクソもなく何が何でも安全だ!と大本営発表を繰り返して、万一の場合の危険回避対策すら拒否していたことから、折から右派と文部省が学問である社会科の教科書に高天原天孫降臨(たかまがはらてんそんこうりん)神話を載せようとしていたことになぞらえ「原発安全神話」と揶揄されたのだが、原子力関係の「安全」の話にはこの手の素人騙しが多すぎて、国民との関係をますますこじらせる事態になっている。
 本来なら、危険度、リスクと、それをどんな手立てで許容範囲の事故に押さえ込む設計にしているのかが理解されて住民との同意が図られるべきである。飛行機で言えば、1機の定員550名同士が運悪く衝突して1100名の犠牲の出る危険性を織り込んで対策しながら就航している。安全神話を含む原子力利用推進側の話にはこうしたリアルなものがなく、絶対安全のウソと、次々の隠蔽だから、分からなければ分からない人ほど不審に思い説得されることはなくなる。
  某狂信的宗教団体動員部隊の常套的な台詞ではないが「うそつき!」「なめるな!」と怒鳴られるくらい当然だろう。

2007/03/17 20:00

<BWR_AC>

沸騰水型原発、浜岡、女川でも制御棒抜け

 今日3/19の報道では、共に沸騰水型である中部電力浜岡原発3号機と東北電力女川原発1号機で定期点検中に制御棒が抜け落ちる委譲が起きていたが臨界には達せずに済んだため国への報告はされていないことが分かった。

<中部・東北電力>
制御棒抜け 浜岡、女川原発でも
      91・88年、臨界には達せず


 制御棒抜け ほかに2原発でも

浜岡、女川でも制御棒抜け=91年と88年、定期検査中
−臨界達せず、報告対象外


  中部電力浜岡原発3号機(静岡県御前崎市、沸騰水型、110万キロワット)と東北電力女川原発1号機(宮城県女川町・石巻市、沸騰水型、52万4000キロワット)で、それぞれ1991年と88年、定期検査中に制御棒が抜けるトラブルが起きていたことが19日、分かった。いずれも臨界には達せず、緊急停止もしなかったことから、国への報告対象にはなっていなかった。 (時事通信- 国内 3月19日(月)15時39分〜17時59分)
(東京新聞07/03/19夕1面)
http://backnumber.dailynews.yahoo.co.jp/?b=1&t=d&e=nuclear_fuel

 このトラブルの問題点は、前節でも指摘の通り、制御棒の落下で危険側に陥ることである。その規模により臨界に達し制御不能に到り、戻す動力がダウンして存在しないかも知れない。浜岡では制御棒全185本中3本が落下、女川では89本中2本が落下したが落下箇所が分散していたため臨界には達しないで済んだ。

 あれだけ原子力発電について無条件の安全性を宣伝するのなら、制御棒が落ちても原子炉全体が自然に止まる構造というのは絶対条件だろう。落下後の停止に特別の処理が要るという構造は許されないはずだ。沸騰水型の構造として、燃料棒の上側には高圧蒸気系の主配管があり制御棒を抜けないといい、蒸気分離装置や過熱装置が必要なことも理解するが、加圧水型(PWR型)でも配管はあり、しかも地上施設なのだから、制御棒を上側に抜いて出力を得る構造は不可能ではないはずだ。原子炉の安全審査でも、設置取り消し裁判でもこんな単純かつ基本的な安全確保策の論議をしていないのだろうか?!

 根拠のない何が何でも「安全」、「安全」の神話教は、何より常に危険を意識して慎重な作業を進めるべき作業者、担当者に奢りと弛みを誘発する。バケツ作業で核燃料を集積させて臨界事故にした東海村住友金属鉱山子会社JCO、状態判断を誤って炉心溶融事故にしたスリーマイル島、杜撰な操作で大爆発にしたチェルノブイリ、………どの核事故も、核の危険が外向けの建前になって作業現場では実感されない状況で無茶な操作をして大事故になっている。JCO臨界事故による被曝で死亡した2人を含めて「臨界の危険性なんて聞いたことがなかった」とは、管理側が弛みきっているではないか。

重力に逆らって制御棒を挿入するBWRの宿命的弱点だ

重力に逆らって制御棒を挿入するBWRの宿命的弱点だ。込み入った構造や複雑な操作が脱落トラブルの背景にあるのではないか。手順だけに頼るのではなく、ハード的に安全を担保する『多重防護』が必要だ。そもそも国の安全審査の想定が不十分なのではないか」
原子力資料情報室上澤千尋研究員(原発事故担当)
毎日新聞'7/3/21


2007/03/19 23:30
<TEPCO>

東電も沸騰水型制御棒落下で臨界事故!

東電でも臨界隠しか
福島第一78年に 7時間半継続の形跡


 東京電力は二十二日、福島第一原発3号機(福島県大熊町)で一九七八年、定期検査中に制御棒五本が抜けて炉心の一部が核反応を起こす臨界事故が起きていた可能性が高いと発表した。北陸電力が志賀原発1号機(石川県志賀町)で九九年に臨界事故を起こしながら隠ぺいしたことが明るみに出ているが、その二十年以上前に同じ事故を起こしていたことになる。

 定期点検で原子炉圧力容器の水圧試験を準備していたところ、百三十七本ある制御棒(長さ三・六メートル)のうち、五本が最大で九十センチほど下がったという。制御棒を動かす圧力弁の操作を誤ったとみられる。

 メーカーの東芝に残されたメモによると、停止中の炉内の中性子量を測るモニターが七時間半にわたって振り切れていたという。

 この間、臨界状態が続いていた可能性があるという。出力は通常運転の0・01%程度に達したとみられる。

 当日、当直していた東電元社員も「モニターの値がいっぱいになっているのを見た」と証言しているが、運転日誌にはトラブルについて書かれていなかった。

 今回のトラブルは、原子炉等規制法で事故報告の規則が定まる直前だった。原子力安全・保安院では「ただし、当時の総理府令の報告対象に当たる可能性はあり、詳しく調べる必要がある」としている。

 また、同原発5号機(福島県大熊町)で七九年、2号機(同)で八〇年に定期検査中に、制御棒がそれぞれ一本抜けるトラブルがあったことも分かった。いずれも弁の操作ミスと考えられるが、臨界には達しなかった。制御棒が想定外に引き抜かれる事故は、東京電力、北陸電力、東北電力で計八件が明らかになった。
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070323/mng_____sya_____007.shtml
東京新聞'7/3/23朝刊


 BWR型(沸騰水型原子炉)の基本構造が、停止に際し制御棒を下側から挿入して停止させるもので、その停止位置に維持するための様々な操作手順遵守が求められていると聞き、「これは必ず危険側のエラーを冒している!」と思ったのだが、更に東京電力の原発は全数が沸騰水型との記事があって、案の定の落下事故が報じられ、更に7時間もの臨界状態放置事故とは、標題の危惧通りではないか。人の注意力で管理する方式では必ずエラーを起こすから、「安全側落下=フェイル・セーフ」と、危険側操作のインターロックは不可欠なのだ。

 21日付毎日新聞では原子力資料情報室原発事故担当研究員談話として「重力に逆らって制御棒を挿入するBWRの宿命的弱点だ」としており、何等かの原因で無動力に陥ったら原子炉を停められなくなる危惧を示している。それで「安全審査」を通してはいけない。
 もしBWRが制御棒落下位置での停止構造を実現できないのなら、それは新設禁止、廃炉促進の原子炉構造ということになるだろう。

「BWR軍事用途で開発」は間違い!

 永らく沸騰水型原子炉BWRが原潜や原子力空母用として開発されたものと思っていたが、BBS(2007/3/21 (Wed) 04:18:08)から実際には「加圧水型原子炉PWRが使われている」という指摘を頂き調べたところその通りだったので該当部分を削除します。軍事用だから攻撃を受けても放射能汚染部分が小さく防御しやすい方が好都合とも考えられる。BWRはGEがPWR型にやや遅れてリリースした方式で初代原潜ノーチラスにはまだ間に合わなかった。発電タービンを炉心水が回すので構造は単純だが放射能汚染域が広くまた漏れやすい構造。関西電力は加圧水型だそうである。

東電福島第2、柏崎刈羽原発でも制御棒脱落


原発制御棒落下:東電の福島、柏崎刈羽でも 改良も検討へ

 東京電力は20日、福島第2原発3号機(福島県、沸騰水型、出力110万キロワット)で93年、柏崎刈羽原発1号機(新潟県、同型、同出力)で00年、定期検査で停止中の原子炉から炉のブレーキである制御棒各2本が抜け落ちていたと発表した。北陸、東北、中部各電力会社の3件と同様に制御棒の落下を防ぐ装置がありながら、運転員の操作ミスがトラブルに直結している。経済産業省原子力安全・保安院は機器改良の必要性を指摘しており、東電も記者会見で「設備上の改善が必要か検討したい」と述べた。

 福島第2原発では93年6月15日、185本ある制御棒中2本が抜け落ちた。水圧で動く制御棒駆動装置の誤作動が起きないよう、事前に水圧を逃す別の弁(逃し弁)を開いていなければいけないのに、誤って閉じていた。柏崎刈羽原発1号機では00年4月7日、185本の制御棒中2本が抜けた。運転員が逃し弁を開いたつもりだったが、実際は弁の遊びの部分を緩めただけだったという。

 また、05年4月に柏崎刈羽原発3号機で制御棒17本、同年5月には福島第1原発2号機で制御棒8本がそれぞれ弁の開閉ミスでわずかに浮き上がる事態もあった。

 原子力安全・保安院原子力発電検査課は「一つの弁の操作ミスで、複数の制御棒が一度に動く可能性があるのは問題だ。各電力会社は操作ミスが起きても大丈夫なように、機器の改良を検討する必要がある」と話す。【高木昭午】
http://www.mainichi-msn.co.jp/today/news/20070321k0000m040152000c.html
毎日新聞 2007年3月21日 3時00分



原発制御棒落下:「多重防護」機能せず 複雑操作が背景か

 北陸、東北、中部の各電力会社に続き、東京電力の2原発でも20日、制御棒の抜け落ちが発覚した。いずれも制御棒の落下を防ぐ装置が働かず、運転員の操作ミスがトラブルに直結しており、原子力施設が強調する「多重防護」の考え方が機能していないとも言える。東電は「機械の欠陥ではなく、運用の問題」としながらも、「将来的に必要があれば、同型炉を使用する他社やメーカーと協議したい」と、ハード面の改良を含めて検討する考えを明らかにした。

 トラブルが起きたのは、いずれも沸騰水型軽水炉(BWR)と呼ばれる原子炉で、同じタイプが国内に計28基。制御棒駆動装置の構造が違い、脱落しにくい改良型が他に4基ある。

 制御棒を上下に動かすための水圧を調整する弁の操作中、運転員が開閉する弁の順序を誤ったため、制御棒が抜け落ちる方向に大きな水圧が加わった。制御棒にはくぼみがあり、落下防止装置のツメが引っかかる構造だったが、手順ミスのため、いったん制御棒が浮き上がってツメが外れて脱落したと東電はみている。

 東電の伊藤裕之・原子力運営管理部長は「弁の操作手順さえ守れば落下しない。構造的欠陥とは考えていない」と話す。しかし、柏崎刈羽原発1号機のケースでは、運転員は手順通りに弁を操作したつもりだったが、実際には弁が十分に開いていなかったために落下が起こった。

 伊藤部長は「同様の操作の回数を減らしたり、複数でチェックするなど、運用面で改善できる」と強調しながらも、「(ハード面の改良は)必要なものについては、(電力会社やメーカーで作る)BWR事業者協議会で考えていきたい」と述べた。

 原子力資料情報室の上澤千尋研究員(原発事故担当)は「重力に逆らって制御棒を挿入するBWRの宿命的弱点だ。込み入った構造や複雑な操作が脱落トラブルの背景にあるのではないか。手順だけに頼るのではなく、ハード的に安全を担保する『多重防護』が必要だ。そもそも国の安全審査の想定が不十分なのではないか」と話している。【西川拓】
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20070321k0000m040153000c.html
毎日新聞 2007年3月21日 3時00分




2007/03/23 23:55
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