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Geo日記
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[133]. 鹿児島線宗像海老津追突事故判決

  25日の12時〜14時のアクセスが急増でその2時間余だけで通常の丸1日分増えている!何があったのか?事故か!とGeocitiesのアクセスカウンターをのぞくと、下図リンクの鹿児島本線宗像海老津追突事故解析ページに集中している!

 あっ!裁判か!と夕刊をみると埋め記事に執行猶予判決とある。(詳しい記事は末尾)
 2002/02/22夜、不審物(いのしし)に衝突して停車、点検している先行列車7両編成に、後続5両編成快速列車が停止信号で一旦停止後、規則通り無閉塞運転として停止信号区間に進入したところ、進行現示の中継信号が見え、これを漫然と自車への進行現示と勘違いして加速し、先行列車に気付いてブレーキを掛けたが間に合わず衝突し、乗客多数の負傷で脊椎損傷の車椅子生活を強いられる様な重傷者を出し、両列車12両全車廃車の惨事となった。先行列車の停車事情は指令が列車無線で各列車に説明していたが、後続快速列車運転士はトンネル内にいて入感がなく停止信号の理由を知らなかった。

 通常の運転なら中継信号はその前方の信号を中継するだけのカーブミラーの様なものであり、高速の信号現示に変わればその速度まで加速して差し支えない。日常的操作としては先行列車との十分な距離が確認できたり注意・進行信号を見たら次の閉塞区間進入前に加速している。
 ところが「無閉塞運転」というのは信号故障か軌道破断でない限りは先行列車の居る閉塞区間に進入するもので、次の信号閉塞区間に入るまでは15km/h以下で進行することを義務付けて運転者の肉眼で先行列車への衝突を防止している。停止信号を冒して進入した閉塞区間走行中は一般鉄道を信号のない路面電車扱いで運行するものだ。一瞬無閉塞運転中であることを忘れれば、中継信号が注意ではなく進行を示していたら一般鉄道のいつも通りの操作としてうっかりフル加速をしてしまうこともあるだろう。この勘違いをしたら進行信号だから加速を注意信号速度45km/hで中断する可能性はまず無く、そのまま加速を続け、先行列車の窓明かりが見えてあわてて非常制動としたと考える方が妥当だろう。鉄道を一時的に軌道法の路面電車扱いして運転者の注意力にのみ委ねる「無閉塞運転」に無理があるのだ。事故調報告書にある勘違いと非常制動手配遅れの2重エラーというのは不自然で、真相は中継信号勘違いの1エラーということだろう。

 大月事故や片浜事故の釣り合いからは概ね相場通りの判決ではあるが、片浜事故後に運輸省から各鉄道事業者に求められた対応要求に対しJR東日本が自主的に無閉塞運転を禁止し、指令に在線確認を求めて許可を得る「閉塞指示運転」を採用し、JR北海道とJR四国がこれに追従、多くの私鉄も同様の措置を採っていたのに、JR九州、西日本、東海3社が無視を決め込んで発生した事故であることは、どう評価されたのだろうか。JR九州がJR東日本式に閉塞指示運転に切り替えていたら起こらなかった事故ではないか。
 当該事故後のJR九州の現場長会議に至っては事故直後に連日3回も無閉塞運転の継続を確認し、国交省事務局も一旦は大臣進講でそれを認める方向だったが、衆院国交委の質問通告を受けていた国交大臣(扇千景:林寛子議員)が「今どき無線が通じないなんて理由は認められない!」と一喝、一転禁止の裏行政指導となり質問者瀬古由起子議員の質問日前後にJR3社から列車無線など通信手段の全線整備と無閉塞運転廃止方針が明らかにされた。 [衆院国土交通委議事録]ctrl-F瀬古^2〜
 鉄道関係者には強烈な専門家意識があって部外の見解を無視しがちであるが、こと生命の関わる安全問題については必ずしも専門家では無いからこそモグラ叩きのATS-Sx狂想曲を演じているのではなかったか。40年〜30年ほど昔に作業者のエラーを前提とした安全対策を産業界に求める労働省に対して「現場を知らない机上の指導!」とか様々な抵抗が行われたが続発する死亡労災事故で辛うじて指導が貫徹された。その安全思想が鉄道業界には受け入れられず却って国鉄民営化に伴い優れた私鉄ATS通達を廃止して本来避けられたはずの重大事故を繰り返すなど安全素人の逆流が根強くはびこっている。今回判決の事故も国交省鉄道局やJR九州の現場幹部ぐるみの判断の甘さが片浜事故の再来を許したというべきだろう。なぜ安全指導に一定の実績のある厚生労働省の労働災害監督部門が対策指導に噛めないのだろうか?多数の通勤労災対象者の存在と乗務員も負傷しているのだからそれは縄張りの中心だろうに?

[衝突事故関係目次]     [鉄道事故とATS・ATC]1987/04/01〜

<News>
JR九州運転士に有罪 鹿児島線事故
 福岡地裁判決 「刑事責任は重い」

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/20060825/20060825_062.shtml

 福岡県宗像市のJR鹿児島線で2002年、緊急停止中の普通列車に後続の快速列車が追突し、双方の乗客ら120人以上が重軽傷を負った事故で、業務上過失往来危険などの罪に問われた快速列車の運転士で、JR九州社員M被告(52)=同県遠賀町=に対し、福岡地裁は25日、禁固2年6月、執行猶予5年(求刑禁固2年6月)の判決を言い渡した。

 判決理由で、鈴木浩美裁判官は「事故で車いすでの生活を余儀なくされた被害者もおり、刑事責任は重い」と述べた。

 判決によると、M被告は同年2月22日午後9時半ごろ、同線下り(海老津―教育大前間)で快速列車を運転。次の区間の状況を示す「進行可」の信号機を、現在、進行中の区間のものと誤って判断。前方でイノシシをはねて緊急停止していた列車に追突した。

 JR九州は「鉄道事業者として判決を厳粛に受け止めている。今後とも社員指導を徹底し、安全輸送の確保に努めたい」とコメントした。

=2006/08/25付 西日本新聞夕刊=


2006/08/28 23:55
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