[F1]
(推定標高図作図)
[F2]
(鉄建公団技術者グループ著?)
[F3]
(久保田博著&青函トンネル物語編集委員会)
青函トンネル説明図に微妙な不確定誤差!?
<1>
青函トンネルの状況を調べていて、主トンネルの海底水平部に
3/1000
勾配があり、津軽海峡の最深点や最小土被りなどの位置が曖昧になっていることが判った。青函トンネル関連書籍などの公表データでは一義的な作図が出来ないのである。
しかし、トンネル掘進履歴を辿って、工事の基準点を捜していくと、本州・北海道両岸の排水基地=先進導抗出発点が基準の模様で、各参考書籍の記事に無い誤差分としては、本トンネルの勾配が公称
12/1000
より若干緩いか、トンネル入口付近に数kmの水平部が存在するのか、また最小土被り&海峡最深部位置が明示されていない状況であることが判った。もしかして海底山嶺急斜面とトンネル本抗間距離の実質の土被りは公称の100mより少ないのかも?!
先ず、龍飛と吉岡の排水基地=先進導抗出発点を基準と考えて、両側から
3/1000上り勾配
で掘り進めた頂点を想定すると、それぞれ11.4km、11.0kmを掘り進んで貫通したから、両排水基地の距離・間隔は
22.4km
となり、先進導抗
中央11.2km
が頂点である。 (計算は「微少角近似」すなわち
sinθ≒tanθ
で行う)
導抗の中央点での標高差は、距離×勾配=11.2km×3/1000
=33.6 [m]上
。
本抗トンネルは、先進導抗中央点から北海道方向に暫時3/1000勾配で下り、最深点から12/1000上り勾配となり地上(知内町湯の里)に至る。
登り始めの位置は、「先進導抗と本トンネルの水準差は
最大118m
」との記事があり、それは龍飛定点側では実現出来ないから、吉岡定点側と考えると、3/1000勾配と吉岡側12/1000勾配の境界点となる。すなわち
3/1000 & 12/1000合流距離Lは、L×(12/1000+3/1000)=118 m
L=118m/(12+3)[km]
=7.866666666666・・・・・[km]
本線が3/1000勾配で下る距離=11.2−7.86666・・・・
=3.3333333・・・・[km]
3/1000勾配3.33333・・・・kmの標高差:3.33333・・・・km×(3/1000)
=10[m]
一方、本トンネル海底部長さは23.3kmあり、排水基地の間隔より0.9km長い。
片側450m差
は換気・排水斜坑の水平距離と仮定する(∵位置決め基準がない為の仮定基準)
龍飛側入口(今別町浜名:青函神社傍)から12/1000勾配で下って、先進導抗合流点に至る距離と標高差は
距離=11.2+0.45+13.55=25.200[km]、標高差=12‰×25.2
=302.4[m]高
、最深点はさらに+10mの
312.4[m]
吉岡側入口から12/1000で下って排水基地に到達する距離は
距離=17.0+0.45=17.45[km]、排水基地と入口の標高差は17.45km×12+118m
=327.4m
、
最深点と吉岡側入口の標高差は、327.4−(33.6−10)
=303.8m
。吉岡側が龍飛側より
8.6m
(=312.4−303.8)低い。
一方、トンネル最深部の水準は、公称平均水深140m+土被り100mの
240m
であるが、どの地点かの明記が無い。そこで3/1000最深点と仮定すると、トンネル入口の標高が、龍飛側:312.4−240
=72.4m
、吉岡側:303.8−240
=63.8m
となるが・・・・・・。
参考資料・文献
鉄道路線・施設を知りつくす:都市鉄道研究会著学習研究社2009/04/14刊
p75:[F2]
鉄道工学ハンドブック:久保田博著グランプリ出版1995/09/19刊
p92:[F3]
青函トンネル物語:編集委員会編著2013/06/15交通新聞社新書#055刊
:[F3]
龍飛定点の切換セクション
:日記#388
:
実際のトンネル入口の標高を地図やGoogle Earthで調べると、青函神社傍高架上での
22〜23m
だから、計算上の線路標高が
40m〜50m
前後高すぎ、両側の水準が異なるのだ。
何故か?
龍飛&吉岡両側の「定点」と「排水基地」の距離が異なり、龍飛側が近いと、両側の水準が逆転する!。未確定距離0.9kmの傾斜配分で等値にできる。すなわち、
x×12/1000+x×12/1000=8.6m→x=8.6/(24/1000)=0.3583333 [km]
∴定点−排水基地水平距離は、龍飛側
=91.66666m
(=0.45−0.3583333)、
吉岡側
=808.33333m
(=0.45+0.3583333)、であれば、両入口が同水準となる。
残るは海面水準=標高高過ぎの問題
各地点の距離関係は各資料一致していて、Google Earth地図から得られたトンネル入口標高を、 龍飛側を
22.4m
、吉岡側を
23.8m
と仮定すると、あり得る状況としては
海底最深部が12‰勾配区間にあり、トンネル最深部とは異なる場合、([F1]の灰色海底)
(青函トンネルのそもそもの配置としては、本州から北海道に続く海底山嶺のうねる尾根下を貫いてルート決めされている筈だから、そこをトンネルが直線で貫いた途中に最小土被り部分が出来るのはあり得ることだ。
「海底水深240m &土被り100m」
位置の具体的な位置データが何処にも記載されてないから、実は尾根のうねりで直上からズレた位置で
12‰勾配区間
に最小土被りがあるのかも知れない)
本トンネル海底部3‰区間での標高差10mだから
龍飛側差50mは12‰−3‰境界から標高で40m陸寄り。これは吉岡側と同値。
距離は=40m/(12/1000)
=3.3333333km陸寄り
(龍飛寄り or 吉岡寄り)となる。 (
図[F1]
に「灰色海底」として示す)
海底最深部≒トンネル最深部([F1]作図の前提)
トンネル入口付近に水平部がある場合の水平部長さは
龍飛側で、(72.4−22.4)/12
=4.16666 km
、
吉岡側で、(63.8−23.8)/12
=3.33333 km
総計の水平部
=7.5km
存在する??か又は
実際の勾配が12/1000より心持ち緩い
本抗の最深部が水平で、先進導抗3‰とは別勾配と仮定(久保田氏記事略図では3‰)。これで計算し直すと、3.3333333kmで10m分、(4.1666667m)で12.5m吉岡側が高くなって龍飛側とほぼ同レベルとなる。
ところが、「吉岡側排水基地と本トンネルの標高差が118m」という情報があって、これに合致するのは4.1666667kmで、吉岡側標高は変わらない!出入口の標高が9m余異なる矛盾は解消しないのである。
いずれが真相だろうか?
「最小土被り100m地点は本抗最深部ではなく、12/1000勾配部にある」
「排水基地が龍飛側の方がかなり定点に近い」
は数値的・寸法としてはかなり説得力有る結論だ。 大量の漏水の予想される海底トンネルに、水はけに問題を起こしそうな4.1666667kmもの水平部を設けることは無さそうだ。先進導抗=排水導抗に繋ぐ排水斜抗(0〜Max.12.5m高)を数本、掘ってるのは現実的ではない。トンネルの公表データに微妙な矛盾があるのだ。
計算し直したものでは、本抗トンネルの水平部は
吉岡排水基地とトンネル最深部の標高差が、118−33.6=84.4m、
これを12/1000勾配で下るから、水平本抗との出会い点距離は、84.4/12
=7.0333333 km
本抗水平部長さは、11.2−7.0333333
=4.1666666 km
となる。(水平部のある可能性はほとんど無い)
土被り100mの位置は、12/1000勾配中の標高から逆算すれば良いから
龍飛側勾配にあるとして、
40m登る距離は=40m/(12/1000)
=3.3333333km陸寄り
(龍飛寄り or 吉岡寄り)となる。
鉄建公団関係の技術者集団執筆の
図[F2]
(鉄道路線・施設を知りつくす:都市鉄道研究会著)が、実態に最も良く合った略図の様だが、本トンネル海底平坦部の勾配の記載が無いのが残念
「北海道新幹線も、コンテナー貨物貨物も1988年に供用されて以降32年間問走り続けていて無問題」というのは別の観点(ww
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2020/05/28 木 23:55 記す<2>
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