75-衆-予算委員会-11号 昭和50年02月13日

○三谷委員 八鹿高校で大変な事態が発生しております。これは、地方自治体、学校などの公的な機関が、部落解放同盟朝田派によりましておどかされて屈服をして、手下になって暴行に加わるという異常な事態が発生しております。国民にとりましては全く信じがたいことであります。しかしこれは八鹿だけの特殊な事件ではありません。地方自治体の行財政が暴力、脅迫によってゆがめられて支配されるという、重大な事態が随所で発生をしております。しかもこれは国民の間には十分に知られておりません。私は、引き続きこの点につきまして、関係大臣にお尋ねしたいと思います。

 福田自治大臣は、先般の本会議におきまして、同和問題につきましては、国が事業費の三分の二を負担することで解決すべきである、しかし、自治体が単独事業をやりますと地方財政を圧迫する、また国の予算がふえるとそれに対応する地方自治体の負担分がふえることも懸念しておる、こう言われております。しかしこれは、今日の同和行政、同和財政の実態を全く御承知になっていない議論だと思います。
 そこで、まず初めに、四十八年度決算における政府、府県、市町村を含めました同和予算の総額とその負担比率に一ついてお聞きしたいと思います。同じく四十八年度の大阪府下における同和予算と決算、その政府、府、市町村別の負担比率をお聞きしたいと思います。

○福田(一)国務大臣 お答えをいたします。
 実はその問題では、先般、調査をせよという御依頼もあったわけでございますが、その同和の関係におきましては、事務費とか教育費とかいろいろな面に分かれておりますので、自治省自体としては、この調査をいままではいたしておりません。区分がいろいろございますので、それを皆合わせて計上するというか、調査をするということは、非常に困難な実情でございますが、もし詳しい説明が必要とあれば、政府委員から答弁をいたさせます。

○松浦政府委員 お答えを申し上げます。
 自治省といたしましては、御承知のように、毎年度決算を徴収しているわけでございます。それぞれの費目について調査、集計はいたしておりますが、同和事業は、御承知のように、教育費あるいは民生費、そういったところへ全部細かに分かれて入っておりますので、同和事業の決算自体について集計したものは、自治省としては現在ございません。予算についても同様でございますので、お許しをいただきたいと思います。

○三谷委員 自治体の同和予算の実態、総体を全く御存じがない。要するに、同和事業そのものが掌握できていないということなんです。同和事業の総体がわからないということで、同和行政の問題が正しく打ち出せるわけはありません。
 同対審答申は、御承知のように、同和問題の解決は国の責務だとしております。同特法におきましても、同和予算はおおむね三分の二を国が負担するとされております。四十八年度の国の同和予算は四百二十五億三千万円であります。これが同和予算の三分の二としますと、自治体の同和予算は二百十三億ということになるわけであります。こういう実態なんでしょう。
 なお、まだ調査されていないとおっしゃっておりますが、各市町村、府県におきましては、同和予算を類別をして数字を明確に出しておりますが、これがどうして国として集約できないのか、お尋ねしたいと思います。

○松浦政府委員 自治省といたしまして、先ほど申し上げましたように、各費目の中に入り込んでおります同和予算、それを一々分析をこれまでいたしてきておりませんので、手元に数字がないということを申し上げておるわけでございます。

○三谷委員 なぜそれをおやりにならぬのですか。同和予算、同和事業の問題を論議します場合、その総体が幾らかということがわからない状態で、どうして正確な同和対策が立てられますか。なぜこれはできませんか。府県や市町村においては行っておるわけなんです。これを集約することをなぜしないのか。これは自治省の責任か、あるいは総理府の責任かわかりませんが、いずれにしても責任ある方から御答弁いただきたい。

○植木国務大臣 ただいま自治省からも御答弁がございましたけれども、国、府県、市町村の同和対策事業予算の決算額は、従前から把握いたしておりません。これは国の同和対策事業の決算につきましては、一般対策事業の中に含めて計上しているものもございまして、この総額を把握することは困難でございます。御指摘の点につきましては、閣係各省と協議をいたしまして、可能な限り把握に努めてまいりたいとは存じますけれども、大変困難でありますことを御了承いただきたいと存じます。

○三谷委員 国の同和予算につきましても、一般の予算に組み込んだものと純粋の同和予算と、類別をして資料をお出しになっている。各自治体もやっているわけなんです。これを集計することをおやりになっていない。なぜかということなんです。今後おやりになる意思があるかどうかをお尋ねしたい。

○植木国務大臣 ただいま申し上げましたように、大変把握が困難でございます。たとえば建設事業費の中の住宅予算等を挙げてみましても、その決算につきまして、総額としてこういう住宅建設事業を行ったということは把握できるのでございますが、その中の一般住宅と同和住宅との仕分けなどについては把握はできないというような状況等もございます。しかし、先ほど申し上げましたように、可能な限り把握に努めてまいりたいと考えております。これは関係各省庁と協議をさせていただきたいと存ずるのでございます。

○三谷委員 これはやる気になれば容易にできることなんです。できないという理由は一つもない。
 大阪府下の自治体の同和予算決算額を見ますと、四十八年度は六百六十六億に達している。大阪府下の同和対策事業に対する国の支出額は五十八億にすぎない。四十八年度の同和対策事業に係る起債額というのは二百四十二億八千九百万円。このうち基準財政需要額に算入しますものがわずかに八億九千五百万円にすぎない。これを合わせまして国の負担額は一二・五%にとどまっている。大阪府下の場合です。この実態について政府はどうお考えですか。同特法というのは、おおむね三分の二を国が負担をする、こういうたてまえになっている。ところが大阪府下の決算額で見ますと一二・五%にすぎない。起債額を含めまして、起債の国が元利償還分を見込むものを加えまして一二・五%にすぎない。この実態についてどうお考えでしょうか。

○福田(一)国務大臣 政府委員から答弁いたさせます。

○松浦政府委員 国の補助金が大阪府下の同対事業費の中で占めるウエートが一二%だという御指摘でございましたが、これは国の補助対象事業になっておりますものの三分の二に見合うものが一二・五%で、それ以外はそれぞれ単独事業として行われているというふうに、私どもとしてはその数字から理解せざるを得ません。
 単独事業につきましては、御承知のように、当初におきまして起債もお認めをいたしております。そういう形で予算を執行されておるというふうに理解をいたすわけであります。

○三谷委員 そこで、問題が少し明確になりましたが、地方自治体がこの財政危機の中におきまして、政府の基準の二十倍もの単独事業を自発的に好きこのんでやっておるのかどうかという問題なんです。そのように認識されておりますと、これは大変な認識不足であります。いやでも出さなければならない事情というものが地元におきましては発生してきておる。ここに同和行政の何よりも問題がある。これは解放同盟の朝田一派というのが暴力、恫喝をもってそれを強要するという問題、このことを抜きにして、いまの大変な単独事業の問題というものは実態をつかむことはできません。しかもこのことは、今回までしばしば自治大臣等がお認めになって、国会の答弁でも示されておるところであります。
 たとえば四十五年の十月におきましては、秋田自治大臣がこうおっしゃっている。住民全体の利益を、一部少数の人の利益のためでなく、公正な手段により、脅迫等の事態のもとでなく、健全に、公正に、平静に地方住民全体のためにやっていきたい、こういう御答弁をなさっております。渡海自治大臣は四十七年にこうおっしゃっている。窓口を一本化して特定団体だけに不公正な行政を行うことはよくない、こうおっしゃっております。奥野文部大臣は四十八年の国会におきまして、窓口一本化という言葉を使っておるけれども、私は行政権に対する不当な介入だと思う、これは同和問題の根本的解決のむしろ障害になるのではないか、深く心配しておる、こうおっしゃっている。江崎自治大臣は四十八年の国会におきまして、暴力によって地方自治体がおどかされて、その自主性を失うなどということがあれば、これは民主政治を根底から揺るがす行為である、よく調査したい。いろいろおっしゃっている。
 このことから見ましても、地方自治体の同和予算というものがどういうものを背景にして組み立てられておるかということは、政府も十分に認識をされておると思う。これは御承知ないとおっしゃるわけでしょうか。

○福田(一)国務大臣 ただいま御指摘になったような大阪府下の問題等々が計数上ある程度判明はいたしております。しかし私たちとしては、同和問題というものについて差別をできるだけなくしていこうというときに、差別がいかにもある実態を余り大きく出すということが、果たして大きく見た同和行政のいわゆる差別をなくするという方針に合致するかどうかというようなことも考えてみなければならない面があると思っております。
 同和の問題についていろいろ御指摘もございますが、もう一つ、われわれは地方自治という問題を無視するわけにはまいりません。すなわち、地方の市町村等がその単独事業というものをやる場合には、いずれも議会の議決を必要とするわけでございまして、当該市町村の議会において議決いたされたものを中央からむやみに制限を加えるというか、抑止するというようなことも、自治という大きな観点から見ますと、われわれとしては考慮をいたさなければならない面があるわけであります。そういう点もございまして、いままで余り警告するとかそういうことをしておりませんけれども、私は同対審のあれから言って、公正に行われなければならないということがその趣旨でございますから、そういう面を欠いておるとか、あるいはまた、自治の精神が暴力によってゆがめられておるようなことがあったとしたら、これは今後は是正をしていかなければならない問題と考えております。

○三谷委員 地方自治を尊重されますことは大変結構だと思いますが、いまは、地方自治体の同和行政、同和予算というものは、真の自治性の上に立って成り立っていないという状況があるということを、先ほどから申し上げたわけであります。どのようなおどしやあるいは暴行が行われておるか、これは今日まで表面に出ましたものだけでもずいぶんあります。表面に出るのは、解同朝田派の暴力に屈服しない場合、脅迫に屈服しない場合です。その場合にトラブルが起きてくる。そうしてこれが表面に出るわけでありまして、密室の中で屈服しました場合には、これは暴力という形では表面には出てこない。これはもう明らかな法則であります。しかし、それでは暴力がなかったから脅迫はなかったかと言いますと、そうじゃない。かん詰め交渉、脅迫交渉は常套手段になっております。しかもそれが波及的な効果を発揮しまして、全体の市の理事者や議会に対して影響を及ぼしている、こういう経路をたどっておるのであります。

 脅迫で市長や理事者を屈服させました後は、これに同調しない議員、これを批判する議員を片っ端から攻撃する。この実例はたくさんあります。このような議会や議員に対する恫喝というものも、大阪市、八尾市、大東市、吹田市などでは日常ふだんに行われております。私もこれは大阪府議会におきまして経験してまいりました。

 私が経験しましたのは四十三年、四十五年のことでありますけれども、四十三年度におきまして巡回生活相談用のバスを購入するということで五百三十六万円の予算を大阪府が出した。ところが四十五年になりましてもバスの影も形もない。おまけに金も行方がわからない。そこで、おかしいというので議会で追及したことから、三十数名が私どもの控え室に乱入をしてきて、約一時間にわたって監禁をされ、ばり雑言を浴びせられる、同僚議員、事務局員が暴行を受ける、こういう事件が発生しております。この主犯は、つい先般、大阪地裁で処罰を受けたばかりであります。

 吹田市の山本市長監禁事件は御承知と思います。四十四年の六月四日から六日まで、三日二晩にわたりまして、数百人が個人の住まいを包囲して、電話、水道、ガスを切断する、そうして窓口一本化を強要する、あるいは要求する予算を認めろと要求した。
 西宮市役所の占拠事件は御承知でしょう。これは四十八年九月十日から十月二日まで続いている。市役所、市議会を占拠して辰馬市長、松岡助役、松浦助役、八人の全局長、三人の部長が辞意を表明する、十六日以後十数日間登庁していない、こういう事件が起きております。これは十月に屈服している。
 亀岡の市教委の次長暴行事件も御承知だと思う。これは四十九年の三月に教育次長に暴行を加えておる。市の幹部十二名が連袂して辞職をした、こういう問題が起きておる。
 羽曳野市の津田市長監禁事件、御承知でしょう。これは四十八年の十一月の下旬から連日脅迫的な行動を行っている。四十八年の十二月四日には、三百人で市長を五時間監禁をした。四十九年の一月の十四日には、八百人で押しかけて、十五時間にわたって市長を監禁している。飯も食っていない。職員に殴るけるの暴行を加えて、二人が五日と十日の負傷を負っている。
 八尾市の助役に対するピストル発射事件、御承知ですか。これは四十六年三月でありますけれども、解同と八尾市の助役、これは一人はいま大阪府の企画部長をしております幡谷君でありますが、もう一人は渡辺君という助役がおりましたが、これと市長の応接室で交渉中、うまく交渉がはかどらないからといってピストルを撃ち込んだ、これが二人の真ん中を通過した、こういう事件も起きてきている。
 四十五年におきましては、渡辺助役はさらに、市役所の三階の会議室で交渉中に、六尺机をひっくり返されて、それで足を打撲していまだにびっこになっている。こういう状態が公然として白昼発生しておるのであります。
 例を挙げますとこれは切りがありませんから、この程度にしておきますけれども、こういう事態というものが連続して起きております。

 これは理事者に対する脅迫、暴行でありますが、議会はどうかといいますと、それによって屈服しました理事者の方針を聞かない議員に対しては、除名をさせるとか、あるいは殴るけるの暴行を加えるということが、これまた連続して行われている。
 たとえば一番わかりやすいのは、四十四年六月に起きました八尾市議会における斉藤議員に対する除名問題であります。これは同和問題を質問しようとしましたところが、解同朝田派が斉藤君のところに押しかけまして、質問をやめよと強要した。聞かないと見ますと、廊下に待ち伏せして殴るけるの暴行を加える。議長に対しても、発言をやめさせろ、やめさせなければ混乱が起きると脅迫して、議会の審議権まで封じようとした。斉藤議員がこれに屈せず同和住宅問題について質問を行いますと、解同朝田派というのは議会の全員協議会を開かした。そして一人一人の議員を指さして、懲罰せよ、反対するならおまえは差別者だ、こういうおどかしをかけて、ついに斉藤議員の懲罰の除名決議をやったのであります。これは後に、大阪地裁におきまして除名効力停止が決定されましたので、大阪府知事も除名処分の取り消しの審決を行いました。これは一つの議会に対する脅迫の事実なんです。

 このようにしまして、同和予算、同和行政というものは、恫喝、脅迫の上に成り立ってきておるということ、これは地方自治体の自主性などではありません。だれが見ても明らかなことなんです。この事態に対して政府はどのように認識されておりますか、どのようにこれを処置されようとしておりますか、お尋ねしたいと思います。

○福田(一)国務大臣 われわれといたしましては、しばしば申し上げておるところでございますが、暴行とか脅迫とかいうようなことが行われることは、民主政治の破壊につながるものでありますから、絶対に認めるわけにはまいりません。そういうようなことが今後起きないように、われわれとしては、できるだけの措置をとりたいと考えておるところでありまして、いま過去におけるいろいろの事例をお挙げになっておりますが、われわれは、今後の問題といたしましては、そういうことのないように、極力暴行あるいは脅迫というような事実をなくするように全力を尽くしてまいりたい、かように考えております。

○三谷委員 この暴力的な威圧によりまして、今日の同和行政には二つの面の不公正が出ております。一つは一般住民施策との間における極端な格差であります。いわば同和の名による逆差別であります。もう一つは、同和地区内における新しい差別、つまり朝田派とそれに属さない者に対する格差であります。これは新差別と言われております。
 この逆差別がどう進んでおるかということ、これを私は問題として提起したいと思うのです。

 たとえば大阪市の浪速区というところでは、同和総合計画がいま進んでおるのです。これは本会議でも部分的にはお尋ねした問題であります。ここは人口一万五千人の同和地域であります。この地域に、小学校五十億五千万円、解放会館が三十五億二千万円、買物センターというのが二十五億九千万円、老人センターというのが十五億六千万円、これだけで百二十七億二千万円になる。この上に青少年会館の建設計画があります。この建設費を、それぞれの平準的な規模における建設費と比較してみますと、小学校で七倍、老人センターで二十倍、買物センターで十六倍という驚くべきものであります。
 この五十億五千万円の建設費を投入します栄小学校というのは、生徒数は六百四十七名の小規模校でありますが、これに敷地は約五万平米を用いるというのです。冷暖房つき、千人を優に収容できる食堂、講堂、体育館、プール二面、二百メートルトラックという超デラックスなものであります。すでに竣工しました矢田小学校も、四十七億の建設費を費やして冷暖房つきのデラックスな校舎であります。

 一方では、一般校はどうでしょうか。雨漏り、壁崩れ、床腐れなどの惨たんたる状態で放置されております。老朽校舎、プレハブ教室、特別教室の不足など、施設の緊急整備を要するものが大阪市だけで延べ三百七十五校にも及んでおります。
 これは、百聞は一見にしかずと言いますから、具体的に見ていただきます。これが一般校の状態です。茨田南小学校です。雨が漏る、こういう教室が使われております。これは岸里小学校、壁崩れです。これは南田辺小学校、もうといも崩れてしまって、雨が浸透する。これが一般校の現状なんですよ。
 一方、どうですか、これが四十七億円かけました矢田小学校。どうです、これが堺市協和町の同和住宅。家賃は千百円の住宅です。これがいまの矢田小学校で、これは切れているものですから少し量的な感じが出ませんが、こういう状態になってきている。

 同和地域や指定校におきまして、それにふさわしい施設が必要なことは、これは当然なんです。しかしこれでは余りにも格差がひど過ぎる。同時期に完工しました一般校を見ますと、生徒数六百五十八人の大阪市立の巽東小学校というのは八億二千万円、少し完工の早かった喜連東小学校、生徒数は千五百九十六人でありますが、総工費八億八千万円です。一般校におきましては、土地代を含めまして八億台のものが引き続き建設されておる。同和指定校になりますと、四十七億から五十億五千万円。いま計画しております意岐部小学校は四十一億という。これは余りにも差別が極端じゃないですか。これは逆の差別行政じゃないですか。奥野文部大臣は、この学校建設につきまして、夢のような話だとお答えになった。夢ではない、これは現実なんです。こういう不公正な行政は是正させるべきだと思いますが、どうでしょう。

○永井国務大臣 ただいまの問題についてお答え申し上げます。
 大阪に限りませず、どこにおきましても、わが国の子供が勉強していきます上に、教育の条件を整えるということが文部省の基本方針でございます。しかしながら、いま奥野文部大臣の御発言の引用がございましたけれども、必ずしも条件が整っていないというところに問題がございますから、それをどうしていくかということで検討し、また政策を進めていくという考えであり、またそのように努力しているつもりでございます。

 先ほどの大阪府の浪速地区に関して申しますと、栄小学校について御質問があったというふうに理解いたしております。それはいまのような、デラックスに過ぎるのではないかということでございます。そこで、大阪府の教育委員会を通しまして、栄小学校の実態について文部省として事情を調査いたしました。これについて教育委員会から大阪市の回答というものを寄せてきたのでございますが、それはいわゆる学校だけではなくて、地区の全体的改善ということをねらったものであるという考えを示されたわけであります。文部省はただ、さらに栄小学校の学校規模、これについての教育的必要性などについて説明を聴取しておりました。その間に大阪府からの融資によって財源措置が行われる、その見通しになったということがわかりましたので、この件につきましては、国としての助成措置を考えないという立場をとるに至りました。

 それは以上申し上げたとおりでございまして、そのような態度で臨んでいるわけでありますが、他方、御指摘のように、プレハブ宿舎というようなものがあるということも、これはきわめて重要な問題でありまして、それをどうやって解消していくかというふうに考えなければいけないわけであります。
 大阪府について申しますと、昭和四十八年五月一日現在でプレハブ校舎が三百四十五でございますが、それから解消に努力いたしまして、一年後の四十九年五月一日現在、プレハブの数が二百九十九と減少いたしております。しかしながら、さらに減少に努めなければいけないわけでありまして、そこで、四十九年度の補助事業などによって、大部分が解消される予定でございますが、さらにまた人口急増のための問題が生じてまいります。そこで五十年度に、新設校のための用地難から生じる問題が若干は残るものと予想されております。そこで大阪市で、四十九年度から五十一年度までの三カ年計画によって校舎整備の重点的計画を行っておりますが、文部省といたしましては、義務教育施設の整備、特にプレハブ教室の解消を重点として国の助成に努力をいたしております。
 昭和五十年度におきまして、約九百万円、小中学校校舎の予算を計上いたしておりますが、それは、いまの御趣旨の根本に関連して申し上げますと、なるべく、すべてプレハブ学校をなくして、そして教育条件を整備していく。そうしてまた自治体において非常に大きな融資が行われるときには、政府の方で補助しない、そういう形でございますことを御報告いたします。

○三谷委員 いまのお答えは質問と焦点が合っておりません。こういう逆差別はやめるべきではないか、こういうお尋ねをしたのであって、もちろん全体をよくするということはいいことでありますが、しかし、いまそういう条件のない中で五十億もするような学校がなぜ必要なのか。一方では八億、九億で事足っておる、それがなぜ五十億も必要なのかという問題についてお尋ねしたのです。
 これは時間がありません。そう詳しくは申し上げられませんけれども、たとえば大阪市の茨田小学校などは、運動場が狭くて、高学年、低学年分けて運動場を使っている。講堂も定員の四分の一しか収容できない、それだから行事ができない、こういうところもいまだに残っております。それから南百済小学校のように、プレハブ教室が十二教室ある。屋根の上にまでプレハブ教室をつくっている。夏季になりますと、四十度の熱がこもってくるという。こういうものが放置されておる。しかも、八億、九億で事が足りますのに、どうして五十億も四十七億もかけて特殊な学校が必要なのか、そういう差別は改めるべきだ、こういうことをお尋ねしておる。

○永井国務大臣 私、先ほど申し上げたところで数字が間違っていたので、非常に趣旨が徹底しなかったと思いますが、昭和五十年度小中学校校舎予算約九百万円と申し上げたそうですか、九百億円でございます。これは大変な違い。
 そこで、プレハブの校舎、それもプレハブ教室。先ほど言い違いがあったとすると申し上げておきますが、それの解消でございます。それで、さらにデラックスな学校をどうするかということについての処置は、栄小学校のケースを申し上げた。そしてどういうふうにやっているかということを申し上げたのですが、これは一つ一つのケースについてお話を申し上げるほかはないわけだと思いますので、栄小学校のような方針で臨んでいるというふうにお答え申し上げたわけであります。

○三谷委員 栄小学校のケースも、何らそれを首肯せしめる内容ではありません。地域改善の事業の一つだとおっしゃっている。そのことと一体五十億もする学校とどうつながってくるのか、そこの有機性は一つも明確になっておりません。いずれにしましても、この問題だけをいまここで取り上げてお尋ねを続けるわけにはいきませんけれども、こういう逆な差別をやめなくちゃいけません。同対審答申というものは、逆な差別をつくりなさいなどと言っていないのだ。差別をなくすることを言っているのだ。これは、差別をなくするべき行政におきまして、差別が広がっているという状態なんです。差別をされることに反対する者は、差別をすることにも反対しなくちゃならぬわけだ。一方では差別反対と言いながら、一方では他を差別するような行政が同和行政じゃないことは言うまでもないことだ。これについてお尋ねしたのです。

 あわせてお尋ねしておきますが、大阪市というのは人口二百八十万人なんです。同和地区人口は五万八千人、ですから、これは二%強なんです。ところが、四十九年度の民生福祉事業費を見ますと二百五十六億円。その二百五十六億円の民生福祉事業費の中で同和事業費が百九十億六千万円になっている。七七%になっておるわけだ。二%のために七七%。そのために、たとえば一般保育所におきましては、四千四十七名の児童が入所できない。同和地区保育所におきましては、定員の七六%しか施設に入っていないで余剰が生じてきている。これが国民の同権、平等に反しないのかどうか、お尋ねしたい。

○福田(一)国務大臣 御指摘のような数字は、はなはだ申しわけないわけで、つまびらかにいたしておりませんが、この差別の問題について、これをなくしなければいけないという方針に基づいて、同対審によって、この同和予算を大いにふやすということで、われわれは協力をいたしてきておるわけでございます。
 そこで、その協力をしてきておる予算の使い方の問題でいろいろ論議が起こっておるのでありますが、しかしこの同和問題というのは、やはりいままでに差別があったということについて、われわれが、これは差別をなくしなければいかぬというつもりで、予算の拡充をし、差別をなくするようにしたのでありますが、物事を是正しようというときには、やはり少しアクセントをつけるというか、力を入れないというとできません。そこで、そういうのが若干行き過ぎが起きておる面が、このいま御指摘になったような問題が起きておるのではないかと思うのでありますが、しかし、そういうふうなことをして、いま御指摘のあったようなまた新しい格差ができるとか差別ができるとかということは、これはやはり順次直していかなければならない問題であると私は考えるのでございまして、物事をやるときに、非常にこれは悪いということなら、それは改めろということで、少しそれが行き過ぎになる、行き過ぎたらまたそれを直す、こういうふうにして政治というものを中正なところへ持っていくというのが政治の目的ではなかろうかと私は思うのでございます。
 過去の問題についての御指摘については、われわれもなるほどと思う面もありますけれども、しかしまた、そういうことをやらざるを得ないようになったところ、その根源を考えてみますと、われわれとしても何とかしてあげたいという気持ちでやったことでございますので、そこいらをひとつお互いに理解して、そうして何とか中正なところへ持っていくようにみんなで努力するということが、同和問題に対するわれわれ政治家としての務めではなかろうか、私はかように考えておるわけであります。

○三谷委員 あなたがおっしゃいますように、差別があった、これは事実なんです。これをなくするために努力する、これは当然のことなんです。そこで、その場合に、少し足りないものを足りるようにするために行き過ぎが出てくる、アクセントがつくとおっしゃっている。ところが、このアクセントば少しひど過ぎやしませんか。  私どもも、同和地域に対する特別な配慮を払っていくということについて、反対するものじゃありません。しかし、このような余りにも常軌を逸した差別というものが逆に生じてくる。これは決して差別をなくする道じゃありません。逆に一般地区の住民からは、いろいろな批判が出てくる。そのことが差別をなくする障害になってくるわけなんです。そこが非常に大事な点であります。
 それから、みんなで努力するとおっしゃっておりますけれども、それはどういう意味なんですか。これは政治に責任を持つ政府が第一義的に責任を持つべきものである。これは当然のことなんだ。全部が責任があるんだ、そういう国民総責任論などをここで述べるべき場合じゃない。政府の行政の責任としてお尋ねしておるのであって、問題をすりかえて転嫁してもらっては困る。
 しかも、さっき申しましたように、こういう事態が発生してきますのは背景があるということなんです。その背景につきましては、具体的な例を先ほど並べて、前提として質問したじゃないですか。どのようにして理事者が脅迫されているか、どのようにして議員が暴行を受けてきたか。その上にこれができておるというところに問題があるのであって、これに対して政府がいかなる処置をどるべきかということをお尋ねしておる。
    〔委員長退席、小山(長)委員長代理着席〕

○福田(一)国務大臣 先ほども申し上げたところでありますが、差別をなくするために差別が出てくるというようなことは、われわれとしては好ましいことではございませんし、政治の姿として、また政治を担当しておるわれわれとしても、それは十分わかっております。わかっておりますが、先ほど申し上げたみんなでという意味は、これは長い間の同和問題というものを解決するのでありますから、やはり政府もそういうつもりでやらねばいけませんが、みんな国民全部も同和問題というものを理解して、そうして差別をなくするようにしてもらいたいという願望を述べたわけでございます。

○三谷委員 国民が理解をすることは当然必要なことなんです。そのための教育も必要であります。そんなことは一つも否定していない。問題は、そういうところで指摘しているわけじゃありません。今日の地方自治体の問題については、たとえば自治省あたりは人件費が最大の問題だとおっしゃっておる。しかし、このような、一般水準から比較しまして七倍も八倍もするような、そういうデラックスな特別な建物をつくったり、施設をつくる、そのことについては一つもお触れになっていない。そういう根拠はないのです。しかしこれが行われておる。行われておりますのは、暴力があり脅迫があるからだ。それに対してどうするかという問題こそが、いま問われておる問題なんです。それについて適正なお答えがありません。

○福田(一)国務大臣 そういうようなりっぱなものができたから、いまこれを取り壊して直すというわけにはいかないのです。私が申し上げておることは、そういうことの差別がないように今後われわれとしては努力をいたします、こういうことを申し上げておるわけであります。

○三谷委員 その努力のほうにアクセントがかかればよろしい。しかし、いままで聞いておりますと、そこでなしに、何かある方が、こういうものが生じておることが妥当であるかのようなところにアクセントがあったから重ねてお尋ねしたのです。当然こういうことは是正するために努力してもらいたいと思います。

 そこで、もう一つ実例を挙げておきますけれども、松原市というところがあるのです。ここは前回、渡海自治大臣も国会の答弁で引用されておる。これは松原市の理事者に会ったが、同和で手いっぱいで何もできないと言っている。このことを渡海自治大臣がおっしゃっておる。
 この松原市におきまして二十四戸の酪農家がある。これを収容しますために、二十二億円を投じまして酪農団地をつくった。乳牛の飼育を一カ所でやろうというので、二十二億出したわけであります。これは名目は部落の環境整備と部落産業の振興となっておる。解同朝田派が要求したものです。二十二億だけ出しまして酪農団地をつくりました。ところが酪農家はここに乳牛を移すことをがえんじない。建設後一年たちました今日におきましても、いまだに放置されたままになっておる。一戸に約一億円の工費支弁になっておる。世間では全く信じられないと言っておる。こういうことが起きておるのです。つまりこれは、自分の住まいと隣接して牛を飼っておりますから、この方が便利もいいし、労力の面からも助かる。それを一カ所の団地に集めようとした。たった二十四軒の酪農家ですよ。二十二億の市費を支弁してこれをつくった。ところが酪農家がこれに移ってこない、こういうことが起きておる。こういう事態に対してどうお考えになりますか。二方におきまして、この松原市というのは人口十三万の都市でありますけれども、いまだに屎尿処理場がない。肥の始末がつかない。河川投棄をして警察ざたになっておる。今後におきましても、海洋投棄をするほか手がないという状態になってきておる。ごみ処理場も狭くて、大型ごみが処理できない。生駒金剛山系の谷に投棄して、環境破壊で問題になっておる。こういう状態が起きてきておる。
 この背景にあるものは何かというと、良識のある自治体の議員や理事者というのが、肥やごみの始末がつかないのに二十四戸の酪農家のために二十二億の団地をつくる、そんなことが起きてくるわけはない。しかし、そういうことが現実に起きてきている。この背景にあるものは何かということですね。この究明こそが政府の重大な責務だと私は考えておる。これは農林省の関係かもわかりませんが、農林大臣がいらっしゃって、管轄であればお答えをいただきたいと思います。

○安倍国務大臣 ただいまお話がございました松原の酪農団地は、市の単独事業でやっておるわけで、国の方としては公害関係の予算を一部程度つけておるわけでございます。

○三谷委員 単独事業で、赤字財政で困っている、そういう市がこういうことをやらざるを得ないという事態ですね、これについて十分な御認識をいただきたいと私は思います。
 これらの自治体におきます同和予算の比率というものは、実にこれは高いのです。たとえば予算総額に占めます同和予算の比率につきましては、これは本会議におきましても述べたところでありますが、これを建設事業費において見ますと、大阪府下市町村の四十八年度決算に係る建設事業費の中で同和建設事業費の占める割合というものは、たとえば貝塚市におきましては、部落人口は二・八%でありますが、建設事業対比では六一・四九%になっている。泉南市におきましては、六・五%の部落人口になっておりますけれども、同和建設事業費は、全体の建設事業の中の五九・一九%になっている。八尾市におきましては、四・二%の人口ですけれども五〇・七〇%。松原市におきましては、一・八%の人口に対して四四・二%。能勢町、岬町におきましても、それぞれ五〇%から四二%という比率になっている。
 こういう状態を放置しておきまして、地方自治体が真に全体の住民に対する公正な行政が執行できるでしょうか。地方自治体の人件費だけはじゃんじゃん問題にしていらっしゃいますけれども、それはそれとして検討すべき問題があるとしましても、こういう常軌を逸した予算処置について調査し是正する処置をどうしておとりにならないのか。行政の公正、地方財政の上でも重大な問題ではないでしょうか。こういう問題について、政府が取り上げて解決するために、どのような処置をおとりになってきたのかお尋ねしたいと思います。

○福田(一)国務大臣 いままで御指摘になったようなこと等もありまして、自治省といたしましては、いま関係庁との間に、どういうようなことが行われたか、あるいは今後どのように処理すべきかということを含めましていろいろ協議をいたしておる段階でございます。しかし、同時にまた自治省自体は、特にいま御指摘のあったような主な府県に対しましては、総務部長を先般も集めた際に、この地方自治というものはもちろん十分尊重しなければならないけれども、しかし、それかといって余り差のひどい事業措置をするようなことについては、今後はひとつ考えてはどうかということを指示をいたしておる、こういう措置をとっておるわけでございます。

○三谷委員 政府の処置につきましては後でまたお尋ねしますが、これほどの同和予算を使い同和行政がやられておりますから、同和地区住民はこぞって大変な受益をしておるのかといいますと、そうではない。部落の中で新しい差別がつくり出されまして、同和行政施策からはじき出されておる住民が少なくないのです。この新差別についてお尋ねしたいと思います。
 同和地区住民を対象にしました個人給付制度などが実施されております。たとえば、妊産婦見舞い金、義務教育就学奨励金、高等学校入学支度金、高等学校奨学金、大学入学支度金あるいは大学奨学金、就職支度金、職業訓練手当、あるいは職業訓練学校入学支度金、技能修得資金、技能修得奨励金など多様にわたっております。このことは、この施策そのものがどうこうというのでなしに、朝田派の認める者以外は、未解放部落住民でありましてもこの制度の適用から除外されているという問題なんです。

 たとえば大阪におきましては、そのための不作為違法確認請求訴訟が提起されておる。改善を見たものもあります。審議中のものもあります。改善を見ましたものは、裁判所の判決によりまして救済を見たわけでありますが、この裁判所の判決というものは、すべてそのような処置は、憲法十四条、法のもとの平等に反しておる、あるいは自治法十条第二項の住民の権利を侵すものである、あるいはまた、自治法の百三十八条の二の執行機関の義務に反するものである、だからそのような処置は正しくないのだ、こういう判決が出てきて、そして救済を受けております。まだ審理中のものもあるのであります。こうしてこの逆差別というものが大変大きな問題になっております。

 時間の関係がありますから一括して説明申し上げますが、大阪市の支給要綱などを見ますと、この差別を制度化してしまっている。たとえば妊産婦見舞い金の受給資格というのは、大阪市同和促進協議会会長及び地区協議会会長が「適当と認め、推せんした者」とされている。との同和促進協議会というのは何かと言いますと、これは会長以下理事、会計監査まで十六名役員がおりますが、これは全部が朝田派の役員なんです。身がわり組織になっている。市長があらかじめこの対策資金を同促協会長に交付して預けておく、同促協会長は個々の決定内容に基づきまして地区協会長を通じて申請者に支給をする、こうなっている。公金の管理、支出、給付者の決定権まで、すべて民間団体に委譲されておる。これは全く違法じゃないですか。
 地方自治法の百三十八条の二項、いま判例からも引きましたけれども、行政事務はすべて、自治体の執行部が、みずからの判断と責任において、誠実に管理し執行する義務を定めております。いわんや暴力、脅迫をもって事とする団体が行政権を管理するなどということが認められますか。これは公共団体の基本的性格を損なう処置ではありませんか。是正処置を指導すべきだと思いますが、どうでしょう。

○福田(一)国務大臣 ただいまそういう具体的な問題で指示がございましたが、権利を守ることは、これは訴訟その他の問題等々もございまして、それぞれの不公正な措置を受けた者が、これを訴訟に訴えるということは当然の措置であり、またやってしかるべきことでありますが、われわれとしては、行政の立場から言えば、地方の自治体が地方の住民に対して、なるべく公正に物事を取り扱うようにということを指示をいたしておるわけであります。

○三谷委員 一般論をおっしゃっただけであって、いまの具体的な事例に基づいて指導を強める必要はありませんかとお尋ねをいたしたのです。

○福田(一)国務大臣 そういうようなこともございますので、この間も総務部長等集めまして、なるべく公正に物事をやるようにということを指示をいたしておるわけであります。

○三谷委員 こういうことが行われますのはなぜかということ。部落差別を解消するための、未解放部落の劣悪な環境や生活条件を改善する立場に立てば、このような部落住民間における差別などあるわけはないのです。なぜこういう差別の廃止に反することがやられておるのか。そうして市民から、これが差別の撤廃だろうかと疑われるようなことがやられるのか。世間の非難を受けることを無理無体にやるのかということ。ここに非常に重要な問題がありますが、この同和予算、同和行政から利権を得ておる、これを利権の対象にしておる、そこに問題があるわけです。差別解消を名目にした利権のために行政を利用するようなことがあってはなりません。
 一月二十日付のヘラルド・トリビューン紙を見ますと、こう書いてある。旅行者がフランスで買いました英字紙でありますけれども、解同朝田派の蛮行を紹介しまして、暴力が利権をもたらすと考えているようだと書いている。こういう指摘が外国の新聞においても行われている。
 利権の仕掛けはいろいろな形で行われております。その一つが、たとえば同和建設協会という建設業者の組織であります。建設大臣がお越しでありますからお尋ねしたいと思いますけれども、大阪、東京などにおきまして同和建設協会という団体が組織されております。そうして朝田派が自治体に交渉して、自治体当局を従わせて、ほとんどの目ぼしい事業をこの業者に請け負わせております。たとえば四十八年度の同和建設協会加入業者の請負工事というのは、大阪市だけで見ましても百四十三億八千三百万円に達しておる。四十九年度上半期におきましても五十四億九千万円に達しておる。これは大阪市の全請負契約件数の三分の一を占めておる。それから羽曳野の四十八年度の工事契約は、九億二千万円のうち六億円を海原建設という同建協の大将が請け負っております。松原市におきましても、四十四年から四十七年にかけまして、同建協の太田組の請負件数が十四件、二十三億三千八百万円に上っている。
 われわれは、中小企業に特別な配慮を払うことを否定するものではありませんが、これを悪用して、特定の団体が事業の請負にまで介入をして、特定業者が請負工事を占有するような不公正は認めてはならないと考えております。しかも、この請負に対しましては、朝田派の言うところでは〇・七%、実際に業者の話によりますと七%の定率の納付金が取られておる、こう言っている。公共団体の予算の執行にピンはねが体制的に組み立てられている。契約金の一定額を制度的に納付するものである、それを前提として工事の請負をさせるという措置がとられております。自治体の工事請負契約の規定に違反しませんでしょうか。行政の公平性に対して違反しないでしょうか。

○仮谷国務大臣 お答えをいたしますが、公共事業の発注に当たっては、発注標準に基づいて建設業者を選定するということになっておりまして、具体的な指名は、地元の事情を考慮して発注者の自主的な判断に任す、こういうことになっておることは御承知のとおりであります。したがいまして、地方公共団体が公共事業を発注する際においては、やはり当該地方公共団体が地元事情に明るい同業者の団体からいろいろの意見を聴取するという措置をとることは、私は必ずしも不当とは考えておりません。いま具体的な問題がございましたが、これは発注者自体の問題でありまして、私ども実は承知いたしておらぬことであります。

○三谷委員 これが行政の公正性に反しないのかということをお尋ねしておるわけです。それで、いま発注者自体の権限によるものだとおっしゃっておりますが、この発注者というものが、前段で説明しましたような脅迫、暴行などによりまして、そうせざるを得ない条件があるということも考えてお答えいただかないと困るのですよ。

○仮谷国務大臣 繰り返して申し上げますが、発注標準に基づいて、発注事項の規模に見合った施工能力を十分考えた上で業者を選定しておるのでありまして、そういう意味で、業者団体から意見を聞きながら発注していくということ、これは入札制度の上からも私は格別問題があると思っておりません。おっしゃるような問題があるということについては、これは私どもがそこまで関知する問題でない、かように思っております。

○三谷委員 入札制度の点からいきますと、これは地方自治法に明確な規定があるのです。地方自治体の契約というものは、一般競争入札、随意契約それから指名競争入札、三つがあって、それぞれの規定がなされておる。いまこれにつきまして私どもは法令上の問題としてお尋ねするわけでありませんが、その点からいきましても問題はあるものであります。あるものでありますが、ピンはねがそこについて回る。しかもこの不当な請負額というものが、特定の団体を通じて業者に行われてきておる。こういう問題についてどうですかということをお尋ねしたのです。

○仮谷国務大臣 そういう事態が事実あるとすれば、これはまことに遺憾なことでありますが、私ども関知してない問題でありますから、そういった面については今後も十分指導してまいりたい、かように存じております。

○三谷委員 関知してないとおっしゃっておりますが、それならお尋ねしますけれども、政府はしばしば通達をお出しになっておる。この通達というものが何のために出されておりますのか、お尋ねしたいと思うのです。

○植木国務大臣 ただいま御指摘の通達は、昭和四十四年七月及び四十八年五月に出しました関係各省事務次官連名通達のことではないかと思うのでございますが、これは同和対策事業特別措置法の円滑かつ公正な実施について十分な配慮をするようにということを、地方自治団体に示達をいたしているのでございます。

○三谷委員 政府は今日まで、しばしば同和行政の公正について通達をお出しになっている。四十五年の建設省住宅局長通達、四十七年の自治省振興課長通達、四十八年の総理府の通達、四十八年の関係各省事務次官通達などが出ております。このこと自体が、同和行政が不当にゆがめられておることを証明しているのです。それがなければ通達を出す必要はない。しかし通達は出しっ放しになっているんじゃないか。この通達がどのように各自治体の同和行政に正しく反映したかどうか、調査されておりますか。通達を出すだけじゃだめですよ。出すだけですと実態がわからないから、先ほどからのようなあいまいな答弁になってしまう。この通達に基づきましてどういう改善がなされましたか、これをお尋ねしたい。

○植木国務大臣 同和対策事業は、それぞれの地域の実情に即して行われるべきものでございますが、同時に、関係地区住民を等しく対象にいたしまして、公平に実施すべきものであるということは当然のことでございます。各地方自治団体におきましては、具体的な事業の指導につきまして、この通達の趣旨に基づいて、地方自治のたてまえにのっとってこれを行うべきものでございまして、私どもといたしましては、この趣旨の徹底につきまして、各関係省庁の協力のもとに機会をとらえて行っているところでございます。先ほど自治大臣から、本年の一月に総務部長会議を行って、その際いろいろ指示をしたというお話もございましたが、総理府といたしましても、昨年末、主管部課長会議を招集をいたしておりますし、また同時に、この予算成立後にも主管部課長会議等を開きまして、この趣旨の徹底を図ってまいりたい、こう考えているのでございます。
 なお、成果について調査を行っているかということでございますけれども、私どもといたしましては、できるだけこの趣旨の徹底を図りますように指導を行うということが重要であると考えているのでございまして、個別の事例につきまして調査を行うということはいたしません。これは各関係省庁が行っておられるところでございます。

○三谷委員 各関係省庁の調査結果について御報告いただきたい。

○福田(一)国務大臣 先ほど来お答えいたしておりましたとおり、そういう調査を具体的にやることが事務的にまだ困難でありますから、やっておらないわけでありますが、われわれとしては、そういうことのないように、また同時に、余りそういう点を強調していわゆる地方自治の考え方をセーブするようなことのないように、という配慮も考えていかなければならないのでありまして、余り上の方から、これをしてはいかぬ、あれをしてはいかぬというようなことは、私たちとしてはできるだけ差し控えていきたいというのが、自治という精神に合致するのではないか。しかし、一方においてそういう不公正があるようなことは、極力自治体においても考えてもらいたい、こういうところで問題の処理をいたしてまいっておるつもりでございます。

○永井国務大臣 文部省といたしましても、調査ということはいたしておりません。そういう状況でございますが、しかし、先ほどから御指摘がございましたように、教育の現場におきまして必ずしも原則としていることが守られていない場合、そういう場合には繰り返し指導助言を行ってきております。ケース・バイ・ケースで指導助言を行ってきております。
 そのときの原則というのは、先ほどから話が出ましたように、もちろん都道府県教育委員会の自主的な判断と責任を重んじるということでございますけれども、しかしながら、同和教育というものを進めていくときには、教育の中立性というものを重んじて公正に進めていく、それが損なわれているようなおそれがあると考えられます場合には指導助言を行ってきているというのが、これまでの進め方でございます。

○安倍国務大臣 昭和四十六年三月二十九日付の連名通達に基づく農林省関係の事業は、四地区について計画が策定され、そのうちの三地区については、現在事業を実施中でございます。
 なお、農林省所管の同和対策事業については、昭和四十八年五月十七日付の連名通達の趣旨に沿って、その実施を図っておりまして、今後とも同通達の趣旨の徹底については努力をいたす考えでございます。

○長谷川国務大臣 労働省といたしましては、同和問題の解決に特に重要な就職の機会均等、職業選択の自由にかかわる施策を担当しておりますので、御指摘のとおり、次官通達の趣旨に沿うて十分に配慮して各出先機関を強く指導しておるところでありまして、昭和五十年度の予算におきましても、雇用対策上の予算は七十数%増加を見て実施しているところであります。

○三谷委員 どうも私、時間がないのに、的外れのことを言ってもらっては困るんですよ。行政の均てんについての通達をお出しになった。それがどう実行されてきたか、その調査結果をお知らせ願いたいということをお尋ねしたのに、お答えになっておりますことがそうでなしに、ごく一般的な行政内容について御説明になっております。
 これは各大臣にお尋ねをしたいと思いますが、残念ながら幾らも時間がありませんから、他の機会にお尋ねをすることにしまして、一つお尋ねしたいのは、地方自治体に対しては行政の公正、平等に関する通達を政府は出しながら、その政府自体がそれに反する処置をおとりになっていないかどうか、この点をお尋ねしたい。
 これは朝田一派によりまして同和地区企業連合会というものが組織されました。同企連と言っておる。これに所属する納税者に対する課税、徴税に当たりまして、税の特別扱いをして脱税を認めていないかどうか、これをお尋ねしたいと思います。

○安川政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま御指摘の同和地区の納税者につきまして、団体の方が何か脱税を指導しているのではないか、またこれに対して、それを認めているのではないか、こういう御指摘がございましたが、さような事実はないと聞いております。

○三谷委員 ないと聞いていますとおっしゃったのですか。しかし実際には、同企連に属する業者に限って、国税局内の通達で同和控除が行われております。これは業者自身の証言もあります。同企連の文書でも示されておる。国税局の申告書類の実際の取り扱いの中にもはっきりと示されておる。
 現在、大阪国税局には同和対策室なるものが設置されておる。これは四十四年二月に全国で初めて設置されたものです。大阪国税局同対室、室長外二名になっておりますが、これが事務を担当して、総務部長が責任者になっておる。そして朝田派の大阪府同和地区企業連合会を通じて行われました所得申告の処理その他の税務行政を行っております。明らかに一般業者、国民と区別して特別の取り計らいをしておる。これでありますが、この大企連の報告書によりますと、四十二年から始まりましたが、たとえば四十八年度におきましては、所得税申告数四千五百三十六件、法人申告は二百四十五件に及んでおりますが、この分だけ特別な控除処置をとっておる。この事実を否定されますか。

○安川政府委員 第一点でございますが、大阪国税局に同和対策室というものがあるのではないか、職員二名が従事しておる、こういう御指摘でございますが、これは昭和四十年八月の同対審の答申がございまして、それを受けまして、昭和四十五年、国税庁から通達をいたしまして、趣旨は、同和地区の納税者に対しましては今後とも十分実情に即した課税を行う。つまり同和対策審議会の御答申によりますと、同和地区におきましては歴史の積み重ねの上で特別な社会的あるいは経済的な問題がある、こういうような御指摘なわけでございます。したがいまして、課税関係につきましても、十分そういった同和地区の実情というのは、私ども把握いたさなければならないわけであります。十分実情を把握いたす、またその実情に即した課税を行う、これが私どもは本当の公平な課税の態度ではないか。そういたしますと、これはいろいろ研究を要する問題が多うございますから、特別な専担者というものを設けまして、十分地区の実情を把握する、こういうことをやっておる、これが実情でございます。
 それから第二は、何か同和控除というような特別な措置を講じておるのではないか。こういう事実はございません。私どもといたしましては、ただいま御説明申し上げましたように、実情をよく把握して課税する、かようなことでございます。
 同和地区におきましては他の一般の方と違う点がある。たとえば税の面から見ますと、一般の納税者とは異なります不利な借り入れ条件というものがございます。あるいは通常の場合でも、いろいろな事業をする場合に、高いあっせんの手数料というようなものを払う必要、そういうことがございます。あるいは譲渡関係につきましても、所得税と同様な、たとえば立地条件が非常に悪い、それから土地等の売却条件が非常によくない、あるいは譲渡いたしました場合に特殊な立ち退き料がたくさん要る、こういうような実情は事実あるようでございます。そういうものは経費として私どもは実情に即して認める、これは当然なことでございます。したがいまして、そういうような実情に応じた課税はいたしておる。しかし何か同和控除というような一律的な扱いはいたしておりません。
 なお、パンフレットをお示しになりましたけれども、いろいろな団体につきまして計数をとる場合もあろうかと思います。また、私どもの方の、ただいま申し上げましたような実情に即しました課税につきまして、その方面がいろいろ名前をつけて呼ぶということもあり得ようかと思いますが、私どもとしては、ただいま申し上げましたような同対審の答申に即しまして、本当に実情に応ずる、実質的によく公平の問題を考える、こういう態度で進んでおるわけでございます。

○三谷委員 局長、ひとつあなたに見てもらいたい。これは納税申告書です。同和控除というのが明らかに記載されている。いま、その部分をお見せしましたように、税務署の申告書の扱いの中で同和控除というのが明らかに記載されています。

○安川政府委員 ただいまお示しの資料を拝見いたしましたが、これは税務署の手で書いたものではございません。納税者の方がそういうような名称をつけられた、こういうふうに私は拝見するわけであります。
 それから、相当以前のことでございますけれども、納税者の方から、同和控除という名前をつけまして、そういうような申告書が出た場合もあるやに聞いております。しかし現在は、さようなものはございません。

○三谷委員 確かにこれは納税者が書いたものに違いがない。しかしこれは税務署が受け付けて確認している書類だ。認めている書類だ。これはたくさんここに書類があります。ありますが、たとえば本来言いますと、所得税法百二十条によりまして、確定申告書というのは税務署長に出すのでしょう。ところがこの大企連というのは税務署に出さないのでしょう。国税局を窓口にして受け付けをやっている。そのことを証明する書類もここにちゃんと出ている。それからまた、いまお見せしましたように、同和控除というものがちゃんと控除欄に記載されている。これを受理して認めてきている。それからまた、ほかの例でいきますならば、国税局自体が大企連という捺印をしているのでしょう。判をつくってついている。それは団体がついているものではない。国税局がついたものです。なぜ、そういう特殊な判をつくって、これを押さなければならぬのか。そこに特別扱いの証明が明確に示されている。この問題につきましては、いま、さらに詳しくはお尋ねできませんけれども、こういう不公正な処置が行なわれている。税金というのは、憲法によりまして法定主義なのです。法の規定がないのに、そのような、たてまえとしまして三割控除をする、そういう内容になっている。書類もそれを示している。それについてどうお考えか。これは大阪国税局長として、いまの高木事務次官がいらっしゃるときに起きてきて決まった話なのです。

○安川政府委員 お答えいたします。
 申告書は税務署長に提出する、これが法律でございます。しかし、多数の納税者の方々の中には、これを間違えまして、他の税務署長に御提出される方もございます。あるいは郵送でもって国税局に入る場合もございます。いろいろのケースがございます。本当は冷たい法律論から申し上げますれば、それはそのまま受理できない、期限を徒過したものである、こういう扱いになるわけでございますけれども、しかし、これはやはり親切に取り扱う必要がございますので、他の署に参りました場合でも、できるだけ本来の署に送る。国税局に入りました場合、あるいは郵送の場合でも、これを当該署に戻しまして、できるだけ正当な申告書と扱う、こういう措置を実はやっておるわけでございます。多数の方の場合には一括という場合もないわけではございませんが、税務署の場合でも、これを一括お持ちになる方もございます。いろいろケースがございますので、それは実情に応じた措置をする、ことに親切に扱う、これを旨にしておるわけでございます。
 それから、先ほども、経費につきましてはるる申し上げましたように、これは一括やってはおりません。できるだけ実情に即して認める、こういう措置をとっておるわけでございます。
 また第三の点でございますが、何か国税局の方で特別な判こをつくって、それを押したということでございますが、私どもが一番旨といたしますのは、すべての納税者が同じようなことで扱われる、こういうふうに考えております。申告書の上にいろいろ役所の方で区別をいたすということは本質的に好ましくない。したがいまして、恐らく大阪国税局で何かさような判を押すということはあり得ないことである、私はかように考えております。

○三谷委員 あり得ないことが実際に行われているわけなんです。そこに問題がある。いまこの文書について一件ずつ詳細にお尋ねしますと、その全貌が出てきますけれども、きょうは時間がありませんから、私の場合はこれで終わっておきますけれども、いずれこれは機会を改めて明らかにさせてもらいたいと思います。
 そもそもこういう事案が、よしんばいまおっしゃいますように、同和地区対策として特別な考慮が必要であるとしましても、それなら同和地区住民全体にしなくちゃいかぬのでしょう。特定の団体だけを対象にすべきものじゃないでしょう。それが行なわれておるところに一つは問題がある。
 それからもう一つは、租税法定主義に反しておる。あなたは昭和四十三年一月三十日の大阪国税局長と解同中央本部及び大企連との確認事項を御承知ですか。

○安川政府委員 大阪国税局長が確認をいたしたということは、私聞いておりません。

○三谷委員 その確認書もちゃんとここにあるのです。この内容は七項目になっておりますけれども、これは大阪だけじゃありません。東京におきましても東企連というのができて、六項目の確認事項ができておる。ごまかしちゃだめですよ。こういう公の文書がちゃんとできておるわけです。それに基づいてこれらの問題が進んできておる。国税局長通達も出ておるわけなんです。そして特別な扱いが行われておる。ただ、これをやりますと租税法定主義に反しますから、あなた方の方ではこれは認められない。認めたら大変なことなんです。しかし、実際はそうであるということは、税務署の申告書類の取り扱いの中で明確に示されておる。
 これについては、そんなことは絶対にあり得ないとおっしゃいますか。もう一ぺんそれは確答していただきたい。

○安川政府委員 税務行政の場合には、納税者からいろいろな御要望、あるいは場合によりまして陳情と、それぞれの組合から、当該業種についてはこういうことをやってくれ、こういう相当な御要望がございます。それがいろいろな意味で項目別に整理されていることは十分ございます。したがいまして、ただいまの確認書というお話がございましたが、いろいろな同和地区につきましてそういうような御要望が出ておることは事実でございます。また、私どもといたしまして、できるだけ同対審の答申に沿いまして、実情に応じて課税をいたすという趣旨でございます。さような御要望につきましても、われわれが行政的にとり得るものはできるだけ尊重して、実情に即した課税をする、こういうことはやっております。

○三谷委員 時間がないようですから、残念ながらこれで終わらざるを得ませんが、このような同和行政におけるゆがみというものは至るところに出ているわけなんです。それが、同和地区の地域の住民だけでなしに、同和地区内の住民の不満をも買っておるというのが今日の事態になっております。ですから、同和行政の公正、民主的な施行、逆差別、新差別をなくするということは、今日の政治の中心的な課題であって、このことのために、たとえば羽曳野や松原や亀岡などにおきまして、これを争点とする選挙におきまして大変な変化が起きてきた、これは御承知のとおりだと思います。

○小山(長)委員長代理 三谷君、時間が終了しております。

○三谷委員 ですから、このような、市民や住民の支持できない、理解できない同和行政を強行しては、部落解放の課題は少しも前進しません。これは明確なことなんです。いま大阪府知事は、勇気と良識を持って正しい方向にこれを改めるという態度をとっている。東京でもこの問題が重大な問題になって、都政の真価が問われております。真に行政の公正と地方財政の実情を憂うるならば放任できない問題なんだ。民主政治の基幹にかかわる問題でもあります。

○小山(長)委員長代理 三谷君、時間が終了しております。簡単に願います。

○三谷委員 遺憾ながら、今日、革新と言われる政党の中にも、この暴力を容認して、不公正な同和行政を支持する向きもあります。東京、大阪では、これが革新統一の障害になっております。政府はこれに期待をかけて、もしも朝田派の暴力と不公正な同和行政を放置しておるとしますならば、これは公権力、党利党略に利用するものであります。暴力が政治を左右することは絶対に見逃してはなりません。政府は法令を遵守して厳正な指導を行ってもらいたい。暴力行為は親告罪ではないわけでありますから、これほどの連続する暴行事件がありながら、警察が適正に対処していないという具体的な事実の中にも、国民は重大な疑惑を持っております。これに対して私は、政府の姿勢を正すことを要求して質問を終わります。

※→八鹿高校事件関連国会質問一覧 1974/11/22〜1975/03/31