倒れる約1時間前の支柱。約10・5度傾いている=4月12日午前5時ごろ撮影(JR東日本提供)
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JR山手線の神田−秋葉原(東京都千代田区)間の線路内で四月、支柱が倒れた事故で、事故の約一時間前に支柱が大きく傾いているのをJR東日本社員が現場で確認したが、すぐに電車の運行を止める必要はないと判断していたことが分かった。同社の推定では、傾きは約一〇・五度と異常な状態だった。
支柱は四月十二日午前六時十分ごろに倒れた。JR東の説明では、保守担当の社員が傾きを確認したのは、同日午前五時ごろ。既に異常を見つけていた工事、運輸部門から連絡を受け、始発電車に乗って場所を特定し、秋葉原駅から歩いて現場に向かい写真を撮影した。
JR東は事故後、保守担当社員が始発電車に同乗し、車内から支柱を目視したことを公表していたが、その後、この社員が現場を訪れ確認していた事実は、これまで明らかにしていなかった。同社は「運転再開への復旧を進めている中、情報も限られていた」と説明している。
JR東によると、危険を見つけた全ての社員は指令室に連絡し列車を止めさせる権限があるが、この社員は「地震が来なければすぐには倒れない」と判断、応急工事が必要と考え、工事部材の確保に動くなどにとどまった。
八日会見した柳下尚道副社長は「支柱の傾きに応じて電車の運行を止める基準がなかったため、迅速な判断ができなかった」と釈明。同社は、柱二本分以上斜めに傾いたら、ただちに列車を止めるなどの基準をつくったことを明らかにした。
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