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「デジタルATC」項が鉄道データファイル誌#134号鉄道用語辞典に述べられていて、よく調べてなかなかの力作ではあるが、他装置との関連を述べる開発経過が違いATS方式に混同があり、本質を整理した記述が弱くまた違っている。
「ATCもATSも似たようなもの」というのは是。日本国内の呼称区分で、後追いで法の定義はあるが、実運用で収まりきれない部分もあって悩ましい重複領域がある連続のものだから。だが、速度照査方式の決定的な違いである「位置基準限界速度算出方式」=いわゆるパターン方式の採用が優秀さの根源であることと、これはATS-Pでの成功が基礎であることを述べておらず逆にD(S)-ATCとは独立のものとして説明していることが基本的な弱点である。
デジタルは信号伝達手段として採用され、確実な車上演算を容易にしてはいるが、アナログ演算でも不可能ではない。現にロンドン空襲ロケットのV2号の誘導制御はアナログ演算で行われていて、それよりラフな演算で済む鉄道の停止制御には応用できる。東武TSPやATS-Psは優れたパターン方式を採用しているがハードの構造としては変周式地上子を使った点制御で強いて言えばアナログではないか。正しくは「位置基準速照方式だから優れている」で、この「デジタルだから優れている」というのは、辞典だけでなく鉄道関係全般に広がった誤りである。
またD-ATCも位置決めについては連続制御ではなく点制御で、ATS-Pと変わらない。
解説文中の「地上子を一定間隔に複数設置することにより速度照査機能を持たせている」のはPではなくATS-ST/-Sx車上時素速照であるし、点制御はATCでも利用しておりATSに限ったものではない。
地下鉄ATCは閉塞細切れで車間を詰める必死の努力で1段制動に到達、ATS-P=パターン方式は衝突防止の絶対条件:位置基準制御から現示アップ、1段制動に到達して線路容量を増やしATCに採り入れられたもの。
そんなわけで地下鉄ATCの1段制動と、ATS-Pパターン照査を採り入れた1段制動は結果は似ていても開発ルーツが全く違うので「地下鉄方式の複雑さを避け『そこで』開発されたもの」ではなく独立だろう。
山手線D-ATC化が「E231系に置き換えられたのを機に準備が始められた」というのも逆順で、旧ATCの老朽更新だけでなく、パターン方式の採用により列車間隔を詰めて、従前毎時24本の列車容量を28本に増やす改良が含まれ、これに適合する車両としてE231系6M5Tに更新した訳である。
業界の解説が未整理だから、本質部分のエラー解説は辞典著述者だけの責にはできないが、動作内容をもう少し自分の頭で整理して書いて欲しかった。
この辺りの理論的整理は鉄道総研が噛んで信号各社と協力して初級テキストにでもまとめて貰いたいもの。現状の鉄電協刊の初級テキスト「ATS・ATC」ではそうした総論的記述がほとんどないから、それをきちんと整理して埋めるものが欲しいと思う。
※ATS-Sxの欠陥が明らかになるような書き方はできないなどという縛りから離れて執筆・採用できるところは何処だろう?優れたテキストでも「採用」されなければお終いだから。JR東海がATS-PT採用を決めた今、「ATS・ATC」テキストの様に廃止通達紹介で間接主張するようなややこしいことをする必要性はもうなくなったろう。
2006/09/25 23:55
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