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[79]. 尼崎事故から3ヶ月、安全対策の到達点は? |
4/25朝の事故発生から3ヶ月を経て、このページも日常の超閑散ページに戻りました。 人の噂も75日で、事故対応が不完全なままの時間切れ幕引きとなりました。以前と変わった点は、1日10〜50アクセスだったのが5〜10倍の200件ベースに増えたこと。アクセス・ラッシュ中は、これまでまとまった総論解説のなかったATS-Pの解説「ATS-Pとは」に最もアクセスが集中して、普段だったらまず読まない非常にマイナーな保安装置の分野に驚くほど多数のアクセスが集中して、論理深度の高い(ややこしい)内容なのに1日1,200余Visitで2000余のアクセスとか、ATS・ATC概論や事故史が1日1,000前後とかで、全体で10,000閲覧を超える日もあり事故への関心の高さを窺わせるものとなりました。実数を言えば読まずに流すことも多いWebのことなので、読んだ方が1/10としてもピークの3週間で約4,000人前後の方に伝わったことになります。某ブログの当ページの評価によれば「訪問者の興味そっちのけで自分の興味だけで作ってるページ」とのことですが、優先度でいえばそれは当然でしょう。自分の興味あるテーマを選んで、それを読んで戴けるように書くわけですから。 適切な安全対策を求める世論形成に少しは役立てたでしょうか。
事故後の対策として出した、過速度防止装置設置は、本来なら1967〜8年頃相次いだ分岐器での過速度転覆事故を承けて発せられるべきものです。事故後、国鉄がATS-Sロング警報を流用した分岐器過速度警報装置を設置しましたが、これに仕様の縛りを掛けなかったため55km/h以下の制限にしか対応できず、'84/10/19にはブルトレ特急富士が山陽線西明石駅で60km/h制限の渡り線に100km/hで突入して過速度脱線大破事故に至りました。停止信号ATSに関しては大変優れた私鉄ATS通達(昭和42年鉄運第11号通達)を発しながら、なぜほぼ同時期の進行信号でのATS:過速度防止装置設置に通達を出せなかったのか疑問の残るところです.運輸省鉄道局にとって国鉄は聖域だったのでしょうか? またも積み残しになりそうなのが、ATS-Sに常時速度照査機能を付加させる件。宿毛事故で体現されたように、最高速度のまま赤信号に突入できるのがATS-Sx系の最大の弱点で、閉塞信号には強制停止の直下地上子すらありません。せめてロング地上子でのY現示速度照査と約20秒後((55−25)/減速度+5秒)の25km/h照査、できればロング警報5秒後からの定勾配速度制限(55km/h→25km/h)の機能を盛り込んだ速照ボード1枚をATS車上装置に組み込むだけで私鉄ATS通達に準じた安全性が確保されて大事故は起こらなくなります。これは簡単で超安価の安全装置であり是非開発設置して頂きたい。私鉄ATS通達仕様では3段の速度照査で順次減速し赤信号手前で20km/h以下の速度照査が義務付けられているので赤信号突入時のエネルギー(≒冒進距離)がATS-Sx系の1/36に抑えられて大事故にはならない決定的な違いがあるのですから。 ATS-P設置義務化の方針も打ち上げられましたが、その後の動きは全くありません。国交省としては「速度照査機能のある私鉄と、それがない国鉄のATSに安全上の差はない」という虚偽答弁を貫いていますので、ATS-P換装の根拠を否定するものになっており、国交大臣の首のすげ替えを待ってうやむやにされる可能性が強まっています。継続監視が必要ですが、世論形成に力を持つマスコミは新たな犠牲がでるまでは放置が常ですから、全くアテには出来ず、次の犠牲が小さいことを願うばかりです。 |
2005/07/26 23:00
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