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Geo日記 |
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[59]. 同じ制動目標を使ってしまった結果か? |
JR西日本があれこれ画策してかなり見苦しい.おそらく転覆−復旧臨界速度である133km/hを「最低脱線速度で,これを超えると脱線の恐れを生ずる.鉄道総研に計算して貰った」とか「破砕痕があり置き石に違いない」とか,違う情報も錯綜する中で根拠の乏しい責任逃れの布石ばかり. 300R本則60km/hのカントを97mmまで増やして70km/h制限にしている処へ突っ込むのに,どう見たって2倍の横G=√2倍弱の速度が絶対的限界なのに,「133km/hまでは脱線しない」とは,鉄道工学をカジッてたら言えない. TV朝日では鉄道文筆業の川島怜三氏が「専門家」として「制限速度の2倍近くまでは脱線しない」と強調.そんなに余裕があったら最高速度規定をもっと引き上げてる. 川島氏の誤謬の原因となりうる記述が元国鉄小倉工場長久保田博氏著「鉄道工学ハンドブック」にあり「(転倒速度は)現行の規定速度(注:本則)の約2倍となるが,実際の走行では車両の振動などの分が加わるため,転倒速度は2倍よりやや下回る」と書かれていて脱線しない速度のことではなく理論上の転倒−復元境界速度である. さらにこれはその式を見れば遠心力=横G限界の話だから,それが2倍以下というのは,速度では√2倍以下という話だ.川島氏は解析式までは読んで居ない,自分で計算していないで他人の評価のパクリを言って廻っているということだ. ハンドブックでは許容カントと均衡カントに対する許容不足カントを速度限界と定めていて,様々な条件で大きく変わり決めようがない実脱線速度など全く触れていない.実用的に意味がないから当然だ.(算出式と略図はここ) 物理的にあり得るストーリー 現場カーブ手前に最低2対〜3対のST地上子を置いての速度照査で過速度防止装置を設置していれば土佐くろしお鉄道宿毛事故と同じく完璧に防げた事故なので,過速度防止装置の速度照査地上子位置を計算していて気づいたのだが,事故現場では常時は100km/hくらいからカーブ制限の70km/hへ減速する運転をしていて線路脇の目標物にそのブレーキングポイントを決めていたんだけれど,この日直前のオーバーランの遅れ回復で目一杯の130km/hを出していて,いつものブレーキポイントでブレーキを掛けたところカーブ入口では108km/hにしか減速できず横転,脱線してしまったのではないだろうか. 制動定数20,手動操作なので空走時間0秒と仮定して試算すれば, 130km/h→70km/hの距離は (初速^2−突入速度^2)/制動定数=制動距離 なので (130^2−70^2)/20=600m彼方からブレーキが必要. しかし普段のブレーキポイントは100km/h→70km/hだから (100^2−70^2)/20=255m手前の目印からブレーキを掛けていた. ここへ130km/hで飛び込んでブレーキ扱いした場合の曲線突入速度Vxは 突入速度=√{初速^2−制動距離×制動定数} ………(式変形による) =√{130^2−255×20}=108.63km/h これは報道数値にピタリ一致する.すなわち日常は手前の通過駅塚越駅付近で一旦100km/hに減速してから,現場カーブ手前255mで減速を開始したけれどカーブ到達時はまだ108km/hで脱線限界速度を超えていたということではないだろうか.先の土佐くろしお鉄道宿毛駅突入事故と並んで「強力な回復運転」と「速度照査不設置」が事故のキーになっている |
2005/04/28 23:55
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