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Geo日記 |
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[96].「気象庁情報生かされず」ようやく報道!
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風の息づかいを感じるのがプロなどという噴飯ものの社説が出るほど混迷を極めていた羽越線特急いなほ14号転覆脱線事故の報道にようやく明確な危険予測を見落とした運行を指摘する記事が出ました。
事故発生防止に資するポイントは、(1).通称爆弾低気圧と呼ばれる大型低気圧と寒冷前線に伴う冬季には珍しい大型積乱雲が脱線現場を通過するのを秋田と新潟の気象レーダが捉えていたこと、(2).現場付近の風速計は3回に渡って風速20m超を記録していたが、(3).抑止30m/sや徐行25m/sに達していないとして規制を行っていなかったこと。 暴風雪警報一般での抑止を求めるのではなく、「爆弾低気圧」の寒冷前線に伴う「冬季には珍しい大型の積乱雲」という要件なら抑止・減速の導入は可能。 また、抑止解除の要件としてこれまで基準値以下に下がってから30分という基準はJR東日本の研究では短縮可能な模様で、かっての青函連絡船洞爺丸遭難の経験で台風の目に遭遇したのを通過と勘違いして出航し惨事に至った経過などから30分の様子見時間を置いたのは根拠があったけれど、現在はリアルタイムのレーダー画像が得られて誤解の可能性はなく、統計的方式の風速予測を採用する条件があります。それは突風には無効だから天候情報による予測と併用です。 | |
2006/01/05 00:30
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[96.2].風杯型(ロビンソン)風速計の弱点報道 |
「突風測定に適さず、風速計、現場付近は旧型」(12/31付け赤旗新聞1面)という3段見出しに写真付きで風杯型風速計の突風検出機能が劣り、瞬間風速は平均風速の1.5倍〜3倍に達して適切でないことを気象研究者の見解として報じています。 国鉄は1986年12月の山陰線餘部鉄橋転落事故を承けて、風速計は平均値型をやめて瞬時値型に切り替えることを決めましたが、翌1987年4月のJR化以降は「風速計や、その設置位置の技術基準もない」(JR東日本)ということで、Web情報では餘部も未だに風杯型が使われているそうですから全く実施されなかった決定かもしれません。 なお、29日(木)朝8時頃のTV朝日で、高専高専教授氏?が円腕型風速計の応答性が悪いことと、築堤上の増速については触れていました。 国交省もようやく各社にその機能や設置状況の報告を求めて対策を検討することを決めました。 しかしながら、この時点では肝心の予測管理導入には触れられて居らず、赤旗記者氏が国交省発表のニュアンスに気付かなかっただけなのかも知れませんが「気象関係者を含めた強風時の運転取り扱いの検討」で具体化されることに期待したい。前出「風の息を聞け」なんて訳の分からない社説を掲げる様なマスコミが主流の中、具体的な物理特性上の弱点を地道に指摘する姿勢は評価しましょう。それが冒頭の記事に繋がったものでしょう。 報道陣はもっと頑張って!内容が浅く好い加減すぎ!新春早々2連続で赤旗新聞の記事を採り上げることになりましたが、各紙の記事を比較してみて、取材記者が純粋培養の文系人間ではなく仕事や活動など様々な社会的経験を積んでから記者になった人達(=記者公募広告では各地区委員会推薦が要件)の方が観念的でない科学的アプローチが上手になのか?と雰囲気の違いを感じます。他紙記事には「通常の2倍の高さの積乱雲」というのはありましたがあくまで断片情報に留まり、ダウンバーストの切迫した可能性と警戒警報と運転規則との関連や突風観測に必要な物理特性(応答速度)では述べられていないのです。細かに見ればこの記事の新規断片情報は(1)超大型積乱雲を捉えた気象レーダは新潟県と山形県に設置のもの、(2)風速20m超の警報は3回出ていた、そして下側の記事で(3)現場付近設置の風速計は応答の遅い風杯型で突風値を捉えられない、の3点で、情報断片としてバラバラにすれば何てことないものですが、その物理的意味を整理して提示したことが優れています。通常は権威ある鑑定者に委ねて責任回避する処を、尼崎事故以来言い分がぶれまくって権威崩壊の「専門家」を避けて、具体的中身で迫る記事構成で、 目立ちにくいけれど内容としては特ダネといえるでしょう。プロ中のプロたる一般紙の報道陣はもっと頑張って貰いたい。 |
2006/01/05 00:30
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