75-参-予算委員会-18号 昭和50年03月28日

○神谷信之助君 具体的に問題が提起されてくれば、自治大臣としては、ひとつ十分に自治体のいろんなそういう問題を前向きで解決をしていくということで努力をしてもらいたいと思うんです。次の問題に移っていきたいと思います。渡辺さん、あと予定があるそうですからどうぞ。
 羽曳野の市長の津田参考人にお伺いいたします。あなたが市長に就任をされた当時、羽曳野市の財政が、いわゆる解放同盟朝田派の圧力に屈したことによって大変な状態になったというように思うんですが、その状況について述べていただきたいと思います。

○参考人(津田一朗君) 羽曳野市の津田です。
 私が市長に就任したのは昭和四十八年の四月でありますが、当時の財政状態を説明いたしますと、昭和四十六年度の決算を見てみますると、一般会計の歳出の総予算が六十三億二千百四十一万二千円でありますが、そのうち同和事業費で二十億四千四百五十四万一千円、実に三二・三四%が同和事業に使われました。参考までに申し上げますと、同和地域の人口は三千九百五人で人口比は四・六四%であります。それから昭和四十七年度の決算を見ますと、六十億九千五万一千円のうち同和事業が十八億四千九百十三万五千円、約三〇・三六%が同和事業で、人口比は四・五五%であります。また起債の状況を御説明申し上げますと、起債の未償還の総額が、四十七年度の決算額よりもはるかに多い四十七年度で六十四億二千六百六十三万八千円ございます。うち同和債が二十六億六千九百五十三万八千円、起債総額のうち同和債の比率は四一・五三%であります。こうした状況の中で、同和債を含めて元利償還額は昭和四十八年度で六億六千六百七十八万九千円、昭和四十九年度は八億六千百三十八万五千円、五十年度の見込みでは九億二千四百七十八万二千円に達しておるわけであります。

○神谷信之助君 そこで自治大臣にお伺いしますが、いま羽曳野市の財政状況はお聞きのとおりの状況であるわけです。で、解同朝田派の連中の圧力に屈して、異常な同和債あるいは同和事業費、この膨張をしてきているわけですね。そしてそれが後、尾を引いてその元利償還が年々ふえてくると、こういう状況になってきています。これは単に羽曳野だけじゃなしに、大阪府下至るところでそういう状況が起こっていますし、さらに全国的に見ましても、最近それが目立ってきているわけです。国の四十八年度の同和対策事業費の総額は四百二十五億三千万円です。ところが同じ四十八年度の大阪府下の市町村の同和事業費を合計しますと、予算で五百七十三億三千三百万円、国の同和対策事業費を上回っています。決算になりますと、さらに上回って六百六十五億九千万円という、そういう実態になってきているんです。今日、地方財政の深刻な困難ということが大変問題になっているのですが、その一つの私は重要な要因ではないかと思うんですが、この点について大臣の見解を聞きたいと思うのです。

○国務大臣(福田一君) 御案内のように、国といたしましては、毎年同和対策の経費を増大してきておるのでありまして、何とかこの同対審の方針が実現をするようにという努力をいたしておることは御案内のとおりでございます。ただ、その場合におきまして、それぞれの地域において単独事業というようなものが相当増加をしてきておるということは、私も理解をいたしておりますが、しかし、これはやはりある程度ほかの事業とのバランスというものも考えて、自治体において、自治体の議会等においてもそういうような方向で問題を解決していただきたいと思うので、私はこれを頭からそういうことをしてはいかぬとか、いくとかというようなことを言いますと、そら自治に干渉したではないかというようなおしかりをまた受けることにもなるわけですが、これはやはりお互いにバランスを考えて、ひとつ十分にその面も考慮に入れて施策をやっていっていただきたい。われわれとしてはまだ今後も予算を伸ばすつもりでおるわけでありますから、その地域によってはまだおれらのところは不十分であるというような意味のことで、そういうことが実現してきておるのではないかと思いますけれども、そこはやはりバランスというものを考えて、処置をされることがわれわれとしては望ましいと考えております。

○神谷信之助君 いま大臣はバランスをひとつ考えてやってくれというお話ですが、そこで津田参考人にお伺いしますが、なぜ羽曳野でこういう同和事業費が大きな比重を占めるようになったのか、その経過について述べていただきたいと思うのです。

○参考人(津田一朗君) たとえば生徒数の多い高鷲中学校というのがあるのですが、この体育館の建設費は千六百四十六平米で、五千七百六十五万円かかったわけでありますが、生徒数の少ない同和指定校である羽曳野中学校の体育館は二千四百六十七平米、約二倍の大きさで、建設費は一億六千八百五十万と、約三倍の費用をかけております。

○神谷信之助君 それはなぜそうなったのかですね。

○参考人(津田一朗君) これは昭和四十四年の十二月のことでありますが、当時就任しました前の市長が八カ月目のことでございますが、解放同盟府連の幹部が十数人市役所に押しかけてまいりまして、市長を連れて行きまして、五時間にわたってかん詰めにしておどしたわけであります。そうして同和行政は今後部落解放同盟大阪府連の認める新しい支部、これを通じて行うという、いわゆる窓口一本化の内容を盛り込んだ契約書を書かされたわけであります。このように解同府連の不当な圧力に屈したため、その任期中はまことに乱脈不公正な行財政の運営を余儀なくされたわけであります。同和行政が市財政を圧迫する大きな要因の一つとなっておるわけであります。

○神谷信之助君 いまお聞きのように、暴力的な圧力によって、それに屈服をさせられて、異常な状態が財政の中にも大きな影響を及ぼすということになってきたわけです。
 そこで、津田参考人に引き続いてお伺いしますが、津田さんが市長になられてから、住宅問題で公正に同和地区で住宅に困っている人たちにこれを使用してもらうという努力をなさってこられましたが、その点について述べていただきたいと思うんです。

○参考人(津田一朗君) 私が市長に就任しまして七カ月目に、昭和四十八年の十一月でございますが、同和向け公営住宅百戸が完成しました。そのとき部落解放同盟がやってまいりまして、代表が数十人やってまいりまして、入居の決定権は従来どおり解放同盟の支部長に一任せよ、このように要求をされました。私は、憲法、自治法また通達等関係法令に照らして、思想、信条、団体所属のいかんにかかわらず、同和地域の住民であれば住宅困窮度の高い人から順に選考して市が決定するのだ、このように答えましたところ、十一月の二十二日から昨年の三月末まで百二十日間、市役所に何百人もの解放同盟員を座り込みさせ、私をたびたび監禁、また暴行を加えたのであります。市の職員も何回も負傷をいたしまして、また議会中は傍聴席を占拠して、どなったり、恫喝をしたり、たびたびの暴挙を繰り広げたわけであります。昨年の一月の十四日のごときは、千人近い同盟員がいきなり押しかけて、私を十五時間にわたって監禁をいたしました。そのとき、警察に対してもたびたび要請したのでありますが、何ら警察はこれを見て見ぬふりをしておったわけであります。しかし、私は市民に約束したとおり、市民の支持のもとに公正に百戸の入居者を決定いたしまして、現在入居は完了しておるわけであります。これは当然のことでありますけれども、この当然のことがなかなかいままで行われなかったのであります。住宅は一例でございますが、このほか奨学奨励金、就職支度金、助産費補助、固定資産税、国民健康保険の減免、これらについては、いつも特定団体の意のもとに他の自治体では行われておるのであります。私はこれらをいま一つ一つ改善し、公正な民主的な行政にいま努力をしているところでございます。

○神谷信之助君 実際にお聞きのように、バランスある公正な行政をやるというのには、本当に勇気を持ち、毅然とした態度をとらなければならぬわけですね。そういう実態をこれは十分知っておいてもらいたいし、そして国家公安委員長ですから、いまおっしゃったように、警察に幾ら言っても見て見ぬふりしてそういう措置をしない、十五時間にわたって監禁をされている、そういう事態が起こっているんですから、この点もひとつ十分お聞きおきをいただきたいと思うんです。
 そこで建設大臣に伺いますが、四十五年十一月十八日付の建設省の住宅局長通達、これはいまも生きておりますか。

○政府委員(山岡一男君) 昭和四十五年十一月十八日付通達は現在も生きております。

○神谷信之助君 それじゃ建設大臣、この通達では、「特定目的公営住、宅及び改良住宅の入居については、公営住宅法及び住宅地区改良法の規定に従い、合法かつ、厳正に、その事務を執行されたく、法に定める入居者の公募を行なわず、又は入居者を一部特定の団体に加入している者に限る等の違法な取扱いは絶対に行なうことのないよう厳に注意されたい。」とあるわけです。そこで、いま津田参考人が述べましたが、この措置はこの通達に照らして私は妥当だと思うのですが、大臣の御見解はいかがですか。

○国務大臣(仮谷忠男君) 建設省としては、同和対策として行う住宅の管理については、おっしゃるとおりに、地方公共団体が公営住宅法及び住宅地区改良法の規定に従うとともに、同和対策事業特別措置法及び同審議会の趣旨に沿って地域の実情に応じ、実態に即応した適切な判断のもとに公正に行わるべきであるという考え方で指導をいたしておるのでありまして、そういう考え方で同和行政を行うとすれば、それは適当である、適切である、かように存じております。

○神谷信之助君 いまの参考人の報告に述べたでしょう。それについては、それは妥当ですか。

○国務大臣(仮谷忠男君) 参考人の意見を十分にちょっといま聞いておりませんでしたけれども、これはいまの趣旨にのっとって言っておるとすれば、これは適当だと思います。

○神谷信之助君 聞いてないと。そんなばかなことがあるか、あなた。

○国務大臣(仮谷忠男君) 少し聞き漏らした点もございます。

○神谷信之助君 聞いてもらうために来ているんですよ。それを、聞いてなかったので言えないというばかな答弁はありますか。納得できません。いいですか、言ってくださいよ。特定団体だけに利用させるようなことは違法だと通達に書いてあるんでしょう。そういうことをしなかった。市長はそういう状態でだって、解放同盟に入居の決定権を及ぼせと言ってきたけれども、それを断って、そうして座り込みをされたり、暴力を与えられても、私はそういう特定の団体だけの利用に任すということをやめて、そうして同和地区の住宅に困っている人の困窮度の高い人からちゃんと入居をさせるということを厳正にやりましたと、こう言っているんですよ。これは通牒に照らしてどうなんだ、妥当だと私は思うが、どうかと言っているんです。

○国務大臣(仮谷忠男君) 大変失礼しました。通牒に照らして、ただいま参考人が言ったことが事実とすれば適当であります。

○国務大臣(福田一君) この際、ちょっと話が前に戻りますが、一言だけ申し上げておきますが、国家公安委員長として警察がこの羽曳野の問題で何らやってくれなかったというお話、私の了解しているところでは、非常に激高いたしまして、両者が入居をする場合にですね……

○神谷信之助君 入居の問題じゃない。

○国務大臣(福田一君) いや、入居のときにです。

○神谷信之助君 市長がさっきかん詰めになったという問題です。

○理事(岩動道行君) 委員長の指名を受けて発言してください。

○神谷信之助君 委員長、ちょっとあなたおかしいですよ。時間を限られているのを、勝手なことをしゃべられたら予定どおり進まぬじゃないですか。

○国務大臣(福田一君) いや、先ほどの質問にお答えをしておるんです。

○神谷信之助君 質問してないです。

○国務大臣(福田一君) 質問をして、先ほどそういう話があったから、それについて発言をするのは、これはまた当然の権利である。言いっ放しではこれは議会になりません。やはりこれに対しては答えるのもまたわれわれの義務である。
 でありますから、私は国家公安委員長としては、そういう問題があったときには警察も協力をしたという事例を覚えておりますから、その点はひとつ誤解のないようにしていただきたい。警察としては暴力行為が行われるような場合には断じてこれを阻止しろという私は方針をとっておるんであって、それは断じて行っておるはずでありますから、誤解のないように。

○神谷信之助君 入居をするときには、最後になって警官は出てきました。先ほど津田市長が言ったのはその前です。三カ月、百二十日間にわたって座り込みをされておるその時期に、十五時間にわたるかん詰め事件があったんだ。このときには幾ら警察に通知をしても出てこなかった。これは八鹿の事件でもはっきりしておるでしょう。
 それから建設大臣にお伺いしますが、羽曳野の隣の富田林市で実はこういう問題が起こっています。解放同盟の富田林支部がニュースを出しています。その十二月四日付のニュースにこういうやつがあるんです。同和住宅の受け付けをやるというんですね、そうして申し込みの対象者は「富田林市内に居住する支部員」に限る、申し込み場所は解同事務局、申し込み受け付けば十二月七日と、こういうニュースが十二月四日付で出ました。そこで、その同和地区の住宅困窮者はこれを見て、自分も申し込みをしたいと、こう考えた。そこで市役所へ行ったところが、市役所では申し込みの用紙もないと、こう言う。そして、うちではないと言うんですね、受け付けはしてない。そこで、どうしもやっぱり困窮していますから、十九戸の空き室ができている、それの募集がそういう形でやられているということになりました。そこで同じ様式を自分でつくって、みずから市の方に十二月十四日に申請をいたしました。そうしたら市役所の方からは受理できませんと言って、十六日に市の建築課の方から送り返されてきました。そこで申し込んだ人は、それでは公募されたことにならぬではないかと、先ほどの建設省の通達にあるように公募しなきゃならぬことになっています。公募しなかったら、それは違法だというように通達では書いてある。だから、公募されてないじゃないか、私の申請が受理されないのはどういう理由かはっきりしてもらいたいと言って、また十二月二十一日付で手紙を市役所に送った。そうしたら十二月二十四日に同じようにただ一言、受理できませんと書いて市の建築課から返送されてきたわけです。これは先ほどの建設省の住宅局長通達に照らして、住宅局の通達に照らして、いわゆるそこに言われている違法なことではないかと思うんですが、この点いかがですか。

○国務大臣(仮谷忠男君) 御指摘の富田林市の例は、今年一月に入居された富田林地区の十六戸の改良住宅のことであるというふうに私どもは理解をいたしております。改良住宅は住宅地区改良法に基づいて建設されるものでありまして、地区内の除去される不良住宅の住民は必ず入居ができることになっております。したがいまして、入居の順序とか時期には若干ずれがあるにいたしましても、いかなる理由があるにせよ、事業の最終までには入居が認められないということは、住宅地区改良法上あり得ないと私どもは考えておるのでありまして、もしそういうものがあるとすれば違法だと言わなければなりません。

○神谷信之助君 これは実物の写しです。そして「同和公営・改良住宅」の「住宅入居希望者受付」ということでやっているんですね。「申込場所」は「解同事務局(解放会館内)」となっている。「申込対象者」は「富田林市内に居住する支部員」になっている。支部員でなければだめだと、こうなっています。そして事実困窮をしている人は支部員でないのですから、市役所に申請の用紙をもらいに行ったところが、市役所には置いてないと言うんです。そうすると、これはおっしゃるように通達に言うところの公募をしなきゃならぬわけでしょう。改良住宅ですから、その地区の者は公募しなきゃならぬという問題があるんでしょう。しかも、特定の団体だけにその利用を限るのは違法だということになっているんでしょう、あの通達は。この二つが違法な行為の内容としてあの通達の中に書かれてますね。そういう問題ですよ。だからそれで申請をしたら、ここにあります、「本件は受理できませんので返送致します。」、それだけです。十二月十六日付の「富田林市役所建設産業部建築課」と。ですから、いまそういうことであるならばこれは違法だというように大臣おっしゃいました。ひとつこれを調査をして、そして、この予算委員会中にその事実について報告をしてもらいたい。二日の日に同僚議員が締めくくりの質問でお尋ねしますから、それまでにひとつ事実に基づいてこの入居方法がどうであったのか、御調査をして報告をしていただきたいと思いますが、その点はお約束してもらえますか。

○政府委員(山岡一男君) 先ほど大臣からお答え申しましたけれども、富田林の今回募集をされました十六戸につきましては改良住宅でございます。ちょうど先生がおっしゃいました富田林の市役所の方へ申し出られた方七名あったそうでございますが、いずれも改良事業地区外の居住者の方でございます。もちろん同和の方でございましても、公営住宅でございますとそういうふうな公募にどうしてもよらなきゃいけませんが、先ほど大臣申し上げましたように、住宅地区改良事業では、何のたれべえさんがこの家に入るというところまで決めてやる事業でございます。したがいまして、その旨を窓口で十分に説明したという報告をいただいておるわけでございます。

○神谷信之助君 そうすると、通達に言う住宅地区改良法の規定に基づく改良住宅というのは別になるわけですか。

○政府委員(山岡一男君) 改良住宅につきましても、その地区の戸数を、たとえば二十軒の方がありまして三十軒つくったという場合には、オーバーした十軒は募集をすることがございます。そういう場合は公募ということで措置しているわけでございます。

○神谷信之助君 そうすると、公募をしなくて解放同盟の支部に委任をしてもそれはいいというわけですか。

○政府委員(山岡一男君) 今回の場合は、その改良住宅地区の中の除却をいたしました方々を入れるという戸数でございまして、この除却をされた方が直接に入られるということになったわけでございます。

○神谷信之助君 それは市役所がやるべきでしょう。ところが、実際には市役所にはそういう問題が扱われてなくて、そして解放同盟の富田林支部、この朝田派の組織に委任をして進められるという状況が起こっておる。しかも、その住宅に入りますと、住居入居者の規約というのがあります。それによると、入居者はすべて住宅組合に入らなきゃならぬ、そしてその住宅組合は解同支部の指導を仰がなきゃならぬ、そして入居着は、解放運動に対する学習と活動、その他必要と認められた事項、こういうことで、この解同朝田派の理論、思想、これに従い、またその行動、動員に従わなければならぬ、それが義務づけられる。そして入ったときには、したがって、念書を出す、入居者と、解同富田林支部と、住宅組合三者で捺印するという念書を出して、それに従わなかったら追い出されてもしようがないと、そういうことになっている。そうすると、これはどういうことになるのですか。解放運動をやることを望む、部落解放運動を進めていく自覚を高めていく、そういう目的を進めるためには、そこへ入るためには支部へ入らなければならないし、そしてその住宅組合に入って、その解同朝田派の言うとおりやらなければならぬということを強制することを、そのまま認めているということになりますが、そこまで含めてあなた方は御調査をなさっているのかどうか。これらについてひとつお聞きしたいと思います。

○政府委員(山岡一男君) 先ほど来申し上げましたとおり、住宅地区改良事業につきましては、地区を決定いたしまして、その中に入っておる人は全部入れるというシステムでございます。たまたま現在の富田林の計画では、そこの地区におります戸数しかいま現在計画しておりませんので、恐らく全員が入るということになるわけでございます。ただ、先生おっしゃいました入居した後のそういうふうなことにつきまして詳しく調査しておるわけではございません。現在第一義の監督は大阪府を通じてやっておりますので、調査してみたいと思います。

○神谷信之助君 ひとつその点を明らかにはっきりしてもらいたいと思います。
 そこで、文部大臣にこれは緊急のことで一つお伺いしておきたいのですが、御承知のように昨年来、例の八鹿高校の問題で、国会で幾たびか論議をしてまいりました。四月一日を前にして御承知のように異動の問題が学校では起こるのです。ところが、検察庁で送検をされました校長、教頭なんかの配転とともに、今度は八鹿高校で、ああいう暴力にも負けないで同和教育に努力をする、その中で犠牲を受けた教職員の先生方、これも配転をして、県の教育委員会は相殺をしようというような動きがあるわけです。私はこれはきわめて重大だと思うんですね。校長や教頭の方は、警察が取り調べをして検察庁に送ったという容疑者であります。そして片一方の先生方は、ああいう中で暴力に負けないでがんばってきた、いわば犠牲者、だから、そういうものが同列に扱われて両方飛ばしてしまう。これは教育上から言っても大変重大な問題だと思うんですが、もちろんこの人事権は県の教育委員会にありますから、直接文部省がどうのこうのと言うわけにはなかなかむずかしい問題もあろうかと思うけれども、しかし、教育の問題としてはこれはきわめて重大な問題だ。この点について文部大臣の御見解を一音聞きたいと思うんです。

○国務大臣(永井道雄君) ただいまの人事の問題につきましては、先生もおっしゃいましたように、やはりこの県の教育委員会の判断と責任において行われるものと考えております。そういう立場を私たちはとっております。

○神谷信之助君 ですから、そのことは私も知っています。申し上げましたとおりです。しかし、この問題は国会でもたびたび論議をされた問題で、しかもきわめて重大な問題だと私は思うんです。ですから、いま現地では、八鹿高校の育友会が、そういう先生方を、暴力に加担をしたような、そして検察庁に送られたような校長や教頭の配置転換と相殺のためにほうり出してしまうというようなひどいことはやめてもらいたいということで署名を集めています。千三百人の会員のうち千百三十名の会員が、もうすでにそういうことはやめてもらいたい、こう言っています。そしてあの事件の最中、八鹿高校を正常な状態に戻すためにがんばっておった、あの生徒の中の特に中心の三年生の諸君というのは卒業しちゃったころですよ。ああいう先生方を守って暴力に反対して、そして卒業していった子供たち、その先生方がそういうひどい暴力を許した校長や教頭と相殺をされて、けんか両成敗という形でよそにほっぽり出されてしまうということは、私はこれは単に人事権やどうのこうのということだけじゃなしに、教育の理念を達成する上でもきわめて重大な問題であると思うので、これは十分ひとつ文部省の大臣の方でもそういう点は調べていただき、万遺憾なきように適正な指導をやっていただくことをお願いをして、私の質問を終わります。
  〔理事岩動道行君退席、委員長着席〕
※→八鹿高校事件関連国会質問一覧 1974/11/22〜1975/03/31