75-参-予算委員会-14号 昭和50年03月24日

○小巻敏雄君 高等学校の入試結果発表の季節でありますが、父母にとって大変なこの合格発表。兵庫県の尼崎の公立六校、総合選抜制をとっておりますけれども、この合格発表において、選考の結果に不満がある、合議の判定をやり直せというような要求で校長たちを監禁をして、いろいろ強要をしておるというような事実が起こっておる。文部省では御存じでありますか、これについてお伺いをしたい。

○国務大臣(永井道雄君) 政府委員からお答えいたします。

○説明員(奥田真丈君) お答えいたします。
 ただいまのようなことにつきましては、現段階では文部省はまだその事情を承知しておりません。

○小巻敏雄君 三月二十日に合格発表があった。部落出身の生徒が落第をしたから、こういう結果というのは認めることができないというので、高校長たちを、地域の総合センター、これは解同朝田派の諸君が不法管理をしておるのでありますけれども、ここへ呼び出して二十日の朝までやった、翌日もやった、そうして二十四日に再度話し合うというようなことになっておる。そこへは朝田派、あわせて市教委と県教委の幹部もやってきて、校長にこの再検討を迫っておる、こういう事件であります。だれも聞いてないんですか。

○説明員(奥田真丈君) 聞いておりません。

○小巻敏雄君 情報が遅いですな。きょうの赤旗では掲載をしておるんです。後ほどよく調べて、赤旗も読むようにして、兵庫県教育委員会の報告だけでなくて、本当のことを知って文教行政をやってもらいたい。この問題は懸案にしておきます。
 八鹿高校問題についてお尋ねをいたします。
 事件発生以来四ヵ月経過しておりますけれども、その後文部省が調査をされたことを報告されたい。

○国務大臣(永井道雄君) 八鹿高校事件の問題につきましては、その後調査を続けました。その後調査を続けましたということを具体的に申し上げますと、それは兵庫県の教育委員会との連絡を一層密にしたということになるのですが、さらに一層具体的に申し上げますと、たとえば教育委員長あるいは教育長、次長、そういう方にも御上京願いまして、私を含めて文部省の者が詳しくお話を承るということをいたしました。で、そういうところでお話を承って、私たちが申し上げていることは何であるかというと、一つは、この八鹿高校におきまして暴力が発生いたしましたが、そこで教育委員会にはこの暴力排除という原則を貫いていただきたいということでありますが、さらにその上で教育の中立性というものを重んじまして、特にこの差別の問題に関連いたしましては、やはり人権の尊重、そして法のもとにおける平等という立場で静かに教育が進められるようにということをお願い申し上げてきた次第でございます。

 そこで、兵庫県教育委員会もこの問題について、いろいろこれまで骨を折ってこられたと考えますが、その一つの事実といたしましては、三月十四日になりますと、「同和教育の推進について」という新しい通知を、各市、町、組合、教育長、それから各県立学校長、各教育事務所長、各教育機関の長あてに出しました。そこに掲げられております、相当長文にわたりますものですから、要点だけを申し上げますと、やはりいま私が申し上げましたような基本的な原則です。つまり、暴力というようなものをなくして、本当にいろいろな――この問題についての考える集団というもの、あるいは研究会というものがございますが、その研究会というものが異なった立場をとりましても、そのこと自体はいいんですが、それを教育の場で静かに具体的に生かしていくようにという趣旨のことが述べられております。そして、そういう形で各学校というものがこの教育委員会の趣旨に沿ってほしいというふうに、三月十四日の通知が立場を明確に述べている。そういうふうな形で、いままで八鹿高校事件が起こりまして以来の事態が推移しているというふうに私たちは掌握している次第でございます。

○小巻敏雄君 警察並びに検察にお伺いをしますが、現在八鹿事件についての捜査中の被疑者のうちで教育に関係ある者の氏名と被疑事実について述べてもらいたいと思います。

○国務大臣(福田一君) 八鹿高校事件につきましては、兵庫県警察におきまして鋭意捜査を進めまして、これまでに二十四人の被疑者について事件を検察庁に送致しており、捜査は終結に近づいておるとわれわれは承知いたしております。
 なお、これは御質問がございませんでしたが、八鹿高校の珍坂校長に対する捜査でございますが、これは告発が出されておりまして、兵庫県警察において捜査を進め、近く検察庁に事件を送る予定と聞いております。氏名全部につきましては、警察庁のほうから御報告させます。

○政府委員(三井脩君) 教育公務員関係者は、ただいま大臣が述べられたほかに、八鹿高校の教諭で小山友一、山根新策、県教育委員会主事前田昭一の三名が捜査対象になっております。

○小巻敏雄君 警察が送検されたのはだれだれかと、その送検理由を聞きます。

○政府委員(三井脩君) 珍坂校長以外、ただいま申し上げました三名につきましては、逮捕、監禁及び強要罪容疑で送致いたしました。

○小巻敏雄君 文部省に聞きますが、珍坂校長あるいは前田というような人の職責なり使命、行動を知っておられたのかどうか、これらの点を明らかにされたい。

○国務大臣(永井道雄君) ただいま容疑の段階において調べられていることの詳細というものは文部省はもちろん存じておりません。ただ、八鹿高校の事件をめぐるいろいろな事柄については、兵庫県教育委員会から報告を受けております。

○小巻敏雄君 さらに警察にお伺いをしますが、取り調べ中の者ですね、これについて教育の関係者が多数含まれておる、このことは明らかなのですけれども、その氏名を出してもらいたい。

○政府委員(三井脩君) 被疑者として取り調べました四名についてただいま名前を申し上げた次第でございますが、その他については結論を近く出す予定でございますので、氏名について申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。

○小巻敏雄君 ここで文部省に聞きますけれども、十一月二十二日現地に派遣された職員の氏名を言ってもらいたい。県教委からですね。

○説明員(奥田真丈君) お答えいたします。
 兵庫県教育委員会が十一月二十二日に派遣した職員名でございますが、畑中芳夫教育委員会の参事、山岡高同和教育指導室係長、前田昭一同じく係長、喜始彦明指導主事、植田良県職員課係長でございます。

○小巻敏雄君 限定してお伺いします、警察に。畑中、山岡――前田はすでにいま起訴の中にありましたけれども、送検の中に。喜始、植田、これらの人は取り調べの中に入っておりますか。

○政府委員(三井脩君) 詳細な点は、ただいま把握しておりません。

○小巻敏雄君 ぼけた話じゃないですか。畑中、山岡は何度も取り調べを受けておる。前田においては書類送検をされておる。
 警察にお伺いをしますが、警察は送検するに当たっては、起訴になるという相当の事実を、証拠を調べて確証を持って送られたものと思いますが、どうですか。

○政府委員(三井脩君) 警察で認知をして送る事件につきましては、もとより十分な確信を持った者について被疑者として事件を送致するわけでございます。ただ、そのほかに告訴、告発等がございますので、その中につきましては必ずしもそうでない者もあり得るということはございますが、警察が送りました者につきましては十分の自信を持って送っておるわけでございます。

○小巻敏雄君 明らかなことは、現地に派遣された教育委員会職員の一人は送検をされ、単に告発を受けたというような状況ではない。残った四人の中で二人までも、もう送検も間近になって取り調べられておる。五人中三人までが濃厚な被疑者である、こういう状況になっております。これについて文部大臣は、いままで八鹿高校に派遣された県教委の職員が事件に加担していたというような事実はないと言ってこられたのですが、いまでもそのように確信をしておられるのかどうか。

○国務大臣(永井道雄君) 現在容疑について取り調べが行われているわけでありますから、私がこの段階で確定的なことを申し上げる筋合いでないと考えます。それは調べが進行するにつれて明らかになることであると考えております。教育委員会におきまして当初の報告というものは、加担しているということはないという考えでありましたので、その教育委員会のやはり基本的な立場あるいは考えというものがわが国の教育を進めていくものと確信しております次第でございます。

○小巻敏雄君 兵庫県教育委員会の責任ある地位の職員と、校長や、そして指導主事、教頭が逮捕、監禁、強要容疑で取り調べを受けて書類送検をされ、そして警察と学校とを往復しておると、こういうような状況で、地域にも信を失っておる者がそのままになっておる、こういう状況が解決を促進するものなのか、足を引くものなのか、明らかだと思うんです。しかも、こういう者たちの報告だけに頼ってすべての国会報告は行われておる。これについて反省をされていないのか、今後もそういうことであるのか、再度答弁を求めます。

○国務大臣(永井道雄君) こうした事柄につきましては、事態の推移につれまして、なお一層よく調べるということが必要であるということは、私は前にも申しました。そこで、先ほども申し上げましたように、繰り返し教育委員会と連絡をとっただけではなく、教育委員長あるいは教育長、また教育次長ともお目にかかりまして、そうして私が非常に重要であると考えらる原則を述べまして、そしてどういう状況かということについて一歩一歩前よりもなお事態を調べるという形で指導助言の基本的な材料にいたして、そして私たちの考えというものも教育委員会に対して一歩一歩なお事実に即して明確にしていくという所存で進んできたわけでございます。

○小巻敏雄君 おくればせながら警察の活動は事態の解決に効果を上げてきたということは確認できると思うんです。しかし、兵庫県の教育委員会行政の指導は事態の解決をおくらしてきたと言わざるを得ない。
 ここで二つの問題について、特に事実の確認を求めて今後の問題の前進を図りたいと思うんです。文相は、県教育長が解放同盟に身柄を預けるという確認文書を与えたという事実を知っておられるのか、知っておられるなら、その内容についてここで明らかにしてもらいたい。

○説明員(奥田真丈君) ただいまのお話は昭和四十七年の四月のことではないかと思いますが、兵庫県の教育委員会の報告によりますと、四十七年の四月の六日、七日に白井教育長が糾弾会に出席したのは事実でございます。しかし、解同に身柄を預け、屈服し、その指導のもとに同和教育を進めているわけではないと、県教育委員会としては四十七年四月十三日に決定された兵庫県議会文教常任委員会統一意見書の趣旨に従って同和教育を進めているということでございます。

○小巻敏雄君 そういううその報告を信じておったのでは問題の解決はできない。兵庫県の委員会月報昭和四十七年四月号に、恐るべき糾弾、屈服の内容とこれが報告をされており、そして確約書の内容も明らかになっておる。その確約書の内容について言ってごらんなさい。

○説明員(奥田真丈君) 御指摘の兵庫県教育委員会月報につきましては、ただいままだ見ておりません。

○小巻敏雄君 渡してあるものを見ないというのはどういうわけなんですか。

○説明員(奥田真丈君) ただいまの段階で、まだ私の手元にも来ておりませんし、いま調べております。

○小巻敏雄君 知っている人はいないんですか。ちゃんとわかった人から報告をしなさいよ。

○説明員(奥田真丈君) いただいていないようでございます。

○小巻敏雄君 昨年十月から十一月にかけて朝来中学橋本哲朗糾弾という暴行があったのですが、そこに課長待遇、兵庫県の教育事務所長の上田平雄という人物が行って驚くべき演説をしておる、この具体的な問題はさきに衆議院でも追及されておりますけれども、その演説の内容を読み上げてもらいたい。

○説明員(奥田真丈君) 但馬教育事務所長の発言内容を読み上げます。
 「但馬の事務所長であります。声明文をよみあげます。
 部落の完全解放をはばみ、運動と教育の分裂をはかる橋本哲朗の危険な部落差別は断じて許せません。但馬教育事務所は教育行政の責任において解放同盟と連帯し、橋本糾弾、完全勝利をかちとるまで斗いつづけることを声明いたします。」
 この場合の「危険な」の中は、「又は「卑劣な」」と、こういうふうな、どちらかはっきりしない点がございます。

○小巻敏雄君 いま読まれた中に、運動と教育の分裂をはかる者は糾弾するとありますが、県教委を代表する事務所長がこういうことを言うというのは、教育の中立性を侵すものではないですか。同対審の答申の趣旨に挑戦するものでしょう。そして、違法集会に激励を与えるというのは、監禁罪の教唆扇動にもなるんじゃないですか。文部大臣、これについてどう考えますか。

○国務大臣(永井道雄君) ただいま奥田審議官が読み上げました上田事務所長の発言でございますが、それは確かに事実でありまして、そして、そういう発言を行いましたのは、公正を疑われる面があるということを県の教育委員会も言っております。私たちも、公正を疑われるような発言があったことは穏当でないと考えております。もっと公正中立であるということが、明確な発言であることが望ましいと考えます。

○小巻敏雄君 教育委員会の高い地位にある者がこういう偏向行政を行って、そのままになっておるのが兵庫県教育委員会の行政の今日である。あわせて、最高の地位にあった総括責任者である白井教育長が、ここにありますように、委員会月報にも明白に記載されている中で、昭和四十七年、私は部落解放同盟に身柄を預けます、解同委員長の指導を受けて今後の教育行政を進めてまいりますと言っておる。そのときから問題は始まっておるのです。課長が教育長の承認もなくてそんな偏向的な演説ができるものじゃない。ここに兵庫県政の根源がある。上田平雄の問題、白井教育長の問題、これらの問題を国会に報告することなしに、どうして八鹿事件の背景と真相がわかるでしょうか。二十六日、文相は衆議院の予算委員会の理事会に対して報告書を上げてきました。まるまるあの報告書は兵庫県の教育委員会の言い分をうのみにしたものであります。国民が判断の指針にすべき重要な事実が隠蔽をされております。故意に隠蔽をしたものなら文部省も同罪である。もしこれが落とされたものであるなら、不明を反省しなければならぬ。今後この犯罪者とも言うべき県教委の報告のみに頼って、この国政審議の最高の責任を持つ国会にこの報告をするというようなことはやめてもらわなければならぬ。サンデー毎日の特集を読むよりもわからないような文部省報告というのは反省をしてもらう必要がある。むしろ一歩進んで、今日の状況解決を警察だけに頼って、文部省の指導が今日まで十分な解決を促進しなかったという点についての文部大臣の反省を聞きたい。

○国務大臣(永井道雄君) この種の問題といいますのは、暴力をはらんでいるような問題に関連いたしまして、警察の御協力を得まして適切なる処置というものを期待すべきは当然のことでございます。他方、これはまた教育でありますばかりでなく、ただいま御指摘にありましたような、そういう御疑念もあるかと思いますけれども、しかしながら、わが国の制度におきまして、教育における教育委員会というものの判断、また責任というものも、これまたきわめて重要なものでありますから、私たちといたしましては、その教育委員会というものが持っている固有なる制度上の責任性というものも尊重して進んでまいった次第でございます。そういう角度で私たちも、先ほど申し上げましたように繰り返し話をし、そうして少しでも事態というものをつかんで進んでまいったつもりでありまして、そうしたことの一つのあらわれといたしまして申し上げました三月十四日の通知というものも教育委員会から発せられている、そのことによってまた、教育委員会の判断と自主性というものも尊重し、そしてそこから方針というものが打ち出されてきているという点につきましても御了解をいただけますならばきわめて幸いであると考えております。

○小巻敏雄君 新しい三月の通達については、いずれ文教委員会なりで討論をしたいと思っておりますが、文教行政の地方自治ということは、不当な状況を傍観するために置かれておるものではない。自治のつい立ての裏に寝そべっておることは許されないと思うんです。何も干渉しなくても、文部省の手で直接真実を明らかにし、国民の前に示すなら、自主解決は促されるのであります。誤った報告を受け入れて、結果において事実を隠蔽する、それの協力者の立場に立つならば現実の解決は行うことができない、そういう点において、再度申しますが、暴行の幇助者としての役割りを果たしてきた教育委員会の報告のみに頼って国会に答弁をされ、国会に対して報告書を上げられたということについてはひとつ反省を行われて、今後直接の調査によって国会報告を行われることと、あわせて、そういう姿勢があるから、すでに二日前に起こっておる一つの学校の入学許可を転覆させるために再び長時間の監禁、強要、暴力が行なわれておる、こういう問題についてニュースさえも手に入れることができないのであります。こういう状況について今後の文部省の姿勢を再度承って終わりたいと思います。

○国務大臣(永井道雄君) 私は、文部省がこれまで完璧に教育行政をやってまいりましたから何ら反省をしないというようなことを申すつもりはないのです。なぜかなれば、事実、暴力行為というふうなものも発生してきているということは、終局におきまして文部行政というものが完全なる成果を生み得なかったということでありますから、こうしたことについて十分反省をしなければならないと考えております。また、事柄が生じました場合に調査を行うというようなことにつきましても、適切な方法というものを求めて努力すべきこと、これまた申し上げるまでもないことであります。他方、そうした、過程におきまして、同時に教育委員会における自主性というものも尊重して、そうした制度というものを強化するようにわれわれは努力すべきであるし、また、大学などの場合には大学の自治というものが強化されるように努力すべきである、その原則というものを踏まえながら、私たちも日一日、いままで以上によい教育行政というものをやっていきますために、これまでの活動の仕方というものについて常に反省をして、なお前進していくように心がけるべきものである、このように考えております。

※→八鹿高校事件関連国会質問一覧 1974/11/22〜1975/03/31