75-衆-法務委員会-11号 昭和50年03月12日

○諫山委員 前回、私は、兵庫県南但馬一帯で起こった部落解放同盟朝田派の暴力事件の捜査について質問しました。それから相当期間経過いたしましたから、現在の時点でもう一回質問を繰り返したいと思います。
 まず、南但馬一帯でたくさんの告訴、告発事件があったはずですが、何件受理され、被疑者として特定している人は何名いるのか。警察、検察庁でいろいろ説明が違うようですから、警察側から御説明ください。

○佐々説明員 お答えいたします。
 先般の、二月十二日の当法務委員会においてお答えいたしました段階では、警察が認知しております事件は、告訴、告発事件、申告事件を含めまして十六件、このうち申告事件が三件でございまして、告訴、告発事件が十三件でございます。このうち、二月十二日の時点までで四件、二十二名を処理しておるというふうに御答弁申し上げましたが、今日現在、これらの事件十六件のうち十三件を事件処理をいたしまして、検察庁に送致いたしております。なお、特定できました被疑者は五十三名でございます。

○諫山委員 検察庁関係ではどうなっていますか。検察庁、だれもいませんか。――ではちょっと待ちましょう。

○田中(覚)委員長代理 ちょっと速記をとめてください。

○田中(覚)委員長代理 速記を始めてください。

○諫山委員 警察庁に質問を続けます。
 さっき、現在十三件は処理済みで、被疑者は五十三名と言われましたが、これは現在までの累計ですか、二月に答弁されたのを含めて、累計が以上のとおりですか。

○佐々説明員 そのとおりでございます。

○諫山委員 そうすると、まだ処理が済んでいなくて、警察が調べている事件というのはどうなっていますか。

○佐々説明員 したがいまして、あと三件未処理の事件が、警察が認知しております事件のうち残っております。  なお、八鹿高校事件につきましては、現在までに合計二十四名、強制で十二名、任意で十二名事件処理をいたして送致いたしておりますが、この事件についてはなお捜査中でございます。

○諫山委員 未処理、つまり検察庁に送検してない分で被疑者が何名ぐらい残っていますか。

○佐々説明員 この数はちょっと特定しがたいと思います。と申しますのは、告訴の内容が被告訴人多数というふうになっておる事件等もございますので、ちょっと正確な数字は申し上げられないと思います。

○諫山委員 検察庁関係で質問します。
 警察が受理した告訴と検察庁が受理した告訴とある関係で、事件の実態がなかなかつかみにくいのですが、検察庁としては、何件の刑事事件があり、特定した被疑者の数は何名になっているのか、わかりますか。

○安原政府委員 御指摘の南但馬地区一帯におきまして発生しました暴力事件等の受理の概要でございますが、御指摘の事件につきましては検察庁において合計二十件受理いたしておりまして、そのうち警察の送致に係る事件が五件であるという報告を受けております。それから被疑者として取り調べた人間の数は約二百名でございますが、警察から送致を受けた被疑者の数は五十三名でございます。

○諫山委員 警察関係、検察庁関係、あわせて聞いていただきたいのですが、検察庁としては、被疑者として取り調べた者の数が約二百名、その中で五十三名は警察から送致を受けた者、そのほかに警察にまだとどまっている事件が件数として三件、被疑者の数はまだはっきりしない、これだけがとにかく刑事事件として警察、検察庁にあるということになりますか。警察から言えばどうでしょう。

○佐々説明員 仰せのとおり、まだ事件捜査中ということで、警察は本件について依然捜査をやっておると申せると思います。

○諫山委員 警察に質問します。
 告訴、告発事件、申告事件の中で、被疑者を部落解放同盟朝田派の人たちとしているのが大部分ですが、そのほかに学校、町役場、育友会、教育委員会、警察、こういう関係者を告訴しています。この中で警察で調べている事件がありますか。

○佐々説明員 警察で調べております事件は、教育関係者及び教育委員会関係者のうち、現場にいたという捜査情報のあった者等について捜査をいたし、現在までに、教育委員会関係については一人、教職員関係者について二人、合計三名を送致いたしております。そのほかの関係者は、先般の当委員会において直接実行行為に関係をしなかった共犯関係を調べておるかという御質問がございましたが、必ずしも直接実行行為に関係をしていなくても、現場にいたということで共犯の疑いのある者という形で捜査をいたしております。現在まで処理いたしましたのは三名でございます。

○諫山委員 教育委員会、学校関係では警察の捜査はもう済んでいますか、まだ続行中ですか。

○佐々説明員 先ほど御答弁をいたしましたように、八鹿高校事件そのものが現在まだ捜査継続中でございますので、その意味では捜査を終了いたしておりません。

○諫山委員 教育委員会関係で一人送検したそうですが、いつごろ、だれを、どういう罪名で送検したのでしょうか。

○佐々説明員 教育委員会関係者につきましては、三月十二日、本日、県の教育委員会同和教育指導室の主事前田昭一という人を、逮捕監禁致傷で送致をいたしております。

○諫山委員 学校関係の三名というのは、いつ、どういう罪名で、だれを送検しましたか。

○佐々説明員 教育関係者、教職員関係者は二名でございまして、これは同じく本日付で、八鹿高校朝来分校教諭の小山友一という人と山根新作という人、この二名を同一罪名で送致をいたしております。

○諫山委員 教育委員会関係ではもっとたくさんの人が告訴、告発されていたと思いますが、それは捜査が済んで送検の必要なしということになったのか、それともまだ捜査続行中で未済なのか、どちらでしょうか。

○佐々説明員 捜査の結果、送致の必要なしという結論の出た者もおりますし、捜査続行中で、なお容疑が固まらない、あるいは証拠資料その他が十分でないという形で捜査続行中である者もおります。

○諫山委員 それは被告発人ごとにこの場で特定できますか。

○佐々説明員 具体的な捜査の内容になりますので、この席で捜査の機微にかかわる具体的な特定の内容については答弁を差し控えさしていただきたいと思います。

○諫山委員 そうしたら、送検の必要なしということで警察段階で処理が済んだ人はどうでしょうか。

○佐々説明員 これも初期の段階で、必ずしも全部被疑者として事情聴取をいたしたわけでございません。参考人という形で聴取をした者もございますので、人権の問題もございますのでこの席へこれを明らかにすることは差し控えさしていただきたいと思います。

○諫山委員 それ以外の育友会、町職員、校長、教頭、この人たちは警察は直接調べには当たらなかったのですか。

○佐々説明員 校長、教頭あるいはその他の教育委員会関係者、教職員関係者、町の職員等についても直接捜査をいたしております。

○諫山委員 校長、教頭についてはいつごろから被疑者としての調べが始まり、いつごろ被疑者としての調べが済んだのか、また何回ぐらい被疑者として調べたのでしょうか。

○佐々説明員 本件は現在捜査中でございますので、答弁は差し控えさしていただきます。

○諫山委員 検察庁関係でお聞きします。
 初めにお断りしておきますが、私がこういう問題を質問するのは、兵庫県一帯で起こった解放同盟朝田派に対する捜査が敏速適切に行われていなかったのではなかったか、そのことが次々に事件を続発させる一つの原因になっているんじゃなかろうか、そうだとすれば問題だという観点から質問するわけですから、決して捜査の内容をどうこうという観点ではありませんから、できる限りお答え願いたいと思います。

 八鹿警察署長の釜谷吉四郎という人が昨年十一月二十四日、神戸地検検事正あてに告発されています。告発人は吉富健二、罪名は公務員職権濫用罪、保護責任者遺棄致傷、犯人隠避という非常に罪の重い事件です。この事件の捜査はどうなっているのか、検察庁側からお聞きいたします。

○安原政府委員 御指摘の事件は、昨年の十一月二十四日に神戸地検に、公務員職権濫用、保護責任者遺棄、犯人隠避というような罪名で八鹿警察署長の釜谷吉四郎氏に対しての告発がございまして、神戸地検の報告によりますると、警察等の関係者約二十名の取り調べを行って、目下鋭意捜査中であるという報告であります。

○諫山委員 保護責任者遺棄致傷というのは、刑法を見ますと三月以上五年以下の懲役というなかなか重罰に処せられる罪になっているのですが、被疑者の取り調べはすでに行われたのか。行われていないとすればいつごろ行う予定なのか、御説明ください。

○安原政府委員 被疑者の取り調べは行われたという報告を受けております。

○諫山委員 私が現地でいろいろ聞く話と幾らか違うのですが、いつごろ被疑者が調べられたのか、そして被疑者の調べは終了したのかどうか、御説明ください。

○安原政府委員 目下のところ、いつかということはわかりませんが、いずれにいたしましても、捜査が終了したかどうかということは、目下捜査中でございますので、いわゆる捜査の秘密として申し上げるわけにはいかないので御了承願いたいと思います。

○諫山委員 私は他の機会にも言ったのですが、この席で捜査の秘密ということはよほどの場合でないと使ってもらいたくないと思うのです。捜査の秘密ということで法務委員会での論議が十分なされないということになると、昔流の言葉で言えば検察ファッショにつながり得るわけです。私たちとしては、検察行政が適正に行われているかどうか、これに十分気を配りたいわけです。その場合に、いや捜査の秘密でございますからというような言い方がどんどん広がっていきますと、検察庁のやっていることに対して国会は物が言えないという大変な事態になるわけです。そういう観点でもう一遍質問します。
 八鹿警察署長を警察に告発せずに検察庁に告発したというのはそれなりの理由があったからです。警察では恐らく公正な調べは無理だろう、そういう観点で検察庁に告発したわけですが、いつごろ捜査が終わるのか、そしてさらに釜谷署長が被疑者としてまだ調べられるのか。こんなことは説明しても何も捜査が妨げられることはないはずだと思いますが、どうでしょう。

○安原政府委員 国政の調査権に対して最大の敬意を払うべきことは当然のことでございまして、捜査の秘密ということを軽々しく言うべきではないこともよく承知をいたしておりまするが、いま諫山委員お尋ねのこの関係において、被疑者の取り調べが終わったのかというようなことを申し上げることは、まさに関係者に対して捜査の見通しをすでに申し上げるということにも相なりますので、その点は御勘弁を願いたいということでございます。そのほかに他意はございません。
 なお、この件と申しますよりも、一般にこの南但馬地区の事件につきましては、検察庁といたしましてはできる限り今月中に捜査を終了したいという目途でやっておりますので、この事件につきましてもその範囲内に入る事件でございますので、今月末を目途に鋭意捜査中であるということで御理解をいただきたい、かように思います。

○諫山委員 そうすると、八鹿警察署長を告発している事件では二十名の調べを行って、被疑者に対する取り調べも行ったけれども、あとまだ捜査が続くのかどうかということも言えないのですか。

○安原政府委員 捜査中でございますから、捜査は続いているというふうに御理解をいただいて結構かと思います。

○諫山委員 校長、教頭は、暴力事件の共犯というよりか中心的な人物として告訴、告発がされています。警察ではすでに何回か調べを続けられたようですが、検察庁も被疑者として校長、教頭を調べましたか。

○安原政府委員 お尋ねの件につきましては、いつ、どこでということは申し上げられませんが、二月二十日現在におきまして、校長、教頭につきまして五回ないし七回の取り調べを行っております。

○諫山委員 五回ないし七回というのは、校長について五回、教頭について七回、検察庁が被疑者として調べたという意味ですか。

○安原政府委員 校長さんに七回、教頭さんに五回ということでございます。

○諫山委員 教育委員会関係で本日一名送検したというお話ですが、検察庁の方で送検を待たずに独自に被疑者として調べている人が何人いますか。

○安原政府委員 直接告訴を受けました者は教育委員会関係では三名でございます。

○諫山委員 その三名の調べ状況がどうなっているのか、御説明ください。

○安原政府委員 これらの三名につきましてもそれぞれ数回取り調べを行っております。

○諫山委員 校長、教頭については七回、五回という調べの回数が説明されましたが、教育委員会関係の三名についてはいかがでしょう。同じ程度で結構ですから御説明ください。

○安原政府委員 ある人については三回、ある人については一回というのが二月二十日現在の状況でございます。

○諫山委員 告発されている人は特定しているわけですから、だれが何回ということは言えましょう。

○安原政府委員 但馬教育事務所長上田という方が告発されておりまするが、この人については三回、それから県教育参事の畑中、それから主事の山岡、両氏については各一回でございます。

○諫山委員 この三名については被疑者としての取り調べはもう済んだのでしょうか。まだ未済ですか。

○安原政府委員 まだ取り調べ中でございます。

○諫山委員 町職員で告訴、告発された人がいますが、これはどうなっていますか。

○安原政府委員 町職員関係で告訴を受けた者が合計七名あると承知しておりまするが、それぞれ各一回取り調べを終わっております。

○諫山委員 育友会関係はどうですか。

○安原政府委員 育友会関係は手元の資料ではわかりませんので、ひとつ……。

○諫山委員 いまの程度で結構ですが、後日お知らせいただけますか。

○安原政府委員 承知いたしました。

○諫山委員 警察庁にお聞きします。
 いま教育委員会関係で前田さんについては送検したという話で、検察庁で調べた上田さん、山岡さん、畑中さんですか、この人たちは警察でも調べていますか。

○佐々説明員 これは警察関係の被告訴人ではございませんが、いろいろ事件の関係者として調べているものと思われます。手元の資料ではちょっとわかりかねます。 ○諫山委員 校長、教頭さんの調べが検察庁から説明がありましたが、警察ではこの人たちを被疑者として調べていますか。

○佐々説明員 校長について被疑者としての取り調べを行ったと聞いております。

○諫山委員 ずいぶん参考人調べが行われたと思いますが、参考人の数は南但馬一帯で延べ何名ぐらいになっておりましょうか。

○佐々説明員 正確な数字をちょっと承知いたしておりませんが、数百名に及ぶであろうと思われます。

○諫山委員 検察庁はどうですか。

○安原政府委員 報告によりますと、検察庁関係で取り調べをした参考人は実人員で六百名、延べで約千名と報告を受けております。

○諫山委員 実人員と延べ人員の関係はどうなっているのですか。ちょっとわかりにくいのですが。

○安原政府委員 個人を単位にしますと合計で六百名ですが、その中には二回調べた方もおられるので、延べにいたしますと約千名になるということでございます。

○諫山委員 二回調べたのを二人というのじゃなくて、二件について調べたという意味じゃなかったのですか。たとえば一人の参考人を一つの事件、で二回調べれば二人という計算をしたのですか。

○安原政府委員 御指摘の点は御指摘の点で問題でありますが、同じ事件について二回調べたのか、二つの事件について一回ずつ同じ人間から聞いたのか、よくわかりません。どちらも入っているのじゃないかと思います。

○諫山委員 被疑者二百名というのは実人員の意味ですか、それともいま言った延べという意味ですか。

○安原政府委員 いわゆる実人員でございます。

○諫山委員 そうすると、丸尾某のように一人で幾つもの事件の被疑者になっている人もあるわけですね。そういう人を一人として数えて被疑者が約二百名、こうなりますか。

○安原政府委員 御指摘のとおりでございます。

○諫山委員 今月いっぱいには結論を出すということですが、これは南但馬一帯での告訴事件全部という意味ですか。

○安原政府委員 大体全部でございますが、一件、去る二月の二十五日に南但馬地区一連の事件として告訴のございました朝来町議会副議長事件を別といたしまして、すべてについて今月中にという意味でございます。

○諫山委員 たくさんの被疑事件のようですが、これは同じ日に同時に結論を出しますか。

○安原政府委員 そこまで詳細に聞いておりませんが、大体の事件というものの処理ということになりますと、全部をながめて公平な処理ということでありますので、全事件をながめながら処理をすると思いますけれども、その点については詳細は報告を受けておりませんのでどちらとも申し上げかねます。

○諫山委員 南但馬一帯における捜査の概要はわかりました。
 次に、南但馬一帯の部落解放同盟朝田派の刑事事件というのは昨年の九月から十月ごろから表面化しております。古いのでは昨年九月八日、朝来町元津国道わき事件というのがあります。これは九月十二日に告訴されているのですが、事件の態様は典型的な逮捕監禁傷害。約二百名の人が十名ぐらいの人たちを取り囲み、連行し、二十数時間にわたってリンチを加える、そのために五名の人が二週間の難聴その他の傷害を受けるという事件です。告訴状では、「一昼夜にわたって長時間逮捕監禁した上、残忍非道なやり方で暴力の限りを尽くした」こういう表現が使われています。これは警察はいつごろから捜査を始めたのか、そして現在どうなっているのか、御説明ください。

○佐々説明員 御指摘の事件につきましては、被告訴人を含めまして合計七名を検挙をいたしまして、送致をいたしております。送致の年月日につきましてはちょっと手元の資料にございませんので、後ほど調べて御回答いたします。

○諫山委員 この事件の処理が済まないうちに、十月二十日から二十六日にかけて、橋本哲朗先生宅を包囲する、そして長時間にわたって不法監禁、暴力行為を働くという事件が起こりました。この事件では、十月二十四日、まだ不法監禁が継続中でありますが、兵庫県警に告訴しています。そして十月二十三日、監禁が継続中でありますが、橋本先生が神戸地裁豊岡支部に仮処分の申請をして、裁判所がその日のうちに仮処分申請を認容しました。仮処分決定の中で、「多人数で包囲し、同居宅に向けて拡声機を使用するなどして大声を発し、投光器で同居宅を照射するなど、私生活の平穏を侵害する行為をしてはならない」「居宅の周囲を多人数で包囲し、居宅からの出入りを自動車などでふさぐなど、居宅からの出入りを妨害する行為をしてはならない。」こういう主文の仮処分決定をいたしました。これが十月二十三日で、まだ監禁続行中です。この事件で共産党の木下代議士や県会議員も現場に駆けつけて警察に善処を要求しましたが、何一つ対策を立てておりません。
 この事件の捜査はいつごろから始まり、現在どうなっているのか、御説明ください。

○佐々説明員 御指摘の橋本先生宅事件につきましては、本年の一月の六日から二月の九日の間にわたりまして三回、合計七名、このうち二名強制捜査、五名任意でございますけれども、合計七名を検挙をいたしまして、事件を神戸地検に送っております。
 なお、先ほどの元津国道事件の送致年月日でございますが、四十九年の十一月十六日でございます。

○諫山委員 私が古い二つの事件を引き合いに出したのは、これだけ長時間、白昼公然と不法行為、犯罪行為が行われたのに警察が適切な措置をとらない。このことが部落解放同盟朝田・丸尾派を増長さして八鹿高校事件に発展していったのではないかと考えるからです。特に十月二十日から二十六日まで続いた橋本哲朗先生の事件では、裁判官が現地に赴いて現場を見て、私がいま読み上げたような主文の仮処分決定をしたのです。仮処分決定を見ただけでも、十月二十四日付の告訴が根拠のある告訴であるということはすぐわかったはずです。なぜ警察はこの時点で処置をしなかったのか。なぜ、犯罪を防止するとか、あるいは犯人を検挙するという措置をしなかったのか、私にはどうしても理解できません。どういう事情だったのでしょうか。

○佐々説明員 橋本先生宅事件等、一連の九月ごろにおきまする事件の特徴は、不法逮捕監禁という違法行為に果たしてなっておるのかどうかというぎりぎりの線で、あくまでも本人の同意を得た任意の糾弾会である、こういう形で話し合いが展開をされておった、こういうところから現行犯検挙になかなか踏み切れなかったというふうに兵庫県警から報告を受けております。しかしながらその後におきまして関係者の事件捜査をいたしました結果、先ほど申し上げましたように、この事件について不法逮捕監禁等の容疑が出てまいりましたので、御指摘のリーダー格の丸尾良昭を含め七名の者を検挙し、措置をいたしております。兵庫県警としては、現行犯検挙はいたしておりませんけれども、この事件については適切なる捜査措置をとったものと私どもは考えております。

○諫山委員 私たちが、反共暴力集団に対して警察が泳がせ政策をとっているのではないかと批判していることは御承知だと思います。いまの説明では、本人が承諾して糾弾会が行われているんじゃなかろうかという認識を持っていたと言われました。しかし、十月二十三日、逮捕監禁の真っ最中に仮処分の申請をしているわけです。告訴状が出されたのが十月二十四日、まだ監禁の続行中です。これが解除されたのは二十六日です。こういう事実を見ると、本人の承諾で取り巻かれているなんということがあり得るはずがありません。しかもそのやり方たるや、投光器を五台も据えつけて夜は昼間のように明るくする。そしてがんがんマイクでどなり立てる。木下代議士が救出のために行っても阻まれる。どう考えても、これは警察が泳がせていたのか、あるいは警察が暴力を恐れていたのか、どちらかでしかあり得ないと思うのですが、納得いく説明をしてください。

○佐々説明員 警察は決して暴力集団を泳がせていたものでもなく、また暴力を恐れていたものでもございません。当時の状況をいろいろ兵庫県警から報告を受けますると、木下代議士の場合におきましても、橋本先生宅に立ち入られ、部落解放同盟側の者がその家を取り巻いた、こういう時点で警察部隊は現場に出動をいたしております。所要の規制措置をとって、十分安全に橋本先生宅から出られる状況をつくり、何回か「どうぞもうお出かけください」ということを促したのでございますけれども、「部落解放同盟の暴力集団の関係者が一人でもこの場におる限りは一歩も出ない」こういうことでお出かけにならない。このことにつきましては、共産党本部の方からも当時私どもに日夜連絡がございまして、私どもは適切なる現場措置を講じ、そういう状態を排除して違法状態をなくす、こういう状態を何回かつくったわけでございますけれども、「部落解放同盟側の者を全員この場から立ち去らせないと出られない」こういうようなことでございました。
 また、橋本先生が御自分の意思で、同意を得て包囲をされておった、自宅に閉じ込められておった、こういうことはあり得ないではないかということでございますが、これはまさに御指摘のとおりでございまして、当時、部隊をこの一連の橋本先生事件に関しましては配備をいたしまして、状況によっては、そういう不法逮捕監禁の状態で「脱出したい、こういうことであればいつでもそういう措置をとるぞ」「いや、まだ話し合い中である」こういうようなことで結局現行犯逮捕に至らなかったということでございます。先ほど御説明をいたしましたように、この事件について事後に捜査をいたしました結果、逮捕監禁等の容疑が出てまいりましたので、強制捜査二名を含む七名を検挙いたして処理をいたしております。
 そういう警察の基本的な姿勢につきまして、暴力集団を泳がせておるとかあるいは暴力を恐れておる、こういうことではあるまいかという御質問がございましたが、そのようなことはございません。

○諫山委員 国民の護民官たるべき共産党の木下代議士が「暴力集団が一人でも残っている限り出ていかない」という態度をとったのは、私は当然だと思います。問題は、そういうことを代議士が言っているのに、なぜ警察がその措置をとらなかったかということなんです。
 そこで法務省にお聞きしますが、この事件ではすでに監禁罪で起訴されています。その監禁というのはいつからいつまで続いたという公訴事実になっていましょうか。

○安原政府委員 いま御指摘の橋本先生宅包囲事件についての監禁につきましては、県警から事件の送付を受け、神戸地検にも告訴のあった事件でございますが、まだ逮捕監禁罪という名前で処理は終わっておりません。まだ捜査中の案件でございます。

○諫山委員 これは起訴された人はまだいないのですか。

○安原政府委員 まだおりません。

○諫山委員 それじゃ警察に聞きます。
 逮捕したそうですが、それはいつからいつまで監禁したという事実で逮捕したのですか。

○佐々説明員 十月二十日から二十六日の間の不法逮捕監禁事案として送致をいたしております。

○諫山委員 警備課長はいろいろ、本人の承諾とか、木下代議士が出れば出れた状態とか、まあ丸尾に有利な説明をされたわけです。それでも警察の逮捕時点では、やはり二十日から二十六日まで犯罪行為が継続していたということになっているわけですね。現場まで警察が来ていた、機動隊もいたというのに、なぜそれに適切な措置をとらなかったのか。これはどのように説明しようとも、泳がしたか恐れたか以外にあり得ないじゃないかという疑問はぬぐい去られません。
 そこで、丸尾良昭が逮捕され、勾留請求されたけれども、いまごろ勾留請求してももう遅い、すでに証拠隠滅のおそれはないということで却下されたと聞きましたが、そうなんですか。

○安原政府委員 御指摘のような理由で勾留状が出なかったと報告を受けております。

○諫山委員 私はこの事件の捜査のおくれを問題にしましたが、警察、検察庁の捜査がおくれたばかりに、勾留して取り調べようと思ったのに勾留して取り調べることができなかった、いまごろ勾留請求しても遅過ぎるといって裁判所からはねつけられた、こういう経過になっているわけですが、警察庁としてはこの点で反省すべき点はありませんか。

○佐々説明員 告訴、告発事件の処理につきましては、可能な限り迅速にこれを処理し、事件送致をすべきが原則でございまして、その意味で、事件送致に若干の時間がかかっておるという点、御指摘のような疑惑を招くおそれもなしといたしませんが、この事件の特殊性は、従来から差別意識をなくすための糾弾という形でしばしば行われておりました事案が次第に暴力的な事件を伴うようになってまいった、そういう過程において発生をした事件でございまして、先ほど、現場に警察官が行きながらなぜ適当な措置をしなかったか、後になって十月二十日から二十六日の間不法監禁の事実を認めて、その罪名でもって送致をしておるのはおかしいではないかという御質問がございましたが、先ほど申し上げましたのは、現行犯逮捕をしなかった、それは現場の種々の条件からいって現行犯逮捕を行うだけの十分な条件が現場になかった、こういうことを申し上げたのでございまして、その後の捜査の結果、十月二十日からそういう状態があったという犯罪事実を認知をいたしましたので、事後捜査として処理をいたしたということでございます。

○諫山委員 私が指摘した点で、法務省は反省すべき点はありませんか。

○安原政府委員 御指摘の橋本先生宅の包囲事件の関係ということにしぼっての、迅速処理に欠けるところが検察庁としてもあったのではないかというお尋ねであるといたしますれば、捜査の第一線にあられる警察で捜査中の事件につきまして、関心を持ちながらも警察の捜査に第一線をおまかせして、送致を受けて検察庁が処理を図るというのが刑訴のたてまえでございますので、この件に関する限りにおきましては、検察庁として迅速を欠いたという非難は当たらないのではないかと思っております。

○諫山委員 私は、少なくともあなたたちはこの場で、あの事件の処理は適切でなかった、反省すべき点があったというふうに言わなければならないと思います。それをいろいろな言葉でかばい立てるというようなことでは、こういう問題というのはいつまでもなくならないと思います。この点では一番勇気があったのは裁判所です。裁判官は現場に行って、仮処分申請が行われたその日にこういう状態を解除するような命令を出しました。
 私がなぜこういう古い事件を取り上げるかというと、もしこの時点で迅速に適切な措置がされていたら、二百名からの被疑者が出てくるような大事件が起こらなかったのではなかろうかと考えるからです。あれだけのことをやっても警察は手を出さない、だれだってこれはのぼせ上がります。この中心人物は丸尾でしょう。そして次から次に但馬一帯で暴れ回ったのが丸尾でしょう。八鹿高校の中心人物も丸尾でしょう。山本佐造の名前もここで出てきます。なぜ、このときに厳正な措置をとらなかったのか、なぜこの時点で泳がしたのか。このことが南但馬一帯の平穏を害することになったじゃないか、私たちはこう指摘しているのですが、こう言われてもやはり第一線の措置は正しかったと言われますか。

○佐々説明員 八鹿事件の場合には非常にはっきりした暴力事件になったわけでございまして、このような暴力事件については直ちに断固たる措置をとるべきであった。現場においてなぜ現行犯逮捕をしなかったかという御指摘が八鹿事件についてございますとすれば、これは従来当委員会においても御説明をいたしたことかと思いますが、十分なる内部における情報の不足その他の事情から、それから部隊が当日フォード大統領警備に従事をしておったために、その点配慮がおくれ、事件処理が遅くなった、こういう点については、八鹿事件については私どもはもう少し敏速な措置を現場においてすべきであったであろうというふうに考えております。しかしながら、この一連のその他の告訴事件につきましては必ずしも、敏速なる処理を行わなかったために八鹿事件が発生したというふうに私どもは考えておりません。この種の告訴事件については、先ほど申し上げましたように、迅速に処理すべきが原則でございますが、この事案の微妙な性格から事件捜査が手間取った、こういう点はございます。しかしながら、それが原因で八鹿町事件が発生をしたと言うのは必ずしも当たらないのでございまして、この種の犯罪につきましては警察は断固たる態度で臨むという基本姿勢、従来もそうでございましたし、今後もそういう姿勢で取り組んでまいりたいと考えております。

○諫山委員 もう一つ、古い事件にさかのぼります。
 一昨年の九月から十二月にかけて、兵庫県西宮市で部落解放同盟朝田派によるさまざまなリンチ事件、暴力事件が起こっております。私の調査では、この間に五件の告訴、告発事件があったと思いますが、警察庁、どうでしょう。

○佐々説明員 お尋ねの、昭和四十八年九月、西宮市役所において発生した事案につきましては、兵庫県警が受理をいたしました告訴事件は四件と承知いたしております。
 具体的に申し上げますと、第一の事件は四十八年の九月十七日、西宮市九月定例市議会出席のために日本共産党西宮市議団所属の市議五名が同庁舎内市議会に立ち入ろうとしたところ、庁舎内にいた部落解放同盟員十数名が入口ドアに立ちふさがって入場を阻止するなどをして、同市議の公務を妨害したという事件でございます。第二の事件は……(諫山委員「内容は結構です」と呼ぶ)以上、これを初めといたします四件の事件の告訴を受理いたしておりますが、いずれもこれらの事件につきましてはそれぞれ事件処理をいたしまして、四十八年の十二月六日に被告訴人四人を第一の事件について、その他の事件につきましても十二月六日、神戸地検に送致をする等、四十八年に発生をいたしました事件につきましては四十九年六月二十九日及び七月九日を最後といたしまして、いずれも事件送致をいたしております。

○諫山委員 いまの四件の中には十二月三日の勤労会館事件は含まれていますか。

○佐々説明員 勤労会館事件は含まれておりません。勤労会館事件を含めますと五件でございます。

○諫山委員 そうすると、五件とも全部警察の捜査は一段落して検察庁に送っておるということになりますか。だとすれば合計何名の被疑者を送検したのか、お知らせください。勤労会館を含めて。

○佐々説明員 五件で三十八名と承知いたしております。

○諫山委員 勤労会館事件では被疑者が何名で、罪名はどうなっていましょうか。

○佐々説明員 勤労会館事件では、罪名は威力業務妨害、傷害及び暴力行為等処罰ニ関スル法律違反で合計二十二名を特定し、神戸地検に送付いたしております。

○諫山委員 これは、約二百名の人が集会を開いていた勤労会館に乱入して、ガラスを割ったり乱暴ろうぜきの限りを尽くしたという事件ですが、二十名しか送検されていないのはなぜですか。ほかの人は刑事責任がなかったのか、それとも刑事責任はあるけれども人の特定ができなかったのか、どういうことになっているのでしょうか。

○佐々説明員 人の特定ができなかったということでございます。

○諫山委員 この中に、後で南但馬の被疑者として名前の出てくる人が入っていますか。

○佐々説明員 西宮市勤労会館事件における被疑者の名前は掌握をしておりますが、これと八鹿高校事件との重復の関係、ちょっと調査をいたしておりません。

○諫山委員 法務省に質問します。
 この五つの刑事事件は一昨年起こっているのですが、検察庁の捜査はどうなっていますか。

○安原政府委員 いま、警察で捜査され、検察庁に送られましたこれらの事件は、最初が昭和四十八年の十二月六日であり、最後に送致のあったのが昭和四十九年七月十一日、したがって約八カ月の間に三回にわたって送致があったというふうに聞いております。その後、検察庁におきましては昨年の八月以降、すなわち三回にわたる警察からの事件送付の後で告訴人の取り調べを開始いたしましたが、必ずしも告訴人の協力が得られなかったというようなこともございまして時日を経過いたしておりますうちに、先ほど来御指摘の八鹿高校事件等一連の南但馬における集団暴力事件が発生いたしましたため、そちらの方が緊急を要するということで、検察庁の主力をそちらの方の捜査に向けましたために、その後この事件の捜査は停滞をいたしておりまして、近く、八鹿高校事件の捜査の処理の見通しもついてまいりましたので、迅速な処理をこの事件についても図りたいという方針でおります。

○諫山委員 私は、昨年九月から十月に起こった朝来町の事件を迅速適切に処理しなかったことが暴力をはびこらした原因になっていないかと思い、問題を提起したわけですが、実はもう一つここに古い歴史があったわけです。一昨年九月から十二月にかけて告訴、告発事件が五件、そして言語道断な集団暴力事件が行われたのに、どうもまともな捜査がされていない。検察庁の方でもぐずぐずしている間に南但馬の事件が起こってそっちに手を取られてしまった、こういう状態が法治国家で許されるのかと私は思うのです。

 丸尾は南但馬事件では中心的な役割りを果たしましたが、西宮事件のころはまだほとんど知られていない人物です。この西宮事件でいわゆる暴力的な糾弾を学んでそれを南但馬に持ち込んできたんだと彼自身が公言しております。ああいうやり方でやれば無理な要求でも獲得することができるんだということを西宮で学んだ、同じようなやり方を南但馬でやるんだと言って彼は暴力行為を繰り返したわけです。もし西宮事件でもっと敏速適切な措置がやられていたら、それこそ丸尾のような人物は出てこなかったかもわからないとさえ言えます。この点で刑事局としては反省するところはありませんか。

○安原政府委員 暴力は、思想、党派を越えて否定されなければなりません。そしてまた、暴力を放置しておくことがその後における暴力の増長を来すということもそのとおりであろうと思います。
 したがいまして、諫山先生の御指摘のようなことは、筋道としてはよくわかるのでございますけれども、御指摘の西宮市役所関係事件につきましては、暴力がふるわれたということの疑いのもとになお捜査中でございますから、事案の真相は必ずしも明確ではございませんので、この暴力を捨ておいたために、あるいはこの事件を捨ておいたために南但馬の事件が誘発されたのであるという筋道を、事実関係としてはいまだ私は断定するわけにはいかないのではないかと思います。けれども、一般論としては、暴力事件が起これば迅速に処理しなければならない、それは放置することはよくないことだということについては私も同感でございます。

○諫山委員 あなたはそう言われますが、西宮事件が起こったのは一昨年の九月から十二月ですよ。それがまだ検察庁ではろくに捜査がやられていないのでしょう。私が現地で聞きますと、八鹿高校を初めとした南但馬の事件が済んだら西宮事件を調べましょう、その次には、兵庫県では山口組とかいう暴力団の大事件があるからその事件の調べに手を取られます、それが済んだら朝来町議会の副議長さんの告訴事件に入りましょう、こういうのんびりした話をしているのですよ。

 大体そういう調べの手順になっているのですか。そうだとすれば、町議会の副議長さんが勇気をもって告訴したのに、いつ調べが始まるかさえはっきりしないというような状態になるのですが、これは検察庁の熱意に問題があるのか、それともスタッフに問題があるのか、どこに問題があるのでしょうか。これを正常な状態だと考えているとすれば大変なことだと思いますが、刑事局長、いかがですか。人員が足らないからこういう状態になっているのか、それともこういう状態になっていることを是認するのか、いかがですか。

○安原政府委員 実はいま諫山先生がおっしゃったようなことを神戸地検の一主任検事、であろうと思いますが、検事がお話をしたということでございますので、それはどういうことであるかということを現地に問い合わせたわけでございますが、経緯は次のように理解されるのでございます。

 御案内のとおり、御批判がございましたが、いずれにいたしましても南但馬の事件は捨ておけない緊急を要する暴力事件であるということで、検察庁は検察官十二名を投入いたしまして、昨年の十二月から今日に至るまで三カ月以上にわたりまして、先ほど申しましたように、被疑者約二百名、延べ人員にして参考人千人の取り調べを全勢力を傾注してやりまして、一応その事件の峠は越した、近くそれを収束すべき見通しを得ておったのでありまするが、そこへ実は、その一連の事件であるということでありますところの朝来町議会副議長事件の告訴があったものでありますから、検察庁の主任検事としては、もうこの事件については迅速に収束をしようと思っているところへさらにまたそのころの事件としての告訴があったということで意外の感を持って、その意外の気持ちをそのような言葉で申し述べたようでございますが、これは決して検察庁全体の基本方針ではございませんで、人が足らないのではなく、先ほど申しました十二人の検事をいまは五人にいたしまして、ほかの事件の捜査に専念するという体制がとれるようになっておりますので、あれをやってこれをやって、この順番にというようなことで、のんびりとこの朝来町町議会副議長事件を処理するということではございません。ただ、ほかの事件に比べまして着手が――告訴を受けたのが二月二十五日でございまして、これまた多数の関係人のおる事件でございますので、検察庁といたしましては県警の御協力も得て、これから迅速な処理を図ろうという方針でおるわけでございます。

○諫山委員 最後に私は要望します。
 この事件で、初めは告訴、告発状が警察に出されていたけれども、後ではほとんど検察庁あてになっているということを警察は考えていただきたいと思います。それは警察が役に立たないからです。警察が敏速適切に処置をしてくれなかったからです。そして警察署長までが告訴されるというような事態が出てきたから、警察はだめだということで警察に告訴状を出さなくなったのです。このことは、警察に対する痛烈な批判として警察は考えていただかねばならないと思います。

 検察庁で、第一線の検察官が個人として非常に一生懸命努力されていることは私も理解できます。しかし、それにしても事件の処理が余りにも遅過ぎる。事件の処理が遅過ぎるために、勾留状を請求しても却下されるというような状態というのは、事件捜査としては大変な醜態だと私は思うのです。ところがその点について反省もない。反省がなければ改善策も講ぜられないわけですが、これでは本当に日本の治安に責任を持つ人の立場とは考えられません。こういう事実の中から、私たちは、反共暴力集団に対する泳がせ政策がとられているのじゃなかろうかと批判しているわけです。この点を改めて考えていただくことを要望しまして、この事件の敏速厳正な措置を希望して終わります。

※→八鹿高校事件関連国会質問一覧 1974/11/22〜1975/03/31