75-参-予算委員会-4号 昭和50年03月07日

○渡辺武君 私は、次に、同じような暴力や脅迫によって今度は政府や地方自治体の行政がゆがめられている、不公正な行政が行われているという問題についてお聞きしたいと思います。
 現在、東京では東京都の同和対策事業、たとえば応急生活資金の貸し付けだとか、進学奨励金を支給する場合だとか、こういうときに特定の団体の認める講師による講義、いわゆる研修といわれておりますけれども、これを受けなければお金がもらえない。受給資格があっても貸し出し、貸し付けや支給を受けられないという制度が昨年八月以来行われております。この問題はいま全国から注目されてきておりますけれども、その経過や実態はまだ多くの国民の皆さんには知られておりません。しかし、いまだに受給資格のある人が九十四人も、合計して一億四千万円余りも支給されないままであります。
 そこで伺いたいと思いますが、社会福祉年金の支給、老人医療無料化の適用、更生医療、育成医療の適用など国が行う福祉施策で、特定の団体による研修会を受けることを条件としているような施策がありますかどうか、伺いたいと思います。

○国務大臣(田中正巳君) さようなものはございませんし、また、さような指導をいたしておりませんし、また厚生省として期待もいたしておりません。

○渡辺武君 まことに断固たる御答弁、結構なことだと思います。つまり、そういうやり方はどこでもやられていないということだと思いますけれども、一体、なぜこんな道理に合わないことがやられているのか。そこには部落解放同盟の朝田派という集団が暴力と脅迫をやっているということがあるのじゃないかと思います。私は一般的に、研修はどんなものでもやってはならないというふうには少しも考えておりませんけれども、部落解放同盟朝田派が自治体などでやらしている研修会はどんなものなのか、その実態はこれまで新聞でもテレビでもほとんど報道されておりませんので、国民の皆さんはこれは知らないと思うんですね。そこで一例を挙げてみたいと思います。

 私ここに、昨年の十二月二十一日に東京都荒川区役所の幹部職員七十五名を集めて行われた研修会の記録を持っております。講師は部落解放同盟朝田派の本部書記局員の亀山優一という人であります。この人はいわゆる朝田派、朝田理論、つまり部落住民以外の人はすべて差別者だという特別なイデオロギーを約七十分間講義している。そうしてその中で差別というものについてこう言っているのです。親が女の子より男の子が欲しいと思っても差別だ、こういうことまで言っているわけであります。その上にこの研修会では、社会党の大阪府連委員長だった亀田得治さん、元参議院議員ですが、それからわが党の春日正一議員、内藤功議員などの名前を挙げて本当に口汚くののしっております。彼らの気に入らない政党や政治家について聞くにたえないような不当な攻撃をやっているわけであります。
 こういうことは、地方公共団体が主催する公務員に対する研修として適当なものかどうか。私は不適当なものだと思いますけれども、総理府総務長官、自治大臣、お答えいただきたいと思います。

○国務大臣(植木光教君) お答えいたします。
 御承知のとおり、同対審の答申の中で、地区住民の自覚を促し自立意識を高めることが強く要請されるとございまして、したがって、これに基づいて研修会が各地で行われていると承知をいたしております。また、同和対策事業というものは御承知のとおり特別指置法、また長期計画がございまして、具体的にはそれぞれの地方自治のたてまえにのっとった地方行政の中で運営をされているわけでございます。
 東京都がいろいろな研修会をやっているということにつきましては、これは東京都が独自の判断でやっているのではないかというふうに考えます。いま荒川区の問題が出ましたが、荒川区における研修会については、私どもはその実態を把握いたしておりません。ただ、公務員が研修を受けているというようなお話でございましたが、同和問題というのは国民の基本的な権利にかかわるものでございますから、公務員が研修を受けるということは国民が理解と認識を持つと同じように必要なことではないかと思うのでございます。ただ、そのやり方につきましては、私から申し上げるまでもなく、地区住民がひとしく公平な事業の執行の対象になるようにということは強く念願をし、また次官通達等でその趣旨の徹底を図っているところでございます。
 それぞれ研修会でどのようなことが行われているか、その実態はどうかということはつまびらかに把握をいたしておりませんが、要するに、先ほど同対審の答申を申し上げましたけれども、地区住民の意識を高めること、自立意識を高めること、このことは必要であるというふうに私どもは考えているのでございます。

○国務大臣(福田一君) ただいま総務長官からお答えをいたしたとおりでございます。

○渡辺武君 しかも、この亀山という講師は自分から、兵庫県の八鹿高校のテロ事件、もう衆議院の代表質問などでもあるいは予算委員会の総括質問などでも前の国会から申し上げておりますので、大臣方もよく御存じだと思いますが、全国を聳動させたあの集団リンチ事件の現地に始めから終わりまでいたと講義の中で自分から述べている人です。あのわが国の教育史上例を見ない残虐な集団犯罪事件の加担者が、公務員の職員研修の講師としてまかり通っている状態であります。こういう講師による研修会が適切だとお考えになっておられましょうか。

○国務大臣(植木光教君) 部落解放同盟は、部落差別解消のために長年にわたってその運動を進めてきた集団であるというふうに私どもは認識をいたしております。一方、ただいま御指摘の方が講師として研修会に出られたということでございますが、それぞれの地方自治体におきましてどのような講師を呼ばれるかということは、これは地方自治のたてまえから申しまして、私どもとやかく申し上げる筋のものではないと存ずるのでございます。

○渡辺武君 総務長官にもう一点伺いたいと思いますが、この部落解放同盟朝田派などによるこの種の研修会というのは、国の行政機構ではどのくらいやられておりますでしょうか。

○国務大臣(植木光教君) ただいまの御質問は、国が研修会をやっているかということでございますか。

○渡辺武君 いやいや、部落解放同盟朝田派がやらせているこういうような研修会ですね。

○国務大臣(植木光教君) これは私どもの方では、どれだけ、どこでやっているかということの実情を把握いたしておりません。

○渡辺武君 同和行政の元締めである総理府がそんなことじゃ私は困ると思うんですね、もう少ししっかりしてもらわないと。
 彼らが研修会をあちらこちらで当局にやらしておりますけれども、そのきっかけや、どういう経過でやるようになったのか、それを総務長官御存じでしょうか。研修のあるところ、必ずその前提に暴力や脅迫や一方的な糾弾があるというのが共通した事実であります。
 私は一例として大阪東郵便局の例を挙げてみたいと思いますが、ここに大阪束郵便局の庶務課長名で昭和四十九年十二月九日に作成した「職員のみなさんへ 確認会についてのお知らせ」という文書があります。この文書は大阪束郵便局の出したものに間違いないと思いますが、どうでしょうか。

○政府委員(高仲優君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおりでございます。

○渡辺武君 この文書によりますと、これらの研修会は部落解放同盟朝田派によって、いわゆる差別があったということを口実に強要されたものであることはこれは非常に明白であります。
 まず、この文書の「事件経過」というところがありますが、その(2)項にどんな差別発言をしたかが書いてあると思いますが、読んでいただきたいと思います。

○政府委員(高仲優君) (2)項を読み上げさせていただきます。「9月18日 普通郵便課の同和問題研修会の席上、職員からの「普通課には差別はないか。」との質問に、同課課長が「当課には差別はありません。」と、発言した。」以上が記載事項でございます。

○渡辺武君 差別がないかと聞かれて、差別がありませんと言ったら、それが差別だということで確認会なるものに引っ張り出された。ちょっと異常じゃないかと思うんですね。
 それでは、次の(4)の項目を読んでいただきたいと思います。

○政府委員(高仲優君) 項目(4)を読み上げます。「10月18日 確認会の開催についての打合せの際、庶務課長が「徹夜の確認会は困る。」という意味の発言をした。」。

○渡辺武君 確認会を徹夜でやって、そうしてその仕事の責任者が、これが徹夜の確認会は困ると言った、それが差別だというので、また確認会に引っ張り出された、こういうことなんです。一体これがなぜ差別発言と言うことができるのか。こういう理由にならないようなことを差別だと称して、そうして研修会や確認会を押しつけるというのが、これが朝田派の手口であります。こうしてどのくらいの研修会を押しつけられたのか、その文書によってお答えいただきたいと思います。

○政府委員(高仲優君) 「3 具体策について」というところの(1)に「研修会の開催」という項目がございます。「(ア)管理者研修(副課長以上)年4回その他随意に開く (イ)役職者研修(課長代理.主事・主任)年5回 (ウ)副窓口担当者研修年12回 (エ)職員研修年4回(内、部外講師によるもの2回) (オ)新規採用者研修採用の都度 (カ)転入職員研修転入の都度」以上であります。

○渡辺武君 上は管理者から新入職員に至るまで、大体月平均最低二回もこういう研修会というものを、これを朝田派によってやられているというのが実情であります。大変なことじゃないかと思う。問題のこの教員に対する集団暴行事件のありました八鹿町当局あるいは養父町当局、兵庫県の県当局、さらには教育委員会もこうした確認会に次々に屈服させられた。そうして南但馬全体が研修という名の洗脳を受けて、部落解放同盟朝田派の暴力に加担されるまでになったわけであります。これに屈服しなかった八鹿高校の先生方に対しては、瀕死の重傷を負わせるというような暴力あるいは糾弾、残虐なリンチ事件を引き起こしている、こういうことであります。こうした確認会、研修会は部落解放同盟朝田派の行政当局と結びついた、これはもうファッショそのものだと言って差し支えないと思います。

 このほか、大阪市の浪速区の青少年会館の同和事業指導員だった橋本せつ子さんという婦人がございますが、この方は狭山事件について小学生に教えるのは疑問だと言ったのがきっかけで、朝田派に約半年間も同和研修という名目で公会堂の一室に隔離された。結局そこをやめさせられて消防署に配置転換させられた。こんな研修会が至るところで強要されているのです。私、ここにカードを持っております。このカードは埼玉県の川里村、そういう村で全世帯にやられている同和教育研修会出席のカードなんです。これには番号と世帯主名、それから出席の際、このカードを持参してくださいということがはっきり書いてある。そうしてその結果、報告書まで出せということになっているわけであります。事態はここまできている。こういう背景を持つ特定団体による研修会を、事もあろうに生業資金の受給資格要件にまでしているというのが初めに述べた東京都の実態であります。  東京都では、昨年八月下旬から部落解放同盟朝田派が民生局長室を実に五日間にわたって不法に占拠した。そういう暴力的な圧力を背景として、美濃部都知事みずからがこれは不正常であると言っているような、生業資金等の貸し付けの条件として特定団体による研修を行うという制度を押しつけられたわけであります。その結果、朝田派の推薦する者は研修を受けないでも生業資金を支給される。しかし、それ以外の人は、同じ同和地区関係者であっても研修を受けなければ受給されないということになっているわけであります。これは政府が従来通達などで明らかにしてきた方針にも反するものじゃないかと思います。
 総理府総務長官にお願いしたいのですが、昭和四十七年二月二日付の総理府参事官から大阪府企画部長あてに出された回答文書をお読みいただきたいと思う。

○国務大臣(植木光教君) ただいま手元にございません。

○政府委員(山縣習作君) 読み上げます。
 「総理府参事官の大阪府への回答 昭和四十七年一月十九日照会のあった件は、昭和四十六年十二月九日部落解放同盟正常化全国連絡会議の陳情の際の私の発言に関してであると思われますが、私の発言趣旨は、地方公共団体が特定の団体に属する同和地区住民にのみ同和対策事業を行ない、同和地区住民のうちに同和対策事業の効果を受けられない人があるというような状態が発生しているとすれば、そのような状態は「窓口一本化」が行なわれているといないとにかかわらず行政の公平性からいって正当とはいえないという考えで述べたものであります。」以上でございます。

○渡辺武君 いま読まれたこの回答のとおりだろうというふうに私思います。特定団体に所属する者には施策を実施して、それ以外の人には条件をつけて実施しないというようなことは、行政の公平性ということからしても正当ではないという見解は私は当然のことだと思います。
 次に、昭和四十八年の五月十七日付の各省事務次官連名の都道府県知事あて通達の、一番最後の二つのパラグラフだけでいいですが、お読みいただきたいと思います。

○政府委員(山縣習作君) 「さらに、同和対策事業の執行に当たっては、同和対策行政のめざす受益が対象地区住民に均しく及ぶことが必要であるので、行政の公平性と対象地区住民の信頼の確保についても、今後とも充分留意されるようお願いする。おって、管下市町村に対しても、このことについての指導方についてよろしくお願いする。」以上でございます。

○渡辺武君 いまお読みいただいた通達などからすれば、特定の団体の研修会に出席しないということを理由にして、同和事業の施策を行わないと一いう行政の態度は明らか不当であるし、通達にも反するものであると思います。このように、ある者には無条件で、ある者には特定団体の研修を行うことを条件にして行政施策を行うというようなことは、憲法第十四条、法のもとの平等の条項に反している。また、憲法第十九条で保障された思想、良心の自由、なかんずく内心形成の自由を侵すことではないでしょうか。私は一般論としてお聞かせいただきたいと思います。

○国務大臣(植木光教君) 先ほど読み上げました次官通達の趣旨の徹底を図るのが政府の基本的な考え方であり、そしてまた現実にその趣旨の徹底を図っているところでございます。たとえば、担当部課長会議を招集いたしましたり、あるいはまた個々のいろいろな具体的な問題が起こりましたときには、各省庁におきまして、関係省庁におきましてその趣旨の徹底を図っているところでございます。なお、近く関係部課長会議を開きましてこの趣旨の徹底を図っていく考え方でおります。

○渡辺武君 こうした通達は憲法の精神に基づいて出されたものじゃないでしょうか。憲法との関連でお答えいただきたい。

○国務大臣(植木光教君) 政府並びに地方自治団体が憲法及び法令に基づく行政を行うということは、当然のことでございます。

○内藤功君 関連質問。
 いま議論されていますのは、憲法と地方自治法に関する重要な論議でございます。ただいまの御答弁では渡辺議員の質問にまともに答えていることにならぬと思います。憲法十四条、これは人種、信条、性別、社会的身分または門地によって人は政治的、経済的、社会的関係において差別をされないという、人間は皆平等だという大原則でございます。また、地方自治法十条は、地方の住民は地方公共団体の役務を等しく受ける権利を有すると、これも憲法に基づく当然の条項であります。

 そこでお伺いしたいのは、一般行政たると同和行政たるとを問いませず、保育所にお子さんを入れる、幼稚園に入れる、小中高校に入れる、あるいは公営住宅に入る、貸付金を受ける、生活保護を受ける、あるいは老齢福祉年金を受ける、こういった国からの行政上の役務を受けます場合におきまして、特定団体の加盟をしているかどうかとか、特定団体から推薦を受けておるかどうかとか、あるいは特定団体の特定思想の講師による講習――さっき春日議員や私の名前が出ました。非難されることをどうこう言うのじゃない。そういう偏った講習を受けることを資格条件とするような、行政の役務を受益するための資格条件とするようなことは、これはいままでの田中厚生大臣の答弁、その他去年の十二月十九日の福田自治大臣の衆議院予算委員会での答弁でも、さようなことはやってはいけないということが出ておりましたが、これは許されないということだけじゃないんです。通達違反ということだけじゃない。行政の公平性を侵すということだけじゃない。国の基本法、われわれ国会議員、われわれ政治家がもってよりどころとしなければならないこの憲法の十四条、さらには地方自治法の十条二項というものに、どんなへ理屈をつけたって明白にこれはもとるものだということは明らかだと思うのであります。

 私は、当然のことであると思いますけれども、ここに法制局の長官もおられる。福田自治相もおられる。この点についての御答弁をいただきたい。わかり切ったことを聞くようでありますけれども、この姿勢が一番大事。この質問は、実はいまの内閣が本当に憲法を守る内閣かどうか、公正と民主主義の内閣かどうかの、その性格も問われておる質問だと御理解願って、篤と御答弁願いたいと思います。

○政府委員(吉國一郎君) 私は一般論として申し上げますが、憲法第十四条第一項が、「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」、これは国民の基本的人権を保障するにも、義務を課するにも、すべて平等な取り扱いを要求するという憲法の大原則でございまして、ここに書いてございますのは、法のもとに平等でなければならないと申しますのは、法を定立する場合に、その定立すべき法の内容が平等でなければならないこと、定立された法を適用するに当たっては、その適用の態様が平等でなければならないことを意味していると思います。また、「人種、信条、性別、社会的身分又は門地」というような項目が挙げられておりまするが、これらの項目は、差別の基準と申しますか、差別の項目の典型的なものを書いたにすぎませんので、それ以外の事項についても合理的な差別以外の差別は全く許されないということを示しております。また、「政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」とございまするが、これも国民生活の最も重要な部分である政治的な面、経済的な面または社会的な両について規定したにすぎないことでございまして、それ以外の関係においても平等の取り扱いが要請されるということでございます。
 ただいま御指摘の地方自治法第十条第二項の規定は、当然に憲法第十四条第一項の精神を受けて規定されたものと考えます。

○内藤功君 委員長。

○委員長(大谷藤之助君) 簡明に願います。

○内藤功君 福田自治大臣の答弁。

○国務大臣(福田一君) ただいま法制局長官がお答えをいたしたとおりだと存じます。

○内藤功君 委員長。

○委員長(大谷藤之助君) 簡明に願います。

○内藤功君 ただいま憲法十四条の「人種、条」以下、これは例示的な規定であり、また「政治的、経済的又は社会的関係」というのもこれは例示であって、そのほかのすべての不平等、差別というものを憲法は禁止している、こういう趣旨の御答弁であります。だとすれば、先ほどの質問に対する答えはもう出たようなものであります。こういうような特定団体の推薦あるいは講習、こういうものを資格条件として地方公共団体の役務を受けさせる、こういうやり方は明白に憲法違反であり、法のもとの平等に反する、このように政府の御答弁として承りたいと思います。それでよろしければ私は答弁を求めません。それでよろしいですね。

○国務大臣(福田一君) ただいまお述べになりました事実がどういうところから出てきておるのか、私つまびらかにいたしておりません。したがって、はっきりお答えすることはできませんけれども、私は、法の精神に照らしてすべて国民は平等に待遇をされ、またそれを受ける権利があるということについては、先ほど申し上げたとおりでございます。

○渡辺武君 どうもいまの関連質問に対する御答弁を伺っておりますと、何をおっしゃっておられるのか、私ははっきりしないのですよ。念のために伺いたいと思うのですが、地方自治法第十条の・第二項、それから第百三十八条の二、これを一度お読みいただきたいと思う。

○政府委員(林忠雄君) 読み上げます。
 地方自治法第十条第二項「住民は、法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を分任する義務を負う。」。
 第百三十八条の二「普通地方公共団体の執行機関は、当該普通地方公共団体の条例、予算その他の議会の議決に基く事務並びに法令、規則その他の規程に基く当該普通地方公共団体及び国、他の地方公共団体その他公共団体の事務を、白らの判断と責任において、誠実に管理し及び執行する義務を負う。」以上でございます。

○渡辺武君 いまお読みいただいた条文に照らして、たとえば一般論として、同和貸付金等の受給などのような行政施策の実施が特定団体に入っているかどうかによって違う扱いをするというようなことは、いまお読みいただいた十条二項の住民の権利、つまり、ひとしく役務の提供を受ける権利、この権利を侵すことになると思うけれども、どうでしょうか。

 それからもう一点。また、これらの行政施策の実施が特定団体の判断によって左右されるということは、百三十八条の二の地方公共団体が「自らの判断と責任において、誠実に」執行しなければならないという、この条項にも反すると思いますけれども、どうでしょうか。この二点を伺いたい。

○国務大臣(福田一君) ただいまのことでございますが、私はやはり条文のとおりに読んでいくのが正しいと思っております。
 ただ、私はここで申し上げたいことは、この同和問題というのはいろいろの経緯があって今日に至っておるのであります。これを直していきます場合に、たとえ相手が悪いことがあるとか何とか言っても、余りに急にこれを責めていくような姿が、それが本当にいわゆる差別をなくすることになるかどうかということについては、大人の気持ちでひとつ対処していくことも必要ではないかという私は感触を持っておる。私は法の前に皆が平等でなければならない、また、行政官である者が法をしかるべく適当に処理をしなければならないということはよくわかります。しかし、いまあなたが申し述べられておる御趣旨等いろいろ考えてみました場合に、私はそれを余りに事を急に――もう大体みんなにわかっておると思うんです。あなたはわかっておらないようにおっしゃるけれども、われわれはずいぶんよくわかっておりますよ、そういう意味では。だけれども、それを余りここできっぱりと紙を一刀両断にするような形でおやりになることが、いわゆる同和行政というものの、差別をなくするという本来の目的に沿うかどうかということも少しお考えを願ってはどうか。
 これは意見の相違になりますから、おしかりを受ければいたし方がないのでありますが、私はそのような考えを持っております。しかし、あなたがお述べになった法律の条文に照らして行政は行われなければならないということについては、全面的に賛意を表するものでございます。

○国務大臣(植木光教君) 先ほど来申し上げておりますように、同和行政は対象地域住民ひとしく公平にその事業の対象者として享受すべきであるということは当然でございまして、その意味におきまして、先ほど来申し上げておりますように地方自治団体をそれぞれ指導しているところでございます。さらにまた地方自治団体におきましては、ただいまお話がございましたし、また地方自治法にありますように、地方自治のたてまえを遵守いたしまして、この行政に当たっていくということが当然であろうと思うのでございます。

○渡辺武君 このいわゆる同和研修会に関しては、現在東京ではもっと重大な問題が起こりつつあります。それは、部落解放同盟朝田派が東京都に百四項目に及ぶ要求を出していることであります。その中には、さきに述べてきたような同和研修という名の洗脳を東京都のすべての教師、これに実施するように要求しております。また、PTAの全部の人たちにも広げるように要求していることであります。こういうことが行われますならば大変重大なことになる。私どもは、特定団体による研修を生業資金などの受給資格にすることを改めることが、東京都の行政の公正を取り戻す最小限のことだということを主張しているわけであります。そして、このことが実現することを心から期待して、次の質問に移りたいと思います。
・・・・・・(以下略)・・・・・・
※→八鹿高校事件関連国会質問一覧 1974/11/22〜1975/03/31