75-衆-予算委員会第五分科会-5号 昭和50年02月28日

○東中分科員 昨年、大阪の東郵便局で相前後して二人自殺されるというふうな事件が起こりました。解放研というのが職場につくられて、同和問題をめぐって昨年五月二十六日に一職員が首つり自殺を遂げた。続いて、それに関連して六月四日に、次長が勤務時間中に庁舎から飛びおり自殺をされるというような異常な事態が起こったわけでありますが、それに関連してお聞きしたいのです。
 いわゆる解放研、部落解放研究会というのは郵政省の職場に一体どれくらいあるのですか、まずそれをお伺いしたいと思います。

○高仲政府委員 大阪府内の郵便局における解放研の数についてのお尋ねでございますが、二十三という報告を受けております。

○東中分科員 大阪以外にもあるのですか。

○高仲政府委員 大阪以外にも兵庫県下に若干、京都府下に若干ございます。

○東中分科員 この解放研というのは公的な団体なんですか、私的な団体なんですか。

○高仲政府委員 部落解放研究会は郵政の職員が集まって結成いたしました任意の団体でございまして、同和問題を学習、研究し、その理解と認識を深めることを目的としているものと理解いたしております。

○東中分科員 部落解放研究会、いわゆる解放研というのは郵政だけにあるわけじゃありません。だから、郵政の職員がということを言われましたけれども、それは前提を間違えている。あっちこっちにありますから。小学校にもあるし、子供でつくっているのもあるし、いろいろあるわけです。
 私がお聞きしたいのは、このいわゆる解放研なるものは、解放研をつくるかつくらないかは自由だ、そこへ入るか入らないかも自由だ、入っておっても、出るのは自由だ、そういう性質の、いわゆる結社の自由に基づいてつくられた任意の結社である、性格的に言えばそういうものだと思うのですが、そうじゃないですか。

○高仲政府委員 私、先ほど郵便局における解放研について申し上げましたが、先ほど申し上げましたとおり、郵便局の職員によってつくられた任意の団体であると思考いたしております。

○東中分科員 任意の団体である以上は、私が申し上げたとおりだと思うのですが、そうすると、郵便局の職員によってつくられた任意の団体というのは、そのほかたとえば剣道をやるための集まり、これは郵政省関係で全国大会などもやられているわけです。そういったサークル、研究会というのは、それぞれの問題についての研究会というのは当然あり得るわけですが、そういう郵政省の職員によってつくられる任意の団体といま言われた、そういう団体の種類は郵政省の中にどれくらいありますか。

○高仲政府委員 正確には私存じませんが、先生がただいまおっしゃいましたとおり、任意の団体としては、各種同好団体等、それぞれ多数あるものと思います。

○東中分科員 憲法上の結社の自由のたてまえからいって、任意の団体は官から特別の扱いを受けるということはないはずなんです。介入をしてもいけない。特別に国の機関か介入したり――これは積極的な意味の介入、あるいは侵害的な意味の介入、あるいは育成的な特別な援助をやるというふうな意味での介入というものもあってはならぬと思うのですけれども、解放研については、たとえば大阪中郵の場合で言いますと、ずいぶん広い事務所を貸しておられます。一スパンというふうに言われておるようでありますが、三十五平米くらいの事務所を貸しておられる。ここへ写真を持ってまいりましたが、玄関のすぐ上の二階です。大阪中郵は御承知のように、大阪の中央駅をおりたすぐ右側のいわば大阪市の玄関口ですが、その玄関口にある中郵の玄関口の二階に陣取っているのが外から見てもよく見えるわけです。狭山差別裁判反対云々と書いたのがある。ここにはクーラーが二基据えつけてあるわけですね。中郵の中で一つの、一スパンというんですか、そこに二基もクーラーを据えつけておるというこの豪華な事務所というのは、執務中のところを含め、あるいは休憩所あるいはその他の事務所、事務室ひっくるめてないわけです。しかもソファーを置いて、卓上ライターを置いて、りっぱなものが置かれているのですが、そういう便益を特別にこの解放研に与えておられるのはなぜなのか。そういうことをされる法律上の根拠があるのかないのか、任意団体ですから。それをお伺いしたい。

○高仲政府委員 同和問題の解決には、同和問題に関する理解と認識とを深めることが非常に重要であると考えております。部落解放研究会につきましても、目的とするところは同和問題の解決ということであると考えておる次第でございまして、そうした点から、業務運行に支障のないということで、その大阪中央郵便局において庁舎の一部を使用させておるものと考えております。
 なお、クーラーの点につきましては、私実は初めてここでお伺いいたした次第でございます。

○東中分科員 ここに写真があるから見ておいてください。これは玄関のずっと外から撮った写真で、クーラーがちゃんと載ってますから。
 いずれにしましても、部落解放、いわゆる未解放部落の解放ということを目指しておる団体だから特別の利便を与えている、こういうふうにいま答弁されたわけですが、未解放部落の解放を目指している団体であればどこでも、どういう団体でも事務所を貸すということになるんですか。

○高仲政府委員 郵政省といたしましては、同和対策を推進するに当たりましては、同和対策審議会答申、同和対策特別措置法それから同和対策長期計画の趣旨にのっとってこれを行っておる次第でございます。同和対策審議会答申の前文にございますように、その早急な解決こそ国の責務であるということがうたわれておりますし、また長期計画におきましても、同和問題の速やかな解決を図ることは国及び地方公共団体の責務であるということがうたわれております。この趣旨にのっとってやっておるものと理解いたしております。

○東中分科員 同対審答申なり同特法にそういう趣旨のことが書いてある、私たちもそのとおりだと思います。問題は、解放研という具体的な結社、具体的な集団、大阪中郵で言えば、全職員から言えば一握りと言いますか、ほんの少しの人たちがつくっている集団を援助することが、部落解放あるいは同特法等によれば要するに部落をなくしていく、同和地区をなくしていくということに役立つのか役立たぬのかというふうなことを郵政省が第一、判断する立場におるのかどうか。私たちは、この解放研なるものは部落解放、未解放部落を解放していくという点では大きな支障になっているだけじゃなくて、むしろずいぶん差別を助長している、そういう団体だと思っています。評価はいろいろあるでしょう。しかし、そういう部落解放ということを言うておるだけで、ほかの団体は別で、この団体だけは特別に扱っている。こういう扱い方というのは、これは郵政大臣、大所高所から見られてどうお思いですか。そういう特定の結社に対して、同じ目的を持っている団体もたくさんあり得るわけです。あるいは体育を発展さすための職員の団体もあるのに、この団体にだけ特別にそういう便宜を与えるということ、そういう差別的な扱いをやるのは郵政省としては考えなければいかぬ問題じゃないか、こう思うのですが、大臣いかがですか。

○村上国務大臣 いま東中委員の御質問でそういうことになっているということを初めて承知したので、そこへそうなる経過あるいはいきさつというようなことについて私承知しておりませんので、いまこの段階で的確なお返事はできませんが、同和問題の解決には同和問題に関する正しい理解と認識を深めることが重要であり、このために郵政省におきましても教育啓蒙を積極的に推進しているところであります。したがって、郵政省の同和対策を推進するに当たりましては、部落解放研究会が同和問題の正しい理解と認識を深めるのにふさわしい存在であると認められる限り、業務運行との調和が図られ、庁舎管理及び庁舎内の秩序維持に支障がないかを総合的に考慮して、庁舎の一部の使用を認めているものであろう、こう思っております。

○東中分科員 非常に抽象的なことをおっしゃるわけですが、部落解放のために役立つかどうか、私たちは先ほど言ったように、役立つどころかむしろ阻害しているというふうに考えています。その実態については大臣は知らぬとおっしゃるのですが、私たちの方はよく知っているのです。知っている者が言うておるのですから、その点については少なくとも実態を調べて検討するということにならなければいかぬじゃないか、こう思います。
 一つの例を申し上げますと、大阪中央郵便局が発行しておる「大阪中郵」「同和問題特集号」という機関紙のようなものが出ています。「大阪中郵」というのが題字になっているわけです。この中によりますと「一連の差別落書について」という記事があります。「昭和四十七年五月三十一日、地階便所 四十七年六月九日、六号エレベーター 四十七年八月二十九日、三階便所入口 四十七年九月十二日、地階便所入口 四十八年一月四日、解放研一階掲示板 これら、一連の落書が絶えず、特に差別用語を使い、個人を中傷誹謗した悪質な落書を見るにおよんでは、同和教育が不徹底であったこと、これは基本的人権にかかわる問題であるので厳につつしむべきであり、」云々と書いてあるのですが、古い四十七年代のことでありますけれども、この機関紙は四十九年、去年の六月に出されておるわけです。
 ところで、この落書き事件というのが起こったときは大阪中郵はどういう状態にあったのか。解放研ができて間なしです。そして、解放研のメンバーが地階に落書きがあったということを言い出す。一般職員はそういう落書きは見ていない。管理者に詰め寄る。そうしたら管理者がすぐに出かけていって、解放研の諸君と管理者二人、会計課の課長代理、厚生課の労務担当官、これが解放研のメンバーと一緒になって、白昼携帯用の大型の懐中電灯を持って地下の便所という便所、それからエレベーターの中、廊下、事務室、休憩室、ずっと執務時間中に回っているのです。落書きがあるかないか、これは一日がかりで回った。そういう事件が起こったときに、これは四十七年の九月十二日のときでありますけれども、それから後半月間ぐらいは各課の副課長が一時間置きぐらいに自分の課に接近している便所のドアをときどきあけに行って、落書きがあるかないかを見に回る、こういう異常な状態が続いているのですね。一般職員はどう見ているか。解放研は職場を離れて一緒について回っているわけですから、明白にデモンストレーションですよ。だれが一体こういう落書きをしたのか、だれにもわからないわけです。解放研ができて間なしに落書きが出た。どういう字でだれが書いたのかということは全然追及もされていない。これで一体職場の秩序というのが守れるのかどうか。本来の郵政事務があるわけでしょう。ところが、同対審あるいは同特法があるからといってそういうところへ管理者が引っ張り回されている。そういう引っ張り回している中心になっているのが解放研なんです。そして、それに当局が事務所を貸している、こういう異常な事態ですね。私もこの話を聞いて、たくさんの人から聞きました、余りにも異常だから。しかし、それがそのとおりだと言うのです。大阪のど真ん中の中央郵便局で、国家公務員が、管理者が、こういうことで走り回っている。現在もなお夜間の見回りのときはちゃんと落書きの有無を確かめに一々便所を回るのだそうです。そして、落書きがあったとかなかったとかいう報告をするという制度がとられておる。これが一体部落解放とどんな関係があるのか。推測でありますけれども、だれが書いたのかわからぬわけですから、そういうデモンストレーションをやることによって利益を得る人が書いたんではないかというふうな推測さえ成り立ちます。一般職員の中には、あの連中が自分で書いて自分で暴れているんだ、マッチポンプだというふうに言うている人もいます。こういう事態が一体許されておっていいのかどうか、この点どうお考えですか。

○高仲政府委員 先生の言われました大阪中央郵便局において差別的な落書きを書くという事実があったということは承知いたしております。また、そうした事態に対して局の管理者が非常に神経質になっておったということも私聞いております。
 そこでまず、そうした差別的な落書きを書くということが一体いいことか悪いことかとなりますと、私はこれは当然悪いことだと考えております。これは同対審答申の「第一部 同和問題の認識」にもございますけれども、部落差別というものは分類すると心理的差別と実態的差別に分かれるが、心理的差別は言語や文字等を媒介として顕在化する。こうした点から見ました場合、やはり差別をあらわすような落書きが書かれるということは決してよろしいことではないと考えております。しかしながら、先生が後段おっしゃいましたようにそれから先の推測というものは私どもいたしておりません。

○東中分科員 問題はそこなんですよ。解放研ができて間なしにそういう事態が起こった。それまでの長い歴史の中でそういうことが起こったことはないのです。三十年勤めていた人に聞きました。解放研ができてからこういうのがいっぱい起こってくるんだ、いままで全然なかったと言っていますよ。もうある程度進んだ職制の人ですが、もう全く大変な事態になっていると言っています。いわばそういう条件の中で解放研に対して援助をされている。推測はしていませんと言いますけれども、重要な問題でしょう。まさにそういう差別のことをわざわざ書くというのは重要な問題ですよ。そういう重要な問題が挑発としてやられているとしたら、これはもう大変なことでしょう。その挑発としてやっているかもしれない、一般にはそういうふうな推測さえされているということについて、それについては立ち入りませんと言ってその団体に対する援助をしている。
 近ごろの青年諸君は、未解放部落というものがあるのかないのか知らない人だってたくさん郵便局の中に勤めております。そういう人たちが、この解放研ができていろいろ落書きがあって、どんな落書きかわからぬわけですね。あったあったと言って大騒ぎをしている。これはもう全くのナンセンスな状態です。だから、こういうふうな消しに歩く行為ですね、あるいはありはせぬかと思って課長が見に行く行為、これは一体郵政省の公務ですか。国家公務員なんですからね、国家公務員として職務行為として便所に落書きがあるかないかということを見て回るのか。全く情けない話じゃないですか。それは一体大臣、そういうのが正常な状態だとお思いですか。首を横に振っておられますけれども、だれが考えたってもう全く異常な事態ですよ。そういうのに職制が一々駆り出される、見にいかなければいけない。そして、公務の時間中に、外形上は公務になるわけですね、そういうことをやらざるを得ぬような要求をしているのは一体だれなのか、この解放研じゃないですか。その解放研の要求にいわば当局側が屈服をして、そしてそういう普通人の普通の正常な頭で考えたら漫画にもならぬようなことがやられている。大臣、そういう点について、これは何かの処置をとらなければいかぬというふうにお思いになりませんか。

○高仲政府委員 先ほど申し上げましたように、差別的な言辞を吐くとか、あるいは差別的な落書きがあるということは、これは同和審議会答申の趣旨にかんがみましても絶対あってはならないことであると考えております。  また、同対審答申にございますように、同和問題の早急な解決は国の責務であるということがうたわれておりますし、この同対審答申を受けて同和対策長期計画におきましては、同和対策の早急な解決を図ることが国の責務であり国民的課題であるということが言われております関係上、差別的な落書き等がないように努めておるものと考えております。

○東中分科員 大臣、中央郵便局の職制が一時間置きに自分の課の関係のある便所のとびらをあけて一々見て回るというようなことが、郵政職員のしかも管理者の正常な国家公務員としての行為なのか、その点についてどうお思いになるかということを聞いているのですよ。それも正常な国家公務員としての行為なんだというふうにお考えですか。大臣の御所見をお伺いしているわけです。

○村上国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたように、私は実は本当に寡聞にして全然知らないんです。知らないことをどうだこうだと言うことは不都合だと思いますので、官房長に答えてもらっているのですけれども、とにかく本当に何にも、そういう事態、オフィスを借りているとかあるいはトイレの中までも云々というようなことを一言も聞いてもいないのです。いまあなたからこうだと言われるのは、なるほどそういうことならこれはどうも私は納得のできないことだな、こう考えるだけでありまして、いまここで白い黒いのはっきりしたことを私に言えと言っても、やはりそうなれば責任者を呼んで詳細に一方から聞いた上でそしてお答えする以外にないと思います。どうかひとつ……。

○東中分科員 もしそういう事態があるとすれば納得のいかぬことだ、だから責任者を呼んで調べてみるということでございますね。

○村上国務大臣 納得のいくような責任者のあれがあれば別です。しかし、いまの先生の御意見のようであれば、どうも私には納得がいきにくいところがあります。けれども……(東中分科員「調べてくださいよ」と呼ぶ)郵政局長を呼んで、そうしていろいろ私もよく勉強してみたい、こう思っております。

○東中分科員 では、それはひとつぜひ調べていただきたいと思います。
 時間が余りありませんので急いで申し上げますが、この解放研の会長あるいは役員というのがいるわけですが、たとえば中央郵便局の解放研の会長福原八郎という人です。この人は第一集配課の課員です。昭和四十六年の夏に中郵に就職した人です。そんなに長い職歴の人ではありません。この人は集配課の課員であるけれども、配達区域の指定が一切やられていない。ずっと出勤してこない。職場にあらわれたのは昨年のいわゆる年末繁忙期のときに週一回ぐらい制服を着てぽっと職場へあらわれてどこかへ消えていく、それ以来あらわれたことがない。昨年は三カ月間くらいは出勤簿に判を押したこともないのです。ことしになって、私調べてもらったのですが、ことしの初めから新しい出勤簿になっている、一回も判を押してない。出勤とも欠勤とも遅刻とも何にも判を押してない。こういう事態がまかり通っている。職場へ一切来ないわけです。そして、給料をもらっているのです。もらっているだけじゃなくて、ほかの郵便局へ同和関係だということで講師で行く。そして、そこで一時間三千円ですか、ほかの郵便局で講師料、謝礼をもらっている。一時間を超すと二時間になるので六千円もらって帰ってくる、こういう事態になっているのですね。集配課の郵便外務手帳という従業員がみんな持っているものを見たら、「職員は、定刻までに出勤しなければならない。職員は、出勤後直ちに郵政省職員勤務管理規程の定めるところにより、自ら出勤簿に押印しなければならない。」というふうに書いてある。処理の仕方も、たとえば「出勤、欠勤、遅刻、中退、出張、年次休暇、病気休暇、特別休暇、専従休暇、組合休暇、休職、停職」等と書いてある。ところが、これは何にも書いてない。何にもなしに職場へ来ない、これを職務解除だというふうに官側は言っていますね。こういうことが一体許されていいのかどうか。この人だけでありません。ほかにも数人、適宜抜けていく人がいる。こういう事態についてどうお考えですか。

○高仲政府委員 前段の福原委員長の出勤簿の件でございますが、まことに申しわけない次第でございますが、私、御指摘の点についてはただいま承知いたしておりません。早速調べたいと考えております。

○東中分科員 あったらどうなんですか。そういう事態があるのですけれども、あったらどうしますか。

○高仲政府委員 そうした点があったといたしますれば、近畿郵政局関係当事者にその事情等をよく調べてみてしかるべきだと考えております。

○東中分科員 調べてどうするのですか。

○高仲政府委員 調べた結果によりまして、しかるべき処置をすべきものであろうと考えております。

○東中分科員 処置をするというのは、明白に服務規程等に違反しているわけですから、そういう面での処置をするということですね。

○高仲政府委員 職務につくべきものであれば当然職務に従事させるべきものと考えております。

○東中分科員 あなた何を言っているのですか。職務につくべきものだったらつくのは、これはあたりまえのことなんで、過去のことについてどうするか、そういう事態が、これは私は出勤簿まで確認してきた。これは集配員の担当区域が指定されてなかったら、そもそも初めから集配の課におりながら集配業務につかないという体制をとっているわけですから、そういうことが許されておっていいのかどうかということですよ。
 この手帳によりますと、こういうことが書いてありますね。「服務の根本基準 職員は、郵政事業の使命を認識し、国民全体の奉仕者として勤務し、職務の遂行にあたっては全力をあげてこれに専念しなければならない。」あたりまえのことを書いてあるのですけれども、このあたりまえのことがまるっきりじゅうりんされているわけじゃないですか。まさに解放研というのは特権的なそういう立場で職場を練り歩いておるということになっておる。
 それは中郵だけじゃありません。東郵更局の場合で言えば、やはり解放研わずか二十五名ぐらいの組織でありますが、中谷源司という人が、これも普通郵便課員です。これは解放研メンバーもそうでありますが、やはり全く仕事にはついてないという事態になっておる。これについてはどうですか。

○高仲政府委員 ただいま御指摘の点にしましても、申しわけございませんが、私ただいま承知いたしておりません。

○東中分科員 調べて当然処置すべきでありますが、この点について言えば、昭和四十九年十二月九日、東郵便局の庶務課長名で「職員のみなさんへ 確認会についてのお知らせ」というビラが全職員に配られておる。この写しを事前にお渡しして検討してもらうようにということを言ってありますが、その一番末尾を見ますと「勤務解除する場合等の後補充措置」ということが書いてあって、解放研の諸君がいわゆる勤務解除というものをされたら、その後埋めをするために告一職員あるいは職員の超勤、可能な場合には非常勤職員を雇用する、できるだけ超勤はさせないようにするというようなことを局側の具体策として、この局側が出した文書に書いてある。解放研にそれを約束したと書いてある。実際に私が先ほど言ったように、まるっきり仕事をしない中谷源司というような人もおる。そのほかにも適宜何かの集会だと言って出ていくというのが放置されておる。
 一体、職務解除というのは郵政省の職務規程の中に法律上の根拠があるのかないのか、まずその点を聞きましょう。

○神山政府委員 勤務解除の法的根拠でございますが、職員の国家公務員法による職務専念義務、これを免除する場合としては、年次休暇とかあるいは病気休暇、特別休暇などのように制度的なものもございますが、そのほか社会通念に従って業務に特段の支障がないと認める範囲で個別的な取り扱いを認めるというものもあるわけでございます。

○東中分科員 解放研の幹部が自分の任意団体の仕事をやるために勝手に歩き回る、あるいは他の郵便局へ行って講師をして、そこで謝礼をもらってくるというふうなことをやるために本来の勤めておる職場で職務解除するというふうなことが法的根拠があるのかないのかと、こう聞いておるのです。

○高仲政府委員 まず、第二の点でございますが、福原氏ほかが大阪府内の他の郵便局に回って講師としての謝礼を受け取っておるというお話でございますが、私、その点は全く聞いたことがございません。
 また、勤務のあり方というものは先ほど人事局長から申し上げたとおりでございますが、勤務につかないという場合を想定いたしますと、解放研というものが同和問題の解決のために役立つということにおいて、そういう必要があるときにやっておるものと考えております。
 規程上の問題につきましては人事局長から答弁いたします。

○神山政府委員 ただいま申し上げましたように、勤務免除は制度的なものと、それから社会通念上あるいは職務に非常に密接な関係があるような場合、所属長が認めるというものがございます。

○東中分科員 あなたは何を言っているんですか。社会通念上、特定の団体の役員だからといってしかもそれはいろいろな問題を起こしているそういう解放研の団体の役員を、何をやってるかわからぬけれども、とにかく職務を免除してしまうというようなことをする法律上の根拠があるか。法律上の根拠あるいは郵政省の規程上の根拠があるんだったらその根拠を、何という規程の何条だ、ないんだったらないとはっきり答えてください。

○神山政府委員 この専念義務免除の判断につきましては、これは職員の服務の統督という権限の中に入っておると解釈しているわけでありまして、郵政省職務規程の第二条によりますと「郵政省の内部部局、地方支分部局及び附属機関の長は、その機関の事務を統括し、所属職員の服務を統督し、事務の能率的な遂行を図るものとする。」というふうに職員の服務の統督という権限が各機関の長に委任されております。その中で勤務を免除するという場合があるものと一般的に解釈されているわけでありまして、それはどういう場合かというのは、先ほど申し上げたような社会通念上、どうしても時間が必要であるというようなことで、業務に特段の支障がないという場合、あるいはその他業務に非常に密接に関係のあるような場合について所属長が判断するということになろうかと存じます。

○東中分科員 あなたはことさらに問題を回避している。これはあなた全国民が見ているわけですよ。郵政省というのは何たることだということになりますよ。組合の専従休暇にしたって、いわゆる特別休暇にしたって、全部規定があるでしょう、あるいは協約上の根拠がある、協約は法的な根拠を持つという法律的な規定がある。解放研という任意団体の役員であるからといって、そういうことがほっておかれてそれこそたまるものですか。
 これについての研修会がやられてる。大阪天王寺局であります。二月の十二日と十三日に研修会がやられた。解放同盟大阪府連の水口幸一というのが研修会の講師で来てる。これは全部で二百二十名ぐらいの職員数でありますが、二日に分かれてやって、第一日目に百数十人、第二日目に百名ぐらい集まっている。単に職員だけじゃなくて、管内の特定郵便局の局長も集めてる。このいわゆる同和研修会については午後三時から四時四十九分までやられた。ところが、集配課長は集配業務に出ていく職員に対して、三時までに全部帰ってくれ、郵便物が残っておっても帰ってくれ、勤務時間外に及ぶ部分  この勤務時間は三時四十九分で終わるわけですね。勤務時間が終わった後の分は超過勤務になる、どうしても差し支えが、特別の用事があればやむを得ないけれども、できるだけ出てくれ、二日のうちどっちかは出るようにという指示をしている。郵便物をほうっておいて、そしていわゆる同和研修に帰ってくる。郵政省の職員というのは、決まっておるあの所掌事務を見てごらんなさい、郵便物のこと、郵便事業、これが中心でしょう。いま値上げが要求されておって問題になっている。それを集めなくてもいいから同和研修に行けということを言って、そして現に超過勤務を払っている。京都の東山郵便局で行われた一月二十三日午後三時から五時まで、これも同じことです。これについては研修会に解同朝田派の京都府連の駒井昭雄という人が出てきている。謝礼金六千円払ったということを郵便局長も認めている。この研修会に全職員が出ているわけですが、出れなかった人は、テープをまた後で聞かしているわけですね、補習と称して。しかもそのテープを聞く時間が勤務時間外になったら、その人には超過勤務を払っておるんです。テープを聞くために超過勤務を払ったのが郵便関係で十一人、集配関係で十五人、合計二十六人います。こういうことになっている。しかも、その内容が、これはわが党の梅田議員が直接調査に行った結果でありますが、郵便局長は政党批判にわたるようなことのないよう申し入れておいたのでありますが、講演の中で政党問題が出たのでまずいなあと思いましたと、こう言っているんです。実際の内容は、兵庫県八鹿高校事件について共産党を攻撃するような発言を講師はしている。その話を聞くことが職務行為になっているんですね。超過勤務を払うというのは職務行為でしょう。郵政大臣は、全く心外だというような顔をして首を横に振られておりますけれども、実際こういう事態が起こっているんですよ。一体こういう処置について郵政当局はどう思っているのか。これでいいと思っているのか、こういう事態は変えなければいかぬと思っているのか、どっちなんですか。

○高仲政府委員 まず、天王寺の局につきまして、集配業務が終わらなくてもよいから帰ってこいということを指示したというお話でございますが、私その御指摘の点については承知いたしておりません。郵便局といたしましては、当然集配業務は集配業務として正当に執行すべきものと考えております。
 東山局の件につきまして、政党を誹謗する発言があったという御指摘でございますが、この点につきましても、私、政党に誹謗を加えたという事実は承知いたしておりません。
 また、研修に対して超勤を払っておるという御指摘でございますが、同和問題の早急な解決が国の責務であるという点にかんがみまして、同和の研修に対しては、時間外にわたる場合超勤を支給したということと考えておりますが、別段私、政党を誹謗するために超勤を払ったという事実は聞いておりません。

○東中分科員 あなたは聞いていないと言う。ぼくらの方は、このことについて聞くからちゃんと事実は調べておきなさい、こう言うてある。ことさらに隠しているんじゃないですか。直接行って梅田議員は局長からその話を聞いてきているんです。私は、局長は共産党誹謗の演説をやったというふうに言うたとは先ほど申し上げなかった。さすがに局長、非常に政治的で、政治にわたってもらったら困ると言ったけれども、政治にわたったので困ったなあと思った、こう言っているんです。困ったと思ったことだったらやめておけばいいものを、それをまたテープを聞かす、そしてそれについて超勤を払う、これはもう郵政局の職場というのは、あなたのような姿勢でおる限り、むちゃくちゃになりますよ。郵政事業というのは、さっき書いてあったように国民の全体の奉仕者としてやらなければいかぬことなんだ、国家公務員なんでしょう。それが同対審答申に早急に解決しなければいかぬ問題だと書いてあるからといって、そんなことがやられておっていいのですか。憲法を見てごらんなさい。憲法はすべての公務員は憲法擁護の義務を負うとはっきり書いてある。しかし、それについて研修をやったことがありますか。憲法上の要請ですよ。そういうことはやったことはない、しかし同和についてだけこういうことをやる。私は、全く郵政省のいまの態度というのは、まさに一市民団体に、部落解放同盟朝田派が指導するということになっておる解放研についてだけ全く屈服をしている、こういうかっこうになっておると思うのです。  もう時間がありませんのでもう一点聞きますけれども、郵政省の職場で確認会というのが何回かやられている。この前指摘を受けました。先ほど申し上げた昭和四十九年十二月九日付の「職員のみなさんへ」というこの文書を見ますと、四つの事件が起こった、こう書いてある。そして、それについて確認会が四回やられたことになっておる。解放研から確認会の申し入れがある。確認会をやるという場合に、官側が、管理職側が確認会に応じるのは、これは公務ですか、公務でないんですか。

○高仲政府委員 もともと差別的な発言等、差別事象が起こるということは、当答申の線から考えまして不都合なことでございます。そうした事態があると思われる場合において、その事実の有無を検証するということは、私は同対審答申、同対法の精神に沿っておるものと考えております。

○東中分科員 確認会は同対審答申の線に沿っておる、そう思っておる、そんなことを思うのは勝手ですけれども、国家公務員として、国家の機関として、公務として出席していくというようなことが一体あるのかないのか、許されるのかどうか、しかも差別があったと思うということ、そういう場合にはということをあなたは言われたけれども、この郵便局庶務課長が出している文書によると、こう書いてあります。事件として挙げられている四つの事件の第一は「普通郵便課の業務研究会の席上、人事交流の問題で一職員から「普通課から郵便他課への希望者は多くいるが、郵便他課から普通課へ希望している職員がいますか。」との質問に対し、同課課長が「では、集配課に希望される者はいますか。」と問い返したのに対し、「いきたくないわ。」と声がでた。」これが一つの事件なんですね。去年の九月十一日。これが差別事件だとして、確認会で事実点検をして、この事実を確認したというのです。そして、それに対して官側が自己批判書を出しているというのです。
 二番目に挙げているのはどうか。「九月十八日普通郵便課の同和問題研修会の席上、職員からの「普通課には差別はないか。」との質問に、同課課長が「当課には差別はありません。」と発言した。」この発言をしたことが事件だというのです。何が事件か、さっぱりわからぬです。しかし、それが事件として確認会へ引っ張り出されてこの事実確認をやられた。そして、自己批判書を書いたと書いてあるのです。
 三番目。「十月十一日 普通郵便課において、担務指定変更についての職員の申し出に対し、同課計画主事が「解放研の出張や、勤務解除があるので仕事は一向に楽にならない。」と発言した。」こう書いてある。これがまた事件です。差別事件です。当局側は自己批判書を書いているんです。
 さらに四番目。「十月十八日 確認会の開催についての打合せの際、庶務課長が「徹夜の確認会は困る。」という意味の発言をした。」これがまた差別事件だと言って、確認会の対象になっています。官側が自己批判書を書いたところに書いてある。
 そしてどういう評価をしているのかといえば、第一回目の、最初に申し上げた「集配課に希望される者はいますか。」「いやだわ。」と言った、これは「下を見て暮らせ」の思想だ、だからそれは差別につながるんだ、だから自己批判書を出すんだ、だから研修を次のようにやりますと言って、研修書を書かされている。言語道断じゃないですか。なぜこれが差別なんでしょうか。解放研へ職務解除で人を連れられていく。仕事につかない。仕事が楽にならないと計画主事として言うのはむしろあたりまえですよ。ところが、それが差別だというのであります。それについてはこういうことを当局側が認めさせられている。この「事実確認と、その分析を行い、その発言は、仕事が楽にならないのは解放研のせいではなく、本来上司である課長に向けるべきものであり、人員不足を、解放研へ責任転嫁した、逆差別発言であり、解放運動に誤解を生ぜしめた差別発言であることが確認され、」――当局側が確認しているんですよ。「また、差別をなくし、職場を明るくするための具体策を作成することを確認された。」こういう事態というのは、私たちは常識で考えられぬことを実際にやられて、しかも当局側がそれを認めて、そしてこの文書にそれを書いて全職員に配っているんです。そういうことをやるための確認会を徹夜でやっているんです。それが一体公務だというのかと言うのです。あなたは、同対審答申の線から言ったら差別をなくしていくために必要なんだと――本当にそう思うていますか。そういうことをやった結果が、自己批判書を提出して、そしてその自己批判書を書き直しをやらされる。最後には、具体的な施策をやらなきゃいけない、こういうことを追及されて、研修会で、管理職の研修を年四回やります、役職者研修は年五回やります、副窓口担当者研修は年十二回やります、職員研修は年四回やります、アルバイトを雇っても雇ったアルバイトにまず研修をやります、こういうことまで約束させているんですね。そして、啓蒙施策をとると言って、ここに書いてある、ナンセンスと思うのがあるのですが、「俸給袋に同和問題に関する標語を表示する。」という約束をさせられて、やっている。さらに、「同和関係の放送があるときは、全職員に周知する。」という約束をさせられている。そうしたら、いま私の手元にありますけれども、職員に告ぐ、と同じで「お知らせ 同和問題についての理解を一層深めるための、テレビ番組が放映されます。ぜひご覧ください。」なんとかという映画、放送日いつ、何チャンネル、次は関西テレビ八チャンネル、十二月七日、ドキュメントが放送される。これまた一々書いて全員に配っているのですね。これが一体郵政業務なのか、これが郵政省のやる、国家公務員のやる管理行為なのか。そして、そこでは職務免除、職務解除というものを認めさせられている。
 大臣、これはいま私がまとめたのじゃなくて、庶務課長がまとめて全職員に配っている。だから、こういうことでいいのだというふうにしているんですね。これはゆゆしい問題だと思うのですよ。もう国家機構の末端、郵政業務をやっている役所が麻痺状態になっているじゃないですか。こういうことについて、実情を調べ、適当な、早急な措置をとらなければならぬと思うのでありますが、郵政大臣の御所見を聞いて、時間が来ておりますので、質問を終わります。

○村上国務大臣 大変微に入り細にわたっていろいろお聞かせいただいて、ありがとうございました。
 私は、ほとんどが初耳でありますので、郵政省としても責任者がおることですから、よく承って、十分承知した上で態度を決めていきたい、かように思っております。

○東中分科員 終わります。

※→八鹿高校事件関連国会質問一覧 1974/11/22〜1975/03/31