75-参-商工委員会-6号 昭和50年02月27日

○安武洋子君 小規模事業者の経営指導員についてお伺いいたします。
 経営指導員の任用とかそれから罷免、日常の管理、これは当然商工会、商工会議所で行われるものです。国費の補助金も出しており、商工会議所等の監督省庁である通産省、それから中小企業庁に経営指導員の運用が適切に行われているかどうか、この点についてお伺いしたいんです。もちろん監督権があるわけですから、経営指導員の問題の基本的なことをお尋ねいたしますので、お答えいただきたいと思います。
 経営指導員の任命に当たって、商工会議所または商工会以外の任意の団体に推薦を委任する、その推薦を全面的に尊重して受け入れる、そして任用をする、こういうやり方をとることが一体あるのか、また、このようなやり方ができるのかどうかということをお伺いいたします。

○政府委員(小山実君) 経営指導員の任命を行いますのは、商工会なり商工会連合会、あるいは商工会議所でございますので、その商工会、商工会連合会あるいは会議所等が任命するに当たりまして、各方面から人材を集めるという意味で、いろんなところの意見を聞くということは絶対ないということはないんだろうと。その人材を求める際にどういう方法をとるかということは、それぞれ商工会議所なり商工会、商工会連合会の方針の問題であるというふうに考えております。

○安武洋子君 経営指導員の日常の業務、それから人事管理、それを商工会議所以外の任意団体に委任することがありますか。

○政府委員(小山実君) 経営指導員を設置するのは商工会、商工会連合会あるいは商工会議所でございますので、その管理についてはそれぞれその設置に当たる商工会、商工会議所、商工会連合会等が当たるべきものと考えております。

○安武洋子君 では、もう一つ伺いますが、小規模経営改善資金制度の運用に当たって、これはすべての中小業者に対して公正に行われなければならないと思いますけれども、経営指導員以外の任意の団体の推薦によって金融のあっせんの可否ですね、できるかできないかということ。一体決められるものなんでしょうか。

○政府委員(小山実君) 小企業経営改善資金の貸し出しは国民金融公庫が行うわけでございますが、その前提として商工会、商工会連合会あるいは商工会議所の推薦を要件といたしております。それで、その推薦に当たりましては、一定期間それぞれの団体に配置されました経営指導員の経営指導を受けているということを要件にしておるわけでございますので、あとそれの推薦に当たりまして、その経営指導員の経営指導以外のものを要件にするということは、通常の場合はないだろうというふうに考えております。

○安武洋子君 じゃ、今度は具体的にお伺いいたします。
 具体的には、兵庫県における同和地区の経営指導員、まあ同和担当指導員ですね、この採用、任免、管理について、いま、先ほど基本的なことをお伺いいたしましたが、その基本どおりに行われているかどうか、この点をお伺いいたします。

○政府委員(藤原一郎君) お答えいたします。
 私ども、先ほど次長から御説明いたしましたように、指導員の任命につきましては、一応都道府県が補助金を出します際に、それに対して国が補助をするという立場から補助金を出しておるということでございまして、人選につきましては都道府県及びそれぞれの商工会議所あるいは商工会、商工会連合会というふうなところにおまかせをしてあるということでございます。

○安武洋子君 具体的に知らないというお答えでしょうか。

○政府委員(藤原一郎君) それぞれの商工会なり商工会議所の経営指導員の個々の任命につきましては、私どもは直接タッチいたしておりませんので、したがって存じておりません。

○安武洋子君 個々の任用とかそういうことでなく、私は基本的なことを三つお伺いいたしました。その基本的なことどおりに兵庫県におけるこの同和地区の経営指導員の採用、任免、管理、それらが全般的として行われているかどうか、そのことをお伺いいたしております。

○政府委員(藤原一郎君) 兵庫県の実態についてのお話でございますが、きわめてつまびらかに存じておるというわけではございませんが、趣旨どおりに行われるべきものと考えておるわけでございます。

○安武洋子君 趣旨どおりに行われてない例を私は挙げます。
 兵庫県商工部長と、それから兵庫県同和企業連合会、後ほど全部以下は「兵企連」と申します。そこの兵企連の理事長との間で、同和担当経営指導員の採用について覚書が取り交わされております。これは私、この二月の二十一日に兵庫県の商工部の次長小山茂氏、この方にお会いいたしましたし、その席には商工部の総務課員の長谷川さんも同席されております。それから、これは昨年末、総務課長石井慶介さんもお答えでございますけれども、そのときにこういう覚書が取り交わされているということを認めておられます。これは商工部が認めているだけではなくて、この内容については昭和四十七年、両者の間――これは商工部長と兵企連の理事長の間ですね。この兵企連の推薦を受けた者は全面的に受け入れる、こういう内容である、このような覚書を交わしたので、その趣旨に従うよう県から指示があったと、姫路商工会議所の説明もこのようになっております。
 それからまた、兵庫県の商工部の総務課長の説明でも、兵企連に対して業務執行の管理を委託している、こういう覚書を裏づける発言をされております。
 ですから、いま兵庫県の現状というのは、商工会議所は、商工会もです、単に書類を通過さすだけです。商工会議所本来の役割り、これは形骸化されてしまっているわけです。一体、私がいま申し上げたような覚書が取り交わされ、商工会議所はこの任用に関してただ書類を通過さすだけと、こういうやり方は、私は法に定められた商工会議所、商工会の役割り、これを全面的に否定しているものというふうに思いますけれども、いかがお考えでございましょうか。

○政府委員(藤原一郎君) 兵庫県の覚書というお話でございますが、兵庫県につきましてそのような覚書が締結されているということは、私ども実は聞いておりません。したがいまして、それにつきましてここで申し上げることは非常に困難であろうかと思いますが、ただ、同和問題につきましては、本来非常にむずかしい問題でございまして、各地の実情に応じまして、各都道府県の自主性を尊重しながらやっていくというようなことも考えざるを得ないんではないかというふうには思っております。

○安武洋子君 覚書が交わされているかどうか、実情御存じないというお返事、この点について申し上げますけれども、私はそういうお答えでは困るので、一昨日、早々とこういう実情についてお調べになるようにと、また昨日も重ねてこの点申し入れております。電話一本かければ、私どもにも県がお認めになっていることです。ですから、おたくのほうにそういうことを調査しようという気持ちさえおありになれば、すぐにわかることなんです。それをいまだにそういうふうなお答えをなさるということについては大変遺憾に存じます。  それから、調査をなさらないまでも、こういうふうな覚書というものは全面的に兵庫県も認めている。だから、先ほど申し上げたように、結局、商工会、商工会議所が形骸化されてしまって、他の任意の団体の推薦を全面的に受け入れて、この同和担当の経営指導員が採用されているということについては原則が曲がっていると思いますけれども、再度お尋ねいたします、いかがお考えでしょう。

○政府委員(藤原一郎君) いまお話しのようなことを私ども残念ながら承知いたしていないわけでございますが、非常に行き過ぎがあります場合には、当該都道府県の小規模企業対策に対する補助金交付官庁としての立場から、不当干渉にならない限度におきまして当該都道府県に対し助言を行ってまいりたい、こういうふうに考える次第でございます。

○安武洋子君 これは中小企業庁御自身もこういうふうに明らかに「経営指導員必携」というものとか、あるいはいままで再三通達をお出しになっているわけです。その通達にもこれは明白に違反しておりますし、またこの通達に基づいて兵庫県自身がここに運用規程というふうなものもつくり上げております、こういうものに明白に私は違反していると思うんです。一体、これどういうふうにお考えでございましょう。通達も重ねて出しておられます、何だったら挙げてもよろしゅうございますか。

○政府委員(藤原一郎君) 通達には、いま先生仰せられましたように、会議所等は地域商工業の総合的な改善、発達を図るための公共性の高い団体であることを自覚し、慎重かつ公正に行うよう留意するものとする、という通達の主たる内容といいますか、関連の部分でございます。したがいまして、私どもはこれに従って公正を欠くことのないよう運用をはかりたいということをかねがね思っているわけでございまして、そういうふうな運用方法をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。

○安武洋子君 経営指導員の任命については、ここに基準が設けられております。同和担当についてこの基準を外れてもよいというのは、ただ一つ、適切な人材が得がたい場合に年齢制限を外してもよいというふうなことしかないわけなんです。任意の団体にその採用を全面的に推薦を依頼して、それを全面的に受け入れるというふうなことは明らかに私は基本的な原則に外れているということを申し上げているわけです。これはまた県、商工会議所、これは中小企業者の育成を図る義務と権利を持っているわけですけれども、これをも放棄していると思います。いままでの討議を聞かれて、一体、通産大臣はどのようにお考えでございましょう、お伺いいたします。

○国務大臣(河本敏夫君) 行き過ぎの点がありましたならば、これは県を通じまして、もう一回よく調査をしたいと思います。

○安武洋子君 いまの任意の団体に推薦を依頼して全面的に取り入れて採用するということは行き過ぎではないでしょうか。

○政府委員(小山実君) 最初にも御説明申し上げましたように、経営指導員の採用に当たりまして、広く人材を募るという意味でいろいろなところの推薦を求めるということは一般的にその同和指導員に限らず十分あり得ることでございますが、ただ、先生御指摘のように、全面的に特定の団体の推薦以外には受け入れないというような事態がもしありますならば、そしてその結果としてその経営指導員の人選において適正を欠くという点がございましたら、それは小規模企業対策推進という観点からいろいろ問題もあるわけでございますので、最初にも申し上げましたように、小規模企業対策が公正に行われるようにという観点から十分その趣旨の徹底を図っていく考えでございます。

○安武洋子君 河本通産大臣は兵庫県御出身ですので、兵庫県の実情は私はよく御存じであろうと思います。いま大変重要なことは、この兵企連という団体が一体どんな団体かということも大変重要なわけです。
 私どもの党が十二月の臨時国会でも、そして今後の通常国会の中でも再三再四取り上げておりますけれども、端的にあらわれているのが兵庫県のあの八鹿町の八鹿高校事件です。先生七十名余り、これは十数時間にわたって集団リンチを加えたというふうな、首謀者などが一部逮捕もされておりますけれども、こういう集団暴力をふるうという暴力集団であるし、また同和行政の私物化、これを図って利権を手に入れている利権屋集団でもあるというふうなことで、私どもは部落解放同盟兵庫県連、すなわち解同朝田派のこの企業連というのが内部の組織だということをまあ大臣も御存じでしょうけれども、これは申し上げたいわけです。これは彼ら自身でもそのことをちゃんと認めているわけです。私はここに議案書を持ってきております。第四回の兵庫県同和企業連合会の議案書なんですけれども、この議案書の中でも「同盟員でない企連会員は、存在し得ません。」と、こういうことをちゃんと書いております。それから兵庫県議会で十二月の七日決算特別委員会で、わが党の安田県会議員の質問に対して、県当局自身も解同の内部組織である企業連とはっきり答えているわけです。
 このように大変問題がある――問題があるということをおいても、任意の政治団体です。こういう任意の政治団体に対して経営指導員の任用権を全面的に委任しているということは、これは常識を明らかに超えた大きな誤りです。それとともに、昭和四十二年十二月十九日の中小企業庁の「「同和地区経営指導指針」について」の通達、ここに持ってきておりますけれども、この中でも「この事業は同和地区の小規模事業者の経営改善あるいは同和地区の経済振興が本旨であるので、同和担当指導員は政治的な角度から同和運動そのものに従事すべきでないことはもちろんである。」、お出しになったのでよく御存じだろうと思いますけれども、こういうふうにも規定されております。この規定にも私は明白に違反していると思います。
 この点について、兵庫県の責任というのはまことに私は大きいと思いますし、同時に監督省庁である中小企業庁の責任も私は見逃すことができないと思います。直ちにこの任用について、誤っておるわけですから、改善指導を行っていただきたい。これが一点です。そして本来のあり方に戻すように私は要求しとうございますが、この点について中小企業庁の長官とそれから河本大臣の御回答をお願いいたします。

○政府委員(小山実君) 第一点の現状について、もし中小企業庁の指導の方針に違反しているという実態がございますれば、これは私どもも補助金の交付官庁としての立場から県に対して一定の措置をとる必要があると考えますので、十分県を通じて状況の実態を聴取いたしたいと思っております。
 それから第二の、今後の任用の問題でございますが、経営指導員の任用につきましては、私どもはその補助金の交付の基準といたしまして一定の要件に該当しているかどうかというのを判断しているわけでございまして、あと具体的にどういう人物を経営指導員に任用するかどうかということは、第一議的には、それぞれの経営指導員を設置いたします商工会、商工会連合会あるいは商工会議所が判断をし、しかもその事業につきまして補助をいたします県がその設置について補助金交付の要件に該当しているかどうかというのを判断する、こういうことでございまして、あくまでもその人物が同和地区の小規模企業の経営改善の指導を行うについて適当であるかどうかという、一定の準則につきましては補助金の交付の要件で判断するわけでございますが、その一定の基準に該当している中で、どういう人物を選ぶかというのはあくまでも経営指導員を設置いたします個々の会議所なり商工会、商工会連合会の判断すべきものである、こういうふうに考えておるわけでございますが、ただ、その任用の結果といたしまして、もしその事業の実施について公正を欠くということでございますならば、それにつきましては十分公正を回復するように、その通達の趣旨の周知徹底を図っていきたい、こういうふうに考えます。

○国務大臣(河本敏夫君) いま御指摘のようなすべての事実につきまして、実情を県及び商工会議所から至急に報告をさせます。

○安武洋子君 先ほど長いお答えで要点を得ないんですけれども、推薦の基準が合っていないということを私は申し上げているんです。お答えをもう少し端的にお願いしとうございます。
 次に移らせていただきますけど、同和担当の経営指導員の採用の問題で私申し上げましたけれども、こういう採用を誤ったやり方をしているところですから、管理もまた誤っているわけです。明確に示されている基準に合わないわけですね。
 それはどういうことをしているかというと、四十九年の七月ごろからですけれども、通勤不可能な一部の者を除いて、そのほとんどを集中管理方式といいまして、兵企連に集中管理方式、これをとっているわけです。ですから、いまのところ同和担当経営指導員十二名中、尼崎から姫路、神崎までの九名、これを兵庫県の兵企連の本部に集中管理しているわけです。商工会議所の職員を兵企連が集中管理する、商工会議所は全くその人事管理ができないわけなんです。姫路商工会議所の一例を挙げますけれども、北林伸敏、こういう人は一度も出勤していない、何の実績報告もない、だから実績評価についてもできない、こういうことなんです。ですから経営指導、これは定められたとおりには全く行っていないわけですね。
 しかも、この同和の担当指導員に対する貴重な国費、人件費、これは企業連本部に送付されているわけです。商工会議所の役割りというのは同和担当指導員については人件費だけを企業連本部に送付するだけと、こういうことになっておりますけれども、こういう人事管理が行われてよいものかどうか、このことをお伺いさせていただきます。

○政府委員(小山実君) 再三申し上げますように、経営指導員を設置いたしますのは商工会議所なり商工会、商工会連合会でございまして、当然、補助金の交付を受けて設置いたしました以上、その目的に即して経費が扱われるという意味から、十分その設置母体である会議所等は経営指導員の管理を行いまして、その勤務の態様なり、またその勤務の結果、成績等について十分フォローしていくことが必要であるというふうに考えます。もし先生御指摘のようにいろいろな問題がございますならば、これはまたしかるべくその補助金交付の趣旨に沿って県を通じて是正をさせる必要がある、こういうふうに考えます。
 ただ、同和地区の経営指導員につきましては、一つは地区のいろいろな特殊性という問題もございまして、ただ会議所なり商工会の事務所に出てきて、座って客を待つというわけにもまいらない面もございますので、現地にかなり長期にわたって出張をして巡回指導を大いにやるというのが必要な場合もいろいろございますので、その辺、勤務の態様なりが果たして妥当なものであるかどうかというのは個々のケースに即して判断せざるを得ない面があるわけでございますので、兵庫県の問題につきまして、大臣もお答え申し上げましたように、早急に県を通じましてその辺の会議所の経営指導員の実態について事情を調査いたしたい、こういうふうに考えます。

○安武洋子君 だれも同和担当の経営指導員が長く出張していて、会議所に座っていないからけしからぬなんて一言も言っていないんです。もう少し端的に物事をとらえてお答えいただきたい。
 人事が完全に兵企連に集中管理をされている、商工会議所の職員がそれでいいのかどうか、実は具体的に端的にお伺いしておりますので、もっと端的にお答えください。

○政府委員(小山実君) 集中管理をされているかどうかというのは、これから調査をいたさなければわからないわけでございますが、要するに会議所が管理者としての責務を全然果たし得ない状態にあるということであれば、これは是正をさしていく必要があると思います。

○安武洋子君 いまおっしゃったように、完全に人事管理ができない状態に置かれている。しかも、私は、一昨日、この点については簡単に兵庫県では実情が把握できるので、お調べいただくようにということを申し上げております。きのうも重ねて申し上げました。大変おたくの官庁はこういう点調べる御意思がないとしか思えないような態度です、いまのお答えは。そういう点は私は大変遺憾に思います。
 それから、次に移らせていただきますけれども、経営指導を行っていない、こうとしか思えないような状態がたくさんあるわけです。その現象を私は申し上げます。
 一つは、通常業務を行ったら、当然、長く出張しているとか、その地区に入っているとか、こういうこともあり得るわけです。そういうときには必ずこれは交通費それから超過勤務手当、こういうものが要るわけですけれども、そういう時間外手当とか超過勤務手当というのが一度も請求されていない、こういう点があります。しかも姫路地区では北林伸敏という人が経営指導を行わないので、同和地区の方が一般窓口に来る、ですから一般窓口で一般担当の経営指導員がこの業務を行っている、こういうことがあるわけです。
 ですから、こういう同和の経営指導員というのが趣旨どおりに部落内の商工業者の振興発展に一体寄与するものかどうか、こういうところ、中小企業庁の長官通達にもこの点はっきりうたわれているわけですからね、寄与すると一体お考えになるのでしょうか、この点をお伺いいたします。

○政府委員(小山実君) 経営指導員が経営指導の事業に当たっていなければ、それはまさに寄与していないということになると思います。

○安武洋子君 では、このおたくの指導の中にも、こういう指導の効果が上がらない場合は逐次配置転換等によって資質の向上を図るべきである、こういうことを言っておられます。ですから、こういう経営指導員については私はやはり罷免さす、新しく採用し直すべきだ、このことを要求申し上げたいと思います。
 それから次は、この解同朝田・小西派ですね、これは同和担当経営指導員を完全に私物化しているわけですけれども、この私物化をもっと完全なものにするために、優秀な能力を持っている、しかも部落解放に熱意を持っている指導員、採用されている指導員を次々にやめさせていっております。この人たちは基準に明確に合致しているわけです。これも例を挙げさしていただきます。
 それは兵庫県の商工会連合会の所属で、但馬地区の同和担当経営指導員河島豊氏、この方は解雇されているわけですけれども、解同朝田・小西派の同盟綱領、規約、運動方針、この三つについての意見を述べないからと、こういう理由で解雇されているわけです。私はその資料をここに持ってきております。河島氏からも事情を聞いているわけです。河島さんという人は自分なりに一生懸命同和担当経営指導員としてやってきた、だけれども同じ事務所にいた解同北但協議会の西野重幸さん、この人が解同の綱領、規約は認めるけれども、いまの運動方針は間違っているのではないかと言ったことから解雇された、一方的に口頭で解雇されたけれども、それでは今後のこともあるので西野さんについて何とか考え直してもらえないかというふうな発言をしたことから、この河島さんも西野さんと同じ事務所にいたわけです。そのかぎを取り上げられてしまっております。かぎを取り上げたのが和田書記長という人ですけれども、かぎを渡してくれと再三要求しましたところ、このかぎについては運動方針、これを認めれば渡すというふうなことを言っています。この河島さんは締め出されてしかたなく指導帳簿だけを持ち出して各地区に巡回指導している。そして三月の納税時期が迫っている中で大変地区の皆さんに迷惑はかけているけれども、自分としては綱領、規約、運動方針についてどう思うか書け、それと引きかえにかぎを渡すと言われたけれども、私はかぎのこととそのことは何の関係もないので現在まだ和田書記長に提出しておりませんと言っておりますけれども、これは当然です。こういう結果、この河島さんは解雇をされてしまったという事実があるわけです。それは彼らの文書の方でも明らかになっています。河島さんがそれを提出をしないから今後はこれはもう適任者でない。それを兵企連本部に通告したというふうなここに彼らの文書が出ているわけです。
 それからまた、神戸商工会議所の織田長文こういう方がいらっしゃいます。いらっしゃいましたと言うのが正しいです。この方は同和担当指導員としては法人申告の能力もあって大変評価の高かった人です。この人もまた先ほど言いました河島さんと同じような理由でやめさせられている。それから姫路商工会議所の岡崎哲幸さん、これは先ほど私が例に出しました北林という人の前任者です。これは余りにもまじめ過ぎたことがあだになって、解放運動に熱心でない、こういう評価をされて事実上やめさせられた。商工会議所の評価は非常にまじめで能力ある人で、記帳、税務など学習もまじめであった、こういうことを言っているわけです。こういう非常に基準に合い、評価の高い人が任意団体のこういう綱領、規約、運動方針を認めないから、これで解雇されていくわけです。それに対して兵庫県の当局がどう言っているか。われわれは関知しない、だれを指導員にするかは兵企連である、こう平然と言ってのけているわけです。行政の責任を投げ出している。解同朝田・丸尾派に屈服した姿勢をさらけ出しているのです。
 この結果彼らがどういうことを言っているか。第四回の彼らの総会の運動方針です。この中に「国費、県費補助の経営指導員を兵企連が運動発展の立場から配置していく。」このように書いてしまっているわけです。こういうことを平然と述べている。兵庫県当局の責任というのは私は大変重大だと思いますけれども、こういう状態を放置してきている中小企業庁の責任もまた大変重要だと思うのです。こういうような状態を私は一日も放置することはできない。このような状態を一体どのようにされようとするのか。いま私が申し上げたような状態が一体正しいのか、こういうことを大臣と長官にお伺いいたします。

○国務大臣(河本敏夫君) いずれにいたしましても、いろいろな事実をお述べになりましたが、その事実につきまして兵庫県及び商工会議所から正式の報告を至急にさせまして、その上で善処をいたします。

○政府委員(小山実君) 大臣のお答え申し上げましたように、早急に県なり会議所を通じまして実情を聴取いたしまして、それに基づきまして適切な措置を講じたいと思います。

○安武洋子君 私が申し上げたことは、すべて証拠のある明白な事実なんです。ですから私は、これは調査をなさってくださるということでけっこうなことなので、ぜひこういう事実判明の上については国庫補助の打ち切り、そういう措置をやっていただきたいということを御要望いたします。
 会計検査院来られておりますでしょうか。――会計検査院にお伺いいたしますけれども、先ほどからの討議を聞かれていて、こういう状態の中で国庫補助をしているということについてはどうお考えでしょうか。

○説明員(桜木拳一君) まず一般論としまして、国庫補助金の検査につきましては、その実施した事業が補助対象として適格なものであるかどうか。それから、事業費は適正に清算されているかどうかというふうな点に着目して検査いたしておるわけでございまして、ただいま御指摘の兵庫県の具体的事実につきまして、私承知いたしておりませんでしたわけですが、経営指導員につきましては、補助金の交付対象として要綱に基づいて定められておる点に該当しているかどうか、それから、経費の清算が適正に行われているかどうかという点から、検討、検査するというたてまえである、こういうふうに思います。

○安武洋子君 会計検査院として、こういう先ほどからの討議はお聞きだと思うのです。そういう点について、国庫補助は正しいと思うでしょうか、適切に支出されているとお考えでしょうか、補助金が。

○説明員(桜木拳一君) 先ほど申し上げましたように、その具体的事実につきまして私承知しておりませんでしたが、いずれにしましても、国庫補助金は適正に経理されなくてはいけないということが主眼でございますので、もしそれに反したような事実があれば、これは困るというふうに考えます。

○安武洋子君 いま任用、解雇、それから人事管理、そういうことで全部不当きわまりないものであるということを申し上げました。しかも、その上になお同和担当経営指導員によって小規模経営改善資金融資制度、これが運用されているわけですけれども、これはひとつ書類を差し上げたいと思います。大臣、これごらんください。  これは兵企連の同和地区経営担当指導員にあてた文書です。ここの中でごらんいただいたらわかるように、「一応経営指導員一人につき五百万円を推薦枠とし残余の枠の割当については」云々というふうに書いてあるわけです。そしてその終わりに、これによって「推薦業務を開始せられます様お願い致します」と、こういう文書が出ております。これは中身は後で詳しくごらんいただくとしても、この文書があらわしていることは、完全にこの融資というものを彼らが掌握して、彼らが行っているということが、この文書一つでも明らかになっているわけです。それから「経営指導員が融資申込みを受付けた場合、推薦依頼書、調査書(チェック)推薦付属書記入の上これらを一括兵企連本部事務局に提出すること。本部事務局は之を確認の上、関係商工会議所、商工会に送付する。」こうも書いてあります。これは裏側です。これは指導員ばかりか、融資面でも、兵企連が完全に運用を掌握しているという事実を如実に示しております。この実情を一体どのようにお考えでしょうか、この点をまずお伺いをいたします。

○政府委員(藤原一郎君) 小企業経営改善資金でございますが、これは御承知のとおり、経営改善普及事業の一環として行われておりまして、経営改善指導員の推薦により、商工会議所なり商工会の審査会というもので判断をいたしまして、推薦するかどうかということで運用されているわけでございまして、私ども会議所なり商工会を通じまして、なるべく経営改善指導というものが公平に徹底するような方向で運用するようにという、御承知のとおりの通達でやっておりまして、そういう趣旨をなるべく徹底していくようにやっていきたい、こう思っております。

○安武洋子君 いま確かに小規模経営改善資金の融資制度、この要綱をちゃんとお出しになっていらっしゃいます。同和についても、どのように融資すべきかというのが出ているわけですけれども、差し上げましたこの文書をごらんいただいてもわかりますように、融資の全部の運用についても、またその手続についても、すべて兵企連に集中されるということについて、これは正しいのですかということをお伺いをして――これは明らかにこれに違反しておりますので、いろいろな通達、何から、見てもこれは正しいと言い得ないわけです。だったらどのように対処なさるのでしょうかということをお伺いをいたしております。

○政府委員(藤原一郎君) いまの推薦に関連するお話でございますが、私ども先ほどから御説明申し上げておりますように、この国民金融公庫で融資しますにつきまして、推薦する決定権を持って決定いたしておりますのは、商工会議所なり商工会の審査会というふうなところで実は決定をいたしておるわけでございまして、その前の段階で経営指導員が推薦といいますか、一応判断をしたものをそこへかける、こういう仕組みでございます。したがって、その前の段階でいろいろなことが地区によりあるいはあるかと思いますが、商工会議所なり商工会の審査会において公正な決定がされておるということであれば、その点では問題はないんではなかろうか、このように考えております。

○安武洋子君 お答えになっていないわけですね。私がお伺いしたのはそういうことじゃなしに、この書類も差し上げているのは、この融資面全部が――ごらんになっていらっしゃいますか、全部これは兵企連の書類なんです。商工会議所の書類じゃないんですね。こういう融資枠について融資枠を経営指導員に割り当てたから、この通達に基づいて融資事業をやってくださいということを書いてあるわけです。その割り当て方も、兵企連の会員数によって割り当てるというふうなこともはっきり書いてあるわけです。そして、この手続方法も兵企連本部に持ってこい、そうじゃないですか、兵企連の事務局に提出することと、こういうことになっておりますんですよ。どこにもこういうおたくが出されている通達に基づいた手続には合致しないわけなんです。その点について正しいんですかどうかということをお伺いしております。

○政府委員(藤原一郎君) 若干議論がちょっとかみ合わずに恐縮でございますが、おそらくこの文書は、われわれの通達を前提にして出されておるのではなかろうかという感じがするわけでございます。
 なお、小規模経営改善資金につきましては、御承知のとおり、特に厳格な枠というものを設けておるわけではございませんので、一般のそれぞれの地区別に割りましたものがあるわけでございまして、経営指導員も一般の指導員ももちろん同和の方々のめんどうを見てもいいわけでございますし、その辺はあまりかたく考えるものでもないような感じもするわけでございます。

○安武洋子君 そういうことを言ってるんじゃないわけです。これ、兵企連の会員にしか融資枠、この融資が受けられないということをあらわすわけなんです。私はこの点については「会員は、解放同盟の同盟員に登録し運動しなければ、今後は、兵企連の会員としての権利をうしなう」、彼らはこうはっきり書いているわけです。それから、同盟員でない企連会員は存在し得ませんということも彼らの議案書にははっきりしているわけです。ですから、こういう運動方針を掲げておりますから、これにもはっきりしているように、同盟員でなかったらこの恩恵は受けられない。私は、部落内の商工業者というのは全部恩恵に浴さなければいけない、それがこの趣旨だろうと思うんです。ですけれども、そうでなくって部落内の企業者の中にも歴然と差別を持ち込んでいるではないかということを一つ挙げているわけなんです。この点いかがでしょうか。

○政府委員(藤原一郎君) その兵庫県の、先生おっしゃいますところの兵企連の実態につきまして、私どもつまびらかにいたしておりませんので、若干理解が行き届かないかと思うわけでございますが、このいただきました文書によります限り、ちょっと私どもの現在出しております通達とこれとの関連性、これがそれに正面から反しておるというふうに言えるかどうか、もう少し詳しく読んでみたいと思っております。

○安武洋子君 では具体的な例を挙げます。兵庫県出石郡出石町というところに木村繁造さんという八百屋さんがあります。経営指導をずっとしてもらっていた人です。この経営指導員は先ほど出ました河島豊さんです。この河島豊同和担当経営指導員を通じて小規模経営改善資金の融資あっせんを申し込んだわけです。この木村氏というのは兵企連の会員でもあったわけですけれども、この解同出石支部の支部長とか書記長が、木村さんが日ごろ解同に協力しない、こういうことを理由に推薦の印を押さなかったわけです。河島さんは、この印がないままに規程に従ってこの手続をとって書類を兵企連の本部に提出したわけです。そうしたら兵企連がチェックをしてこれを没にした、融資が受けられなかった、こういう事実があるわけです。これはお調べいただいたら歴然とします。これはただ一つの例ではなくて、こういう例は枚挙にいとまがないわけです。私が申し上げたいのは、三木首相は社会的な不公正をなくす、こう言われておりますけれども、兵企連がこの金融制度までも私物化している、だから部落内に明らかに差別を持ち込んでいるではないかということを私は言いたいわけです。それから、これはもちろんこの通達にももとるわけです。法的にも正しくないわけです。それから私が数々指摘したように、この制度の運用方針いろいろお出しになっておりますね、それに合致しているところが一つもない、ほとんどが明白に違反している。このやり方を私は正さなければいけないと思うのです。そのことこそが社会的な不公正をなくすことだ、こう申し上げたいわけです。
 いま、たくさん中小企業者の深刻な不況状況が出されておりますけれども、そういう不況な状況を考えるときでも、中小企業者の要求に公平に沿うことだ、こういうことを是正することが中小企業者の要求に本当に沿うことだということも私は申し上げたい。行政は元来公平でなければならないわけです。その公正がこういうふうに投げ出されてしまっている。これは兵庫県だけではない、大阪でもこのような状態があるわけです。全国的にもあるので、私はぜひこの際調査をしていただきたい。そうして、行政としては公平にもとの姿に、本来あるべき姿にこういう問題を正していただきたい。兵庫県の責任は非常に重大です。積極的にこのやり方に加担をしているということは許せないと思いますけれども、こういう県の行政、全くこの任意団体に行政権まで委任してしまっているという状態について、政府はこれをやはり直させるように指導をしなければいけないと思います。ですから私は、この同和担当の経営指導員、これは正しくない採用をされている分については直ちに罷免をする、こういうことも含めて、商工会議所についても商工会についてももとのあり方に戻すように監督を強化すべきだ、このように考えますけれども、いかがでございましょうか。大臣と長官の御答弁をいただきとうございます。

○国務大臣(河本敏夫君) 先ほども申し上げましたように、ただいまお述べになりました事実につきまして、県及び商工会議所に至急実情を調べて報告をするように指示をいたします。その上でいろいろ対策を立てたいと思います。

○政府委員(小山実君) 大臣のお答え申し上げましたように、早急に県なり会議所を通じまして実情を聴取いたしまして対策を講じたいと思います。
 なお、余分なことかもわかりませんが、中小企業の指導、振興という業務は、同和地区の産業の振興も含めまして、地方公共団体が何と申しますか、固有の事業としていろいろやっているわけでございまして、中小企業庁といたしましては、それを国家的見地から適当な分野について補助し、助成していく、こういう官庁でございますので、いろいろ末端の事業のやり方につきましては、中小企業庁が県を通じていろいろ監督指導をしていく、こういう立場にございますので、公正の確保という点につきましても、そこにおのずから国の一つの立場上限度があるという感じもいたしますが、そういう範囲内におきまして、できるだけ是正すべきものは是正する措置をとっていく、こういうふうに考えております。

○委員長(林田悠紀夫君) 時間です。よろしいですか。

○安武洋子君 私の時間まだ三十秒残っていると思います。大変私にはお厳しいようですけれども。
 最後にお願いいたします。これは小さな問題でなく、行政そのものが任意団体によって、その行政権、これを委任して私物化されているという重大な問題ですので、私はぜひ調査をして適切な措置をとっていただきたい、そのことを強く要望いたしまして質問を終わらせていただきます。

※→八鹿高校事件関連国会質問一覧 1974/11/22〜1975/03/31