75-衆-内閣委員会-3号 昭和50年02月20日

○木下委員 わかりました。結構でございます。
 次に伺いたいのでありますが、子供の教育上の問題としましても黙視することのできない問題といたしまして、いわゆる朝来中学事件及び八鹿高校事件というものが起こりました。これについて質問したいと思います。
 まず、朝来中学事件でありますが、これは朝来町の橋本先生の宅を包囲した事件であります。これに朝来中学の校長、教頭が解同朝田派の暴力に屈しまして、生徒を動員して橋本教諭の宅を包囲いたしました。

 七四年十一月十二日の衆議院の地方行政委員会におきまして、林議員が生徒をこういう行動に動員することの是非についてただしましたところ、島田初中局小学校教育課長は、現在詳細な事実を兵庫県教委を通じて調査中であると答弁しております。答弁後すでに三カ月以上を経過いたしておりますが、その調査結果を明らかにしていただきたいと思います。

○安嶋政府委員 昨年の十月二十五日、兵庫県の朝来郡生野町黒川小学校教諭の橋本哲朗氏宅の周辺で、朝来中学校の生徒が現地学習と称する集会に参加したということがございました。しかしこの集会は、いわゆる運動に学ぶための生徒の自主的な集会であったということでございます。教員は生徒の監督上の配慮からこれに付き添ったという報告を受けております。
 文部省といたしましては、いずれにいたしましても、中学生が校外におけるこうした社会的な実際的な活動に参加することは適当ではないということで、兵庫県教育委員会等を通じて指導をいたしておるところでございます。

○木下委員 ちょっとよくわかりにくかったのですが、それはいつといつ、何回にわたって、人数はどのくらいという、具体的な事実関係について私は聞いておるんです。

○安嶋政府委員 私どもが把握いたしております事実は、昨年の十月二十五日のことでございますが、朝来中学校の生徒約百八十人が橋本氏宅前に集まったということでございます。その趣旨は、ただいま答弁で申し上げたとおりでございますが、その際、約十人の教員がその場に出ておったということでございます。しかし、この出ておった趣旨は、ただいま申し上げましたように、生徒を引率してそこに行ったということではなくて、生徒が大ぜいそうした場所に出ておったものでございますから、監督上の配慮ということで、教員約十名が生徒に付き添ったということでございます。ただいま申し上げましたように、この集会は、いわゆる運動に学ぶための生徒の自主的な集会である、こういうふうに兵庫県教育委員会から報告を受けております。

○木下委員 十月二十五日、一回ですか。

○安嶋政府委員 私どもが報告を受けておりますのは、一回でございます。

○木下委員 この問題について、私、先ほど引用いたしましたように、きちっと調査をするという約束を国会でされておるんですが、その調査の結果、二十五日一回である、こう言われるわけですか。二回ございませんか。はっきりしてください。

○安嶋政府委員 橋本教諭宅をめぐる問題につきましては、私どもは一回という報告を受けております。

○木下委員 それから校長、教頭は参加したのでしょうか、していないのでしょうか。

○安嶋政府委員 参加していないと聞いております。

○木下委員 そうしますと校長、教頭は、結局、二十五日一回だと言われるから、この橋本宅包囲事件には一切関与していないということになりますか。――二十五日には校長、教頭は参加していない、しかも、二十五日一回であるということになりますと校長、教頭は、もうそれ以上何ら関与していないという結論になるんですが、そういうことですか。

○安嶋政府委員 先ほども申し上げましたように、これは生徒の自主的な行動であるということでございますから、学校と関係はないというふうに私どもは聞いております。

○木下委員 十月二十三日、この日はございませんか。これは実は、私自身が二十二日に橋本さんの家に行きまして、とうとう私は一晩そこへ泊まりました。帰りかかったのでありますが、周囲を包囲されて、帰れなくなって泊まったわけであります。私は、国会議員として調査活動のために赴いたわけでありますが、とうとう帰れなくなって、妨害をせられて一泊したわけであります。
 そこで、二十三日の状況というのは、したがって私自身が体験しておるのでありますが、この二十三日に生徒たちが来ておりますよ。現に私は、私自身の目で確かめておるんです。これは、どう調査されましたか。三人や五人ではありませんよ。大ぜいの生徒が来ているんです。この点についてはどうですか。

○安嶋政府委員 私どもが兵庫県教育委員会から聞きましたところでは、二十三日にはさような事実はなかったという報告を受けております。

○木下委員 ここに写真もあるんですよ。これは橋本先生の家を、大ぜいの生徒が囲んでいる状況です。これは女子生徒。それからこっちは男子の生徒です。二十三日の状況については、テープもとっております、私自身が体験していることなんですから。この状況、これは前からあなた方の方で調査をされると言われながら、調査をした結果が、そういうことがなかったということでございますか。一体どういう調査をやられたのですか。もう一遍調査をやり直しされますか。

○安嶋政府委員 朝来中学は、直接的には朝来町の教育委員会の所轄に属する学校でございます。したがいまして、直接的な監督あるいは所轄の関係は、朝来町の教育委員会ということになるわけでございます。県教育委員会は、県内全体の教育行政を総括するという意味におきまして、朝来町ないし朝来中学から報告を受けて、私どもに、ただいま御答弁申し上げたような報告をいたしてきておるわけでございます。
 ただ、先生御指摘のように、二十三日にも間違いなくそういう事実があったということでございますので、改めて二十三日の件につきましては、兵庫県教育委員会に照会をいたしたいと考えております。

○木下委員 その点についても、照会でも結構ですが、よく調査をしていただきたい。
 それから、こういうことはよくないという趣旨を言われましたけれども、そういうことを言われながら、これは生徒が自主的に参加をしたのであって、教師が引率をしたのでないというふうな言われ方をしておるのですが、少なくとも校外で生徒と教師が、客観的事実として一緒に行動しているわけです。これは幾ら生徒が自主的にと申しましても、やはり教育上の配慮は必要であります。少なくとも教師が校外で生徒と行動をともにし活動をする以上、やはり一種の教育活動として考えなければならない。それは一緒にやっても、校外で、学校教育とは別なんだ、だからかまわぬということにはならないと思うのです。いかがですか。

○安嶋政府委員 ただいまも申し上げましたように、中学生といった心身の発達の不十分な者が、校外におけるこうした実際的な活動に参加するということが適当でないということは、ただいま申し上げたとおりでございますが、県教育委員会からの報告によりますと、教員が付き添ったというのは、むしろそうした中学生の参加に問題があり、その生徒たちが異常な行動に出るようなことがないようにという教育的な配慮のもとに教師が付き添ったということを聞いております。したがいまして、そうした配慮のもとに教師が現場に居合わせたといたしますならば、それも実情に即した措置であろうかと考えております。

○木下委員 法務省の刑事局は来ておりますか。――この朝来事件の捜査、起訴はどういうことになっておるでしょうか。簡単で結構です。

○俵谷説明員 お尋ねの橋本先生宅包囲事件につきましては、この関係者と申しますか、事件の容疑者であります丸尾某ほか一名につきまして、逮捕いたしまして、神戸地検におきまして、警察から送致を受けて取り調べを進めたわけでございますが、これは勾留請求の段階で請求が却下されました。したがいまして、その後、在宅のままで捜査を継続いたしております。釈放後、相当日がたっておりますが、捜査を継続しておりまして、近く結論が出されるのではないか、かように聞いております。

○木下委員 そのように刑事事件としてその関係者が逮捕をされる、現に捜査を継続中でありますが、そういう事件に子供が参加している。橋本先生という個人のお家を取り囲んで、長い間にわたって糾弾をする、そういう犯罪行為として警察が取り締まりをしておる事案に子供が行っているわけですよ。教師がそれに一緒に行くことが、一体これは構わぬことなんでしょうか。一体、県の教育委員会はそれがいいんだと言っておるのですか。もし、いいんだと言っておるとすれば、文部省としてそれをどう考えるのか。私は重大な問題だと思うんですよ。

○安嶋政府委員 先ほど来申し上げておりますように、中学生がそうした行動に参加するということは適当ではないということを申し上げておるわけでございます。ただ、実際問題といたしまして、中学生がそうした行動に参加いたしました場合に、それを見守るという意味において教師が現場に居合わせたということも、これは学校の教育上の配慮として認め得ることではないかということを申し上げておるわけでございます。事柄自体が、つまり生徒が、そうした御指摘のような行動に参加したことが適切であるというふうなことを申し上げておるわけではございません。

○木下委員 大臣、この問題は決して教育上好ましくないという程度のものではないと私は思うのです。犯罪行為として捜査がやられておる、それに子供が巻き込まれておるという問題であります。こういうことは二度とあってはならないと思います。
    〔委員長退席、木野委員長代理着席〕
県教委に対しましても、厳しく指導すべきことだと私は思うのでありますが、大臣の所見を伺いたいと思います。

○永井国務大臣 先ほど政府委員から申し上げましたように、こういう活動に子供が参加をいたしますということは、全く教育上望ましくない、そういう立場で私たちは県教委に対する指導、助言を行っております。
 さらに、それが犯罪の容疑があるという問題につきましては、当然、当局がその問題に対して対処すべきものでありまして、そういう疑いがあるということも一方にあると同時に、他方、教育それ自体として見た場合に、不適切であるという立場をとっております。

○木下委員 警察庁に伺いたいと思いますが、八鹿高校事件で昨年の十一月二十二日に集団リンチ事件が起こりました。先生たち数十名が路上から学内に連れ去られまして、体育館などで暴行を受けたわけでありますが、時間にしまして午前十時過ぎから夜十一時ごろまで約十一時間、警察署には生徒たちが泣いて救助を訴えておりました。共産党の国会議員も、そのときには来ておりまして、警察署に対しまして、厳重にこの問題に対して出動をするように要請をいたしましたが、このように十三時間にわたってリンチが続いたのであります。なぜ救出しようとしなかったのか、理由をお答えいただきたい。

○半田説明員 お答え申し上げます。
 八鹿高校事件につきましては、昨年の十一月二十二日の午前十時ちょっと前に、近くの方から、自分の家の前の路上で大ぜいの人が何か口論をしておるというふうな届け出がございました。それを受けまして八鹿警察署におきましては、署長以下約二十人が現場に急行をいたしました。現場に行ってみますると、狭い道路に百数十人以上の人が蝟集をして何やら喧騒をきわめておるというような状況でございまして、署長は人がきをかき分けて中へ入ろうとしたのですけれども、押し返されるというふうな状態の中で、この先生たちが学校の中に連れ去られた、こういうことでございます。
 したがいまして、署長といたしましては、その後のことが非常に心配になったものでございますから、校長及び教頭に会いまして、一体いま中で何が行われておるのかということを問いただしたわけでございますが、その際、校長及び教頭は、いま県教委の方からも人が見えておって静かに話し合いをしておる、警察官に中に入ってもらうとかえって事態を混乱させるので入らないでほしい、こういうような趣旨の回答であったわけでございます。その後も、署長といたしましては、再三再四、校長、教頭あるいは県教委の参事等に、一体中でどういうことをやっておるのだということを聞いておるわけでありますけれども、平穏に話し合いが進行しておる、こういうようなことでございました。
    〔木野委員長代理退席、委員長着席〕
署長といたしましては、その間放置しておったわけではございませんで、そういうふうなこともし、また、その間に万が一のことをおもんぱかって県本部とも相談をし、警備体制も整えておったわけであります。夜に至るもなおそういうふうな状態が続いておるということで、警備体制が整うのを待って中に入ったところが、事態がすでに終わっており、そこに三十三人の先生がおられて、負傷されておる方も相当おり、これを救出したというのがその経過でございます。

○木下委員 おおよそわかりました。
 法務省の刑事局に伺いますが、この十一月二十二日のいわゆる八鹿高校事件の当日、学校長を初め学校教育関係者がとりました態度はきわめて不可解であります。集団リンチ事件に協力、加担していた疑いが濃厚だと思います。これまでわが党国会議員団を初めとしまして、自由法曹団など合計千名を超える現地調査団が調査結果を公表しておりますが、二、三例外を除きましてほとんどの調査団が、学校教育関係者がリンチ事件に協力、加担していたと報告をしております。リンチ現場を目撃しました八鹿高校生徒会も決議の中で、学校教育関係者が協力、加担した責任を糾弾しております。警察も住民の抗議に抗し切れず学校教育関係者を取り調べ、すでに何人かを検察庁へ書類送検をしまして、検察庁も被疑者として取り調べを始めております。昨日、八鹿高校へ直接電話で問い合わせましたところ、事務長の話では、小田垣教頭が豊岡の検察庁に呼び出されて出頭しておるということであります。県教委の職員らも取り調べを受けておるやに聞いております。
 検察庁として、これまで十一月二十二日の事件に関連して学校教育関係者の取り調べを行ったことがあるかどうか、すでに何名の取り調べを行ったか、学校関係者何名、但馬教育事務所関係何名、兵庫県教育委員会関係何名、その他教育関係者何名というように具体的に答えてもらいたいと思います。あわせて、それぞれの氏名及び今後の方針についても明らかにしていただきたいと思います。

○俵谷説明員 お尋ねの件でございますけれども、これは先生御案内のように、関係者十二名を昨年末逮捕いたしました。そのうちの九名につきましては、昨年末に神戸地方裁判所におきまして公判請求しております。その余の三名、その他若干の被疑者等がいるわけでございますが、これらにつきましては、現在なお捜査を行っておる段階でございます。したがいまして、捜査上のいろんな問題がございますので、個々的な詳しい御答弁は差し控えさせていただきたい、かように考えます。
 ただ、御指摘の教育委員会関係者あるいは町当局あるいは学校の先生、こういうものにつきましては、十数名の者が告訴されておる。したがいまして、被告訴人として取り調べの対象になっておる、その者たちにつきましては、それぞれ状況によりまして取り調べを進めておる、こういうふうに報告を受けておりますので、その程度申し上げさせていただきます。

○木下委員 いまの詳しいことはお答えになりにくいというのはよくわかります。教育委員会関係、教育関係、町当局等十数名について、被疑者として取り調べを現に進めておる、こういうことでございますね。

○俵谷説明員 さようでございます。

○木下委員 七十四年十一月二十五日、衆院文教委員会におきまして、わが党の山原議員が、事件当日、学校内にいました教育関係者について質問しましたところ、安嶋初中局長は、校長室に校長ほか県教委の職員が同席していたとの報告を受けているが、杢谷教育次長がいたかどうかは確認していないと答えております。また、山原議員が、教育事務所の職員、県教委の職員がおりながら、何時間も事件を傍観したのはなぜか、適切な指導をしていたと言えるのかと質問したことに対して、安嶋初中局長は、適切な指導をしていたかどうか、私どもも疑問を持っているので、その間の事情についてさらに調査を進めていると答えております。
 そこで、この事件当日、学校内にいた教育関係者の身分と氏名を全員明らかにしていただきたいと思います。

○安嶋政府委員 十一月二十二日に、兵庫県教育委員会から八鹿高校に派遣しておりました職員でございますが、畑中参事、山岡係長、前田係長、喜始指導主事、植田教職員課の課員、それから但馬の教育事務所長の上田と聞いております。
 なお、杢谷次長につきましては、当日は八鹿高校には出ていなかったということを聞いております。

○木下委員 そうすると、杢谷次長の所在はどうだったのですか、所在と行動について言っていただきたい。

○安嶋政府委員 杢谷次長は、当日は八鹿高校にはいなかったということでございますが、本町から比較的近くの場所まで行っておったというふうに聞いております。

○木下委員 どうしてもう少しはっきり言えないのですか。この八鹿高校事件に関係のないことをしておったというなら私は聞きませんよ、そういうことは。そうじゃないでしょう。八鹿高校のこの事件に近いところで、そして連絡をとりながらいたということははっきりしているんですよ。どうしてこれが言えませんか。

○安嶋政府委員 私どもが兵庫県教育委員会から報告を受けておるところによりますと、二十二日は但馬の教育事務所に用務があって行き、その後帰った。八鹿高校には行っていなかったということでございます。近くにと申しましたのは、但馬の教育事務所に用務があって行ったということでございます。

○木下委員 どういう行動をしたのですか。

○安嶋政府委員 杢谷次長の当日の行動については、特に聞いておりません。

○木下委員 杢谷次長は当日、豊岡におりまして、現場と電話で連絡をとり合っていた、これは杢谷次長自身がはっきりと言っておるわけなんです。そして八鹿高校の方との第一報では、路上事件の後五名入院したのを知った、そして学校内にいない先生の氏名も、この八鹿高校にいなかったけれども、連絡をとってすでに第一報の段階で知っているのです。それから第二報、これは、ちょっと時間がはっきりしませんけれども、第二報では、入院患者が二十八名いることを確認しているのです。
 そういうふうな状況を知りながら、杢谷次長は、何ら具体的な指示を、八鹿高校にいた校長あるいは教育委員会の職員らにしていない。このことは、わが党が県教委に行きまして直接事情を聞いております。杢谷自身は、そういうふうに言っておるのです。
 そうしますと、そういう報告は文部省の方は、県教委から一切受けていないというのですか。

○安嶋政府委員 ただいま申し上げましたように、杢谷次長は、八鹿高校にはいなかったという報告を受けておるわけでございます。
 なお、その負傷者が出たことにつきましては、これは県教委当局の報告によりますと、事後に知ったということでございまして、いわゆる糾弾会の途中経過におきまして、さような事実が起こっておるということは承知していなかったと私どもは聞いております。

○木下委員 そうすると、その杢谷次長が、そういうふうに第一報、第二報で負傷者が出ておるということを知っておるのは、一体、だれから連絡を受けたということになるんでしょうね。教育委員会関係は八鹿高校にいたけれども知らなかったということなら、杢谷次長は豊岡にいて電話連絡を受けて知っておるんだけれども、一体だれから連絡を受けたかということになりますね。そんなおかしな話はないと思いますよ。――まあ結構です。  事件当日の教育関係者各人の行動を、各人ごとに、一体どういうことをやったのか、細かいことは結構ですけれども、大まかに言ってくれませんか。

○安嶋政府委員 ただいまのお尋ねの前に、ちょっと申し上げておきたいと思いますが、事件の当日、学校にはもちろん校長、県教委からの畑中参事等がいたわけでございますが、県教委の報告によりますと、まあ但馬地区におきましては、糾弾会、確認会等と言われるものがときどき従来も行われておった、しかしながら、かなり激しい言葉のやりとりはあったようでございますが、暴力行為にまで及ぶようなことはなかったので、学校におけるいわゆる糾弾会も、まさか暴力行為にまで及ぶというような事態は全く予想していなかったというふうに聞いております。したがいまして、現場にいた教育委員会の関係者あるいは校長等がそういうことを知らなかったということでございます。したがいまして、それと同時刻あるいはそれより前に杢谷次長がそういう事実を知っておったといたしますならば、これは、はなはだ理解しがたいことでございまして、私どもといたしましても、さらに調査をしてみたいというふうに思います。
 それから、当日の県教委の職員の行動でございますが、御承知のとおり、九月当初から、但馬地区の高等学校における同和教育の指導のために、指導主事を派遣しておったわけでございますが、特に十一月の十八日、生徒側から、解放研の設置の問題について、教員側と話し合いをしたいということで、職員室の前に座り込むという事態が起こったわけでございます。そこで十九日以降、数名の指導主事を派遣いたしまして、生徒との話し合いに応ずるよう学校の指導に当たらせたということでございます。事件当日におきましては、先ほど申し上げました、植田教職員課の係員を除きまして、四名の者は集団下校をする教員に対しまして、授業に戻るよう説得をしたり、あるいは八木川の川原での生徒集会に参りまして、生徒の指導等を行ったというふうに聞いております。なお、但馬教育事務所の所長の上田所長につきましては、事件当日、正午ごろ学校に参ったわけでございますが、その日の朝は、教育関係者の表彰式に出席をし、一時ごろに学校に行ったということでございます。その後は学校の校長室、事務室、それから八木川の川原における生徒に対する指導、あるいは八鹿町役場における山口副知事に対する報告等の仕事をしたということを聞いております。

○木下委員 短い時間ですので、私の質問にだけ答えてほしいのです。私は、経過などについては問うていないのです、当日以前の。授業に戻るように説得に努めたということですが、当時の状況から、とてもそういう説得をして、授業をやれるような状況ではなかったということははっきりしておると思うのです。そういう報告をしておるというように聞いておきますけれども、とてもそんな悠長な状態ではなかったのです。
 警察が十回にわたって警告、要請を発した。先ほども警察庁の方が言われましたけれども、これは十回というふうに前から聞いているんですが、これに対しては、一体どういう態度をとったのでしょうか、教育委員会は。

○安嶋政府委員 十回ということは、私も兵庫県教育委員会から報告を受けていないわけでございますが、ただいま申し上げました畑中参事が、八鹿署の署長と接触をいたしておったわけでございますが、十二時ごろに八鹿の署長から校長に対して、校内の状況を知らすように要請をされた。校長は、ただいま申し上げました県の畑中参事と相談をいたしまして、校内では職員と共闘会議側が話し合いをしておるという回答をしたということでございます。さらに十三時ごろにおきまして、畑中参事が署長と話し合いまして、生徒のデモについては、できれば中止するよう指導してもらいたいというような要請をしておるようでございます。また十四時ごろ署長から、校内の状況はどうかという質問があったことに対しまして、校内ではいわゆる糾弾確認が行われておる、このときは異常な事態が起こっておるということは、教育委員会側も校長側も全く承知をしていなかったということでございますが、そういうふうに答えたといったようなことで、数回、警察側との接触が畑中参事との間に持たれたというふうに聞いております。
 一方、校長と八鹿の署長との接触もあったわけでございますが、校長は、校内では職員と共闘会議側との話し合いが行われており、いま警察が入ることは、かえって混乱を起こすのではないかというような意見を述べたというふうに聞いています。

○木下委員 大ざっぱに言われましたが、ひとつこの点は、警察と接見した時刻、それからだれとだれとが話し合ったか、それから警告、要請の内容、返答の内容、そういうことについて、実は資料要求をしておったわけなんでありますが、とうとうまだもらっておりません。それで、その資料要求をしたいと思うのであります。それとあわせて、教育関係者各人の行動も具体的に明らかにしていただきたいと思います。これは八鹿高校の中で一体何をしておったのかということが、現在、非常に注目をされております。これを明らかにする意味で、私の方で資料要求をいたしますので、できるだけ早い時期に、大まかな点はわかっておるようでありますから、明らかにしていただきたいと思います。

○安嶋政府委員 文部省は御承知のとおり、警察等と違いまして強制的な捜査権がないわけでございます。したがいまして、詳細な事実あるいは正確な事実について、私どもが調査をするということには明らかに限界がございます。簡単な一つの事実でございましても、これを確認するということは容易なことではないわけでございます。したがいまして、できるだけの資料は提出いたしたいと思いますけれども、個々人が、いつ、どこで、何をしたかというような詳細な点についてまでの御報告をいたすということは、これは文部省としては、きわめて困難であろうと思います。しかしながら、文部省が把握をいたしました限りにおきまして、できるだけ経過について御報告をいたしたいと思います。

○木下委員 結構です。
 それから七四年十一月二十八日、参議院法務委員会において内藤議員が、校長、県教委の職員らが現地闘争本部の中におり、警察はこれらの者が、中は話し合いだと言っているから入らなかったと言っている。これらの者は、中の状況をどのように把握していたのかと問いただしたのに対しまして、柴沼初中局高等学校教育課長は、県教委を通じてたびたび照会しているが、校長や県教委の指導主事は、校外の川原の生徒集会に気をとられていた、また校内での事情については、解放同盟の代表の方々といろいろ話し合った、そういう報告であると答えている。調査の結果、校長や県教委の職員が、中の状況をどのように把握していたのか、これを明らかにしていただきたいと思うのです。
 先ほどのお話を聞いておりましても、従前の経過に照らして話し合いが行われておるということであって、こういう暴行などが行われているという状況は知らなかったというふうに言われておるのですが、そういうことなんでしょうか。もう一度念を押して聞きます。

○安嶋政府委員 十一月の二十二日、県教委の畑中参事が、解放同盟の南但支部連絡協議会の山本会長と、いわゆる糾弾について何回か接触をしておるという報告を受けております。最初十一時ごろということでございますが、山本会長が、解放同盟として糾弾確認会をし、自己反省書を書いてもらうつもりだということを申しましたことに対して、畑中参事からは、統制のある形で行われることを希望するということを述べたということでございます。そうした接触が、その後も食事をさせるかさせないかといったようなこと、それから八鹿の所長が解放同盟の代表と会いたいと言っていることについての話し合い等、何回か接触があったということでございますが、この時点におきましても、県教委当局は、学校内におきまして暴力的な事件が起こっておるということは知らなかったということでございます。

○木下委員 私どもも、県の教育委員会には行きまして話をしたことがありますが、暴行は目撃をしていない、県教委としては、結局学内で暴力はなかった、そういうものは見ていないのだからなかったと思う、こういうことを一貫して言っておったのであります。
 文部省の方も、そういう報告を受けて、それを信用しておったのでしょうか。信用しておるということですか。あるいはその後、県教委の方がそういう報告をしても、文部省は、初め信用しても、認識を改めたというならそれでも結構でありますが、どういうことでしょうか。

○安嶋政府委員 県教委の態度は、ただいまお話がございましたように、学校内で暴力が行われていたかどうかということについては、県教委としては確認をしていない、だれも見ていないのだ、こういう答弁でございます。
 しかしながら御承知のとおり、すでに公訴を提起されたものもあるわけでありますから、文部省といたしましては、やはり学校内において暴力的な行為があった、こう認めざるを得ません。

○木下委員 実は私も、現地に調査に行ったんですよ。八鹿高校に行きまして、校長にも教頭にも会って話を聞いたのです。そうしますと、教頭などはこう言うのです。この教頭は、糾弾をされている体育館などにも出入りをしているんですよ。二階の会議場の糾弾場にも出入りをしておるのです。そして、そこで何を見たか。着衣がはがされたり、めがねが取られていたり、着衣が水浸しになっていた、顔つきは異常であった、こうはっきり言っておるのです。テープにもとっております。そして、これが糾弾会の通念的な状態であった、こう言っておるんですよ。これは教頭が私に言ったことでありますが、校長もこれは否定できない。校長は横にいて聞いておりましたが、否定はしなかった。
 こういう状況を、教育委員会の方は、こういう教頭の話からしても暴行が行われておったということは明らかでありますが、それをどうして信用しないのでしょうか。県の事務所の上田平雄という人などは、赤はち巻きをして学校内を歩き回っておるのです。それからたとえば校長、教頭が生徒自治会役員と、この事件が起こった後に話し合いをしました。そこで、いろいろ状況について話し合いをして確認をしておるのでありますが、誓約書というのを、校長と教頭が署名捺印をして入れておる。それを見ますと、二十二日に校長は五、六回しか糾弾現場に行かなかった、こう言っておるのです。糾弾現場に校長は行っているんですよ。暴行も見ておるのです。さらに生徒自治会役員と校長、教頭が話し合いをしまして、確認書というのをつくっておりますが、それには、十一月二十二日の事件は意識的暴力であったことを認めると、校長、教頭が総会で署名、捺印をしているんですよ。  ところが、そういう書面を交わすと、その場に立ち会っていた教育委員会の職員が、出入り口のところでその生徒会の人にいろいろ言ってその書類を取り上げておるのです。そういうものがわかると血の雨が降るかもわからない、どんな事態が起こるかわからぬ、こういうことを言ってその書面を巻き上げておるのです。一体そういう書面がつくられておるということは報告を聞いておりますか。

○安嶋政府委員 聞いておりません。

○木下委員 その書面は結局、生徒会に対して暴行事件があったということを校長が認めた、それを教育委員会が取り上げてしまって、証拠隠滅をやっているということじゃないですか。そういうことですよ。そういう教育委員会の報告をまともにお受けになるということも、私はどうかしておると思うのです。ですから、こういう事態について調査をするのに、私は調査のやり方に非常に問題があると思うのです。
 もう一点聞きますが、これは去年の十二月十九日に、衆議院の予算委員会におきまして村上議員が聞いたことでありますが、半死半生のような状態に追い込むための場所に、おらぬ先生にまで出てこいと電報まで打っている、これが正当な職務命令と言えるのかと問いただしたことに対しまして、永井文部大臣は、この問題は、非常に重大な事態であるから文部省に当然責任がある、兵庫県教委にも責任がある、その事態について詳細に調査しなければならないということで進めているところであるとお答えになっています。この電報を打つようにしたのはだれでしょうか。そして、だれがどんな方法で電報を打ったのでしょうか。さらに、このリンチ現場におらない先生の氏名を、どのような方法で確認をしたのでしょうか、お尋ねします。

○安嶋政府委員 この電報を打つように指示をいたしましたのは校長でございまして、現実に電報を打ちましたのは事務長でございます。
 それから電報を打つ相手方の確認でございますが、校外から帰ってきた教師集団が入っております旧体育館に行きまして、その場にいた八鹿高校の教職員の氏名を承知したということでございます。
 なお、つけ加えますと、このときは、その暴力的な行為があったということは見ていないということでございます。それから農業科の職員室に行きまして、不在の教職員がだれであるかということを確かめた。それから校長が、校外に出ましてそのまま帰った教職員の氏名等を聞きまして、その情報をもって不在の教員を認定する補足の資料とした。そういった諸情報を集めまして、小田垣教頭と事務長の二人で、だれが不在であるかということを確認して、そして、そうした教職員に対して登校するようにという電報を発したということでございます。

○木下委員 ちょっと意味がよくわかりにくかったのですが、私が聞いているのは、糾弾が起きておるのは体育館、それから二階に会議室がありますが、そこで起きておるわけなんです。電報を打ったのは、つまり学校の中で糾弾を受けていない先生方、それを呼び出すために出てこいという電報を打っているわけです。だれがいないのかということは、その糾弾現場を見て回って、だれとだれがいないかということを確認しなければ電報を打てないわけですよ。そうでしょう。解同の人は先生の名前を一々知らぬですよ。ですから、校長なり教頭がこれを見て、だれとだれが糾弾を現に受けていないかということを確認して電報を打っているんですよ。そうでしょう。違いますか。

○安嶋政府委員 どの教員が登校していないかということは、お話のとおり、だれが登校しているかという事実を確認しなければ明らかにならないわけでございます。そして事務長並びに教頭が体育館に行きまして、そこにいる先生を確認をしたということでございます。それから農業科の職員室に行きまして、その室にいなかった教職員の確認をした。それから路上から何と申しますか帰宅をしたと申しますか、そうした職員があるわけでございますが、それは校長がいろいろな情報を聞いて判断をした。その他、小田垣教頭が事務長と相談をいたしまして、だれがいなかったかということを判断いたしまして、いなかった教職員に対して登校するように電報を打った、こういうことでございます。

○木下委員 教頭が糾弾現場を見て確認しておるということなら、現に糾弾を受けておる状況は見ておるじゃないですか。その殴っている現場そのものは見ていないと仮に言うとしても、少なくとも、その前後の状況を見ているわけでしょう、私がいま具体的に指摘をしましたように。教頭自身が私に語っているんです。そういうひどい状況というものを見ているんですよ。それを暴力がなかったと言えますか。暴力がまさにやられた、そういう状況を教頭は少なくとも見ておる、このことは明らかじゃありませんか。
 それから、いま言いました上田平雄が赤はち巻きを締めて校内を歩き回っていた、このことは報告に上がっていますか。

○安嶋政府委員 教頭が第二体育館の糾弾の場に行ったということは、ただいま申し上げたとおりでございますが、そのときは暴力的な行為は行われていなかったというふうに聞いております。
 なお、上田所長が赤はち巻きをして云々ということにつきましては、まだ確認をいたしておりません。

○木下委員 糾弾現場を見て回ったとき、たまたま暴行がなかったとしても、いま私が言いましたように、その前後の状況を見ておるとすれば、暴行がやられた後だ、あるいはやられそうだということはわかるでしょう。その点はどうですか。

○安嶋政府委員 その辺のところは、さらに詳細に聞いてみませんと、私がここで想像でお答えすることは適当ではないと思います。

○木下委員 そこらもよく調べてみなさいよ。
 もう一つ、八鹿高校差別教育糾弾共闘会議闘争本部というのがつくられていたわけでありますが、その共闘会議の闘争本部が、校長室の横の応接室に設置をされたことについて、文部大臣も、この点については、兵庫県教委から詳細な報告を受けなければならないと思っているというふうにお答えになっておられました。これは予算委員会のときであります。この闘争本部に使われておったことは、文部省はお認めになっているんでしょうね。

○安嶋政府委員 県教委の報告によりますと、十一月十九日に現地闘争本部を置くことについて、校長から県教委に対して意見を求めたということでございますが、県教委は、学校にそのようなものを置くことは適当でないということを校長に指示したということでございます。したがいまして、現地闘争本部が学校に設置されたということは、私ども報告を聞いておりません。
 ただ、二十一日から生徒がハンストに入ったわけでございますが、父兄の控え室ということで、校長室の隣に一室を設けることは許可をしたということでございます。

○木下委員 父兄の控え室、それは何の父兄の控え室ですか。そして、それは表示をしたのでしょうか。どの部屋でしょうか。

○安嶋政府委員 その部屋は、ハンストをしている生徒の父兄の控え室ということでございまして、校長室の隣の応接室が、これに充てられたということを聞いております。

○木下委員 表示は……。

○安嶋政府委員 表示につきましては確認をいたしておりません。

○木下委員 全くうそっぱちですよ。あなたは、そういう教育委員会のうそっぱちの報告を真に受けているのですか。これは私、きのう直接確かめたのです。現地闘争本部という表示がこの応接室にされているのです。あるいは言葉が少し違うかもわかりませんが、少なくとも、現地闘争本部に類する表現で表示はされておる。模造紙で横三十センチ縦一メートル、墨で書かれておる。これを生徒たちは目撃しているんですよ。私は直接、生徒からきのう電話で聞きました。教育委員会はそういううその報告をしているのですか。あなた方の調査のやり方に私は非常に問題があると思うのです。そういう調査では、これは幾らたっても真相は明らかになりませんよ。どうしてそういう調査をやられるのですか。
 七四年十二月十九日の衆議院予算委員会におきましても、村上議員が、文部大臣は現地を実際に調査をし、具体的な事実に即したあなたの一般論を適用する、そういう措置が必要ではないかと問いただしたことに対しまして、文部大臣は、それは全く調べるということは必要であると思っていますと答えております。また一月三十一日の予算委員会において不破議員が、朝来中学事件、八鹿高校事件に教育関係者が加担している問題について、文部大臣はいまだに何の報告も受けていないのか、何の調査もしていないのかとただしたことに対して、文部大臣は、県教委からは暴力に加担したという報告は受けていない、この問題に対して、県教委から来る報告を待って拱手傍観しているわけではないと答弁しておるのです。文部大臣は、現地を実際に調査したのでありましょうか、伺います。

○安嶋政府委員 文部省は、現地を直接調査をいたしておりません。御承知のとおり、八鹿高校は兵庫県立の学校でございます。したがいまして、兵庫県教育委員会の立場は、兵庫県下の教育行政を、何と申しますか監督する立場と同時に、八鹿高校の設置者という立場、二つの立場があるわけでございます。したがいまして、行政機関としての調査をするということになりますと、文部省としては兵庫県教育委員会に依頼をして調査をするということが、やはり行政全体の筋道であろうかと考えます。しかしながら、兵庫県教育委員会の報告が、すべて真実であるかということになりますと、これは異なった報告もあることでございますから問題の余地はあろうかと思います。しかし行政機関といたしましては、一応兵庫県教育委員会という行政庁の報告なり判断なりを尊重するということが、やはりたてまえであろうかと思います。
 しかしながら、先ほど来先生からいろいろ御指摘があるわけでございますが、そうした点につきましては、さらに兵庫県教育委員会との報告のずれにつきまして、今後調査を進めてまいりたいというふうに考えております。

○木下委員 文部大臣に伺いたいのです。いまの答弁では私は納得しかねます。
 この教育史上前例がないと言われる八鹿高校事件の実情を、文部省自身が直接調査をするべきではないかと私は思うのです。なぜこれをしないのか、しない理由を伺いたいのです。

○永井国務大臣 この事件は、非常に重要な事件でありまして、捜査も進んでおります。そして、それは非常に慎重に進められているということは申すまでもないことであります。そこで、一つ一つの事実というものを最終的には見きわめることが、捜査の立場からも必要でありましょうが、教育の方からも必要でございます。
 そこで、そういう状況の中で私たちはどうすべきかということについては、これはやはり初中局長がすでに御説明申し上げましたように、私は、監督行政、そして設置主体であるところの教育委員会というものの正式なルートを通しまして、そしてこれをでき得る限り調べるという態度で進んでまいりました。しかし、いま先生が御指摘になりましたように、その調査も不十分というような問題が発生いたします場合には、調査を繰り返していくという方法でいかなければならない、かように思っております。

○木下委員 結局この問題の調査は、県の教育委員会にやらせるのだということでありますが、これは地方教育行政法のどの条項によるんでしょうか。つまり私の方から申しますと、五十三条の二項によっておるのか、あるいは五十四条の二項によっておるのか。いかがでしょうか。

○安嶋政府委員 私どもは、一々条文の根拠を示して調査を行わせるということは行っておりませんが、御指摘の条文に即して申しますならば、八鹿高校に関しては、五十三条の第一項が適用される場合かと考えます。

○木下委員 いや、あなた方は五十三条一項に基づいて調査をやっていないんじゃないですか。だから私は、やっていないようなことを言われるから、わざわざ五十三条の二項か、あるいは五十四条の二項かということを言っているんですよ。五十三条の一項に基づいてやるべきだということはお認めになるわけでございますね、それなら結構なんですが。

○安嶋政府委員 認めます。

○木下委員 この五十三条一項に基づいてやっているということですか。二項じゃないんですか。

○安嶋政府委員 私どもは、適用の規定といたしましては五十三条一項であろうと思います。なぜかと申しますと、第二項は「都道府県委員会をして、市町村長又は市町村教育委員会が管理し、及び執行する教育に関する事務について、その特に指定する事項の調査を行わせることができる。」ということでございまして、たとえば先ほどの御質問について申し上げますならば、朝来町のケースにつきましては、この二項が適用されるかと思いますが、八鹿高校の場合は、先ほども申し上げましたように県立学校でございまして、県自体がその設置あるいは運営管理の責めを負っておるわけでございますから、直接的に五十三条一項を適用して調査をしておる、こう申していいかと思います。

○木下委員 そうしますと、この五十三条一項というのは、文部大臣が一定の事項について「必要があるときは、地方公共団体の長又は教育委員会が管理し、及び執行する教育に関する事務について、必要な調査を行うことができる。」という条項なんです。つまり文部大臣が必要な調査を行うということでしょう。あなた方は必要な調査を行っていないじゃないか。みんな県に調査をさせて、そして県のほうから報告を求めておるのじゃないですか。そういうことじゃないのですか。あなた方の話をいままでずっと聞いていると、調査は県にやらして、そしてあなた方は、その県から報告を求める、こういうルートをとっていますね。この五十三条一項に基づいてやるのなら、これは文部大臣が調査の主体として、県教委からも聞くでしょう、あるいはそのほかからも聞くでしょう。調査の主体は文部大臣としてやる、これが五十三条一項のたてまえですね。それをやっていないじゃありませんか。だから、私は聞いているんですよ。

○永井国務大臣 いまのことでございますが、私、調べてまいりましたが、どの条文のどの項が当てはまっているかということは知らないのです。ただ、どういうことをやってきているか、それからどういうやり方であるかというと、確かに県教委を通しまして調べるということは間違いありません。しからば文部省何も調べていないかというと、どういうやり方であるかというと、県教委が調べた報告をただいただいて、そうですかというのではない。そうではなくて、この間に何度も質問を発しまして、さらになおこういう点について理解したい、こういう点について一つの疑義があるから、はっきりしてほしいという姿で私たちも調査をいたしておりますから、これはただ、一つの報告書がくれば、それで調査は終わりという姿で進めているのではない。こういう形で今日まで調査は進んでいるし、そういうものであると私は考えております。

○木下委員 大臣にお伺いする前に、ちょっと法制局の方に見解を伺っておきたいと思うのです。
 文部大臣が調査をする場合、これは法制度的にどうなっているかという点を伺いたいのですが、五十三条一項によって文部大臣がみずから必要な調査ができるということがたてまえだと思うのです。二項というのは、その調査に関して都道府県委員会をして特に指定する事項の調査を行わせることができる、そういう仕組みになっておると思うのです。それからさらに、五十四条二項というのがあって、報告などの提出を求めることができる。したがって、法制的には、特にまず都道府県委員会に調査を行わしめるとか、ルートを都道府県教育委員会だけにしぼって調査をさせるということにはならないと思うのでありますが、いかがでしょうか。

○味村政府委員 地方教育行政の組織及び運営に関する法律の第五十三条の第一項の調査権、これは「第四十八条第一項、第五十一条及び前条」五十二条でございますが、この「規定による権限を行うため必要があるとき」に認められた調査権でございます。その調査の方法については、ここに特に規定がないわけでございますので、これは、もちろん相手方が任意に応ずるという前提であろうかと思いますが、必要と認められる限りは、どのような方法による調査もできるのではなかろうかと存じます。同条の第二項は、これはただいまの八鹿高校の事件には適用がない問題でございます。なぜかと申しますと、八鹿高校は県立でございますから二項は適用がございません。それから五十四条の二項でございますが、これは一般的に「教育行政機関は、的確な調査、統計その他の資料に基いて、その所掌する事務の適切かつ合理的な処理に努めなければならない。」という五十四条一項の規定を受けまして、このような合理的な処理のために「必要な調査、統計その他の資料又は報告の提出」を文部大臣が地方公共団体の教育委員会に求めることができるという規定であるかと存じます。したがいまして、五十三条二項のように限定された場合ではないというように考えます。

○木下委員 つまり、この五十三条一項というのは、文部大臣が調査の主体になって一定の要件のもとに調査をやるわけですが、その場合に、調査の対象なり方法というものは特別に限定がない、もちろん相手方の同意のもとにやるわけですが。したがって、県教育委員会だけからその事情を聞くというようなことは、法制的にそうなっていないということですね。

○味村政府委員 県教育委員会から報告を聞くということも、必要な調査の方法であろうかと存じますが、そのほかにも調査の方法は、法律の条文の上からは限定がないということでございます。

○木下委員 結構であります。
 文部大臣、これまで調査をするともう何回も言われながらもたもたして、私の質疑でも明らかになりましたように、非常に調査が進んでいないし、当然調査の結果判明されなければならない問題についてさえ判明していない。これは一体何が障害になっておるとお考えですか。簡単で結構です。なぜですか。明らかなことですよ。

○安嶋政府委員 私ども、直接的にいろいろな調査をする労をいとうわけでは全くございませんが、先ほど来申し上げておりますように、八鹿高校は県立学校でございます。しかも県教委の職員が現地に多数行っているというような事情もございますので、県教委から事情を聞くことが最も適切であるというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、先ほど来御指摘のようないろいろな問題がございます。ございますので、現地について調査をするということも考えてみたわけでございますが、現地に参りましていろいろな調査をやり、そして、そこでいろいろ異なった事実が上がってまいりました場合に、やはり強制的な捜査権を持たない文部省といたしましては、そのいずれが真実であるかということを確定する能力にはなはだ乏しいわけでございます。
 したがいまして、県教委の報告を基本にして私ども状況を把握しているということでございますが、しかし別にいろいろな方面からも、いや事実はそうじゃなくてこうだというようなお話も伺っておりますので、そうしたことにつきましては、さらに県教委にただすような措置もとっておるわけでございます。また国会等でも御質問がございますれば、県教委の報告と違う事実につきましては、さらにその説明を求めるというようなこともいたしておるわけでございます。
 繰り返しになりますが、決して現地調査を文部省がいやがっておるというようなことではないわけでございまして、調査をいたしましても、果たしてこれが事実であるかということを確定する能力が文部省自体にあるかないか、そこら辺のところは、やはり文部省の調査についての限界であろうかというふうに考えておる次第でございます。

○木下委員 私の質問にだけ答えてほしいのです。どうも先回りして答えられるからこんがらがるのですが、なぜその調査がおくれているか、その理由をどうお考えになるかを私は大臣に聞いているのです。一言でいいんですよ。一言で言えば、これはどういうことですか。県教委に調査をさせておるからではないのですか。そうお考えになりませんか。

○永井国務大臣 県教委に調査をさせているということよりも、この事件というものは非常に重大な事件である、そして一つの事実というものについての人々の観察、それから報告というふうなものについで、かなり多角的になり得る要素があるということが基本にあるように私は考えております。

○木下委員 これは県教育委員会が、このリンチ事件に加担しているということが言われておるわけです。たまたまこれは、県教育委員会所属の職員が、個人として八鹿高校に行って事件に関係しておるという問題でないことは明らかなんです。これは県教委の職務活動として八鹿高校に行って、そしてリンチ事件に一定の役割りを果たしておる。これでは県教委がまともな報告ができるはずがないと私は思うのです、どう考えても。いや、それは実際に加損したかどうかわからぬじゃないかと言われるかもわかりません。それは調べてみないとわかりません。しかしこれは、少なくとも社会的にも加損した疑いが多分に出ておる。だから、もうすでに警察は取り調べをやっているのじゃありませんか。そうでしょう。刑事的にもすでに県教委の職員が被疑者として取り調べをされておる。これは、いま言うように個人としてやったことではないのでありまして、県教委の職務活動の一環としてやったことが犯罪事実として、被疑事件として調べられておるということなんですよ。だから、これはもう社会的、実質的には、はっきり言えば県教委自身が被疑者なんですよ。それを、その被疑者に対して調査をさせる。
 私は実は、これまであなた方の調査のやり方を見ておりまして、調査の主体は県教委であって、あなた方はただ県教委が調査したものを報告だけ聞いておるというふうに受け取っておったのです。だから、さっきのような条文のことをお尋ねしたのでありますが、私がそう思わざるを得ないほど、あなた方の調査というものは調査ではなかったわけなんです。そうでしょう。調査という以上は、県教委からも聞く、ほかからも聞く。いま、いろいろ理由を言われましたけれども、調査というものは、できる範囲で、そんなにしぼるのでなくて、一本化するのでなくてやるというのが調査なんです。そういうやり方をやらずに、社会的には被疑者の役割りを果たしたその県教委だけから聞くということでは、真相は明らかにならない。それがもたもたしておる原因なんですよ。これは、だれが見てもそうなんですよ。だから、私は質問をしておるわけであります。
 さっきも私は、いろいろ具体的な事実を出しましたけれども、暴力があったことを校長が認める書面を県教委の職員が取ってしまって、いろいろ言葉でごまかして持っていったんですけれども、それが出てこない。これはどういうことですか。そういう証拠隠滅が行われておるのに、県教委の方にやらせるのだ、これを信用するのだ、こういう態度では幾らたっても明らかになりません。だから、私は問題を出しておるわけであります。
 ひとつ文部省自身が調査に乗り出していただきたいと思うのです。これは、さっきも法制局の見解がありましたけれども、法的にはなし得ることなんです。むしろ権限としては、文部省が主体となっていろいろ調査をやるということがたてまえなんでありますから、それにのっとってやっていただきたい。本事案のような場合には、むしろそういう調査こそが本当の調査なんだ。被疑者だけに窓口をしぼって聞くようなそんなことではだめであります。ひとつ県教委からも事情を聞いていただく、これは結構でありましょう。同時に、校長や教頭からも聞いていただきたい。それから先生方からも聞いていただきたい。あるいは場合によっては生徒からも聞いていただきたいと思うのです。そんなにいろいろ意見が分かれるなんという問題と違いますよ。認識の問題なんです。具体的にどういうことがあったか、事実の問題なんです。刑事事件は刑事事件として調べられるのであって、何も私はそういうことを要求しておるわけではございません。そうではなくて、文部省として、これだけ教育上ゆゆしき問題を放置はできないはずだ。教育上の問題としてこの真相を解明する、これは当然の責任であります。そのことを要求しておるのです。大臣、いかがですか。

○永井国務大臣 ただいまの調査の方法について、私たちは、今日まで県教委の話をただ聞くというのではなくて、繰り返し聞き直すという方法もとって進めてきたわけです。しかし、いま先生も御指摘のありましたように、さらに問題があるではないか、そこで、この方法をどういうふうに進めていったらいいかということは、十分に検討しなければならないことだと思います。しかし他方、政府委員の初中局長が申し上げましたように、さらに調査をして一、文部省としてその調査というものが調査として非常に万全であるためには、よほど方法というものについて十分な検討を行わなければいけないと思います。
 したがいまして、そういう点につきまして文部省、それからまた行政の構造といたしまして県教委に、これが監督、設置の責任があると同時に、またその主体であるということも十分尊重しなければいけないことと思います。そこで県教委の見解というものも十分に聞き、さらに調査の方法を考えたい、こういうふうに思っております。

○木下委員 県教委からも聞かれる、同時に、さらにこれにしぼるのではなくて、調査の範囲をもっと広げることを考えていくというふうに受け取っていいわけですね。

○安嶋政府委員 従来は、県教育の事務局から説明を求めておったわけでございますが、さらに校長、教頭等からも事情を聴取せよというお話でございますが、たびたび申し上げておりますように、八鹿高校は県立学校でございます。八鹿高校の職員は県の職員でございます。したがいまして、県立学校について、あるいは県の職員について、教育委員会というものを抜いて文部省が直接事情を聴取するということにつきましては、これは、やはり設置者であり、監督者であるところの兵庫県教育委員会と十分打ち合わせた後でなければ、直ちには行えないことではないかと思いますが、いずれにせよ、県教委と十分相談をいたしてみたいと思います。

○木下委員 いま言われた校長、教頭あるいは先生方ということになると、少なくとも身分は県の任命でありましょうけれども、これは決して外部の第三者から事情をいろいろ聞くということではないわけでありますから、少なくとも八鹿高校の内部で起こったこの重大な問題について、文部省として調査をするという以上は、直接関係をされたこうした先生方なりあるいは校長、教頭から事情を聞くというのは私は当然だと思うのです。
 この点は、いま大臣も言われましたので、ぜひひとつ早急に実現をしていただきたい。よろしょうございますか。

○永井国務大臣 ただいま政府委員からも申し上げました方向で努力していくつもりでございます。

○木下委員 もう最後でございますので終わりたいと思いますが、南但馬一帯では、解同朝田派の問題は、いろいろ問題を惹起したわけでありますが、幾らか改善が見られてきております。けれども、依然として異常事態というのは根強く残っておるのです。この地方の住民は、まだまだ自由に物が言えない。子供を安心して学校に任せられないという不安が残っております。先般、あの八鹿町で町長選挙があって、とうとう共産党と民主団体が推す町長が誕生をしたということでございますが、そういうことがありましたけれども、やはりまだまだ暗い面がこの但馬、特に南但馬一帯に残っております。
 私も最近、但馬の方に行って聞いたのでありますが、中には、もう子供の教育のために住まいを阪神間の方にかえなければいかぬ、こういう深刻な声まで事実起こっているんですよ。
 この点について、三原前文部大臣は、四十九年十一月二十五日の衆議院の文教委員会で山原委員の質問に対しまして、南但馬で起こっている事態というのは異常である、県教委なり町村の教委が責任を持って緊急に処置されねばならない、そして文部省として指導、助言の責任を持つ、特に進学の問題も控えており、父兄の立場に立って早急に解決していく、こういうふうに答弁をされております。緊急な問題として早急にやるということを、何回も繰り返して言っておられるのです。ところが、いまだに解決をしておりません。事態の早期解決が望まれます。
 私は、この段階でいまだに調査さえ十分にやられていないということでは困ると思います。調査の進め方を改めていただくという答弁の方向でありますので、これは、ぜひひとつ実現していただきたいと思います。そしてこの調査というのは、いろいろな行政を進めていく前提として調査をするわけでありますが、それは、これまでやってこられた指導、助言という形態があります。さらに場合によっては、地方教育行政法の規定がございます。違反の是正または改善のための必要な措置を講ずることもあり得るという立場で、ひとつ英断をもって進めていただきたい。特にこのことを要望しておきたいのでありますが、大臣、いかがですか。

○永井国務大臣 調査の上でどうするかという問題について、いまから申し上げられないことは申すまでもないことでございます。そこで、さしあたって進めなければならないことは調査でございます。これに今後一層努めていくということが、現段階の私たちの考えであります。

○木下委員 質問を終わります。

※→八鹿高校事件関連国会質問一覧 1974/11/22〜1975/03/31