74-衆-地方行政委員会-4号 昭和49年12月24日

○林(百)委員 
・・・・・・ (略) ・・・・・・  次のは、もう簡単にいたしますが、実はこれは自治大臣、刑事問題として、国家公安委員長として関与されていますが、但馬の問題で二つだけ聞いておきます。
 実は、自治体がこの暴力事犯に予算を非常に流出しているわけです。これは私がかつて資料を持って福田さんのところに行きました。たとえば、八鹿町の同和対策予算の計上見込み、十二月議会の補正を見ましても、ゼッケン、はち巻き、腕章五十二万とか、それからワイヤレスマイク二十五万とか、青年部のユニホームが三十五万とか、マイクロバスが三百四十六万とか、あるいは支部活動費が二百七十五万とか、こういう予算が組まれているわけなんですね。それからさらに但馬の十町に対して、山田某なる人の糾弾闘争分担金というのが四千五百八十三万円も割り当てになってきているわけですよ。
 同和問題を取り扱う一党一派の、しかも暴力犯としていま警察の捜査の対象になっている、こういうところへ自治体が予算をストレートで、しかもその闘争のために予算を流す、こういうようなことは、これは正すべきである。自治大臣としても、地方行政の執行について、正しく執行されるかどうかについては監視権もありますし、また勧告権もあるわけなんですから、こういうことは私は正すべきであると思う。同和というような問題は、三木総理も言っているように、非常に深刻な問題でありますし、不幸にして差別の取り扱いを受けている人には公平に行政的な恩恵がいくようにしなければならないのに、一党一派だけに、しかも暴力の費用まで分担している、それを自治体が率先して負担をしているというようなことは、これはやはり自治省としても適切な行政の勧告をすべきものである、こういうように考えますが、どうでしょう。

○福田(一)国務大臣 この同和問題で、同和関係の部落の間にいろいろの対立が生じておるところもあり、生じておらないところもございます。いろいろそれは種類がございますが、どちらの側がどうされたにいたしましても、一応自治体というものが国から同和予算を預ってそれを使うというような場合においても、相なるべくは一党一派に偏するようなことがないようにしてもらいたいというのがわれわれとしての希望でございます。
 いままでは、そういうようなことも若干あったように聞いておりますが、私もまだ監査したわけじゃないからわかりませんけれども、しかしこれからはそういうふうにしてもらいたい。たとえばいま暴力を使ってないほうの団体が今度は逆にそういうことをされるということも考えられないわけではないので、要するに私が非常に残念に思っていることは、大体何とかして差をなくしよう、いわゆる部落というような問題が解消するようにという差別の解消を願っている立場で考えてみますと、私の言うのはどちらの場合でも、その予算を使うときに自治体が姿の違ったというか、正しい運営のしかたでなく使われておるとすれば、これは改めていただきたいというのが私の態度でございます。

○林(百)委員 局長、どうですか。局長のところに私は幾度か実情を言って、地方自治体の自主性を守るために、さっき大臣も言っているように一党一派に偏した同和行政が行なわれるということは好ましくないのだ、要するに差別という不幸な立場にある人たちに平等に、どういう立場の人であろうと自治体の同和行政というものは公正に民主的に行なわれるべきであるということをしばしばあなたのところに行き、そして実情もあなたに訴え、あなたもわかってもらえたと思いますが、大体どうですか、あなたの考えは。直接監督の地方行政に対して、監督というかいろいろと助言をしておる立場の行政局長の態度を聞いておきたい。

○林政府委員 ただいま大臣が申し上げたと同じ趣旨のことでございますが、われわれの願いは、およそ関係の方が一致協力してこの行政の推進に当たっていただきたいと思います。現在そこの間に争いのあるということはどうも周知の事実のようでございますけれども、できるだけそういう争いをなくして一致協力して同和行政の推進につとめていただきたい、こう思っておるわけでございますので、自治体はそれぞれ御自身の自主的判断でいろいろな同和行政の進め方をやっていらっしゃると思いますけれども、われわれも県を通じ、よく同和行政の目的が達しますよう、今後とも助言もしてまいりたいと考えております。

○林(百)委員 警備局長にお尋ねしますが、いま警察のほうも一応捜査に入りまして、十一名逮捕して鋭意十一月二十二日の八鹿高校に起きた事案について捜査をされているようですが、いまの逮捕されている人たちを見ますと、何かどこかの行動隊長とかどこかの支部長とか、非常に末端のところであって、その上にそういうことを指揮していたようないろいろの連合組織の責任者とか、あるいはそこに出入りしていた教育関係者とか自治体の責任者とかいう人が、不幸にしてこの問題に積極的に関与しているわけですね、その動機がどういうことであったかはわかりませんが。こういうところまでやはり捜査を鋭意進めていって、そして再びああいう事態が起こらないように、そしてあの但馬地域で自由にものが言え、そして大事な子供、ことに受験期を控えた高等学校の教育が、先生方の良心に従った教育ができるように治安の確保を警察としてはしなければならないと思いますが、いまの範囲ではそれが保障されないと思うのです。その後またいろいろぼつぼつと起きています。だからこれはやはりそういう暴力というようなことに対しては徹底的に捜査をして、その立場がどういう立場の人であろうと警察としては厳正な措置をとるということが重要だと思いますが、このことについてはどうお考えになりますか。

○山本(鎮)政府委員 但馬一帯に起きたこういう暴力事案、これについては現在八鹿高校事件ということで特別捜査本部で捜査しておりますが、いまお話にあったように、現在逮捕されております十一名に限ったわけではございません。その背後関係あるいはその取り調べからいろいろな関係が出てくる可能性もございます。そういう面についても徹底した捜査を進めて厳正な結論を得たい、このように考えて捜査をしている、こういう報告を聞いております。

○林(百)委員 それじゃもう一つ、十月二十日に橋本という教授が約一週間にわたって、これは朝来町の中学の教師ですが、不法監禁されまして、告訴もされまして、私もこの地方行政委員会で質問をいたしました。当然これも捜査の対象として進められていかなければならない、これから端を発してだんだんエスカレートをしていりたわけですから。それは捜査当局としてはお考えになっているわけですか。

○山本(鎮)政府委員 当然この事件も含めて現在捜査をしております。

○林(百)委員 厳正な捜査を行なって地域の住民の期待に警察当局がこたえて、再びああいう不幸な事態があの地域で起きないような措置をやっていただきたい、こういうように思うわけです。警察関係はそれではけっこうです。
 ・・・・・・ (略) ・・・・・・
※→八鹿高校事件関連国会質問一覧 1974/11/22〜1975/03/31