73-衆-逓信委員会-3号 昭和49年11月28日

○平田委員 じゃ、いますぐ問い合わせますね。それがあなた出てこなければ、私が話すのもたいへんぐあいが悪いのだ。
 そこで、この部落解放同盟、これは朝田という人が委員長のはずです。そして部落解放運動を進めている多くの人々の間では、あなた方が言っている部落解放同盟というのを朝田一派というふうに言っているのです。一つの集団です。部落解放同盟全体を総称していないという立場に立っているのですよ。それであなた方がここで指導を受けると言っているこの勢力がどんなことをしているか。どういう勢力か。最近の新しい事例を――これはどうしても検討してもらわなければならぬ問題ですから、紹介しておきます。

 きのう神戸で「公正、民主的同和行政の推進、地方自治、教育と人権を守る兵庫県共闘会議」というのが声明を発表しているのです。その中身をお伝えしておきたいと思います。問題はテレビでも新聞でも報道されました兵庫県の八鹿町、八鹿高校事件といわれるものです。こう言っております。

 「この事件のまえ、「解同」丸尾一派らは教職員にたいする暴力的“糾弾”を目的とした「八鹿高校差別教育糾弾闘争共闘会議」なるものをつくったが、その本部は八鹿高校内の応接室におかれた。この応接室には、丸尾らのほか、校長、教頭、同校育友会会長、副会長、県教育委員会同対室参事の畑中、同係長の前田らが連日たむろしていた。こうした状況のもとで、二十日ごろには、丸尾一派が「解放車」をしばしば校内に入れ、マイクで宣伝。十九日には学校内で工事し投光器をとりつけ、校舎内をわがもの顔に歩きまわる状態になった。二十二日、身体の危険に直面した六十一人の教師は、生徒と教師の身体、生命の安全をまもるため下校することにきめ、年休届をだすこととして、その旨を生徒に伝えると、教頭はこれを放送で妨害。下校をはじめると、丸尾が数百人の集団の先頭にたって阻止し、襲撃を指揮した。この間、県教育委員会の畑中が、これを玄関前で見守り、校外に出るなと先生たちを制止している。襲撃現場には警官が当初三人おり、公道上でリンチがはじまると、一台のパトカーと六人の警官が出たが、まったくこれを放置していた。丸尾一派は、教師の顔、手、腕、背中などをなぐりつけ、両手足をとってトラック、「解放車」に投げこむなどして、人によっては両手足をもたれ、ぶらさげられたまま正門まではこばれた。そのさい、教師は、警官の足につかまったり、剣帯につかまるなどしているが、警官は足をはらうなどし、丸尾らの暴行を放置していた。警官のなかには路上で傷をうけた教師一人を病院へはこび、病院で多数の被害、教師の名前を確認しているものもある。警察は、事態を完全に諒知していた。この間、約一時間、生徒と町民の目の前でこの事件がおきたもので、多くの目撃者がおり、警察にたいし丸尾一派を逮捕せよと要求する町民さえあった。教師たちは旧体育館につれこまれ、そこでいったん、なぐる、ける、水をかけるなどの徹底的なリンチをうけたあと、バラバラに二階会議室、「解放研」部室(これは教職員会議で反対されているのに、校長が部屋をあたえることを許可した)などにつれこまれ、さらにリンチをくわえられた。重体者のなかには、休養室、応接室などにいれられたものもある。このリンチのなかで多くの教師が県教育委員会の前田や校長やはちまきをしめてあるきまわっている但馬教育事務所長上田平雄を確認している。水をぶっかけられてずぶぬれになった教師は、下着を着がえさせられた。なかには、放置すれば死にかけたため、強心剤をうたれたり、全身マッサージをうけたものもいる。注射をしたり、マッサージをしたりしたのは、それまで待機していた町職員の保健婦である。いかに計画的であったかは明白である。暴行は異常をきわめ、一度、強心剤をうった教師に暴行を加えたり、水をかけられて、ずぶぬれになった男女の教師をむりやり裸にしたり、気絶した人の顔面にたばこの火をいく度もおしつけるなど、戦前の特高の拷問を思わせるものであった。これらの戦りつすべき暴行のなかで重傷をおい、気絶し生命に危険が生じたため病院にはこばざるをえなくなった教師は、現在、はっきりしているだけで七人はいる。こうした蛮行が十二時間以上もつづけられたうえ、それまでに病院にはこばれなかった教師は、最後に新体育館にならばされ、「解同」県連幹部山口、丸尾らが一人ひとりの教師の名をなのらせ、「自己批判書」は自分の意思で書いたことを確認させ、さらに「解放研」の生徒に先生の前で行進させるなどの「儀式」をおこない、勝利宣言なるものをおこなった。かれらは、そのまま重傷者を放置し、証拠いん滅をはかり、丸尾が「いまから機動隊がはいるから、機動隊には手をだすな」と告げて体育館を引き揚げた。残された教師たちは、職員に車をたのんでもらい病院にいくなどの状態であった。この教師たちにたいし、職員室にいた校長は「ご苦労さん、おくるまを用意してあります」とのべ、自分が丸尾一派と協力してリンチを遂行したことを放言したのである。

 以上の新事実はつぎのことを物語っている。
 (1) この血の集団リンチはたんに丸尾一派だけでなく、県教育委員会関係者、校長、育友会一部役員らがぐるになっておこなった計画的な犯行であることは明白であり警察はこれに協力している。県教育委員会関係者や校長、育友会役員が学内での暴力事件があったこと自体をみとめず、朝の路上での暴力事件をただのもみあいであったかのようにいいつくろっているが、これは、かれら自身の共犯者としての犯行をもみけすためのいいのがれにすぎない。また、校長、教頭、教育委員会関係者、育友会役員は、校内でのせい惨をきわめたリンチの現場を目撃しており、あきらかに生命に危険が生じているものにたいして、みずから救急車をよんでいる。しかるに警察当局の言によれば「正常な話しあいだから学内にはいってくれるな」と、警察が学内にはいることをこばんだという。まったくの丸尾一派との共謀によるリンチ事件であることは明白である。

 (2)警察は、当然やらなければならない現行犯逮捕、被害者救出、犯行現場確認、犯人逃亡放置などの責任をまぬがれようとしている。警察が当初、路上で重傷者がでていることを諒知していたのは、警察官が立ちあっていたことでも明らかである。むりやりけがをした教師がら致されていくのも、現場にいて諒知している。さらに、警察は八鹿病院にいき、重傷者の名前の確認をしながら、危険があるか、ないかわからぬ、として校内にはいり、教師たちを救出することなく、リンチを野ばなししてきた。教師たちは、警察によって救出されてはいない。丸尾一派がリンチを終わり、教師が病院に向かったのち、はじめて校内にはいったのであり、まだ校内にいた丸尾一派をまったく放置したのであり、警察の責任はあまりにも明白である。
 われわれは以上の重大な事実を国民のまえにあきらかにするとともに、法治国日本において絶対に許しがたい今回のファッショ的残虐行為を断固糾弾し、犯人の即時逮捕を要求してひきつづきたたかうものである。」こういうふうに声明を出しております。
 私が全文読み上げましたのは、とにかくこんな事態が日本で起こっているのだ、しかも教育史上初めてといわれるような重大事件が起こっている。これを起こしたのはだれなのかということなんですね。これはあなた、ここで言っている解放同盟、あなた方が指導を受けると言っている解放同盟の連中なんです。だから私は全文読み上げている。きょうは警察庁からも来てもらっていますから、まず最初に警察庁にお伺いしましょう。こういうふうに歴然としている事実に対して、警察庁は犯人を何人逮捕したのか。もし逮捕してないとすれば、いつ逮捕するのか明らかにしてもらいたい。

○佐々説明員 お答えいたします。
 警察庁といたしましては、十一月二十二日、八鹿町におきまする県立八鹿高校において発生をいたしました集団暴行事件につきまして、現在、兵庫県警におきまして捜査を続行しておる状況でありますが、現時点まで逮捕者はまだ出ておりませんが、五十三名の捜査体制をもちまして鋭意真相究明のための捜査を続けております。また、警察庁の基本的な姿勢でございますが、違法行為は看過しないという基本的な姿勢をもって本件の真相を究明し、可及的すみやかに強制捜査を含む捜査的な措置を本件についてとるべく、現在鋭意努力をいたしております。

○平田委員 鋭意努力もいいけれども、こういう事態でしょう。目の前でリンチを受けている。重傷を負わされている。それが見過ごされている警察なんです。それであなた、鋭意努力をする。この間も山原議員が質問したのに対してそう言っている。だけれども、まだあなた、逮捕者をきちっときめていない。ずいぶんのんびりした話だと思うのですよ。とにかくあなたが言ったように、すみやかに急速に対処することを要求します。
 で、ここに書いてある解放同盟の委員長、わかりましたか。

○中林説明員 お答えいたします。
 解放同盟の中央委員長が朝田善之助というふうに報告を受けております。

○平田委員 先ほどもちょっと触れましたように、いま報告された朝田善之助というのが委員長だそうだけれども、さっきも言ったように、部落解放運動に携わる人々の間では朝田一派といわれている集団、利権と暴力の集団といわれている。この問題、もう一度あとで聞きますけれども……。そこで、この兵庫県委員長をやっているのが、この朝田一派のもとで兵庫県の解放同盟の一部を握っている勢力、小西弥一郎。これは解放新報社発行の冊子の中でこう書いているんですね。「解放運動とともに」という冊子の中で、「日本共産党の国会議員は、「この法律は毒まんじゅうだから反対だ」と評価したことは間違いのない事実である。」こう言っている。それでずうっと反共論文を書いているでしょう。共産党が何でこの法律を、というふうに言っているかというと、同和対策でしょう。共産党は一体国会で同対法に対して毒まんじゅうだと一ぺんでも言ったことがあるか。これをひとつ明らかにしてもらいたい。こういうことが、あなた方、正しいと考えているのか。またこういう状態、「差別者集団共産党宮本一派各地で暴挙」。何をやった。これを大見出しですよ。こういうものを正しいと思っているの。電電公社、代表してどなたか答えてください。これを正しいと思っているのかどうか。それから総理府からもひとつ答えてもらいたい。

○山本(正)説明員 ただいまの御指摘に関しましてお答え申し上げます。
 御指摘の解放新報は、私のほうの三田の局におきまして同和問題が発生をいたしまして、その問題の収拾あるいは一般職員へ同和問題の認識をさらに浸透さすために、兵庫県あるいは三田市等の行政機関とも十分御相談の上、そういった趣旨に適したテキストとして三田の局に配付いたしたものであります。この新報の中には同和問題の歴史だとかあるいは法律等の解説等もありまして、テキストとして関係行政官庁から推薦を受けたものでございます。

○平田委員 よそを向いた答弁しなさんなよ。私の聞いたことに答えてください。いま読み上げたようなことをあなた方正しいと考えているのか、と聞いているんですよ。

○山本(正)説明員 そのパンフレットの中身に関しまして私どもとやかく批判する立場にはございませんが、同和行政に関する責任ある中央行政機関からの推薦に基づいて配付したものでございまして、電電公社といたしましては、これがその趣旨、目的を達成するために適切な手段であった、というふうに理解をいたしておるわけであります。

○平田委員 理解をする上で適切であったというのは、この内容を含んでいるじゃないか。わが党が同対法のときに毒まんじゅうだと言って反対したことがあるんだったら、ちゃんと言いなさい。あなたは正しいと言っている、適切だと言っている。そういうことが適切であるかどうか、はっきり言いなさいよ。

○山本(正)説明員 先ほども申し上げましたように、繰り返すことになりますが、中身に関しましては私どもノータッチでございまして、関係行政機関から推薦されたものを配付いたしたわけであります。

○平田委員 あなた、中身ノータッチだって。ばかな話ないでしょう。こう書いてあるでしょう。「同和問題を正しく理解し認識を深めていくための学習資料の一つとして本書を配付いたしますのでみなさんとともに学習に励みましょう。昭和四十九年九月三田電報電話局長」。
 まだ中身に責任負わないの、あなたは。答えなさいよ、ちゃんと。推薦しているんだよ、中身を。答えてくださいよ。

○山本(正)説明員 そのパンフレットは、公社が独自に選定したものではないのでありまして、兵庫県の行政官庁の推薦を受けて配布したものであります。

○平田委員 いかにも自主性がないじゃないか。こんなでたらめなことを国会で答弁していていいんですか。人がこれはどうですかといったから、はいよといって配る。そんな無批判にやるのですか、あなた方は。しかも、三田電報電話局長のちゃんと署名入りで推薦しているのですよ。よそが推薦したから配ったのでございます――子供みたいなことを言いなさんな。子供だってもう少し気のきいたことを言いますよ。わからないのですか。見せてやりましょう。――きちんと答えてもらいましょう。名前を書いてあるのですから。推薦しますといっている。中身を推薦しているんだ。だから、あなた方はこういう中身を正しいと考えるのかどうか。答えてください。

○山本(正)説明員 何回も御説明いたしますように、同和問題に関しまして、電電公社よりもさらに専門的な指導能力を持っておられる行政当局の推薦によったものでありまして、公社としては、この問題処理のためにとり得る適切な手段であったというふうに考えております。

○平田委員 市が推薦したら、日本共産党が国会で同対法に毒まんじゅうだといって反対したということが書いてあっても、あなた方は一向にかかわり合いないと言うのですか。こんな話じゃ世の中通りませんよ。
 自治省、こういうものを地方自治体が推薦しているわけだけれども、共産党は同対法に対してそういう態度をとったというふうに考えますか。自治省、答えてください。

○竹村説明員 その経緯につきましては私も存じませんけれども、やはり同和関係の研修なり資料関係等につきましては、同和対策の特別措置法なり、あるいは同対審の答申に沿って、それぞれ地域の実情に応じてやっているところではないかというふうに考えております。

○平田委員 地域の実情を聞いているんじゃないんだよ。いまの中身を、あなた方は正しいと考えるか、事実だと思うのかということなんだ。事実関係を聞いているんだよ。国会でちゃんと論議して、同対法に対しては日本共産党が毒まんじゅうだといって反対したという事実はあるのか、ということを聞いているんだよ。自治省、もう一ぺん答えてください。

○竹村説明員 その事実につきましては、私は承知いたしておりません。やはり、この同和関係の行政につきましては、その辺総理府のほうが一応総括的な仕事をやっておりますので、総理府のほうから御答弁いただきたいというふうに思います。

○平田委員 じゃ、総理府から答えてください。

○山縣説明員 先生御承知のとおり、政府におきましては、四十四年に制定されました同和対策事業特別措置法と同和対策長期計画、これに基づきまして事業をやっているわけでございまして、総理府は関係各省の事業の総合調整機関でございますので、いまの点につきましてはお答えいたしかねると申しますか、差し控えたいというふうに考えております。

○平田委員 じゃ、総理府にこれを読んでもらいましょう。――この赤線を引っぱった部分を読んでもらいましょう。同対審だ。

○山縣説明員 それでは読み上げたいと思います。同和対策審議会の答申でございますが、「なお、同和教育を進めるに当っては、「教育の中立性」が守らるべきことはいうまでもない。同和教育と政治運動や社会運動の関係を明確に区別し、それらの運動そのものも教育であるといったような考え方はさけられなければならない。」。かように書かれております。

○平田委員 いま総理府のほうで読み上げたとおりだ、同対審が教育という問題について考えているのは。しかもこれも教育内容なんだ。だからこの中身が正しいのかどうかというふうに聞いているんだよ。いつまでたってもあなたは答えないんじゃだめですよ。逃げないで答えなさいよ。推薦している以上、中身を推薦したんだろう。どうなんです、答えてください。

○山本(正)説明員 先ほど来申し上げておりますような経緯に基づきまして同和問題の研修テキストとしてそのパンフレット、むろん中身も含まれるわけでありますが、そのパンフレットを行政官庁の推薦に基づいて配布したものでありまして、私どもがその中身についてとかくの批判を下すべきものではないと思います。

○平田委員 それじゃ聞くけれども、日本共産党が同対法を毒まんじゅうだといって反対したという事実はあるのかないのか。これははっきりさせておいてもらいたい。――どこです、総理府ですか。

○山縣説明員 そういう事実がございましたか、あるいは全くございませんか、そこら辺の関係は私残念ながら承知してないところでございます。

○平田委員 日本共産党は、不十分ではあるけれども、ということで賛成しているんですよ。それを、毒まんじゅうだといって反対したといって、全くのでたらめを書いている。こういうものを電電公社の職員に教材として与えているんだよ。だから事は重大なんですよ。地方自治体が推薦したんだから私のほうには責任がありませんというばかな話はないんですよ。これは米澤総裁、もう一ペんひとつ総裁の立場から、いまの論議を聞いて、こんなばかなことを電電公社はするのかと思うのだけれども、答えてください。

○米澤説明員 お答えいたします。
 いろいろお話を伺っておりまして、今後とも行政当局の指導を受けまして、慎重に対処いたしたいと思います。

○平田委員 いま言ったようなでたらめを並べ立てている部落解放同盟の朝田一派、この朝田一派の中から電電公社の研修の講師が当てられることになっているのです。近畿通信局の職員研修計画表によりますと、講師の六名中五名が、先ほど申し上げたようなリンチ事件を組織してくるような連中の中から当てられているのですよ。講義時間十八時間中十五時間が、この朝田一派を講師としているのです。なぜこんなことがきめられたか。これ、ひとつはっきり聞かせてもらいたい。

○中林説明員 研修の講師につきましては、いろいろ専門的な問題でもございますので、行政当局、地方行政当局といろいろ相談をいたしまして、行政当局の方あるいは行政当局の推薦された解放同盟の方というものを講師にいたしておるわけでございます。

○平田委員 全く、電電公社、自主性がないのですな。みずからが責任を負うという態度がないのですよ。行政当局、行政当局と言って、市が推薦したのだから何でもいいのだという立場に立って事に処している。だから私は、指導という問題について非常に重大な関心を払ったわけですよ。  すでに実施された七百四十名の採用担当管理研修で、会場費、講師の謝礼だけで三十万円かかっています。近畿の全管理者四千二百五十名、職員四万六千名の研修を完了する費用は百万円くらいに押えたい、というふうに近畿の通信局では言っております。しかし、実際にどのくらい費用がかかるのかというのは、これは大問題ですね。全職員約五万人でしょう。十八時間の研修を実施しますと、時間給にして幾らくらいになるか、お答え願いたい。

○山本(正)説明員 ただいま御指摘の研修の件でありますが、とりあえず、通信局の部長あるいは現場機関長それから採用担当者等の管理者に対する研修を実施いたしたわけでありますが、一般職員に対する研修につきましては、さらに具体的な計画をこれから立てなければなりませんので、そういったものを待って経費の算定をいたすことになると思いますけれども、それぞれ段階別にいろいろ研修のやり方等も異なってまいりますので、総体として近畿通信局の言っておる百万円程度の経費でおさまるのではなかろうかと思いますが、もう少し具体的な計画がはっきりいたしませんと、明確なことはちょっとお答えいたしかねるわけでございます。

○平田委員 単純な質問をしているのですよ。約五万人で十八時間の研修を実施すると、時間給にして総額幾らかかるのだと聞いているのですよ。約六億円でございますというのがあなた方の返事なんだよ。六億円だよ。公社は赤字でございますと言っているけれども、これだけに六億円かけるのだ。しかも朝田一派、あの利権と暴力の集団と言われている朝田一派を講師にして六億円かけるのですよ。とぼけちゃだめですよ。実施計画が具体化しておりませんからと言ったって、この通達によれば全部だ。こういうあなた方の不誠実な態度が問題を引き起こすのですよ。聞いてみると講師との打ち合わせもしてない。中身はまかせきり。これが実態ですよ。何しゃべっているかわからない。しかも、兵庫での研修会の講師は、日本共産党を誹謗中傷しているいまの解放新報の編集長の久保重蔵と編集次長の北川文彦、これに講義をさせている。実質的には朝田一派の指導でばく大な費用と時間を費やして行なわれる偏向研修ですよ。不偏不党の立場を守らなければならない電電公社の立場に反するものだと考えるけれども、どう思うのか。これは総裁、ひとつお答え願います。

○米澤説明員 お答えいたします。
 電電公社といたしましては、同和事業特別措置法の精神によりまして、関係行政機関の指導を受けつつこれに対処する、こういう基本方針でいくことにしております。

○平田委員 いま言ったように、これはやはりあなた方にもう少しはっきりさせておかなければならない問題だと思うのだけれども、さっき行政機関の指導を受けてと言っているが、「解放同盟の指導のもとに、」というふうに通達では言っているのですね。解放同盟の指導を受けるという法的根拠を示してください。

○山本(正)説明員 ただいま御指摘の近畿通信局が出しました通牒の中にそういう表現がございますが、これは研修に関する通達でございまして、研修に関しましては、先ほど来御説明いたしておりますように、地域の行政機関等の指導協力を得ながらやるというたてまえになっております。地域の行政機関からそれぞれ講師のあっせん等も受けております。その中に解放同盟の方々も入っておりますので、この研修に関する通達におきましては、行政機関及び解放同盟というように並べて書いたわけでございますが、こういう表現をとりました意味合いはただいま説明したようなことでございます。

○平田委員 あなたは全くわからないことを言う人だね。解放同盟の指導を受けるという方針なんでしょう。法的根拠を示しなさいと言っておるのですよ。出しなさいよ。

○山本(正)説明員 直接解放同盟の指導を受けるということではなくて、行政機関の指導、協力を得てということでありますが、研修に関しては、関係行政機関からあっせん、推薦を受けました講師の中に解放同盟の方々が入っておりますので、その研修の通達の表現としてはそういうふうになったわけでございます。

○平田委員 そうじゃないんだよ。もう一ぺんよく読みますか。「行政当局ならびに」、並びにですよ、「解放同盟の指導のもとに、公社管理者および職員に対し、」研修を行なうということなんですね。教育するんだよ。  では、もう一つ聞くけれども、この研修はどういうふうにしてやるつもりです。業務命令で研修させるんですか。

○山本(正)説明員 一般職に関する研修につきましては、今後労働組合とも十分話をしながら、業務命令といったような事態に立ち至らないように話をしながら、進めてまいりたいというふうに考えております。

○平田委員 業務命令にならないように指導する。では、管理職は業務命令でやるのか。あなたの話だとそういうことになりますな。大体、公社が中立性を貫くという立場からいっても、一党一派に偏しないという立場からいっても、こういうことはふさわしくないというんだよ。部落解放同盟の指導を受ける。「指導」となっておる。何をあなた方は考えておるか。指導を受ける筋合いは全くないんだよ。教育に関しては、運動団体の指導を受けるなんということはあり得ない。しかも電電公社が大衆運動団体の指導を受けるなんということはあり得ない。もう一ぺん答えなさいよ、指導を受けるということについて。

○山本(正)説明員 市町村の推薦に基づいて講師をあっせんしていただいて、講師としての指導、研修を受ける、こういう意味でございます。

○平田委員 現場はそうなっていないんだよ。解放同盟と相談をして講師をきめているんだよ。指導を受けてきめているんだよ。あなたは行政当局という市町村に全部責任をなすりつけている。電電公社としてどうするのかということを聞いているのだよ。責任ある態度をとりなさいよ。誤りでしょう。行政当局並びに解放同盟の指導のもとにやる、指導を受けるということ自体が誤りなんじゃないですか。さっき論議したばかりです。認めなさいよ、誤りであることを。――答えてもらいましょう。

○山本(正)説明員 行政当局の指導協力をまって同和問題の処理に当たるということは、同和対策事業特別措置法あるいは同対審の答申等の趣旨からいたしましても誤りではないと思います。

○平田委員 電電公社はこういっているんだけれども、さっきの自治省の見解、それから総理府の見解、郵政省の見解と全く対立するんだけれども、郵政省はどう考えますか。いつまでたってもこういうことを返事している。

○佐野説明員 お答えします。
 先ほどから先生の御指摘ありますように、同和問題の重要性につきましては、省といたしましてもっとに認識しているところであります。したがって、公社当局におきましても、先ほど総裁のほうから御答弁がありましたが、全く同じ考えであろうと確信しております。御指摘の近通局における問題につきましても、この種同和問題の正しい認識あるいは理解を深めるということから、公社みずからの判断に基づいて研修会等の企画をしたものと思います。なお、今後につきましては公社に対しまして、省といたしましてその取り扱いに関して御指摘の点も十分に顧慮しながら、適切かつ慎重に配意するように指導していきたいと考えております。

○平田委員 またあなたもまともに返事してないんだよ。解放同盟の指導を受ける、朝田一派の指導を受けることになるわけだが、指導を受けるということは一体正しいのかどうかということを私はさっきから聞いている。さっきの見解と食い違っておるから。あなた方が言っていることと電電公社が言っていることとは全く違うんだ。こういうでたらめが通用していいはずがない。だから解放同盟の指導を電電公社は受けるようになっているんですか、と指導機関としての郵政省に聞いているんですよ。もう一ぺん答えてください。

○佐野説明員 ちょっと私の答弁が抽象的であったかもしれませんが、先生御指摘の点も含めて今後適切かつ慎重に配意するように指導していきたいというふうに考えております。

○平田委員 だめですよ。こういう返事ばかりしているんですからね。指導を受けるのかどうかということを言っているんです。指導を受けることが正しいのかどうか。もし正しいとすれば、法的根拠を示しなさい、こう言っているんだ。話はわかるんですよ。

○佐野説明員 お答えします。
 先ほども公社のほうから答弁がありましたが、郵政省としましても、関係行政機関の推薦する同和問題の研修にふさわしい講師の指導といいますか助言を受けてこの研修会が開かれ得るように指導したいと思います。

○平田委員 つまり解放同盟の指導を受けるということは一体どういうことなんだと言うんですよ。法的根拠を示しなさい。電電公社が解放同盟、大衆運動組織の指導を受ける、それで法的にも根拠がありますというのか。

○佐野説明員 お答えします。
 繰り返しになりますが、研修会等の講師につきましては、一般的には同和問題に学識経験のある方に依頼するのが適当と考えております。
 なお、特定の団体といってもいろいろあると思いますが、そのことだけによって不適当、適当ということは、私どもの立場としては言えないと思います。

○平田委員 それじゃ、部落解放同盟の指導を受けてという文章は正しいという見解ですね。もう一ぺん答えてください。

○佐野説明員 部落解放同盟とか、あるいはほかの団体も各種あると思いますが、私は特定の団体の、特定の人といいますか、そういう人たちが講師になることが適切というふうには答えておりません。

○平田委員 これは講師になるかどうか聞いているんじゃないんですよ。研修をするに当たって、「行政当局ならびに解放同盟の指導」を受けるということになっているが、これは正しいのかというんですよ。指導を受けるということは正しいのか。さっき行政当局の指導というのは正しくたい、指導機関としては郵政省でございます、という返事なんだ。この段に及んだら、ここのところは強引にあなた方は拒否している。指導を受けるということは、行政当局については、これは郵政省なんだよというふうにはっきりしながら、部落解放同盟の指導も受けますということなんです。そういうふうに理解していいんだね。

○佐野説明員 先ほど、公社側のほうから御返事がありましたが、私の理解としましては、そこに書いてある指導という意味は、先ほど私が申しましたように、行政機関の御推薦によって選ばれた講師といいましょうか、一般的な意味の指導ということで使われていることばではないかと思います。

○平田委員 いやしくも通達に指導と書いてあるんだよ。一般的な意味じゃないんだよ。あんたわからないね。それは講師をだれを選んでくるか、かれを選んでくるかということはあると思うよ。私が聞いているのはそうじゃないんだよ。通達でもって研修会を「行政当局ならびに解放同盟の指導のもとに、」というふうに言い切っていいのか。講師をだれにするか、かれにするかじゃないんだよ。

○佐野説明員 その指導ということばにこだわるようでございますが、私の理解といたしましては、指導という一般的に使われることばじゃなしに、単に先生の講義を受ける、こういうふうに理解したいと思います。

○平田委員 そうしたら、そういうふうな文章にするならそういう文章でやったらいいので、指導というのは正しくないという見解を示せばいいでしょう。

○中林説明員 お答えいたします。
 近畿通信局が出しました通達の文言、「行政当局ならびに解放同盟の指導」ということは、適切であったかどうか非常に疑問に思いますが、近畿通信局が出した意味は、行政当局のいろいろ助言なり協力なりを得ながら、そこで講師につきましては解放同盟の方というものも推薦されておりますので、そういった解放同盟の方の講師の講義を受ける、そういったような意味合いでこの文字を使っておるのだというふうに理解しております。

○平田委員 郵政省に聞いているんだ。

○佐野説明員 いま電電公社の職員局長から御答弁がありましたが、その答弁のとおり郵政省として今後指導していきたい、こういうふうに考えます。

○平田委員 これは重大問題ですよ。今後において指導を受けますということをあなたは確認するんだったら、これは重大問題だ。

○佐野説明員 いま私が答弁いたしましたのは、指導を受けるということを言っているわけじゃありませんで、先ほど言いましたように講義を受けるというふうに公社も理解をしておりますので、私たちも当然そういうふうに理解しておりますし、今後もそういうふうな行き方でやっていきたい、こういうふうに申し上げたわけでございます。

○平田委員 ここでいわれている指導を受けるというのは正しくないんだということですな。

○佐野説明員 文章につきましては、先ほどから私聞いておりますのでよくわかりますが、文言そのものにつきましては、起案しておりますのは電電公社でありますので、私の口からじかに申し上げられないと思います。

○平田委員 それじゃ電電公社に、この表現は正しくないというなら正しくないで取り消しておいてもらいたい。

○中林説明員 通達の表現は、ごく一般的な意味で指導という表現を使っておりますが、行政当局との接し方というものと、解放同盟の講師の人との接し方とはおのずから違うものでございますから、この点については必ずしも表現は的確ではないというふうに考えております。

○平田委員 いま指導という表現については取り消すという趣旨で理解していいんだね。三田電報電話局に対して、今後この種の、いま申し上げたように中立を堅持しなければならない電電公社が、この種のものを配布するということは正しくないと思うんです。だから公社自身がこういうものを配るというようなことはやめるべきだというふうに思うけれども、どうですか。担当は職員局長かな。

○山本(正)説明員 研修等に使いますテキストにつきましては、今後とも関係行政官庁等の指導あっせん等によりまして、適切に処理をしてまいりたい、こういうふうに考えております。

○平田委員 ついては、最初から問題にしました方針と計画、これは全面的に撤回して再検討し直すべきだというふうに思いますが、米澤総裁、ひとつお答え願います。

○山本(正)説明員 電電公社といたしましては、法律あるいは答申の趣旨にのっとりまして、今後とも行政官庁等の指導を得ながら、十分法律、答申の趣旨が徹底するように下部機関を指導してまいりたい、こういうふうに思います。

○平田委員 最後に一つお聞きしておきたいのですけれども、公社はことしの八月六日に部落解放同盟兵庫県連合会委員長小西弥一郎殿とした近職第五九二号という文書によりますと、「公社は職員の採用に当って、差別的な選考を実施し、同和地区出身者等に対する就職の機会を奪っていたことを深く反省します。」というふうに謝罪文書を出しているけれども、就職の機会を奪ったという事実があるのかどうか。

○山本(正)説明員 新入職員の採用試験にあたりまして、従来身上調書だとかその他いろいろ身元を調査する等、通常やっておったわけでございますが、そういったものがこの法律の趣旨、精神に反するのじゃないか、こういう疑問が出てまいりまして、そういった点について改善、検討を加えたわけでございます。具体的に就職の機会を奪った事例があるのかないのか、その辺は必ずしもつまびらかにいたしておりません。

○平田委員 事例を知っていないで重大な文書が出されていますね。ちゃんとわかるようにしておいてくださいよと言っているのですから、まことに不誠意な態度だといわざるを得ません。時間も来ておりますから、私はまた次の機会にこの問題については触れたいと思います。ほうっておくわけにはいかない。いままで答弁されたことのすべてを容認するわけにはいかない。ある程度あなた方の考え方もわかる。法律を基礎にしてこれからがっちりそのつもりでやりますから。しかも就職の機会を奪ったといって謝罪文を出しているんでしょう。謝罪文を出している以上、具体的な事例があるんでしょうが。あったら、具体的な事例を出して、まことに申しわけなかったと言って、ここであやまるのがあたりまえなんですよ。朝田一派に謝罪文を出したところで事態は解決しやしないのですから。そういう意味で私はこの近職第五九二号なる文書も撤回すべきであるというふうに考えます。

 時間も経過しましたから以上で一応きょうのところは終わりますけれども、わが党は戦前戦後を通じて、創立以来一貫して未解放部落の住民の解放のために戦い抜いてきた唯一の党であります。いま部落解放同盟の朝田一派は暴力と利権をほしいままにしていますけれども、それは未解放部落住民の意思に反するものであり、差別を新たに助長し、民主主義を踏みにじるものであります。部落解放同盟正常化全国連絡会に結集した人々をはじめ多くの未解放部落の住民と広範な国民は、朝田一派の横暴をいつまでも許さないでありましょう。わが党は、これらの人々とともに部落解放運動の正しい発展のために、民主主義を守るために一そう奮闘します。  今回、電電公社の一部にあらわれた誤りを正すということはそういう意味で非常に重大だ。たとえば業務命令で講習を受けさせるかどうかという問題一つをめぐっても今後紛糾を招く。これはもうわかり切っている。というのは、朝田一派のあの暴力集団の一部が講師になって出てくるわけですから、そういう暴力集団の講義を受けることができないといった場合に、あなた方は業務命令違反という形で押してくるという危険性すらあるのです。だから私はさっき追及した。強制的に講義を受けさせるということは思想、信条の自由、憲法に違反することにもなるでしょう。そういう意味で、中立であるべき公社のとるべき厳正な態度、これを貫いていく上でこの問題を私は重視して今回取り上げたわけです。したがって、引き続いてこの問題については検討します。そうしてあなた方も、まことに不明確な、まことにずさんな答弁しかしておりません。これもあなた方自身も検討してもらって、法律に基づいて正しい運営が行なわれるようにすべきであるというふうに考えます。
 以上、申し上げまして今回の質問を終わります。

※→八鹿高校事件関連国会質問一覧 1974/11/22〜1975/03/31