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毎分20トンの漏水!青函トンネル
常時1,500kW近い揚水電力を消費

 海底トンネルである青函トンネルには大量の漏水があって、排水作業を止めることが出来ず、複数の電力系統と、さらにバックアップのディーゼル発電機を準備して排水を中断しないよう運転し続けていて、毎分20トンもの湧水を汲み上げて捨てているとのこと。
 この価 20[Ton/分]を基に、青函トンネル略図から、電力計算を試みよう。
排水ポンプのある最深部は掘進工事中の先進導坑だった排水・換気導抗の両端、北海道側吉岡排水基地と本州青森側竜飛排水基地で、排水のための揚水高は吉岡側 327.4m、竜飛側 336.0mとなっているが、概略図を見ると竜飛側には更に本線の高さに排水ポンプが有る模様だ。吉岡側の本線位置にはポンプ場はない。と言うことは、竜飛側の陸上トンネル内での出水が多くて、本線位置で排水して、その分を揚水電力の節約を図っているのだろうか?揚水基地より深度が168m浅い分、排水電力は少なくて済む。
 試算:排水高=11.2km×3/1000+(11.2+13.55)km×12/1000=33.6+297m=336m。  竜飛本線排水高=336−11.2km×(3+12)/1000=168m

列車1本分前後の排水電力


 揚水エネルギーは (質量/時間)×G×揚水高 [J/s≡W]:MGH/T だから、総合効率ηを仮に 0.75 として
排水電力P=20[Ton/分]×9.8×336.0[m]/0.75
      =20×9.8×336.0/60/0.75[kW]=1,463.466・・・・・・・・ [kW]
 この排水電力消費は海峡線の電気機関車ED75/ED79=1900kW、特急電車6連3M3T編成の定格消費電力 (モーター出力2,160 kW〜2,760 kW:=180kW〜230kW×4基×電動車3両)に迫る大電力である。 これだけの揚水電力量を列車の有無に関わらずトンネル貫通前から連続して消費し続けていることになる。

 海底トンネルの先輩格、4本の関門トンネルも同じ漏水問題を抱えて居る筈だし、東京の地下鉄も海面下だから動力排水が行われている筈だが、どんな状況だろう?
 地下鉄は豪雨時の雨水流入遮断も必要で、特に海面水位以下では絶対遮断と排出が重要で、中国地下鉄ではそれに失敗して豪雨溢水流入で地下鉄乗客1000人が溺死したが報道管制で秘密にされているという情報がネットに転がっている。
日本では、毎年地下鉄入り口の遮水訓練は繰り返していて、流入浸水事故は何度かあるが人的犠牲は出て居ない。江戸城外堀沿い南北線・有楽町線駅の地下鉄改札に流れ込んだ場面の動画がネットに上げられたが、水が澄んでいてゴミもないことが海外で大きく話題になった模様だ。日本の街も60余年も遡った東京オリンピック1964年前ならば結構ゴミだらけだったから、他国も今後改善の可能性は有るのだが・・・・・。
 総武線東京トンネルは脇に排水管があり、一部河川汚濁浄化対策としても動力排水されている。
 関門鉄道トンネル水没事故では雨水洪水流入中、機関士の巧みな対応で支障を回避、列車を間一髪で無事海底から引き出し抜け出し難を逃れる事故があった。
 山岳トンネルなら湧水は自然流出で済み、上越新幹線大清水トンネルなど湧水を清涼飲料水「大清水」として稼いでいる。丹那盆地などトンネル上の農地などの水枯渇が各地で問題になって補償している。

2026/05/15 23:55

日本への「航空機産業禁止」命令は、
  鉄道技術と自動車技術を大進歩させた!  <1>

 日本の敗戦、被占領の結果、GHQから帝国陸軍の解体、財閥解体と併せ、航空機産業の禁止が命じられて、多くの航空技術者が失業したが、皆、有用な技術を持って他産業に移って、世界に冠たる製品を開発した側面がある。特に目立つ成果となったのがエンジン技術を流用する自動車業界と過渡現象解析を持込んで発展させ世界に冠たる高速鉄道:新幹線を開発した鉄道業界である。 当時の航空技術界の水準は鉄道界や自動車界のそれより一段高度だったように思う。 (帝国海軍は掃海作業を軸に実働部が残され朝鮮戦争1950にも秘密裏に動員、装備は必ずしも最新ではないが作業は大変優れペルシャ湾掃海1991にも動員され、現在のホルムズ海峡危機の米イラン戦争の戦後処理にもまだ注目されているが、本来アメリカ&イスラエルの責任で機雷処理すべきだろう。核合意破棄のトランプ米とイスラエルが勝手に始めたイラン侵略戦争。西欧各国も不支持表明だし、属国日本ではないのだから、積極的に出動する必要はない)

 後に国鉄に引き継がれた鉄道省鉄道技術研究所周辺では、排除された航空技術者約1000人を受け入れて、列車の高速化など鉄道改良に掛かり、高速電車の開発、新幹線開発・普及と続くのだが、ゼロ戦開発に携わり、急降下時の空中分解事故を解析してフラッター現象を突き止めた三木精氏が後に鉄道技研所長に就任したことも大変象徴的である。
 またゼロ戦の設計は堀越二郎氏ら三菱だがエンジンは三菱自社設計ではない大出力の中島飛行機の栄エンジンを採用していた。会社としてはプリンス自工と富士重工(スバル)に引き継がれた。日本グランプリ・レースでグロリアが1位〜6位独占、R380開発の技術的背景である。
 国鉄生え抜きでJR東日本副社長、社長、会長等を歴任した山之内秀一郎氏の著書によると、氏が入省当時の鉄道技研は諸データ収集所的機能が主で、理論解析の絡む開発研究などあまりなかったと述べられていて、「線路破壊軽減に釣り掛け駆動のバネ下荷重の軽減」が追求され「車両は重い方が走行が安定する」という静的経験則が支配的だったそうである。
 そこに戦後の高速台車開発研究が始まって、湘南型電車による走行特性試験、C62型等による高速試験、新性能国電モハ90系(改称101系)開発、小田急ロマンスカーSE車3000型開発援助、モハ20系(改称151系)こだま型開発などに続いて1964/10東海道新幹線開業、更なる高速化がされた。

 旧型電車は「釣り掛け式駆動」といって、モーターの重量の半分が車軸に直接掛かり衝撃する構造で、走行で線路を痛め、モーター自体も損耗するものだった。バネを介さずに線路に直接掛かる荷重を「バネ下荷重」と呼んで、軽量化を図っている。
 語感のよく似た言葉で「バネ上荷重化」があり、モーターをバネ上荷重にして線路とモーター自体への衝撃を減らす構造なのだが、「バネ下荷重」との大きな違いは質量Mがバネ定数Kを介して線路に乗っているから、物理的には2次震動系を構成して、過渡現象が起こるので、その解析と制御が必要なのが「バネ下荷重」との大きな違いである。 力学的には質量とバネ定数とで2階の微分方程式を構成して、現象解析にはその微分方程式を解く必要があり、それは終戦までの鉄道業界には存在しない解析技術で、航空界のものだったものが高速台車開発に持込まれて使われるようになった。
 だが研究所・設計部外への成果発表では2次振動解直の減衰定数、ジータ、臨界制動・過制動・制動不足=振動状態といった過渡応答分析理論は使われず、概念としてはやや不正確な「バネ上荷重化」という表現が一般化してしまったため、本来運動方程式:振動解析としては共通である鶴見事故1963/11:ワラ1型軽荷重時共振脱線2重衝突惨事、成田線貨車脱線2011/03/10、北海道江差線貨車脱線等一般共振現象には敷衍できず予想外の脱線事故を繰り返してしまった。
 航空業禁止失業の骨を拾ってくれた鉄道業界に航空界では常識の微分方程式解析を直には持ち込めなかった模様で、鉄道業界の「バネ下荷重軽減」策に託けた「バネ上荷重化」説明で定量的には却って判りにくくしてしまった。それまでの静的・定常状態を扱う工業学校的解析を、動的・過渡現象を扱う理工学部型に深化させたが、その明示が無くて周辺分野への拡がりを抑えてしまった。だが国鉄時代の高卒公募採用者は優秀上澄層だったから解析の吸収能力は有った筈。地方の縁故採用者に注目が行ってしまったのだろうか?

意外に身近!過渡現象/微分方程式

 先日、昼カラオケ仲間の叔父さんから「高校数学の微分方程式なんて何の意味があるんだろ?下らない」と投げ掛けられて唸ってしまった。 「微分方程式」は確かに普通高校の「数学V」教科書では僅か1ページ&工業高校用の「応用数学」教科書でも3ページ程度に「微分項を含んだ方程式」とあり、「微分方程式を解くとは、微分項を含まない方程式に変換すること」となっているだけで、実社会への繋がりが全く述べられていないオマケ扱いだった。成る程!氏の疑問はもっともだ!
 大学でも微分方程式の解法は教養の一般力学と専門での自動制御理論と通信工学では重ね重ね教えられていたし、工業高専でも、一部工業高校でも教えていたのだが、高校ではその応用例はほとんどなかったから、文系学科では放置だったのだろう。 確かに「質量」とか「慣性」とかを理工系並に考慮していたら、古典経済学での「蜘蛛の巣の定理」など早い時期に是正・進化して引っ込められている。無論、経済学試験答案にはそんな疑問点など書かない!著名な「定理」を否定して減点など御免だ(笑)。
 私自身は、中堅技術者育成が目的で余計なことは質問しても教えて貰えなかった工業高校なのに、自動制御理論の時間に先生が「君たちの多くはこのまま就職して今後学ぶ機会は無くなるから、今後必ず役に立つ微分方程式の解法:ラプラス変換を教えておく」と言って文部省の教育課程:教科書を2ヵ月余離れて特製プリントで教えられ受験勉強を後回しに熱中したのが非常に印象に残っている。 文部省と学校方針を無視した極々例外的経験であり就業後の実務で大変有難かった。
 電気回路解析の当初は数学者が微分方程式を解いてその過渡現象項と定常解項を求めていたが、虚数項のある複素数表示の導入で「交流回路のオームの法則」として代数計算で定常解部を計算するようになり、通常利用では微分方程式の出番はなくなっていたから、実務上は電検3種相当の工業高校で微分方程式を教える絶対的必然性は無くなっていたことが基本にはある。

 旧鉄道省・国鉄の現場で、首を拾われた航空技術者が、鉄道界の用語法に合わせて「バネ上重量」などと説明したものが定着してしまったのではなかろうか?設計現場直では具体的数値で扱える微分方程式で扱われているのは絶対に間違いない。 現に鉄道関係の著書を覗いても運動方程式/微分方程式はほとんどに出てくる。 歴史的経過が有るとは言え国鉄JRの何処の階層から「バネ上重量」に変わるのだろうか?

 件の昼カラオケ仲間の叔父さんに向かっては、「日本の鉄道技術と自動車技術が世界のトップ・グループにある理由は、占領下にGHQから航空産業禁止命令が出て、世界でも優秀だった軍用航空航空機を作っていた技術者たちが鉄道業界と自動車業界に拾われて優れた製品を多数作ったからで、その高速技術解析・設計の基本が微分方程式の適用にある。 飛行機は空白の7年間で人材育成を含めて大きく後れを取っているが、その分、世界に冠たる新幹線と日本製自動車になってる。 実際には微分方程式をシミュレータに構成して最適設計に大いに役立ってる」と説明。 カラオケ仲間氏は思いも寄らぬ説明に煙に巻かれたようだった。

※[有用経験:ラプラス変換で微分方程式解明]

 1ロット毎に売上25[人月]の製品に何と85[人月]分の原価が掛って、ロットごとに60[人月]もの損失を出して納入していた深刻な問題解決に、運動方程式/微分方程式を解いて過渡的動作を究明、さらに実動作のオシロスコープ写真を添付。 安定して製造できる構造特性を提案して、技術部全体の討議に掛り、その案が採用されて大赤字を解消できた。納入単価500円の製造原価が1,700円台にもなっていたのを単価550円の収支トントンに収めてピンチを脱した。
 さらにガバナー接点に使う白金価格が金の3倍以上にも高騰したことで「電子ガバナー」の開発に着手したが、設計公式がなく回路定数を決められず、可変抵抗器7個で手探りの開発を始めていた。回路を見ると松下電器が1950年代に「ブリッジ式モーショナル・フィードバック・アンプ(MFBアンプ)」として発売していた回路の直流動作版であることに気付き、学生時代の回路解析を焼き直して定量的設計式を提案した。
 松下電器は公表特許に一種の罠を仕掛けていて「ブリッジ回路でスピーカーの駆動電圧を打ち消して、可動コイルの発電電圧を検出する」と申請・公表していたため、特許内容に正直に計算しては要求特性を満たす回路定数の決定が出来なかった。
 電子ガバナーは接点式ガバナーに比べて等速性能が良くないことも重なって、真似っこ競争の家電業界なのに、アイワなど数社しか製品化してなかったが、回路定数決定法にも難があったので「モーター巻き線抵抗の電圧降下分を、負性抵抗出力特性の電源で打ち消す=モータの発電電圧を検出する」と考えて、技術資料として提起した解析式で製品化され、後日ハイブリッドIC化された。
 このブリッジ式MFBは後年、YAMAHAがアンプ内蔵スピーカーに採用していた。開発元松下電器での不具合は、任意のスピーカーを接続する使用条件に無理が在り、YAMAHAはスピーカー付属の一体出力回路として成功させた。

 その解析成功経験から毎月の開発技術交流会議を開いて経過発表を求め開発技術課の技術共有を図ることを復活し定例化したのは、防衛大卒の課長(=任官拒否組)と、ドイツ留学組でメカトロ某社の技術課長からスカウトされて着任早々の技術部長だった。

 突然、製品を作れなくなった直接の原因は、半年ほど前に黒字経営下での大量の人員整理合理化強行で、270名もの追い出し部屋まで作られた首切り会社の空気に嫌気がさして、特別の腕を持っていた巻き線作業の組立女工さんと担当の設計係長が退職してしまい、代わる人材を得られなかったための不良廃棄損失が主で、さらにその著名ユーザーに食い込みたくて政策的にかなり低価格で納入していたことにあった。
 この人員整理解雇ではマイクロ・モーター設計の教科書的な著書のある先任技術部長も突然SONYに転職していた。その退職の穴埋めに著名メカトロ某社技術課長を引き抜いて開発技術部長に据えた訳だ。

 そんな経過は知らない新入社員の私は、就職直後のモータ技術課仮配属中で、担当業務はまだ無くて「課の技術資料でも読んでいてくれ」と暫時遊び人待機状態で、ついでに「自動検索同調用マイクロ・モータの大赤字対策」提案を求められた。また可変抵抗器7個で電子ガバナーの動作を調べているのを見かねて手を出したので、開発戦力として当てにされた訳ではない。 前述、非常に腕の良い巻き線工と設計係長に辞められた結果、組み立て不良が激増して廃棄損を生じ、出荷単価¥500.のモーターの製造原価が¥1,700.に達する惨状となり、ロット1,000.台を納入する毎に120万円(=(1700−500)×1000)の大赤字となっていた。 この時の高卒初任給が2万円丁度だったから、1ロット出荷毎に賃金60人月分の大赤字となっていて全社4,000人中の新設部門モータ製造部総勢240名の命運が掛かる赤字だった。

 解析結果では、製造が難しい超小型化に拘る必要はなく、マイクロ・モーター端子短絡でブレーキを掛けるなど(機械的)時定数を小さくすれば、製造し易い=安価なもので足りることが理解されて両社長同士のトップ交渉で最終的にはユーザー側が設計変更して、製品変更と収支トントンへの値上げが決まった。
 モーター端子短絡ブレーキなど大型機なら事故になる発想で、起動抵抗器・制動抵抗必須である大型機・強電屋の部長氏は一瞬理解を超えて驚いていた。(周波数直線型バリコンへ換装案は、コスト面と停止誤差僅少とで不採用)
 この件で初めて微分方程式を解くラプラス変換の有用性&過渡現象での機械的時定数が認められて、多くの技術課員が理工学部学生時代の講義内容をなぞったのだった。技術課員皆、一般公募採用試験の競争倍率7〜10倍を通った成績上位層で、趣味者・マニアではなく、講義で学んでは居たが、どう使うかまでは詰められてなかった。 スカウトされてきた部長氏もその著書に技術連絡会議での討論内容がそのまま引用していたが、会社体質が仕事よりも組合つぶし要求!に嫌気が差して数年で研究機関へ転出していった。
 無組合を誇り組合結成即解雇を繰り返した会社で、労働組合結成活動に深く関わったが、部長、課長からは庇われていて彼等上長から止めるよう圧力を受けたことはない。創業社長派労務課と全金組合を潰して地位を得た御用組合派からの長期に渉る激しい妨害だけだった。 唯一「組合結成で懲戒解雇通知を渡す役は直属課長の僕だから、目立ち過ぎないよう考えてくれ。まだやってほしい仕事がある」と云われ「組合在籍専従就任を拒否」されて組合書記長氏に専従を差し替えただけで、直属上司からの不当労働行為に当たる圧力は無かった。 私の入社の半年ほど前に全国金属労組・全商業労組などの結成を首謀者・組合員全員解雇で潰していたから、無理からぬ課長表明(純言語的には不利益扱いの警告で、不当労働行為に成り得るが、「有り得る予測」であり、悪意には取れなかった)。当方を左翼とみて時折面白がって論戦を仕掛けてきた防衛大卒任官拒否組課長だった。 部長など我関せずで『昔から赤字赤旗赤信号!といって、もうアキマヘんな』などと言ってスルーだった。当方は以降30年も組合活動に取り組む羽目になったが。

奴隷貿易非難決議@国連総会 驚異の123対3、棄権52
カトリック教会の不当勅許は不問のまま
「大航海時代」は「侵略勝手・奴隷化勅許時代」  <2>

 他国民・異教徒を家畜扱いして売買する奴隷貿易が大西洋領域で400年以上続いて1200万人以上が犠牲とされた「人道に対する最も重大な罪」として非難する決議を採択した。 この決議は、アフリカの人々を奴隷として売買した過去の大西洋奴隷貿易を非難するもので、国際法の成立や国際条約に関係なく、「人道に対する最も重大な罪」として糾弾されている事が特徴で、さらに「加害者が欧州諸国や米国であることは明白だ。アフリカ系の人々への正式な謝罪を期待する」「略奪された文化財の返還や構造的な人種差別への対処、さらには被害者への補償」の必要性に言及されて圧倒的多数の賛成で、脛に傷持つ西欧各国が軒並み棄権だったのは大変画期的である。この国連総会決議に沿った修復的正義・忘却防止措置の実施は必ず追求されるべきである。
 だが、奴隷貿易・人種差別に全く関係せず、何件もの被差別ユダヤ人群、難民などの救済に関わった誇らしい歴史のある日本の政府までが棄権に回ったのは全く頂けない。奴隷貿易と使役で脛に傷持つ欧米諸国の顔色を見過ぎである。

 黒人を半ば家畜視しての奴隷売買を正当化した理屈は、西欧キリスト教(カトリック教会)を文明人、他教を野蛮人:非文明人と位置づけた人種差別思想で、文明人がキリスト教布教をもって野蛮人を導くという虚構で奴隷売買の非道を合理化したものだ。キリスト教への改宗を拒否した異教徒は滅ぼす方針があり、これが1200万人を超えるとされる大量の奴隷貿易の政策的背景となっており、キリスト教の重大犯罪であるが、今回の国連総会決議にはそのローマ教皇(カトリック)勅許の不当性への指摘がない。「カノッサの屈辱」事件に見られるようにローマ教皇は各地各国の王より遥かに上位に在って、スペインとポルトガルが地球を分け合って植民地を得る勅許を出していて、奴隷貿易の共犯者である。 国連総会決議の奴隷貿易糾弾の先には本来、ローマ教皇(法王)カトリック教会も含まれるべきだが見過ごされている。

 一言に「大航海時代」と呼ばれる時代は、科学技術的に見れば
(1). 羅針盤の発明で陸の見えない海上もで方角が分かる様になり、
(2). 縄の投入・回収回数で航行距離概数を得ていた誤差の大きい測距法を改め
(2).1. 船上で使える時計が発明され、地球上の位置座標が分かる様になって
島影のない太洋上でも位置が分かる様になって実現できた。
 政治的には、キリスト教国である西欧のみが文明国であり、新発見の島嶼は原住民の有無に関係なく発見者の領土と宣言できる領土切り取り勝手とされた不当な西欧常識があって、大航海時代≡帝国主義侵略・植民地獲得の時代である。

 インカ帝国皇帝は改宗を迫る侵略者スペインに殺害されて帝国崩壊、アステカも崩壊、南米では過酷な植民地支配で奴隷化した人口が1/10以下に衰退・滅亡して労働力不足から植民地経営が困難になってしまった。
 人口激減で崩壊した奴隷労働の代替として始められたのが今回の国連総会決議となった「大西洋奴隷貿易」で、西欧の奴隷商人がアフリカ人自身にアフリカ住民狩りをさせて奴隷としてアメリカ南部農園に送り込む非道が長期に続けられて、売買された奴隷数の10倍もの生命が奴隷狩りの争いで奪われたとされ、米国では現在でも黒人を亜人間・家畜視して殺戮してしまう狂気の感性が残って、警官等による黒人殺戮・差別が無くならないで居る。

 キリスト教国間中心の地中海貿易が盛んで相互交易に栄えて居た当時、香料は地中海東岸のイスラム教圏を介して非常な高値で入手していたことから、香料産地からの直接輸入の交易路が求められたが、大海の航海術が無く海路はまだ無かった。
 羅針盤(コンパス)の発明など航海術の進歩で、地中海貿易の西端のスペイン、ポルトガルは原産地へ直行できる航路を求めて、ローマ教皇(法王)を介しての開発地域大西洋・地球を2国で2分する勅許条約を結んで、スペインは西方向、ポルトガルは南西・南米方向に征服先を分けたため、その地球の裏側の境界が日本付近を含む極東アジアとなって入り乱れることとなった。

 宣教師フランシスコ・ザビエルの1549年の初来日はこの大航海時代=植民地獲得競争の時代のことで、宣教師は現地国制圧のための斥候・政治工作者であり、領主の命令より宣教師の指示を守る体制を目指して、アジアには宣教師を介した西欧支配が進んだ。日本は1543年の火縄銃伝来以降、日本で改良設計された大量の銃が各戦国大名に普及、西欧全体の銃保有数を超える軍備となり、遠征侵略軍は戦慣れした戦国大名には到底敵わない状況になっていた。当時から日本は工業生産力が優れていて西欧侵略者に制圧できなかった。
 織田信長、豊臣秀吉のバテレン追放令は、一般領民への禁教令ではなく日本制圧のための政治工作者バテレン(≡宣教師)の追放で、配下大名が信長よりバテレン(宣教師)に従う「間接侵略」を許さないための禁教令だった。 それが日本史上最大の内戦「島原の乱」を機に国内全面禁教としたが、その大一揆の切っ掛けとなった飢饉下の厳しい重税年貢取り立てで一揆を起こされて城を奪われた悪政の領主たちも斬首刑となっていて、島原の乱を宗教キリスト教だけの責任とはしていない。

 西欧それぞれには一神教の教義・教えに基づく優越・選民意識が基本にあり、「異教徒は邪教支配者で征伐対象」「異教徒は奴隷化可」「異教徒=非文明社会を自分たち文明国が支配して進んだ文化を注入する」という傲慢な認識が共通している。 実質は教典が共通の、「ユダヤ教」「キリスト教」「イスラム教」が相互に排他的、敵対的で、異教は邪教として相互に存在を認めないで殺戮を重ねる「1神教」であることが根本解決を不可能にしている。 メキシコ湾の島に漂着したコロンブスは島民達に手厚く助けられて帰国しながら、勝手に西インド諸島と名付けて、次の航海では軍を伴って恩ある地を制圧してしまった。

 我々の小中学校の教科書の知識では、キリスト教が救貧など愛の宗教の様に描かれ、イスラム教の異教徒不寛容殺戮が説明されていて、現に「悪魔の詩」翻訳者がイラン、ホメイニ師の指定で殺害対象者とされ、何者かに殺害された酷い事件が何件かあり、「イスラム教だけは御免だ」という強い世論となりイスラム教国外国人を遠巻きにする空気が生まれて現在も消えてない。 隣人のイスラムが平和的か狂信攻撃的かの見分けが付けられず怖くて近寄れないのだ。
 しかし歴史を見ると、現状のユダヤ教イスラエルのガザ皆殺し狂気の残虐性も、それを全面支持する福音派キリスト教原理主義もイスラム原理主義と共通の酷い残虐性をもつことが判る。
 同一教典の1神教のバリエーションがユダヤ教−キリスト教−イスラム教だから、異教徒への不寛容、大量殺戮容認、差別−優越意識はどの宗派にも共通する残虐性であることに気付いた。

 そう考えたとき、今回の国連総会決議が糾弾した、不当な「大西洋奴隷貿易」に重大な根拠を与えた当時のカトリック教会も共犯として強く非難されるべきである。

奴隷貿易は「人道に対する最も重大な罪」 国連で決議採択  米・イスラエルなど反対

[AFP] 2026年3月26日 11:50
              発信地:国際連合/米国 [ 米国 北米 ]
 国連総会は、15〜19世紀の大西洋奴隷貿易を「人道に対する最も重大な罪」として非難する決議を採択しました。この決議は、アフリカの人々を奴隷として扱った過去の大西洋奴隷貿易を非難するもので、賛成123、反対3、棄権52の圧倒的多数で採択されました。反対したのは米国、イスラエル、アルゼンチンの3か国で、棄権したのはポルトガル、スペイン、オランダ、英国など52カ国でした。
 この決議は、奴隷制の賠償に積極的な立場をとるガーナのジョン・マハマ大統領が「真実を肯定し、再生と修復的正義への道を追求するために厳粛な連帯の下に集まった」と強調し、忘却に抗うための安全装置となると位置づけられました。

 奴隷制の賠償に積極的な立場をとるガーナのジョン・マハマ大統領は「今日、われわれは真実を肯定し、再生と修復的正義への道を追求するために厳粛な連帯の下に集まった。この決議は忘却に抗(あらが)うための安全装置となる」と強調した。

 決議に法的拘束力はないが、単なる認識の共有に留まらず、奴隷取引に関与した国々に対し「修復的正義」への関与を促している。また、現代社会に根差す人種差別や新植民地主義を通じ、奴隷制の負の遺産が今なお継続していると指摘した。

 アントニオ・グテーレス国連事務総長は「大西洋奴隷貿易は人間性を破壊し、家族を引き裂いた人道に対する罪だ。受益者らは正当化できないことを正当化するため、人種差別的なイデオロギーを構築し、偏見を疑似科学へと変容させた」と断じた。

 一方、反対した米国は、決議案には「大きな問題がある」と批判。米国のダン・ネグレア代表は「発生当時に国際法下で違法ではなかった歴史的過ちに対し、賠償を求める法的権利は認められない。また、人道に対する罪に階級(ヒエラルキー)を設ける試みにも強く反対する」と述べた。

 棄権した英国やEUは、奴隷制の過ちを認めつつ、米国と同様の論理を展開した。

 これに対し、ガーナのサムエル・オクジェト・アブラクワ外相は、一部の国が罪の承認を拒んでいると主張。「加害者が欧州諸国や米国であることは明白だ。アフリカ系の人々への正式な謝罪を期待する」とAFP通信に語った。同外相は修復的正義の道筋として、略奪された文化財の返還や構造的な人種差別への対処、さらには被害者への補償の必要性に言及した。AFP
[朝日新聞]

 国連総会(193カ国)は25日、15〜19世紀の奴隷貿易や奴隷制について、人道に対する罪と指摘し、賠償や謝罪に向けた対話などを求める決議案を123カ国の賛成多数で採択した。専門家によると、国連総会で奴隷貿易をめぐる賠償の具体的な取り組みを求める決議は初めてとなる。

 米国、イスラエル、アルゼンチンが反対し、日本や欧州など52カ国が棄権した。決議案はガーナがまとめ、アフリカ連合(AU)の加盟国などが強い賛意を示す共同提案国に名を連ねた。

 決議案は、奴隷貿易や奴隷制を「最も重大な人道に対する犯罪」だと宣言した上で、加盟国に対し、謝罪や賠償、補償、再発防止などに向けた「誠実な対話」に取り組むよう求めた。

ガーナ外相「清算の日はやってくると」

 ガーナのアブラクワ外相は採択後、「正義の実現に向けて、また我々の先祖、アフリカ人、全てのアフリカ系の人々にとって、力強い勝利だ。国際社会は正義のために立ち上がり、どれだけ時間がかかろうと(過去を)清算する日はやってくるのだという明確なメッセージになる」と報道陣に述べた。

 米国の代表は反対理由の説明で「当時の国際法上違法ではなかった歴史的な不正に対し、賠償を求める権利はない」などと訴えた。

1200万人以上が連れ去り、「負の遺産」いまも

   (以下有料記事)

決議タイトル:
「大西洋間奴隷貿易の犠牲者の
    永久的な記憶と修復的正義の呼びかけ」

Permanent remembrance of the victims
      of the transatlantic slave trade and calls for reparatory justice

採択日: 2026年3月25日(国際奴隷貿易犠牲者追悼の日)
提出国: ガーナ(アフリカ連合が強く支持)
採決結果:賛成: 123カ国、反対: 3カ国(アメリカ、イスラエル、アルゼンチン)
棄権:52カ国(日本、イギリス、EU27カ国を含む多くの欧米諸国)


(細部補足5/14) 2026/05/10 23:55

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